エネルギーベンチャーは電力自由化を更なる成長機会に出来るか?

Posted By on 2016年7月20日

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エネルギー業界というと設備投資が大きく、法規制や地域独占のイメージもあり、ベンチャー/スタートアップ企業の進出が難しいイメージがあるかも知れません。

しかし、2012年に再生可能エネルギーの拡大を目指した固定価格買取制度(FIT)が開始され、今年4月からは電力小売完全自由化となりました。市場環境が変動するエネルギー市場とそこで活躍するスタートアップ企業について見ていきます。

 

1.東日本大震災を機に急拡大した再生可能エネルギー市場

 

再生可能エネルギーとは、有害物質を出すことのないエネルギー資源のことを指し、具体的には太陽光、風力、水力、バイオマスによる発電によって作られるエネルギーです。

 

わが国では2011年の東日本大地震による原発事故を機に、効率性に加え、安全そして環境に配慮したエネルギーが求められるようになりました。そこで注目されたのが再生可能エネルギーです。日本はエネルギー資源を海外に大きく依存していることもあり、エネルギー自給率を上げるためにも再生可能エネルギーに期待が寄せられています。

 

再生可能エネルギーの推進には国も力を入れています。2013年度の再生可能エネルギーの電源構成比は水力発電を含めて10.7%でしたが、これを「エネルギー基本計画」(2014年4月)で2030年には「約2割を超える水準を目指す」としています。

これを実現するため、固定価格買取制度(FIT)を導入しました。FITとは再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を国が定める固定価格で買い取ることを義務づけるもので、2012年7月1日にスタートしました。

 

自然豊かな日本には再生可能エネルギーのポテンシャルがあるものの、高コスト等を理由にこれまで普及が進んできませんでした。

この制度により、エネルギー自給率の向上、地球温暖化対策、産業育成を図ると共に、コストダウンや技術開発によって、再生可能エネルギーが日本のエネルギーを支える存在となることを目指します。

 

【株式会社自然電力】 http://www.shizenenergy.net/

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こういった市場変化を追い風として伸長したのが、自然電力グループです。自然電力グループは2011年に創業したベンチャー企業で、自治体や、組合・個人の方等が所有する土地において太陽光等発電所設置を進める事業を得意としています。その土地における事業開発(電力会社との交渉、許認可手続き等)から設計・調達・建設まで、世界的再生エネルギー企業であるjuwiとの提携を活かして、様々な条件下での事業化を実現します。風力・小水力発電所についても運用の実績がありますが、主戦場である太陽光発電ではBloombergの国内太陽光ディベロッパーランキング(2014年)で2位になっています。

 

拡大する再生可能エネルギーですが、それに伴いその需給の調整の問題が大きくなっています。

安定的に電力を提供するためには、電力供給量と需要量を一致させることが重要です。需要と供給に差が出ると停電が引き起こされる可能性もありますが、気候等を利用する再生可能エネルギーではその需給差が発生しやすく、主電源として使用するにあたっての課題となっています。この問題への新たな対策として、「蓄電池」を利用した需給の調整などが注目されています。

蓄電池には他の方策にない優れた特性があります。発電設備における事故や気象変動などが発生し、緊急の出力変動が生じたとしても、迅速に対応することが可能です。また、局地的にピークが生じる場合に、そのピークを適切に削減することで、全体の設備投資を抑えられます。

 

【株式会社エナリス】 http://www.eneres.co.jp/index.html

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エナリスは、一般家庭向けより先に電力自由化された大口の電力需要家を対象に、最適なエネルギーや電力供給先を選ぶための情報提供を行っているエネルギーエージェントです。創業以来、数多くの新電力の立ち上げや運営支援によって積み上げてきたノウハウと豊富な電力情報を活かして、お客様の望むエネルギーポジションをワンストップで実現します。

エナリスでは情報提供に留まらず、再生可能エネルギーを選択する顧客等を対象として、蓄電池を利用して電力供給を安定化させるサービスに取り組んでいます。

 

2.電力小売完全自由化の影響

電力自由化の最終局面として今年4月に電力小売全面自由化がなされました。

電力自由化について説明をよりわかりやすくするために電力事業のバリューチェーンを用いて、どこにエネルギーベンチャーの入り込むチャンスが生まれているかを考えてみます。

 

◆電力事業のバリューチェーン

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電力の自由化は、1995年に発電事業者(IPP)の参入が自由化から始まりました。2000年以降50kW以上の高圧部門(工場や自治体庁舎、大規模事業所など)に対する特定規模電気事業者による小売りが順次自由化されました。これによって電力量ベースで6割が自由化されましたが、残る一般家庭や小規模の事業所への供給は選択肢がなく、地域の電力会社が独占してきました。これが2016年4月から完全に自由化されたのです。

以前は発電~小売りまで一貫して一つの企業が管理・提供していましたが、電力完全自由化によって発電、送配電、小売りの分業が可能になりました(※送配電は既存の電力会社が保有)。これによってどのような機会が創出されるのでしょうか?

 

[発電施設を持たないエネルギー企業]

小規模発電事業者や電力卸取引所から電力を仕入れ、それを消費者へ販売する方法を取れるようになり、電源を自社で抱えなくても電力事業への参入が可能になりました。

首都圏では発電施設の建設が続いており、電力需要に対して供給過多を危惧する声もあります。そういう状況になると、自らは発電施設を持たないエネルギー事業者がコスト上有利になるといった事態も考えられます。

 

[小売自由化により新規の顧客の獲得が可能に]

これまで一般家庭や小規模事業所は「原発の電気は使いたくない」「再生可能エネルギーを使いたい」と思っても、電力会社の選択肢は一つでした。しかし、小売完全自由化以降は複数の事業者から選ぶことができます。電力小売事業者は価格やサービス、その発電方法等の特徴を前面に打ち出すことで、企業や個人の新規顧客獲得を狙っています。

 

【株式会社みんな電力】 http://corp.minden.co.jp/

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株式会社みんな電力は電力の買取と小売りを行う電気事業者です。みんな電力は一般家庭に電気を販売するにあたって、電気の産地やつくり方、関わる人々の想いといった、発電所の“顔”が見える独自のサービスを提供しています。地域の顔の見える発電所の中から消費者が自分のお気に入りの発電所を選び、「応援」する発電所に電気料金を支払うというシステムで、新たな電力消費のカタチを生み出しています。

 

3.まとめ

以前の電力業界は、発電~送配電~小売りの全機能が垂直統合された巨大企業でなくては市場のメインプレーヤーになれませんでした。しかし、電力自由化によって電力事業のバリューチェーンは分断されました。これによって機能毎に新規参入が可能になり、それらを繋げる新しいビジネスチャンスも出てきています。

 

これからの電力事業には市場への対応力と共に新たなサービスを生み出す構築力が求められます。人材についても電力事業出身者というよりは、新規事業の立ち上げ経験といった構築力や推進力のある人材が求められています。電力という社会性の高い事業で、新しい価値やビジネスモデルが提供され、よりリーズナブルな電力供給が広まることが期待されます。

 

 

 

 

 

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Posted by amateras

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