「日本人の英語力を向上させる」この思いは上場後も変わらない。

株式会社レアジョブ代表取締役社長 中村岳氏

2012年12月に起業家対談を行った株式会社レアジョブ。あれから3年以上が経過した現在、円安などの逆風にさらされつつも急成長を見せ、2014年6月には東証マザーズ上場も果たしています。またブラジル進出や単語アプリ開発など新たなビジネス展開も見せています。

ただ上場はIR情報の公開を始めとする義務が生じるため、企業経営が大きく変わる瞬間になりうると指摘されています。当然中にいる人材の役割・求められる人材も大きく異なってくるため、企業文化が変容することにもつながります。そのため上場後は上場前とのギャップを克服し、会社をさらに成長させる体制を整えることが経営者に求められてきます。

一体レアジョブではどのような対応をしているのでしょうか。再度レアジョブ・中村岳社長をお尋ねしました。

中村岳氏

代表取締役社長
中村岳氏

1980生 東京都出身
2003年 東京大学工学部卒業
2005年 東京大学大学院情報理工学系研究科卒業
2005年 株式会社NTTドコモ入社 研究所配属
2008年 2月 株式会社レアジョブ代表取締役 最高技術責任者就任
2012年 7月 株式会社レアジョブ代表取締役 最高執行責任者就任
2015年 6月 株式会社レアジョブ代表取締役社長就任

株式会社レアジョブ

株式会社レアジョブ
https://www.rarejob.co.jp/

設立
2007年10月
社員数
217名(連結)

《 Mission 》
日本人1,000万人を英語が話せるようにする。
《 事業分野 》
教育・Edtech
《 事業内容 》
無料のインターネット通話ソフト=スカイプ(Skype)を使用した、マンツーマンオンライン英会話サービス「レアジョブ英会話」の運営。

上場後も変わらず英語力向上に注力。近年は法人・学校の顧客も増加傾向に。

アマテラス:

現在のレアジョブさんの事業概要について教えていただけますか?

株式会社レアジョブ 代表取締役社長 中村岳氏(以下敬称略):

オンライン英会話サービスをメインの事業としつつ、英語学習のサービスを作り個人・企業・学校の3つの提供先に届けることで日本人の英語力向上を図ることに努めています。現在の顧客に占める割合としては個人のユーザー様が一番大きく、次に企業、その次に学校が来ています。法人事業は4~5年前から始め、現在(2016年2月時)は約710社の企業に使っていただいています。特に海外進出や外国人採用、研究資料の文献参照の関係で英語を使うことの多いメーカーやIT企業を中心に取引を伸ばしていると感じています。スピーキングが授業や受験で用いられることがなかった学校については最も立ち上がりは遅いものの、小学校5~6年生の英語授業や上智大学や早稲田大学の受験にスピーキングが入るなど大学受験で4技能(聞く、話す、読む、書く)重視傾向の影響もあり、導入が増えています。

アマテラス:

レアジョブさんのサービスが学校への導入が増えている背景について詳しく教えてもらえますか?

中村岳:

例えば大学入試でもGTEC,英検,TOEFLなどスピーキングが含まれる検定試験が合格基準となることが増えており、スピーキングの対策となると一人で学習するのが難しい現状があります。リーディングや単語学習の場合は教科書を読むことで自習はできますし、リスニングについてはCDや音源があれば自習可能な項目です。ライティングに関しては先生が宿題に出し添削してくれれば自習可能となります。ただスピーキングとなると、先生と一対一の授業を行うのはクラスに数十名もいるともなれば時間の都合上難しく、一対多で行うとなると文章をわずかに読むくらいしか時間は取れない。それではスピーキングはなかなか伸びない。ですからレアジョブ英会話に登録し、それぞれの生徒がPC・スマホ・タブレットを用いて画面越しにフィリピンにいる講師の方々とレッスンをすることによって、英語を使って会話する時間を増やすことができる。そして生徒は個人で登録すれば自宅でも復習することができ、スピーキング力を飛躍的に伸ばしていけるようになる。これが学校でレアジョブ英会話の導入が増えている理由です。

アマテラス:

2~3年後は個人・企業・学校のうちどの比率が一番高くなっていると思われますか?

中村岳:

引き続き個人の比率は一番高いとは思いますが、法人・学校の比率が高くなっていくとは思います。特に学校の場合導入までに時間はかかり現状では先進的な学校および自治体のみが導入していますが、いずれは文部科学省などの指導もあり英語4技能を向上させるための施策を入れる必要が出てきたり、あるいは成功ケースがでてきたりすると導入は進むと考えています。

円安という状況でも価格の安さというメリットは変わらず売上を伸ばす。

アマテラス:

円安という市場環境に対してはどう対応していますか?

中村岳:

2~3年前のアベノミクスの影響で1ドル80円から100円、120円と値上がりしたときが最も苦しい時期でした。ペソとドルは連動しているため、原価の多くを占めているフィリピンの講師に対する人件費が1.5倍に膨れ上がってしまいました。そのため、為替ヘッジの対応および価格の値上げ(新規ユーザー様の月別支払い金額を5000円から5980円に値上げする)によって対応しました。ただ最近1年(2016年1月時点)はある程度予想範囲内であった1ドル120円で落ち着いていることもあり、特に問題はなくなっています。

アマテラス:

値上げによって、どのような影響が出ましたか?

中村岳:

値上げは新規ユーザー様を対象としていたため、過去の登録者の離脱についてはそこまで影響がでませんでした。新規顧客の獲得には影響は多少見られるものの、週1~2回でも月数万円かかる英会話スクールと比べればまだまだ安い価格で提供できていることもあり、それほど深刻な問題にはなっていないと思います。

アマテラス:

オンライン英会話事業はここ数年競合が多数出てきているように思いますが、中村社長はどのように考えていますか?

中村岳:

増えているというよりは一時期より減っているかと考えています。理由は低価格を売りにしたオンライン英会話事業者の登場です。4~5年前ですと、オンライン英会話市場は100~200もの小規模なサービスが作られていきました。そうした小規模なサービスが低価格を売りにした会社の登場によりユーザーを取れなくなって軒並み先が見えなくなり、比較的大規模なサービスのみが残るようになった。その意味では競合が減った、競合企業が一部に絞られたといえると考えています。

アマテラス:

フィリピンにて良質な講師を確保することが御社のサービスにおいては重要になると思われますが、継続して講師を確保できているのは何故でしょうか?

中村岳:

過去からずっとやってきている先行者メリットが大きな強みになっていると思います。ネット上で仕事をするビジネスモデルなので、働き手(講師)からすると本当にお金が入ってくるのかという不安感があります。しかし周りにやっている人がいて、ちゃんとレッスンすることでお金が入っているという実績が見えていれば、始めやすい。このメリットが口コミを通じて拡大しているのが講師確保のうえでの強みになっていると思います。

アマテラス:

フィリピン人のマネジメントに関して気をつけていることがあれば教えて下さい。

中村岳:

きちんと相手の話を聞き、不誠実なことをしないということが一番大きな注意点だと思います。相手の意見をきちんと聞いて、相手のことを理解し、そのうえでこちらも意見をしていく。対等な立場での議論をして信頼関係を築くこと、適正な手続きに乗っていくことが重要ではないかと思います。それができていないと訴えられてしまいます。そして訴えられると外国企業は弱いため、現地の講師・スタッフとの信頼関係をどれだけ築くかが重要だと思います。

アマテラス:

単に賃金を上げるだけで良い講師を維持できるというわけではないということですね。

中村岳:

そうですね。給与待遇次第で動く講師の方もいらっしゃいますが、どのくらい高いのかにもよりますし、高いレベル度合いがどれだけかにもよります。また支払いの継続や労働環境など様々なもので判断されます。ただ単純に賃金を上げればいいというものではないなとは感じています。

ブラジル展開を開始。投資を積極化させる。

アマテラス:

直近のレアジョブ様のIRを見ていると売上は伸びているものの、利益が伸び悩んでいる状況です。何か投資をしているのでしょうか?

中村岳:

今年度の第二四半期にTVCMを打ったことやオフィスを移転した点、ブラジルでの展開を行った、という意味で投資を行っています。この中でも特に大きな投資案件となっているのがブラジル進出です。フィリピンからブラジルに対して英会話を提供するビジネスを2015年10月より開始しています。ブラジルでは英語が話せるか話せないかで賃金が倍くらい違ってくることもあり、ニーズは多いと感じています。国全体で見ても人口も多く、GDPも延びており、公用語が英語でないことから英語を話せない人も多いとなると日本以上の成長市場になる可能性が高い。そうなると中国、メキシコ、ロシアなどが候補にあがりますが、市場競合性や参入障壁を検討した結果ブラジルを選びました。今後も他国への展開を行う可能性はありますが、今はブラジルに集中しようと考えているところです。そのような投資案件を抱えた結果、今期は投資のフェーズにしようと考え、費用が一時的に増しているという状況です。

上場後一番変わったのは内部統制の仕組み。人事マネジメントやKPI管理にも変化が。

アマテラス:

上場後大きく変わったと思うことは何ですか?

中村岳:

上場前と上場後というわけではないですが、上場にあたりいろいろなワークフローを整えたため、内部統制が取れるようになったということが変わったと思います。上場したことで、未上場時には審査基準上取引をしてもらえなかった法人や学校からの問い合わせが増えたという面でビジネス上でも大きな影響がありました。

アマテラス:

上場後に人材採用は変化がありましたか?

中村岳:

上場前でも上場後でも優秀な人材はある一定は採れていると思います。ただ面接に訪れる人材の性格は大きく異なると思います。創業初期の場合だとゼロイチが好きというか、ぐちゃぐちゃしているなかで手探りで回答を探っていくことが好きな人が入る傾向がありましたが、大きくなってきた後だときちんと整理してやっていこうとする人が多いかと感じています。

アマテラス:

人材の性格の変化に伴い、マネジメントの方法なども変わってきましたか?

中村岳:

上場前のときからになりますが、社員が40-50名を超えた2012,13年の段階で人事システムを導入するなど、組織的な運営を担うようになりました。そのきっかけになった問題として2012年に個人情報漏洩の疑いの発生がございました。この問題の背景には、システムのある部分が個人に依存している形になっていて、誰がどこを見てどのようなセキュリティを担保するのかという点や、システム側とマーケティング側で牽制しあう形を作るという点など組織的なシステム運営がなされていなかったことにありました。そのときは1ヶ月ほどサービスを停止しプログラムを全て変えたのちセキュリティ的に問題ないものにしたあと、他の企業でいろんなシステムを作ったことのある経験者に1年近く代理CTOとしての役割を担ってもらいシステムを立ち直らせていきました。その後組織的に戦えるような仕組みにしようと考え、コンサルを入れて人事の改革も進めました。そのなかでリーダークラスの意見を取り入れながら、リーダークラス、幹部クラスで意思統一していくかたちにしていって、新たな人事システムを入れていきました。

アマテラス:

具体的にどのような人事システムを導入したのですか?

中村岳:

人事システムという面ではMBO(目標管理制度 Management By Objective)のチャレンジシートを入れ、社員一人一人の目標を設定しどれだけ達成できたかを可視化するようにしました。それまでは従業員がなぜ自分が評価されていないのか、がわからない状況でした。運用面では大変でしたが、評価内容が見える化し納得感がでるようになったという点で大きな成果を出せたと思います。

アマテラス:

その他に上場後、変えてきた取り組みはどんなものがありますか?

中村岳:

KPI管理だと思います。それまでは自分たち経営陣ではわかっていましたが、それが社員全体で共有されそれぞれの個人が追うべき目標値、数値が与えられていない状況でした。そこでKPIを管理して、月ごとの目標値を見える化して全社員に明確化することで、それぞれの社員・グループがやるべきことを明確化し成果に繋がったと思います。これができるようになったのも、2012年くらいかなと思います。

アマテラス:

今考えれば、こういった一連の経営改革はいつから始めればよかったと思いますか?

中村岳:

人事制度は一番最初からやるべきとは考えていませんが、KPI管理などのマネジメント面は一番最初の方からやるべきだったと思います。もちろん知っていればというところですが(笑)。

肩書きが変わることでやるべきことは変化。マネジメントが中心に。

アマテラス:

会社が上場し、役職がCTOから社長へと変化する中で、中村さんご自身が変わったと思うことは何ですか?

中村岳:

上場や肩書きの変化に伴うものではありませんが、自分のやるべき仕事が実務寄りからマネジメント寄りになってきたと感じています。創業当初CTOの時は、仕事の割合が30~40%がテクノロジー、30~40%がマーケティング、残り20%くらいは戦略立案という感じでした。その後テクノロジー部門を他人にすべて任せて自分は撤退し、マーケティングに専念したのちに再び他人に委譲するなど自分の役割を変えていきました。マネジメントする部分についても、自分の得意分野であったりそうでない分野であったり、はたまた海外だったりといろんな分野に関わってきたと実感しています。また上場するにあたって、サービスを利用しているお客様に対しても真摯に向き合うだけでなく、株主の皆様に対しても達成可能な目標を提示しそれに向かって努力していくという姿勢を見せる必要があるということから、計画をきちんとたてるということも大きな役割として加わったと感じています。

M&Aはやれたらという意向。アライアンスは積極化。

アマテラス:

上場にあたり、M&Aやアライアンスの案件は増加しましたか?

中村岳:

M&Aに関しては上場後に案件数がかなり増加しました。いい案件に巡り合うチャンスがあればやりたいとは思っています。アライアンスに関してはより積極的に行いたいと考えています。例えば2015年7月より三井物産と資本業務提携を行い、三井物産から1人出向していただき、そちらの知見を取り入れつつ法人営業・学校営業での売上増加を目指しています。三井物産は我々に投資することで注力分野である教育事業での機会増加が図れるというメリットがあると思います。三井物産側も我々の事業、人、ビジョンに共感していただいており、一緒にやることで世の中が変わっていくことを期待しているようです。

今後注力するのは英語学習のラーニングサイクルを回せるプロダクトの提供

アマテラス:

今後注力していきたいという取り組みがあれば教えて下さい。

中村岳:

今後も「英語が話せるようになるプロダクト」作りに注力していきたいと考えています。現在取り組んでいる一例として「レアジョブ・スピーキングテスト」が挙げられます。スピーキングテストを行いレベルに応じたカリキュラムを与えレッスンすることでモチベーションを上げながら英語力を伸ばしていくことができます。また日常英会話でしたりビジネスでしたり学生向けの学習でしたり、その他、ユーザーの目的、特性に合わせた教材をより充実させいくこともやっていければと考えています。さらに英語力を伸ばしていくにはレッスンをするだけでなく、隙間時間にも学習していくことも大事だと考えています。そのために単語・フレーズ、文法などを覚えるアプリの開発・提供にも力を入れています。そしてインプットした情報を、実際のレッスンで使いつつ、かつ外国人の先生と一緒になってグループワークなどリアルの場で実践し、ラーニングサイクルを回せるプロダクトの開発に力を入れていきたいと考えています。

アマテラス:

新しいサービスについて具体的に教えてもらえますか?

中村岳:

隙間時間に行える学習サービスですと「瞬間英単語」というアプリがあります。名前の通り英単語をインプットするアプリでして、2週間で15万ダウンロードされるなど、好評をいただいています。このシリーズをいくつか出しているところです。また、今年1月より「レアジョブ本気塾」というサービスも開始しました。これはオンラインとオフラインを掛け合わせたようなもので、モニターとして6万円で提供をしており、オンライン英会話のレッスンを行いつつ週1回2~3時間リアルの場に来ていただいて、学習管理を行ったり、英語を実際に外国人と話す「実践」の機会を提供するというサービスになっています。リアルの場では英語力のチェック、宿題の提示・提出、英語の勉強法のアドバイスなどを行うことになっています。コミットメントの高い人でなければ続けられない仕組みですが、3ヶ月続ければ最適な方法を提示して英語力を伸ばしていくことのできる「最速で英語力を伸ばす」ことを売りにしているサービスです。このような取り組みを通じて英語力を伸ばしていけるようなサービスを我々としては真剣に追及しています。

アマテラス:

レアジョブさんのターゲット層についても教えてもらえますか?

中村岳:

ターゲット層は拡大しているところです。従来我々がターゲットとしていたのは、自分なりの英語学習法を持っていてカリキュラムを自分で作れるような人でした。例えばCNNやBBCのニュース記事を読みながらディスカッションを行う、フリーカンバセーションをワントピックで行う、英語の文章を作って添削する、というような内容を自分で作れる人でした。ただそのようなユーザー様は限られているのが現状でした。そのため、自分ではどうやって勉強していけばいいのかわからない、という人たちを取り込んでいくことが必要だと考えています。そのような方にはサポートしながら英語力を伸ばしていけるサービスを提供したいと考えています。そのサービスでは登録後に日本人カウンセラーの方とSkypeで通話していただき、目標設定や効率的なレッスンの受け方などの学習相談をした後、体験レッスン・有料レッスンと段階的に受けていただきます。そしてその後も、定期的に日本人カウンセラーと面談して、英語力の伸びや、今後の学習方針、あるいはお悩みなどを聞き、解決していきながら一緒に英語力を伸ばしていく。このようなサポート付きのサービスをより強化していきたいと考えています。

アマテラス:

「英語が話せるようになるプロダクト」作りという方針に向けて、解決すべき課題にはどのようなものがありますか?

中村岳:

優先的に対応したいのは講師や教材の質を如何にして高めていくかだと思います。それを解決するにあたっては人材が必要です。例えば講師の質を維持するためには、日本人にとってどのような講師がいいのか、どのような質がいいのかというのを理解しつつ、フィリピンの講師陣をトレーニングできる人材が必要になっていきます。そして講師4000人に対するトレーニング方法やチェック体制など、人対人だけでは足りない部分についてはシステムと絡ませてやっていけるような仕組みを作れる人材を育成する必要があると感じています。
4000人もの講師を教育するとなると、相当なシステムが必要になってきます。例えば小さいオフラインの英会話教室だったら、講師全員に目が届くので講師のクオリティは安定します。ただそういった教室が多店舗展開しようとすると、途端に質にばらつきが出てしまう。それは経営者の目が届かなくなってしまうというのが如実に現れた結果となってきます。ただ我々はそのようなことを絶対にやってはならず、きちんと4000人の講師のレベルが高いという状況を作れるように仕組み化するというのが重要だと考えています。そこを日本とフィリピンをまたいでできる人材というのが重要になってきます。

主体性をもって働けるのが今のレアジョブで働く魅力

アマテラス:

上場した“今”のレアジョブさんに参画する魅力を教えていただけないでしょうか。

中村岳:

我々レアジョブで働くメリットとして、日本、フィリピン、ブラジルの3カ国の人々と一緒に働けることが魅力だと思います。例えばフィリピンに常駐してフィリピン人たちをマネジメントする日本人もいますし、出張でフィリピンに行って一緒になってプロジェクトを回していく日本人もいます。逆にフィリピンの方が来日して日本で働いて、働いたノウハウをフィリピンに持ち帰っていくということもあります。国内で閉じるだけでなく、日本とフィリピンとで一体となっていけるところが我々の面白いところです。違う文化の人たちと一緒になって一つのものを作り上げていく、違った考えを持つ人を動かしていくのは凄く難しい。でもやりがいがある、というところが楽しいと考えています。また我々は主体性を非常に重視しています。会社のためになる、お客様のためになる、サービスのためになる、というものを考え、どんどん発信し、どんどんいいものを作って、我々に還元してほしいと考えています。自らこのようなことをやっていきたい、そうするとこんなメリットがありますよ、というようなことを論理的に考えて、行動できる人であれば我々の会社には向いていると思います。そうすれば楽しく働きつつ、お客様にも喜んでもらえ、結果として日本人が英語を話せるようになり社会にも大きなインパクトを与えるような価値交換をしていくとができると考えています。逆に受け身な人だと、向いていないと思います。

アマテラス:

主体性を大事にしているということなので、若い方でも新しいことに積極的に取り組める環境があるということでしょうか?

中村岳:

我々の会社には若いからどうかという考えはなく、むしろコミットメントとかいろんなことをどんどん率先してやれるかというのが重要だと思います。フィリピンに社員を送り込む場合でも、スキルかやる気、主体性があれば年齢関係なくやっていけます。例えば大学4年の3月から入っている新卒の社員には、ブラジル事業をやるという話をしたところ、やりたいですということで入社し、1年目からブラジル事業に関わっています。そしてブラジルで生活しながら、ポルトガル語を学びながら、英語で企業に対してアポを取って顧客を獲得しています。新卒の社員では、他にもChattyというアプリを自ら企画しフィリピン人を巻き込んでやっている者もいます。このように新卒でもスキルややる気があれば十分に活躍できるような環境になっています。

アマテラス:

中途の幹部候補人材の方にとって御社で働く魅力やメリットはどのようなものがありますか?

中村岳:

第一の魅力としてはサービスそのものだと思っています。我々のサービスは日本人に英語力を向上させる、というものです。日本人にとって弱い部分ではあるものの仕事で国際的に活躍していく上で重要な英語力。これを本気になって上げていくサービスをきちんと提供することで、日本人の英語学習が変わり、自分たちのお子さんが大きくなり1000時間,2000時間と学習するにつれて英語が話せるようになっている時代を作れる。こうした世の中を変えられるサービスを作れるというのが一つの魅力ではないかと思います。二つめの魅力としては、日本・フィリピン合わせたマネジメントができることです。我々のサービスの根幹は講師の方が良質なレッスンを提供するということにあります。講師の質を上げていくには、日本人のニーズがわかっていなければならないですし、講師の採用やトレーニングを行うフィリピンの現地スタッフを教えたり動かしたりする必要があります。その際にはフィリピンの考え方や文化的背景などをわかっていないとうまく動かせなかったりします。そのようなチャレンジングな環境が、やりたい方にとっては非常に面白い環境ではないかと思います。我々のやり方は完璧なやり方だとは全く思っていませんし、できていない部分だらけだと思います。そのできていない部分をどんどん埋めてもらい、よりいいものを一緒になって作っていけるところが、幹部候補人材の方にとっては面白い職場になるのではないかと思います。

アマテラス:

中村社長、ありがとうございました!

この記事を書いた人

アバター画像


藤岡 清高

アマテラス代表取締役CEO。iU 情報経営イノベーション大学客員教授。 東京都立大学経済学部卒業後、新卒で住友銀行(現三井住友銀行)に入行。法人営業などに従事した後に退職し、慶應義塾大学大学院経営管理研究科を修了、MBAを取得。 2004年、株式会社ドリームインキュベータに参画し、スタートアップへの投資(ベンチャーキャピタル)、戦略構築、事業立ち上げ、実行支援、経営管理などに携わる。2011年に株式会社アマテラスを創業。 著書:『「一度きりの人生、今の会社で一生働いて終わるのかな?」と迷う人のスタートアップ「転職×副業」術』

株式会社レアジョブ

株式会社レアジョブ
https://www.rarejob.co.jp/

設立
2007年10月
社員数
217名(連結)

《 Mission 》
日本人1,000万人を英語が話せるようにする。
《 事業分野 》
教育・Edtech
《 事業内容 》
無料のインターネット通話ソフト=スカイプ(Skype)を使用した、マンツーマンオンライン英会話サービス「レアジョブ英会話」の運営。