HR-REVOLUCION  ~日本からGoogle・facebookを創出するために~

日本からGoogle・facebookのような世界的インパクトを与えるスタートアップが出るために何をすればよいのか?

良質な種に、良質な栄養を与えれば立派に育つように、

素晴らしい志を持った起業家に十分な資金(カネ)と優秀な人材(ヒト)が集まればそれは成し遂げられると思っています。

かつて、井深大、盛田昭夫、本田宗一郎、松下幸之助という立派な志を持った起業家に、日本の優秀な人材が集まってソニー・ホンダ・松下電器(現パナソニック)が成長したように。

筆者作成

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資金(カネ)という面では、ここ10年くらいで日本のスタートアップ資金調達事情は飛躍的に改善されたように思います。シリコンバレーに比べればその額はまだ桁違いに小さいですが、アーリーステージの起業家が億単位の調達ができる社会ができつつあります。とすると、スタートアップの成長に足りないのは“人材(ヒト)”です。

スタートアップに優秀な人材が大挙して向かっていくようになれば、ソニー・ホンダが成長したときのような状況が再現されるはずです。

しかし、“スタートアップに優秀な人材が大挙して向かっていく”というのは今の日本では都市伝説です。アマテラスはその都市伝説を現実にすべく活動をしています。『HR-REVOLUCION』

我々はこの活動をそう名付けています。

CUBAを圧政から解放したチェゲバラ、フィデルカストロが“REVOLUCION”を旗印に活動を進めたように、アマテラスはHR-REVOLUCIONを進めていきます。

HR-REVOLUCIONとは何か?

(出典:http://prcm.jp/list/ゲバラ)

優秀な人材が当たり前のようにスタートアップに参画する社会を実現するための課題を解決する活動です。その課題とは2つあります。

  1. ガラパゴス採用システムを改革すること。
  2. 起業家を尊敬する文化を創ること。

ガラパゴス採用システム

1つ目のガラパゴス採用システムについてお話します。

日本の人材採用システムはガラケーと同じで日本でしか通用しないガラパゴスなモデルです。終身雇用制度に基づいた、就職というより就社という仕組みで、新卒一括採用時に人生がほぼ決まるという状況でした。ここにきて終身雇用制度が崩壊し、感度の高いビジネスパーソンほど、大企業に属していることよりも仕事を通じてスキル、経験を積み社会に貢献するというキャリア感を持つようになってきました。その結果、年齢や学歴よりも実力次第で勝負でき、自己実現できるスタートアップがキャリアの選択肢に入るようになってきました。そして、就職時にスタートアップ含めた多くの企業から1社を選ぶ絞り込みのプロセスがとても重要性を増してきました。これまでは社会の物差しだった安定企業や人気ランキング上位の会社を選べばよかったことが、物差しが個人の価値観に変わったのです。

物差しが変わったにも関わらずまたしてもガラパゴスな人材紹介システムが存在します。求職者と採用企業側の間にある情報非対称を利用し求職者がまず人材紹介社に相談し、人材紹介会社を通じて採用が決定すると企業が人材会社に想定年収の35%を支払うというビジネスモデルです。これは情報非対称性をついたとてもうまくできたビジネスモデルです。このモデルで大手人材会社にとっては大きな利益をあげられる美味しいビジネスモデルですが日本のスタートアップ育成にとって、これは最悪のビジネスモデルです。その理由は年収の35% が人材会社の報酬という点です。つまり資金力のある採用企業が有利なシステムになっている、ということです。

筆者作成

人材会社からすれば、このシステムのもとではAさんを企業に紹介する時に、多くの報酬を支払ってくれる会社に紹介しようというインセンティブが働くのは当然です。Aさんが優秀であればあるほど、高い報酬を払ってくれる会社に紹介したくなります。かくして日本の人材採用マーケットは金がある会社ほど有利に採用ができるようになっており、資金力に乏しいスタートアップ企業には優秀な人材との面談に進むことすら困難な状況です。

また人材会社の多くが収益最大化を目的にしているので、大量に採用してくれる採用予算の大きな大企業の人事部(サラリーマン)と付き合うのと、採用数も採用予算も少ない上に注文が多いオーナー社長と仕事を進めるのと、どちらがよいかといえば、答えは明白です。人や易きに流れやすいものです。

その結果、日本ではスタートアップ企業で働きたい人が人材紹介会社に相談にいっても、あなたには大企業がいい思いますよと言われ、大企業を紹介されたり、金払いのよいメガスタートアップを紹介されるのが実情となっています。私自身の体験も付け加えますと、私がMBAを修了し、就職先を探そうと大手人材会社はじめいくつかの人材会社にスタートアップに行きたいと言って相談に行きましたが、紹介された会社はどこも私の希望とは違う大企業・メガスタートアップばかりでした。スタートアップに行きたいと言っても上場しているようなユニクロや楽天などもはやスタートアップではない企業、スタートアップと言って“強くお勧め”されます。

ですがそのような会社に行きたいのであれば人材会社を仲介する必要はそもそもなく、自分で直接受けられますし、人材紹介会社の存在意義は無いのでは、、と思ったものです。今となってみればそうなってしまう理由はよくわかります。人材会社にとっての“良い会社”とは金払いが良く採用意欲のある会社なので、そのような会社に優先的に求職者を押し込みたいわけです。ですが私が求めていたのはまだ無名だが成長性があって志ある社長がいるスタートアップでした。私が求める会社は資金余力や採用数が少なく人材会社にとっては“良い会社”ではなかったのです。しかし、情報量が少ない私のような求職者は人材会社がお勧めしてくれない限りどのスタートアップが良いのかわかりません。

このままでは規模は小さく無名だが今後大きくなる可能性のあるスタートアップ企業が、採用ができずに終わってしまいます。実際にそのような状況を私は多数見てきました。

 ですが日本からソニー、ホンダが出てきたときのような状況にするには、起業家に優秀な人材が集まる状況を創らなければなりません。より多くのお金を儲けようというインセンティブが働く人材会社が求職者と企業の間にいることで、スタートアップに人が流れなくなってしまいますので、人材紹介社が不要な採用システムを構築しなければなりません。

もしくは人材紹介会社がいたとしても、その報酬体系を年収の35%ではなく定額にすることが出来れば、スタートアップにも人を紹介する可能性が高まるでしょう。ですが私が人材会社の報酬を決める権限は全くないわけで、これも現実的ではありません。

起業家を尊敬する文化

2つ目の起業家を尊敬する文化がないことについてもお話します。

日本では起業家を尊敬する文化があるとは言い難い状況です。これでは起業家になろう、ベンチャー企業・スタートアップで働きたい、という夢を持つ人がなかなか出てきません。毎年の就職人気ランキングを見れば体制側、言い換えれば既得権益を持った会社が人気企業として上位を占めます。銀行、証券、保険、さらには公務員です。不安定なスタートアップに就職すると親戚、友達の多くが冷たい目線を送るのが日本の現状ではないでしょうか。私は大手銀行を退職するときに、“銀行を辞めるなんて全く意味がわからない”と会社の上司・同僚に真剣に言われました。

起業したときも辞めておけ、おまえは一体何屋なんだ?と大企業の人達から冷たく言われ、起業後に友達だと思っていた人にメールしても返事が来なくなる人もいました(もともと本当の友達ではなかったので私の不徳の致すところですが)。大企業を辞めたり、起業したりすることは社会の背徳行為のような文化がまだ日本にはあります。これは日本の教育に根差した問題です。いまだに日本の義務教育は工場労働者を生産するための教育が残っていて、人の指示に忠実に従うことを教えています。右ならえなどはその象徴です。私に出来ることは起業家の成功を手助けをして1社でも多くエクセレント企業の創出に関わり、起業家の地位向上に貢献することだと思っています。

さて、まとめますと、“HR-REVOLUCION ”が実現しようとしていることは以下です。

  1. 人材紹介会社という中間業者がいなくなること。
  2. 年収の35%が報酬という人材会社の報酬制度をなくし、一定金額にすること。
  3. その結果、スタートアップ・スタートアップに優秀な人材が流れ、社会発展に貢献する。

その答えはダイレクトリクルーティング。

そこでアマテラスはダイレクトリクルーティングの手法に目を付けました。求職者と企業が直接コミュニケーションし、採用を行う仕組みです。この仕組みでは中間業者の人材紹介会社が不要になります。そして、企業側が採用成功したときに支払うフィーを一定額にすることで大企業もスタートアップ企業も同じ土俵で人材を採用するのでスタートアップ企業にとってはこれまでの不遇の状況を改善できます。かつ中間業者が減ることでフィーもより低額になるため資金力のないスタートアップにとってより良い状況になります。

まさに我々は日本のHR業界における大きな革命を起こそうとしていると思います。人材紹介という機能を無くし、かつ採用をより効率的に行い、フィーも安くなり、そのうえ日本からエクセレントカンパニーを創出しようとしているからです。昨今、Fintech、Edtechなどテクノロジーを活用して業界を効率化する●●techという言葉が流行っているようで、HR-techという言葉もちらほら聞くようになりました。しかし私たちは日本の人材業界において必要なのはテクノロジーを活用した既存ビジネスの効率化ではなく、そもそも人材紹介の仕組みそのものを革新していくことなのでHR-REVOLUCIONという言葉にこだわっています。

これがアマテラスオンラインの仕組みです。

(出典:https://amater.as/)

私はこの仕組みを考えるときに悩んだ点は”どのように個人の信用を担保するのか?“ ということです。つまり、スタートアップ側がアマテラスオンラインのプラットフォームを使って直接個人にアプローチできるようになったとしても個人のリファレンスが取れなければ怖くて採用ができません。これまではその機能を人材会社が担っていました(実態としてはほとんどの人材会社はその機能を放棄していますが、、)。

これを解決してくれるのがSNSの存在です。FacebookかLinkedInを通じてサインインすることを義務化し、SNSでのつながりが個人の信用性を担保するという仕組みです。アメリカではLinkedInで200人以上の繋がりがないビジネスパーソンは転職マーケットで信用を得られないといいます。

日本でもスタートアップで幹部候補として活躍しようとする方であればSNSで同等の繋がりがあるべきだと思います。

シリコンバレーの採用システムは合理的

私はこれらの考えを煮詰め、アマテラスオンラインを始める前にシリコンバレーの採用事情を視察しに行きました。

私が会って話を聞いてきたのは、シリコンバレーの採用プラットフォームになっているAngellistのCEO,COOです。

Angellistの本社にて同社幹部と

Angellistはその名の通りエンジェル(個人投資家)がリスト化され、スタートアップ投資のプラットフォームから始まったサービスですが、スタートアップが資金を調達すると次はそのお金で採用をすることになるので採用プラットフォームに発展しました。今ではシリコンバレーでは知らない人はいないサービスです。余談ですがシリコンバレーのVCにAngellistのCEO,COOと会ったと話すと、“それは日本でいうとリクルートの社長、副社長に会ったというくらい大変なことだ”と言われました。

AngellistではLinkedIn、FacebookなどのSNSを通じてサインインした求職者が、自分に適したスタートアップを探し、直接その会社に応募ができます。大きな特徴としてはスタートアップの投資家情報がとても充実している点です。誰がいつ、いくら投資したのか。その投資家は他にどんなスタートアップに投資してきたのかがわかることによって、良い投資家が入っているスタートアップの採用力が向上します。また募集要項には想定年収だけでなくストックオプションをどのくらい付与するかも詳細に記載されています。

(出典:https://angel.co/)

日本ではスタートアップの株主情報やストックオプション情報は非公開が常識ですが、良い人材を採用したいのであれば開示していくべきだと思います。個人がリスクをとってスタートアップに飛び込もうとするときに、求職者に必要な情報をしっかり開示できているのがシリコンバレー流。私はこれらの機能もアマテラスオンラインには盛り込もうと考えました。

Amateras Onlineのファイナンス情報。Angellistと同様、未上場企業であっても株主情報が表示される仕組みになっている。

なぜ日本ではLinkedInが盛り上がらないのか?

アマテラスオンラインがなくても日本にはLinkedInがあるではないか?そう思われる方もいるかと思います。では皆さまの周りでLinkedInを使ってスタートアップ転職をした方はいるでしょうか?ほとんど皆無でしょう。LinkedInは日本人に適していないというのが現状でしょう。まず英語であるという点。そして、知らない外人からどこの国からわからない会社への転職を勧められて気持ち悪い思いをした方がすくなくないでしょう。日本人は、村社会、島国文化のため、相手が誰なのか、素性のわからない人とは取引するのを嫌がります。今のLinkedInはその日本人の文化を理解しているサービスとはいいがたいのではないでしょうか。アマテラスオンラインは、日本のスタートアップに参画したい方向けのサービスです。外国籍の方が使ってもよいですがまずは日本人に最適化したサービスを創りこんでいきます。

アマテラスオンラインの最大の魅力は“次代を創る経営者・CEOを厳選”して紹介していること。

アマテラスでは、求職者にスタートアップCEO紹介することにこだわりますスタートアップ転職とは即ち、苦楽を分かち合える仲間を見つけることと同じだと考えているからです。確かな仲間を見つけるという成功可能性の難しい旅に出るわけですので道中は困難と向き合うこともあるでしょう。困難を乗り越える原動力は、貴方が叶えたいビジョンであり、同じビジョンを見つめるCEOとの出逢いだと思います。その出会いこそが旅の目的地となってゆくはず。

そして、そのCEOとの出逢いの先に、また新たな旅が始まっていくのです。アマテラスは日本、世界をリードしていく次代の起業家・CEOを“厳選”してアマテラスオンラインに掲載しています。志の低いCEOは紹介しません。たとえその会社が儲かっていても。アマテラスがご紹介するCEOとの旅では、飽くなき成長意欲を持つ人材に「高い目標とチャンス」を惜しみなく与え、潜在能力を十分に引き出し、貴方の成長速度を「今以上のスピード」で加速させてくれることでしょう。良いCEOと出逢うという目的地と、その先の新たな旅に、貴方のなりたい姿がきっとある。

人生の戦略に、良いCEOとの出逢いを。

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藤岡 清高

株式会社アマテラス代表取締役社長。iU 情報経営イノベーション大学客員教授。 東京都立大学経済学部卒業後、新卒で住友銀行(現三井住友銀行)に入行。法人営業などに従事した後に退職し、慶應義塾大学大学院経営管理研究科を修了、MBAを取得。 2004年、株式会社ドリームインキュベータに参画し、スタートアップへの投資(ベンチャーキャピタル)、戦略構築、事業立ち上げ、実行支援、経営管理などに携わる。2011年に株式会社アマテラスを創業。 著書:『「一度きりの人生、今の会社で一生働いて終わるのかな?」と迷う人のスタートアップ「転職×副業」術』