CEO INTERVIEWS

起業家インタビュー

Vol.56
2016年09月27日
株式会社ZMP | 代表取締役社長  谷口 恒 氏

株式会社ZMP
代表取締役社長 谷口 恒 氏

ZMP谷口社長が求める『人工知能・自動運転分野の人材』とは 〜楽になることと楽しさを両立するロボットを創る〜
【2016年6月アマテラスセミナー】

はじめに

"今後、人工知能・自動運転分野はどのような発展をとげるのか?"
"人工知能・自動運転分野に求められる人材とは?"
"人工知能・自動運転分野で働く人材のキャリアパスはどうなるのか?"
話題になっている人工知能や自動運転に関心はあるが、上記のような疑問を持っている方は多いと思います。今回のセミナーでは人工知能・自動運転分野の最先端をいく㈱ZMP谷口社長からお話しを伺うと共に、こうした疑問にも答えて頂きました。

株式会社ZMP
代表取締役社長 谷口 恒 氏
(たにぐち ひさし)

【経営者略歴】
制御機器メーカでアンチロックブレーキシステム開発に携わる。その後、商社で技術営業、ネットコンテンツ会社の起業などを経て、2001年にZMPを創業。家庭向け二足歩行ロボットや音楽ロボット開発・販売を手掛け、08年から自動車分野へ進出。メーカや研究機関向けに自律走行車両の提供を行う。現在、ロボットタクシー、物流支援ロボットキャリロ、ドローンなど、様々な分野へのロボット技術の展開”Robot of Everything”戦略を進めている。16年より東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程に在籍。

  • MISSION

    Robot of Everything 人が運転するあらゆる機械を自動化し、安全で楽しく便利なライフスタイルを創造します。

  • 事業分野

    AI・ロボティクス・VR

  • 事業内容

    自動運転技術等

  • 設立

    2001年1月

  • 企業URL

    http://www.zmp.co.jp/

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起業家紹介

谷口 恒 氏

人型ロボット研究が始まり

谷口:こんばんは。谷口です。会社はもう16年目になりました。もともとは文部科学省の研究機関が人型ロボットの研究を行っていて、それを技術移転という形で、1人で会社を起業しました。

ソニーが当時AIBOというペット型ロボットをやっていたので、人型ロボットで1番乗りしようと人型ロボットを2004年に家庭向けに発売し、2007年には家庭向けに音楽ロボットを発売しました。この時に家の中を自動で動く自律移動技術・自動運転の開発をしたのですが、この技術は凄いと思い、ずっと自律移動をやってきました。そして、自律移動の応用先として車からスタートしました。

「どうして人型ロボットから車という発想に事業転換出来たのですか」とよく訊かれます。
人型ロボットで1番大変なところは2足歩行で歩くことです。今なお難しく、現在の技術では3~4才児のレベルに達していないのでは…。また、手でドアノブを開けて入るといったこともかなり大変です。しかし、それ以外を見ると非常に応用が利きます。具体的には、目と頭脳です。人間は目で見たものをいろいろ判断しますよね。同様に障害物があれば障害物と認識して、これを避ける判断をします。
現在はロボットカーで注目を集めていますが、ロボットカー以外にも自動運転、自律移動の技術を他の分野で活かそうしているのがZMPの面白さです。

アマテラスセミナー2016年6月の様子。写真左上が谷口社長

ソフトとハードを組み合わせて競争力を保つ

谷口:日本にソフトウェア会社は多いですが、ソフトだけだと、プラットフォームが変わると一からやり直さなくてはなりません。例えば、ゲーム機のソフトを作りました。そして、ゲーム会社と契約をして成功すると思います。でも、プラットフォームが変わると途端に落ち込んだりする。
このように「ソフトだけでは足りない」と思って、私は半導体と組んでやっています。目のセンサーはソニーと資本提携しました。また、画像プロセッサをやっている企業と組んでロボビジョンというコアモジュールを作りました。自動運転はパソコンを用いるので、頭脳はIntelと資本提携をしてIZACという製品を作りました。このようにZMPはソフトとハードを最適化して競争力を保ち続けています。

ZMPが求める人材とは…

谷口:人材が今回のセミナーテーマということで、ZMPに合う人を考えてみました。

1つ目は、新しいもの好きな人です。誰もやったことないことにチャレンジしたい人。こんな人にはぴったりです。私自身、人は好奇心が全てだと思っています。「一度しかない人生をチャレンジしたい」と考えている人が合っていると思います。

2つ目は、人の数倍のスピードで成長したい、こんな人はZMPに合います。私はいつも思うんです。頑張ればすぐに追いついて追い越せると。高校・大学とサボっていたので、社会人になってからびっくりしました。「あ、こんなに差がついたな」と。だから社会人になってから、取り返そうと思ってすごく勉強しました。
うちに転職してきた社員は大企業出身者がほとんどです。一番仕事ができる人は、前の会社で7年分の仕事を1年でやっています。成長スピードは7倍です。他の方も成長スピードが4~5倍と言いますね。大企業の場合、ドキュメントが多く、意思決定が遅いですから。

もう1つ、これが結構大事です。大企業からベンチャーに行くと、仕事がきつくなって「前の会社が良かった」と思うことがあります。そんな時でも、困難に負けない勇気を持てる人が向いていると思います。自分のマインドセット、マインドチェンジが出来るような人が、長く勤めて成果があがると思っています。

身の回りを観察し、解決のために行動する

谷口:先程ソフトウェアも重要ですが、ハードウェアプラットフォームもちゃんと抑えないといけないということをお話ししました。皆さん、「ものづくり」という言葉を聞きますよね?日本はものづくりの国だと。しかし、「ものづくり」という言葉をちゃんと理解しないといけない。日本しか作れない部品・金型、これも大事です。これを否定するわけではなく、それだけが「ものづくり」ではありませんということです。これからのものづくりは、ハードにサービスを合わせたものであると思います。

ハードとサービスを合わせてもっと世の中にインパクトを与えたい人が、社会を問題解決すると思っています。大学生や20歳台の人でも「世の中に役に立つことがしたい」「社会をひっくり返すようなことをしたい」と思うことがあると思います。素直にそう思えて行動できることも大事ですが、私の場合、経験を重ねて、身の回りを観察してそれから解決のために行動します。私のビジネスは全てそうです。私が身近に感じて「まずいな、こりゃいかんな」と思ったことに対して、問題解決して、企画を考えて、足りない技術を外から提携パートナーシップをして、資金も投入してエンジニアもアサインして、という形でZMPの製品やビジネスは生まれています。

故郷で得た「交通弱者を交通楽者に」という気付き

谷口:それを実行した3つのケースがあります。
1つはロボットタクシーです。3年半ぐらい前、私が実家に帰省した時のことです。実家は兵庫県の姫路駅から電車で16分程のところです。親が倒れて迎えにこられないのでタクシーを呼ぼうとしたら、「15分かかります」と言われました。歩いて24分の距離なので、微妙です。タクシーを15分待って、乗って10分近く。同じくらいの時間なので迷いましたが、汗だくで帰るのもどうかと思い、タクシーを呼びました。その不便さに気づいて「あー、田舎は不便だな」と。詳しく聞いてみると、姫路駅の近くなのに周辺のタクシー会社が廃業し、全然タクシーがいませんでした。実家の近所の人に聞いても「もう不便ですよ」と。路線バスは、以前は300~500mの距離に停留所があったのですが、現在は2~3km行かないと乗れません。また、その頻度も1時間に1本程度。
だから皆さん自家用車に乗っています。80歳でも90歳も当たり前です。アクセルとブレーキ踏み違えるなんてしょっちゅうです。ニュースになっているのは、たまたまコンビニで起こったまでです。家の樋やシャッター、車庫とかぼこぼこです。そういう実態を見て、「これはいかん」と思いました。それまでは「おもしろい。自動運転はいつか来るだろう」と自動運転の技術開発をやっていましたが、実家に帰って「自動運転ってこういう人たちが、田舎の人たちが必要なんだ」ということに気づいたわけです。これは大きな変化でした。

2013年、安倍総理が「自動運転をやります」と言いました。なぜ自動運転を政策に入れたかというと、Googleが自動運転を発表し、政府が「車もITみたいにやられてしまうのでは…」と危惧したからです。「日本の基幹産業がやられてしまう。負けじと自動運転の開発をしましょう」というのが動機です。その時、私も経産相に呼ばれましたが、別にGoogleと対抗したわけではなく、「自動運転は将来くるよね」という気持ちでロボットをやっていましたし、自動車会社にどんどん売れて増収増益で「ビジネスが上手くいって良かった」と思ってもいました。

最近のイギリスのアンケートでも「自動運転は必要ですか?」という質問に7割の人は「いらない」と答えています。「自分の愛車もあるし、ドライブが楽しい」とか「機械に任せるのが不安」という声が大半です。つまり、「自分で運転できるから将来あったらいいな」というのが2012~13年頃でした。自動車会社も、自動運転は今の延長線上で、安全のために自動運転を付加価値として考えていました。私もそのように考えていましたが、実家でのタクシーの体験をしてから考え方が変わりました。
交通弱者は今すぐにでも欲しい。父親は寝たきりで、母親はそれを介護している状況なので、親父が生きている間に作ってやろうかというのが動機です。本当に必要な人は作ってあげればすぐ使いたい。それからは『交通弱者を交通楽者にしていこう』というキャッチフレーズで国に働きかけました。

自らの実体験から「自動運転の必要性を再認識した」と語る谷口社長(左)

2020年オリンピック時ロボットタクシー実現に向け、国を動かす

谷口:1番まずかったのは、政府がオリンピック時の自動運転目標をレベル3に設定しました。これでは私がやりたい自動運転ができない。それで周囲に「レベル3というのは超高度な運転支援です。レベル3はいろんな運転レベルの人に合わせて支援していかないといけない。下手にやりすぎるとお節介で、責任の切り分けの問題がレベル3で起きる。それに比べてレベル4は楽です。ドライバーを見る必要なく、外だけ見てればいい」とロジックで話したら、皆さん納得してくれました。当時、国は「4は難しい」と言って、その目標を2035年にしていました。「違う」と言える人が私以外にはおらず、これをマスコミ等で言い続けていたら、小泉進次郎さんが「話を聞きたい」と。「レベル4をやりたい」「ロボットタクシーを地方創生でやります」と小泉さんに言ったら、「おもしろいですね、応援しましょう」と言って下さった。小泉さんは有言実行で、政務官の組織改変のぎりぎりで「政府はレベル4を目指します」と発表してくれました。
去年の11月5日の官民対話で、私は安倍総理大臣にレベル4のことを言いました。すると、一気に計画が変わりました。国家プロジェクトである2020年オリンピックでの目標がレベル3からレベル4に変わり、法案も通って2017年11月5日までにレベル4の環境を整えるという話になりました。

【表:自動化レベル ※日経ビジネスより引用】

谷口:想いがあれば、この国が動くのです。自動運転2020年にロボットタクシーをやろうとすると、レベル4を国に認めてもらわないといけない。去年の5月まではレベル3でした。それがたった6ヶ月間でレベル4に変わりました。いろんな人が応援してくれました。官僚から何から「このままではまずいよね」と。情熱を持ってすれば、大袈裟ですが、国をも動かす。やりたいことが成し遂げられるのです。

去年5月にはロボットタクシー株式会社を立上げて、プロモーションビデオ作制に取り掛かりました。とんとん拍子で進んで、今年の3~4月に日本初、人を乗せての実証実験を行いました。今年いっぱいはドライバーシートにテストドライバーが乗っていないといけません。来年からドライバーが乗っていない状態で実験が出来るようになります。2020年のオリンピックにはロボットタクシーが走ります、確実に。
いろんな属性でテストをしました。心に残っていることは、66歳の女性が「主人の運転より安心」と言っていたことです。他にも、若い子が見ず知らずの土地に行ったりしたら「不安だから乗りたい」とか、「事故を起こしているからやっぱり運転したくない」とか言っていました。72歳の女性は「歴史的一歩に自分も関われた」。もう月に行った感じですよね。皆さんにすごく感動してもらいました。それだけ期待感があったということですね。

物流サービスを変える――物流支援ロボットCarriRo

物流支援ロボットCarriRo

谷口:自動運転技術は他にも困っている人に役立ちます。ある日、1人の作業者さんが2台の台車を押していました。観察していると、その後荷物を落としてしまいました。この光景から台車ロボットを完成させました。
単純でしょう?台車が後ろから着いてくるだけです。「1度に2倍運べます」というこの単純さが大事です。8月末からまずは日本で出荷を開始します(注:2016年6月時点。2016年8月末から出荷開始済)。しかし、これも簡単にはいきませんでした。ロボットをやっている人は「台車のロボットなんて簡単にできる」と思います。しかし、実際に2014年4月にプロトタイプを作りましたが、思ったように動きませんでした。なので、佐川急便さんとヤマト運輸さんのところで半日ぐらい観察して、働き方やワークスタイルの提案をしていこうということで台車ロボットを作っていきました。
1年前は電池の持ちが2時間で、時速3kmでした。最初はこの程度で良いと言われました。重さは50kgも運べれば大体の荷物に対応できます。これで製品化しようと思ったのですが、更にたくさんの要望が来ました。「電池は8時間持ってほしい」とか「100kgまで運んでほしい」という要望があって、それに応えたわけです。それで発売時期をずらしました。台車の大きさを変えずに8時間持たせて100kg運ぶ――難しいチャレンジでした。台車メーカと何回も挑戦して、台車が大きくなったり、バッテリが外にむき出しになったり、モータが大きくて台車ではなくなったり…。これは台車そのものでしょう?タイヤの径も大きさ、高さも通常の台車と変わらない。最終的に荷重100kg、稼働8時間まで性能を伸ばすことが出来ました。早く製品化しようという考えもあったのですが、納得する物を作ろうと思って販売を遅らせました。
今後は更にサービスとして展開していく予定です。例えば、閉店後に商品の補填・補充を残業で行う。ですが、スタッフの方、特にお母さんは子供が家で待っているから早く帰りたいわけです。台車ロボットを使えば、2時間の残業が20分ぐらいで済みます。重たい台車を引かなくてもタブレットで減っている商品をチェックしながら、その前で荷おろしができるので時間短縮ができます。
このように、台車ではなく、サービスに需要があるのです。残業を減らして欲しいとか、重労働を軽くして欲しいということが、ユーザーの想いです。
また、凸版印刷とSAPと組んで、荷おろしした時にRFIDや読み取り機で在庫管理までしてWi-Fiで飛ばすサービスを開発中です。これはIoTの塊です。これまで10人でやっていたところを7人で済むとした時、差額の人件費よりもこのサービスの方が安い。このように製品ではなく、サービスに対して月々支払うビジネスを確立します。

輸送手段がないところでこそドローンによるイノベーションが起こる

谷口:もう1つ。去年の夏にエアロセンスという会社を作りました。国産のドローンによるサービスを売るビジネスモデルです。ドローン自体が欲しいのではなく、ドローンがやってくれる仕事にニーズがあると考え、これもサービスに変えました。ですので、ドローンは売っていません。

エアロセンスのドローンの特徴は離着陸から運ぶまで全自動というところです。離着陸を手動でやるところは多いのですが、うちのドローンは全自動です。帰ってきてデータもクラウドでバッチ処理をして、データ処理までも全部自動で行います。例えば、工事現場の上を撮影して、2次元・3次元化します。それを定期的にタイムラプスにあげて進捗をクリックすれば、工事の進捗管理が出来ます。「この辺が効率悪いか?」とか「遅れているか?」とかを簡単に判断出来ます。鉄筋の数をごまかす事件が起きましたよね?セメントを流したらもう分からないという、これが1番の問題です。セメントを流し込む前にちゃんとデータでとって、図面と照合することで事前に防げます。この作業を人力でやる場合、杭に乗って三脚立てて測量します。90ヘクタールで6週間程度かかります。しかし、これをドローンでやると準備も入れて2週間で行うことが出来ます。

また、新規開発中のドローン(VTOL:垂直離着陸型の固定翼機)があります。このドローンの特徴は垂直離着陸動作です。垂直で飛ぶので滑走路が必要ありません。また、他のドローンに比べると重たい荷物を多く運べます。実際に垂直に飛んで荷物を運ぶ姿は、本当に感動します。何で感動するかというと、失敗しまくったからです。1回落ちると100〜200万円が飛びます。そして、また作らないといけないから2、3週間待ちます。失敗を重ねる分、上手く飛んだ時の嬉しさはひとしおです。

うちの製品は全部プロダクトアウトです。その時点で市場がなくても、とにかく作ってみようというスタイルです。そんなこんなで作っていると、私は「薬を運ぶのに良い」と思いました。最初は「重たいものは運べないですし、薬を運びましょう」と言っていたら、パートナーが出てきました。アルフレッサという業界2位の1.5兆円位の取扱がある会社です。ここと提携して、薬の輸送の実験を行っています。
医薬品輸送も結構大変です。色々な条件が必要になります。日本でもやりますが、今回はいきなりアフリカです。「日本では飛ばせない」と言っていたら、誰かが「アフリカで飛ばせます」と。「どこ?」と聞いたら「ザンビア」。ザンビアでやろうとしていたら、ルワンダが「うちもどうぞ」となり、結果的にルワンダで実験をすることになりました。今、ルワンダは『アフリカのシンガポール』を目指しているようです。ドローンのハブになろうと、ドローン空港、ドローン立国を作ろうとしています。
アフリカでやる1番の理由はワクチンや薬の輸送です。日本だと交通手段がいっぱいありますから「あったらいいな」程度です。ロボットタクシー同様、どうしても欲しい人はこの人たちです。道路もない、車もない。こういうところこそ、イノベーション、レボリューションが起こりやすく、一足飛びにドローンが普及すると考えています。日本の1番乗りで行こうと考えています。

エアロセンスのドローン(VTOL:垂直離着陸型の固定翼機)

大きな社会事業を横展開するZMPには機会が多くある

谷口:現時点では、ロボットタクシーや台車ロボット、ドローンが主な事業です。2020年のオリンピックに向けて、ZMPグループとして世の中にインパクトを与え、世の中の人が喜んでくれるようなものを作っていこうと思っています。

ZMPって、ちょっと不思議な会社です。ベンチャーというのは、ニッチマーケットを1点突破します。他方、ZMPは超分散です。社会事業はニッチではなく、ビッグマーケットばかりです。自動車なんて、超大手ばかり。物流も大手ばかりです。そういう社会にインパクトのあるところに入って存在感を持ちつつあります。また、これからもそのような事業は2つ3つ増えていきます。だから、ZMPに入社するとダイナミックです。
自分に合う、合わないはあると思いますが、いろんな可能性を秘めているので、自分のやりたいことが何らかの選択肢の中にあると思います。日本は成功しているモデルというと、3~5人の小さいユニットを立ち上げます。大きくならないものは縮小して、新しいものをどんどんやって。実は我々もロボットタクシー以前にたくさんやっていました。10か20のうち1つぐらいが当たっているようなものでした。ただ、最近成功する確率が上がってきました。理由は、世の中での存在感というか、いろんな関心が高まってきたので横展開をしても比較的すぐにパートナーが見つかるからです。いろんなパートナーがどんどん参加してくれるようになったので、成功率が上がってきたということです。

2020年は日本人にとって大きなチャンスです。これは私の夢ですが、ZMPに興味がある人はZMPに入って、自分で1つの夢を描き入れてもいいですし、またZMPでなくてもいいと思います。他のいろんな会社でチャレンジをしてもらえたらと思います。

以上です。ありがとうございました。

株式会社アマテラス:谷口さん、ありがとうございました。先程「選択と集中」という言葉を聞きましたけれども、実際には何戦何勝くらいでしょうか?

谷口:時期にもよりますが、数年前までは大体7~8割はなかったと思います。小さい企画ですと成功率は4~5割ですが、最近では大きな企画は念入りにリサーチをしていきますから、ほぼ外れません。だから7割ぐらいの勝率だと思います。

株式会社アマテラス:なるほど。私もベンチャー支援の仕事を約14年行っていますが、統計で言うと、日本のベンチャーは、だいたい創業して10年後に生き残る会社が1%もありません。特に、ものづくりベンチャーは参入障壁も投資コストも高いのでより生き残りが難しい。このように活躍されているのは本当にすごいと思います。

生き残りの秘訣は「正直に信頼を積み重ねること」

株式会社アマテラス:引き続き第2部ですが、こちらではまずは私から様々な質問をぶつけたいと思います。 創立16年目ですが、この厳しい世界で生き残ってこられた秘訣はありますか?

谷口:そうですね。1番はやっぱり信用だと思います。何か物を作る時に、とことんやりますから。取引をする相手に対しても売った先に対しても、作る仕入れ先にしても、誠実というとちょっと言いすぎかもしれないけれども、正直に信頼を積み重ねてきたことが秘訣かもしれません。累積した信用というものを積み重ねていくことのが大事なことだと思います。

ビジョンの下に優秀なメンバーが集まる

株式会社アマテラス:ZMPの社員の方はAIBOに関わっていた方ですとかとびきり優秀なメンバーが揃っているイメージですが、どうしてそのような優秀な方々がZMPに参画してくるのでしょうか?

谷口:ビジョンだと思います。ビジョンが惹きつけるのかなと思いますね。問題・課題を解決して社会にインパクト与えるために本気になると、よく言われるビッグピクチャーになるわけです。それはまたメディアやパブリックに対しての影響があるので、その結果だと思います。

質問者A:谷口さんにとって優秀な人材とはどのような人材でしょうか?

谷口:40歳ぐらいになるとある程度スキルやキャリアが必要ですが、まだ20代、30代前半の人は、やる気があるということが1番です。あとは学習する意欲がある人です。もう1つ言うと、前向きで明るい人。前向きではない人もいますが、それは優秀とは言えないですよね、ベクトルが違う方に向きますから。

第二部は谷口社長(右)とアマテラス代表 藤岡(左)とのセッション

人工知能・自動運転業界で得られる「ダイナミックな成果と大きな成長機会」

株式会社アマテラス:今のZMPさん、もしくは人工知能・自動運転業界でしか得られない経験ややりがい、成長とはどのようなものでしょうか?

谷口:人工知能・自動運転技術というのは手段です。技術とかハードウェアもそうですけれども、最終的なサービスはやはり今しかない。例えば、ロボットタクシーは私が3年半前に提唱しましたが、今はUBERなど様々な企業がカーシェア・ライドシェアをやっています。そのサービスが無人化になってきて、そのためには自動運転・人工知能が必要になってくる。でも、技術をいくら研究してきても応用先サービスとして人に使ってもらわないとしょうがない。そういう意味で、サービスはスピードが大事です。Appleもそうですよね。
自動運転をもっと大きく括ると車を端末とする「ITサービス」と言ってもいいと思います。ITサービスは早く広まった方が勝ち。だから、自動運転も当社がやっているロボットタクシーのアプリが早く広まるのが勝負のポイントです。そうすれば、人工知能・自動運転技術が世の中に広まり、そういうプロダクトやサービスになる機会、チャンスが得られます。これを最大に活かせるのが自動車産業です。物流も20何兆円もあります。大きな産業で自社の技術が応用されるのは素晴らしいことだと思います。そういう自社の技術が活かされ、ダイナミックな成果が得られるということ、大きな成長のチャンスが得られること、これらが1番のメリットだと思います。

質問者B:私もこの人工知能・自動運転業界においてスピードはすごく重要だと思います。一方で、このテクノロジーのスピードの勝負はグローバルで行われています。しかし、マーケットの規制によって制約を受けると思います。グローバルで見ると、日本のマーケットは決してアドバンテージがあるマーケットではないようにも思えるのですが。

谷口:去年の5月頃、日本の自動運転の目標は「オリンピックまでにレベル3」だったのですが、レベル4に舵をきりました。来年はドライバーシートに人が居なくても実験ができます。有り得ないくらいの大きな規制緩和をします。規制緩和が日本の産業が伸びなかった原因です。そんな中、世界で最も今アグレッシブに行っているわけです。かつての日本では有り得ないようなアグレッシブさで。そういう意味では日本は変わったと思います。

質問者B:日本が変わったということは分かります。例えばシリコンバレーに比べてどうですか。

谷口:シリコンバレーと比較して言うならば、シリコンバレーもそこまで改良されていません。無人運転で、ドライバーシートに人が居ないというのはまだ認められてないです。実はアメリカはそんなに改良されてないということが1つ。
また、確かに優秀な人はシリコンバレーにいっぱいいます。ただ、日本の良いところは自動車産業。我々はそういった自動車会社と組んで、安価で信頼性の高い品質の良いボディに人工知能を搭載してサービスで広げようと考えています。日本で広げたら、中国等アジアでも広げようと思っています。
UBERはアメリカではすごい。でも、日本や中国ではそうではない。シンガポールやマレーシアに行ったらグラブタクシーです。ローカルな規制や技術の問題によるものです。なので、土地にあったソフトウェアを早く作るのが一番良いです。特に中国には、アメリカの企業は進出しにくい。我々は日本と平行してアジアもやります。

株式会社アマテラス:次の質問です。ZMPさんの自動運転の業界で働くと、どのようなキャリアパスになるのでしょうか?もしくはこういった世界に飛び込んだ時のキャリア上のリスクは何かありますか?

谷口:リスクはありません。うちで働いていた人が全員合うというわけではないので、転職した人も結構います。私の知っている限りでは、退職した方は超大手企業や世界的有名企業にも行っています。かなり良い企業に行っているので、私としては有り難いです。

株式会社アマテラス:ZMPさんで関わる技術や習得できる技術は、他の大企業や研究開発部門と比べても全く遜色がないということなのでしょうか?

谷口:レベルは高いと思います。うちで提携している車は大手自動車会社の殆どに入っています。また最先端のところと共同してやってもいるので、最先端の技術が身につきます。

株式会社アマテラス:AIベンチャーや人工知能ベンチャーがたくさん出てきています。その中で成長する人工知能ベンチャーとの区別はどのようにすればいいでしょうか?

谷口:シミュレーションだけなんていくらでもできます。ディープラーニングの論文やいろんなものを見ながら、いろんなフリーのソフトウェアを組み合わせて、結果「何かできました」ということもあります。「何かできました」というアピールはもちろん重要ですが、それは手段でしかなく、結局それで「何ができるのか」だと思います。
例えば自動運転。いくらシミュレーションをしても、自動運転で道走ってちゃんと左折しないと意味がないですよね。今流行りの技術をアピールして、それはそれで会社のIRで重要だとは思いますが、私自身は社会的なサービスをしたい・プロダクトを作りたいと思ってやっているので、結果を見れば良いと思います。我々は結果でしか判断しません。

ZMPで働く魅力は「誰もやっていないことをやれる」

株式会社アマテラス:次の質問です。ZMPさんで働く魅力について、先程も伺いましたが、補足があれば谷口さんからお願いできますか?

谷口:1番は、誰もがなかなかやっていないような事をやれる事だと思います。ベンチャーに入ると、特にうちだと「こんなのやりたい」と言ったら若い人でもリーダーになります。新卒でリーダーをやっている人もいます。自分がやりたいと思えば、大きな仕事でメインを張ることも出来るし、その一部でリーダーをやることも出来ます。
GoogleやAppleのように最初にやると先行の利で自分のアイデア次第でどんどん横展開出来ます。イノベーションでなく、レボリューションが起こせるというのがZMPの1番のおもしろさだと思います。
私はレボリューションが好きです。イノベーションは、改良に近いですよね。

質問者B:今年の3月頃Googleのセルフドライビングカーの主任のプレゼンテーションがあり、その時に「今Googleをもってしても自動運転車を作る上での最大の課題が、周りの環境を認識すること」と聞きました。ZMPさんがロボット化する上で、今最も難しい課題、直面している課題はどんなものですか?

谷口:ロボットだけでなく、認識や認知は情報が正確でないと判断できません。判断はいいインプット、データが入れば意外と出来ます。ただ周りの認知にはまだまだ課題があります。100%出来ることは無い。人間でも100%というのは無い。でも、機械になると100%に近いところを求められます。100%を基準にすると、まだ見落としてしまうところがあります。
でも、私が大きく彼らと違うところはゴール設定です。2020年オリンピックで走らせるという目標です。お台場と幕張、この2つのエリアの道をとにかく確実に走れるようにして、更にそこでお金を得られるようなビジネスモデルを作ります。気をつけることは範囲を狭めること。全ての道でやろうとするとダメです。技術ではなくアプリとして皆さんに使っていただいて、お金を払ってもらって、ある一定のお客さんを抱えます。更にまた技術は進歩していきますから、その勢いで更に改良していく。
2020年7月に人を運ぶので、19年前半で仕様はフィックスします。そこで出来ることしかやりません。日本人の苦手な引き算方式です。いろんなところを100%やったら、あと10年かかってしまう。でも、用途や範囲、そしてユーザーも限定する。限定して1つの成功モデルを作って、一気に突き進むということが大切だと思います。

質問者B:サービスではDeNA側がリードしてやっていると私は聞きました。コア技術をどこまで握るのか、プラットフォームはどこが握るのか、どのような住み分けをしているのですか?

谷口:自動車会社は、多くは外部技術を採用しようというスタンスです。例えば、自動車会社はセンサーをブラックボックスで買ってきている。買ってきたものを最終的に仕立て上げるのが自動車会社で、我々の技術が先行していたら最終的にはあちらが買うと思います。
そもそも競合もしていません。自動車会社は運転者がお客さんですが、私たちのロボットタクシーサービスは乗客。つまり、車を運転しない人がお客さんです。
現在ロボットタクシーのサービスをDeNAさんと開発していますが、サービス自体はまだ殆ど出来ていません。配車でいうと完全に遅れています。配車ではUBER等の企業が先行してサービス提供していますが、うちとしても今後海外と組むことも検討して良いと考えています。

質問者B:リードするのに1番の強みは何ですか?

谷口:リードできる1番の強みは、車両とハードウェアと自動運転技術を持っていること。持っていないところもあるわけですよ。今現時点でいうと、自動運転タクシーは普及していない。でも、タクシー配車は普及しています。タクシー会社、配車会社としては自動運転をしているところと組みたい。で、そこと組むとどうなるか、ということです。
また、車は配車だけでなく、メンテナンスや診断もしなければいけません。ハードウェアの運用や管理がインターネットに繋がるところ、そこを強みにします。
我々で言うならば、ハードウェアを持っていて自動運転技術を持っていましたが、これらがサービスと繋がることによって必要な技術が生まれてくるのです。

株式会社アマテラス:これをもって第2部は終わります。谷口さん、本日はありがとうございました。

edited by 河西あすか

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