徹底した本質的思考から生み出す価値提案でテックジャイアントを超える

株式会社Magic Moment代表取締役 CEO 村尾祐弥氏

今回は株式会社 Magic Moment 代表取締役 CEO の村尾祐弥氏にお話を伺いました。
村尾氏はGoogle Japan在籍時には営業統括部長、freeeでは営業統括役員を歴任し、業績の向上に大きく貢献する一方で、データとテクノロジーの効果的な融合で誰でも大きな成果が出せる可能性があると感じ、Magic Moment 創業を決断されました。

世界のトップクラスのビジネスパーソンから得た経営のヒント、資金調達直後のコロナ禍をゼロからあらゆることを考える良い機会と捉える持ち前のバイタリティ、安易に「How」が示されず、思考実験の繰り返しにより成長を促す会社風土、目指しているチャレンジングかつ壮大な未来像など、村尾氏ならではのお話を伺うことができました。

村尾祐弥氏

代表取締役 CEO
村尾祐弥氏

中央大学法学部卒業後、毎日コムネットやマイナビを経て、Google Japanでは営業統括部長として新規顧客開発や代理店営業などで活躍。2015年にクラウド会計ソフトfreeeに参画し、VP of Sales:執行役員営業統括兼パートナー事業本部長を務める。Rapyuta Robotics(ラピュラロボティックス)で営業、事業開発担当の執行役員を務めた後、これまで培った営業職の経験を活かし、2017年3月に株式会社Magic Momentを設立。2018年8月よりMagic Momentの経営を本格化。

株式会社Magic Moment

株式会社Magic Moment
https://www.magicmoment.jp/

設立
2017年03月
社員数
105名

《 Mission 》
すべての顧客が、顧客との関係性を根拠にした正しい経営判断ができる世界を作る
《 事業分野 》
SaaS・webサービス
《 事業内容 》
Magic Moment Playbook、Insight Boardの企画・運営・販売
Revenue Ops事業
データ分析によるインサイト提供事業

新聞を読み、考えることを楽しんだ幼少期

アマテラス:

初めに、村尾さんの生い立ちや幼少期のお話をお聞かせ下さい。

株式会社Magic Moment 代表取締役 CEO 村尾祐弥氏(以下敬称略):

静岡県熱海市出身で、両親と私のごく普通のサラリーマン家庭で育ちました。海も山も近い恵まれた環境で、友達と遊ぶときも山の中で基地を作るなど自然を満喫していた気がします。こうして東京に暮らしてみると、あの頃はクリエイティビティが育まれる、すごく豊かな時代だったのだと実感します。

仲の良い友達はいましたが、どちらかと言えば多くの仲間に囲まれるより自分の時間を大切にする子供でした。本や活字が好きで、幼稚園の頃から新聞を読んでいたそうです。ファミコンも携帯もない中で触れられるメディアはテレビか新聞のみだったので、自然と新聞を読むようになったのだと思います。

実は、幼少時は少し病気がちな子供で、何度か入院と手術を繰り返していました。ベッドの上ではやることがないので、読書をしたり色々考えたりすることを楽しむようになりました。そのおかげで、入院生活もあまり苦にならなかった気がします。

歴史を身近に感じる自由な高校で青春時代を過ごす

村尾祐弥:

高校は地域で一番の進学校である韮山高校に進学しました。小さな頃から可愛がってくれた大好きな叔母がいたのですが、いつも「あなたは病気がちで運動もあまりして来られなかったのだから、頭で勝負するんだよ」と言われていました。
残念ながら、その叔母は私が中2のときに亡くなってしまったのですが、三島の高台にある彼女のお墓からは韮山高校が見えます。あの高校なら叔母が見守ってくれるような気がして「入りたい」と思い、受験勉強も頑張ることができました。

韮山高校は戦国武将だった北条早雲の城の跡地に建っており、歴史を身近に感じられる学校です。400年前の城跡の一部が今も残っており、「変わらないこと」の素晴らしさを実感しました。
高校でも良き友人に恵まれ、自由な校風の中思う存分好きなことを考え湧き出る様々な発想やアイデアを楽しむ、そんな青春の日々を送った3年間を送りました。一方でいわゆる学校の勉強は苦手で、成績はずっと深海魚のまま浮上することはありませんでした。

学費を稼ぎながら通った大学時代

アマテラス:

大学時代で特に記憶に残っていることはありますか?

村尾祐弥:

高校の最後の頃に父が勤めていた会社が倒産し、社宅から出なければいけなくなりました。ちょうどその時に熱海の山の上に物件が出て、私が「大学は自分で行くことだってできるから、貯金でここを買ったら?」と勧めたところ購入することになったのです。

父は寡黙でとても優しく、「祐弥が言っていることなら間違いない」と心から思ってくれる人でした。そうやって手に入れた家でずっとニコニコと、とても気に入って亡くなるまで暮らしていました。

そういうわけで、私は大学入学と同時に深夜バイトで生活費を稼ぐ生活が始まりました。
元来欲張りなので「学校もテニスも頑張りたい」と全部やっていたら、結果単位を落としまくり4年で卒業できないことに。おかげで広告代理店への就職内定が取り消しになってしまいました。3月の卒業間際のことでした。

毎日コムネット、マイナビでキャリアを重ねる

村尾祐弥:

就職氷河期真っ只中に大学5年目を迎え、留年と希望の会社にエントリーすらできない失望感の中、とりあえず数社にエントリーすることにしました。
そんな中、学生サービス等を提供している毎日コムネットという会社から翌年4月入社でお声掛けいただきました。面接で現況を伝えたところ、ありがたいことに翌月から働かないかと言ってもらえた上に不動産事業で扱っていたマンションの1室を社員寮として与えられ、皆から4か月遅れで8月から社会人生活がスタートしました。

社会人初日は学習塾の夏合宿の添乗で、いきなりの河口湖行きでした。添乗と言っても、排気ガスが生徒にかからないようなバスの停車方法や生徒の動線の調整や案内などやることは満載でしたが、こういう仕事が大好きな私は初日から躍動しました。以後、毎日コムネットにいた5年間は毎年この合宿に呼ばれました。他にも色々な大学の合宿を提案し、当時のお客様には今でもお付き合いが続いている方もいらっしゃいます。

アマテラス:

その後、マイナビに転職された経緯を教えて下さい。

村尾祐弥:

毎日コムネットには5年2か月在籍し、キャリアも順調でしたが、仕事上で会う相手は大学生などが中心だったことで将来的なキャリアに不安を覚えるようになりました。

その頃から転職先を探し始め、大学時代に一度内々定をもらっていた広告業界でもう一度チャレンジしたいと考えるようになりました。そして、マイナビへの転職を決めました。
マイナビでは新規事業開発室という部署に配属されましたが、残念ながらこの部署は数か月で閉鎖となり、その後営業部門に異動しました。

港区麻布台にあるMagic Moment社オフィスにてインタビューを行った。村尾氏(左)とインタビュアーのアマテラス藤岡(右)

クラウドの可能性を感じてGoogle Japanへ転職

村尾祐弥:

マイナビでメディア営業をひと通り経験し、その後ファイナンシャルプランナーの資格を取得して副業でメルマガ発信やFP相談などのサービスを始めました。

その時に現在のGoogle Workplaceを利用したのですが、クラウドの便利さや簡単さに驚きました。そして、偶然Google Japanの新規広告営業求人を見付け、応募を決めました。

当時のGoogleは拡大基調にはあるものの、広告売り上げはまだYahooに遥か及ばずといった状況でした。しかし、自分で実際にGoogleのテクノロジーに触れていたことで「こういう会社がこれからの世の中を変える」という確信があり、求人を見たときに「絶対にこの会社で働きたい」と思ったのです。

アマテラス:

Googleのような「ザ・外資企業」への大ジャンプには勇気が要ったのではないでしょうか?

村尾祐弥:

外資とか英語とか、そういう前提を全く気にしないタイプなので、単純に面白そうだと思って応募しました。私がジャンプしたというよりは、よくGoogleが崖の上から降りて来てくれたな、というのが率直な感想です。TOEICすら受けたこともない僕をよく採用してくれたと今でも心から感謝しています。

Google Japanで世界トップのビジネスパーソン達に鍛えられる

アマテラス:

Google Japanでは刺激に満ちた日々だったと想像していますが、村尾さんにどのような影響があったと思われますか?

村尾祐弥:

Googleで学んだことは経営者として今の私に色濃く反映されていると思います。とにかく出会った人たちが素晴らしかった。
在職中は野澤俊通さん(現THECOO取締役)に始まり、クレア・ジョンソン(元Stripe COO)、フィリップ・シンドラー(現Google CBO)、ニケッシュ・アローラ(元ソフトバンク CEO)、ラリー・ペイジ(元Google CEO)などの発信から深い影響を受けました。

クレア・ジョンソンの来日時には、夜のチームとの会食で偶然目の前に座ることができたのですが、重要なことを端的に分かりやすく教えてくれました。彼女から聞いた「組織はボトムアップではなくトップダウンでないと伸びないケースだってある。というかそれが意思決定なの。」という話はとても印象に残っています。チームの現状、例えば人数や予算、ケイパビリティなどを総合的に判断し、実現可能性をはじき出して的確な指示を出す、それがマネジメントの仕事だと言われました。これは私が今でも大切にしていることです。

また、直属だった野澤さんからは業務を円滑に進めるための多くのポイントを学びました。特に、報告するときはまず言いたいことを全て並べた上で俯瞰し、しっかり整理して伝わる形にしてから発言することを叩き込まれました。今でもなかなかできないケースもありますが、心がけることでしっかりと自分のアウトプットを変えていけると気付きました。
経営者となった今、改めて物事を文脈で理解してもらうことの大切さを感じています。

アマテラス:

社風や職場の雰囲気はいかがでしたか?

村尾祐弥:

何でも面白がってやらせてくれる社風でした。
それまでの私は「あいつは変わってる、危ない」と言われがちな人間でしたが、Googleでは「crazyだ、interestingだ」と応援し、支えてくれる人たちばかりでした。私の拙い英語にも「もっと教えてくれ。君のアイデアが聞きたいんだから」と言ってくれるのです。そして日本で結果が出るとグローバルに展開されるので、本当に毎日が面白かったです。良い会社でした。

ああして世界トップクラスのビジネスパーソンに触れられた経験は大変貴重でした。
経営者となった今は、私と仕事をした相手から「あの人と仕事ができたのは良い経験だった」と言ってもらえる存在にならねばと考えています。

「誰でも活用できる営業ツール」への気付きが創業のきっかけに

アマテラス:

そこまで気に入っていたGoogle Japanを去ったのはどうしてでしょうか。

村尾祐弥:

Googleで、あるコードネームで開発された自前の営業ツールを世界で2チームだけ試す機会を頂きました。その営業ツールでは、どの顧客にどの順番で何を提案すればいいかが一目瞭然で、セールスメンバーはその指示どおりにこなして行きます。営業目標は金額ではなくポイント換算されました。つまりGoogleは、その行動をして金額的なターゲットを達成しないなら、それは人のせいじゃないと思っているのだということです。

当時はそんな自動販売機のような営業の何が面白いのだろうと感じていましたが、チームメンバーは楽しそうに働き、実際に営業成果にも繋がっていることが分かりました。
そして、「これからの営業には自分のような不確実性のある人間は必要なくなって行くのではないか」という疑問が生じ、ちょうど誘いを受けたこともあってfreeeへの参画を決めたのです。

freeeでは営業統括としてチームのみんなと懸命に働き、業績も大きく躍進しましたが、やがて自分がやっていることがGoogle時代のあのテクノロジーでしていたことと似通っているのではないかと思い始めました。
freeeではセールス担当者が細かく記録した様々なデータから優先順位の高い顧客をはじき出し、上から順番にアプローチをするということが、手動で分析は大変ではあったけれども可能でした。顧客アプローチまでのデータ蓄積方法などに違いはあるものの、採用している営業スタイルは基本的にGoogleと大きな違いはなかった。そして、この気付きはその後の創業を決断する1つの契機となります。

このテクノロジーのアイデアと、私自身がGoogleやfreeeで実践してきた組織営業オペレーションを、誰でも活用することができるプロダクトにできるのではないかと考えたのです。
そこからクラウドロボティクス・プラットフォームを提供する会社に参画し1年半ほど在籍した後、2017年にMagic Momentを創業、翌年には経営の本格化に踏み切りました。

LTV最大化のための営業AI行動システム「Magic Moment Playbook」

順調に創業したものの、その後テックチームを一から作り直す

アマテラス:

創業時に感じた壁で印象に残っていることはありますか?一般的には、仲間集めや資金集めの壁にぶつかる経営者が多くいらっしゃいますが、いかがでしたか?

村尾祐弥:

実は、創業後しばらくは仲間集めの壁はあまり感じていませんでした。4人でスタートし、業務委託・インターンも採用していましたが、その頃提供していたサービスはコンサルやBIツールの自社プロダクトです。AccelというBtoBのオウンドメディア運営などで黒字運営をしており、順調だと感じていました。

ところが、お客様の課題に深く入って行くにつれ、現在世の中にあるテクノロジーでは解決できない問題が山積していることが分かって来ました。日本の生産性を世界レベルに引き上げるためには、やはりGoogleのような業務効率を劇的に変えてしまう何かが必要なのだと痛感し、本腰を入れて新たなテクノロジーの開発に踏み込むことにしました。

そのタイミングで数社から投資のお話を頂いたのですが、ど素人すぎて誰かに相談することが必要でした。freeeを退職するときに会食していただいたDCMベンチャーズの本多央輔さんしか思い浮かばず相談をしてみたところ、本多さんから様々なご示唆を頂くことができ、導いてくださると同時にご投資頂く機会も与えて下さいました。その際に「応援はするが、今のチームでは先に進めない。本物のテックチームが必要だ」と指摘されたことをきっかけに、一からテックチームを作り直すことになったのです。仲間集めの壁に初めて突き当たった瞬間かもしれません。

まず、創業メンバーの友人であった、清家さん(現執行役員・SRE責任者)に拝み倒して参画してもらい、彼がさらに仲間を2人連れて来てくれたことで新チームの要ができました。

ただ、それで問題が解決したわけではありません。私自身は専門外ですし、清家さんもテックチームをスケールさせていく経験はなかったので、あの頃は試行錯誤の連続でした。要求レベルを高くすることによってチームにかかる負荷とメンバーのモチベーションのバランスがうまく取れず大変だったことを思い出します。

順調に資金調達し、エンタープライズ経営陣の扉をこじ開けることが今後の事業拡大のカギ

アマテラス:

資金面についてはいかがでしょうか。

村尾祐弥:

資金調達に関しては、ありがたいことに非常に恵まれた環境でここまで来られました。DCMベンチャーズの本多さん、DNX Venturesの倉林陽さんにはいつも支えられ、アドバイスをいただいています。

ただ、これまでは私のビジョンに共感して投資をしてもらって来ましたが、すぐに結果の出るビジネスではないので本当の戦いはここからです。資金の課題は今後しっかり向き合って乗り越えて行くつもりです。

アマテラス:

事業の拡大について、壁を感じることはありましたか?

村尾祐弥:

事業についてはまだ道半ばというのが現状です。現在はエンタープライズを中心に営業していますが、全社導入を目指して部門導入を頂いている段階です。

理由はいくつもありますが、そもそもプロダクトが単一の機能やユースケースを提供するようなシンプルなものではない上に、導入する組織にとってはオペレーション全てを変えてしまうようなものなので、本当の意味でこのプロダクトの良さ、経済的価値を理解し実感してもらえないと導入は難しい訳です。

そして営業先がエンタープライズなので、決定権のある経営陣にまで到達するのも大変です。実際、社長や幹部クラスからのサポートが得られたケースでは大きな契約をしていただいており、その扉をどのように開いていくかは我々にとって重要な課題です。

「How」ではなく「What」の思考実験

村尾祐弥:

組織の拡大とともに営業メンバーの育成も急務になっています。
現在はエンタープライズ約150社を中心に営業をするのに加え、2022年秋に新設した営業部門であるGB(General Business)の下でリストされている3000社中で反応のあるお客様に対しても営業を行っています。

当然、最終段階で私が出て行くことはありますが、例えば村尾を出す適切なポイントの判断や、ビジネスやプロダクトの見る未来に対する深い理解をした上で営業ができるよう組織能力の拡大が必要で、しっかり取り組むべき部分だと考えています。

アマテラス:

社員育成はどのように行っているのでしょうか。

村尾祐弥:

具体的なことを伝えるのは2割で、残りの8割は考え方、思考実験です。不確実な世の中に対抗できるだけの思考力を具えるために、繰り返し考えて欲しいテーマを渡して答えを出してもらったりします。私自身も同様の思考に時間を割くようにしています。理想と現実、そのギャップに対して何をするべきか、Howを伝えることではなく、Whatを考え続けてもうらことが重要だと考えています。

一方で、そのやり方にも課題はあります。
どうしてもハイレベルな抽象と具体の行き来を要求するため、メンバーのレベルによっては自己効力感が育めない環境になっていることもあるかもしれません。今までの成功体験に依拠した独自の方法論をベースにしすぎている部分があり、ここに関しては私も反省があります。メンバー全員が成長の土台であるOSを育み、その上にMagic Moment が持つ固有のスキルやコアバリューを実装してもらえるように今後メンバー育成には大きくコストを掛けていこうと考えています。

また、当社は初期、メンバー6名の時から本格的な評価体系の仕組みを導入しています。Googleやfreeeでも採用されていた仕組みを進化させたものですが、まずジョブレベルを8段階に分け、さらに各ジョブレベルで到達すべきスキルとして6項目のAttributesを定義しています。

社員に対しては、それぞれのAttributesにおいて期待していること、達成時と未達成時に起こりうる影響などを細かく解説しており、各自がこれを元に成長目標と現在の自分とのギャップを特定し、行動に反映して行くことを求めています。

〔Attributesの6項目〕
1 問題解決 – Problem Solving
2 実行力 – Execution
3 理念や考え方の主導 – Thought Leadership
4 存在感の発揮 – Presense
5 リーダーシップ – Leadership
6 カルチャーフィット – MMness

これらの発想のベースには、常に我々のコアバリューである「GO TRUE WAY」があります。これはルールとして社員を制御するための言葉ではありません。Googleでも「Don’t Be Evil」というGoogleが掲げる10の事実のうちの一つがありましたが、同じように細かなルールを設定することなく、社員がその意味を読み取り、自ら責任ある行動を取ることを求めるものです。
そのためにも、Howで表面的な結果を追うような行動を評価しない姿勢を貫こうと考えています。これは全社で絶対にぶらさないようにしたい。KPI主義は、KPIハッカーを生んでしまうからです。

社内イベント「2022 Year end Party」時の画像

「人×テクノロジー×オペレーション×インサイト」で最大値を出す

アマテラス:

将来のお話も伺います。村尾さんが考えるMagic Moment社の今後のビジョンについてお聞かせいただけますか?

村尾祐弥:

Googleでの経験から、テクノロジーで世界が激変する可能性、テクノロジーがテクノロジーでなくなる未来を考えることがあります。

例えば皆が使っているAndroidやiPhoneは、本当はすごいテクノロジーの集合体なのに、そうとは認識されなくなる程身近な存在になりました。最近話題のChatGPTなども生活に溶け込みつつあります。私たちにもPlaybookというテクノロジーがありますが、社会実装されて世の中の多くの人たちが使えるようになり、テクノロジーと認識されなくなる未来を想像したりします。

また、逆に、もうテクノロジーと呼べるものじゃなく、廃れてしまうという時間軸が超速で訪れる可能性にも常に配慮しています。実際、少なくないSaaSは、ChatGPTの出現で無力化・無効化していることも事実です。

コロナ禍を含めこういう時代に生きている時分として色々考えたとき、最終的に人間は「結果」を買うのだというところに行き着きました。ビジネスの世界では、それは「売上が上がるか、コストが下がるか」に集約されます。私は、Magic Momentをこの売上の上昇幅とコストの削減幅の足し引きだけでなく、掛け算で最も結果を出せる会社にしたいと思っています。

そのために「人×テクノロジー×オペレーション×インサイト」の掛け算で最大値を出したい、そしてその4つの価値それぞれ単体でもMagic Momentが優れているという組織にしたいと考えています。一流の営業力やコンサル力と最先端のテクノロジーが紡ぎ出すオペレーションでどこよりも結果を出せるように。

アマテラス:

そのビジョンに対し、現在の課題はどこにあるとお考えでしょうか。

村尾祐弥:

現在の私たちの事業は大きく分けて2つ、営業支援SaaS「Magic Moment Playbook」と、導入先でPlaybookを一緒に使いながら顧客の営業をサポートするCS BPOがあります。これらをマネジメントし、課題解決しながらエンタープライズで結果を出すためには、素晴らしいメンバーに数多く参画してもらうことが喫緊の課題です。

今後、私たちが目標とするのは世界で最も大きな総合オペレーション企業とBtoBテックカンパニー。目指す相手が大きい分、作りたい価値もとんでもなく大きい。こういう大きな目標を受け止めて一緒に取り組んでくれる、事業責任者や幹部クラスも含めて拡充して行く必要があると考えています。

チャレンジングな道を一緒に歩んでくれる人にぜひ来て欲しい

アマテラス:

村尾さんが今後作って行きたい組織像、それから求める人物像についてお聞かせ下さい。

村尾祐弥:

やや抽象的ですが「楽しいことが先に来ない会社」にしたいです。開発が遅れてお客様に価値提供もできていないのに「開発は楽しくなくちゃ」では説得力がありません。それ以上に価値を提供することが楽しいと思える組織にしていきたいと考えています。価値提案し、価値と受け取ってもらえる。それが次のビジネスの可能性を生む。Magic Moment も価値を大きく生めるようになる。それがまわって初めて楽しいと。自らの手で何もかも変えていける可能性が生まれそれが手中にあるとき、本当に楽しいと思ってもらえる組織にしていきたいです。

求める人物像に関しては、能力やスキルではなく、とにかく「GO TRUE WAY」と私たちが目指す大きな未来に共感してくれる人だと思っています。

それと、「やり切る」ことができる人材が良いです。
私は人を判断するときに、やはりその人のベストを尽くした状態を見てから判断したい思っており、そのために期待値を明文化し、ギャップの洗い出しを行い、1on1で話しています。
ベストを尽くせない、もしくはベストを尽くした結果、このギャップがどうしても埋まらず退職を選ぶのであれば、それは本人にとっても会社にとっても良い選択だと信じられます。なので、現在の環境においては、離職率の高低だったり在職期間の長短を論じることにはさほど意味を感じていません。

アマテラス:

このタイミングでMagic Moment社に参画する魅力や、ここで働くやりがいなどを教えてください。

村尾祐弥:

現在はシリーズBですが、事業としてはまだまだ課題山積です。社員は100名で多く見えますが、実際にはCS BPOのメンバーが3分の1ほどおり、SaaS事業自体は50人少々でやっている会社だとお考え下さい。
一から作り上げて行くこと、そして大きいマーケットに自分たちの価値をぶつけて試すことができる楽しみがまだまだある段階です。

この業界は外資企業が圧倒的存在感があり、日本企業はほとんど影響力がない状態でここまで来ましたが、個人的にはHowの売り方をしている大手テックカンパニーに対して、私たちの徹底した価値提案をぶつけまくる切り口はチャンスがあると思っています。と言うより、その方法でしか、結局本質的に勝てないと考えています。

ビッグジャイアントを目標に戦っていくのは相当大変な挑戦ですが、人生一度きりですから私は挑み続ける道を選びたい。仮想敵も、作りたい価値も、そして目の前にある課題の規模も大きい方が楽しいのです。そんな話に「そうですね!」と言ってくれる人がいたら、是非ご一緒したい!と思います。

アマテラス:

本日は大変貴重なお話を伺うことができました。ありがとうございました。

この記事を書いた人

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片山 真紀

慶応義塾大学経済学部出身。 新卒で大手通信会社にて営業およびシステムエンジニアとして衆議院、JICAや日本・海外の大学などでシステム構築を担当。 家族の海外赴任帯同と子育て期間を経て、アメリカのITコンサルティング会社で知的財産の専門家向け判例データベースのアナリストとしてデータ収集・分析等に従事。 2017年10月からライターとしてアマテラスに参画、60人以上のCEOや転職者インタビュー記事を執筆。

株式会社Magic Moment

株式会社Magic Moment
https://www.magicmoment.jp/

設立
2017年03月
社員数
105名

《 Mission 》
すべての顧客が、顧客との関係性を根拠にした正しい経営判断ができる世界を作る
《 事業分野 》
SaaS・webサービス
《 事業内容 》
Magic Moment Playbook、Insight Boardの企画・運営・販売
Revenue Ops事業
データ分析によるインサイト提供事業