上場して変わること・変わらないこと

株式会社オークファン代表取締役 武永修一氏

株式会社オークファンは2013年4月、東証マザーズに上場しました。

武永社長とはこれが2回目のインタビューになります。
1回目は2013年の春。上場を控えた多忙かつデリケートなタイミングでのインタビューでした。

今回のインタビューではマザーズに上場して間もないベンチャー経営者、武永社長が何を考え、どのような課題を感じているのかに迫りました。

上場前と上場後、オークファンというベンチャー企業は何が変わったのか、変わらないのか、そのような視点で読んでいただくと興味深い対談です。ぜひお楽しみください。

武永修一氏

代表取締役
武永修一氏

1978年 兵庫県神戸市生まれ。生後すぐ千葉県柏市へ
1997年 山口県立宇部高等学校卒業。京都大学法学部に入学
2000年 在学中に、個人事業としてオークション事業を開始
2004年 株式会社デファクトスタンダードを設立。代表取締役に就任
2007年 株式会社オークファンを新設分割。代表取締役に就任(現任)
2013年 株式会社オークファンが東京証券取引所マザーズ市場上場

 株式会社オークファン

株式会社オークファン
https://aucfan.co.jp/

設立
2007年06月
社員数
120名(2017年9月末時点 ※連結)

《 Mission 》
Trade is NO BORDER!!
《 事業分野 》
WEB・アプリ
《 事業内容 》
ネットショッピング・オークション等の情報・価格検索や分析サービス行うサイト運営 商品および価格情報の保有数 約300億件以上 月間訪問者数 1,000万人以上(2014年8月時) 運営メディア ネットショッピング・オークションの相場・統計・価格比較メディア「aucfan.com」  プロが使う相場検索・データ分析ツール「aucfan pro」  フリーマーケットの全国開催情報 「フリーマーケット楽市楽座」 他

オムニチャネル在庫流動化プラットフォームを目指す。

アマテラス:

2回目のインタビューになりますがよろしくお願いします。 その後上場され、会社を取り巻く環境も変わったと思いますので、そのあたりも含め改めてお話をお伺いさせてください。 さて、現在のオークファンさんの事業内容や力を入れている部分について改めて教えていただけますか?

株式会社オークファン 代表取締役 武永修一氏(以下敬称略):

事業内容としましては、『オークファン』( http://aucfan.com/ )というメディアを運営していまして、現在月間約1,000万人以上の方にお使い頂いております。1年前に比べるとユーザー数が倍近くに増加しています。
事業内容は前回対談した時(2013年春頃)と大きくは変わっていません。ただ、個人のビギナーユーザーの利用が増えていて、以前からのコアな売り手向けのサイトから、一般的な買い手ユーザーがメインになってきています。

例えば、ネットで売買や転売をやったことがない、インターネットでモノを買った経験しかない、もしくは買った事もない、という方も当社のサイトに結構来て頂いています。我々はヤフーさん、楽天さん等主要マーケットプレイスと提携しているので、他のサイトさんから「相場って何だろう」ということでアクセスしてくる初心者ユーザーも非常に増えています。

アマテラス:

初めてオークファンさんを利用するユーザーの典型的行動は、ヤフオクなどネットで売り買いする時に価格相場がわからないので、事前にオークファンのサイトで商品の落札相場を調べて実際にネットで売買するということでしょうか?

武永修一:

そうですね。あとは、インターネットで商品名を検索すると、オークファンのサイトが上位に表示されるので、「このサイトは何だろう?」ということでアクセスしてきている流れもあります。

アマテラス:

御社の売上の柱は?

武永修一:

売上は、オークファンメディアのユーザーに対する有料課金が約60%、アフィリエイト広告+検索連動広告が約25%、あとは小売りさんやメーカーさんを中心に事業者(Business)向けのデータを使ったマーケティング支援などを行っていて、これが約15%でトータルで100%です。

その中でもメディアの広告売上が好調で、当社のサイトを通じて、楽天さんやヤフーさん、Amazonさんにアクセスしてモノを買うという流れが増えています。

アマテラス:

売上の約60%を占めるメディアユーザーに対する有料課金サービスについて教えていただけますか?

武永修一:

月額513円(税込)で利用できるオークファンプレミアムというサービスで、オークションをより快適に活用するための情報サービスです。過去の商品落札相場の提供や、仕入れ情報、オークションで儲けるためのノウハウなどのレポートなどを提供しています。現在約6万人(社)を超えるお客様が利用いただいています。お客様のニーズに応じて追加のオプションプランも提供しています。

一般会員様向けに無料の情報サービスも提供しているのですが、より本格的に取り組みたいという意欲の高い方には有料のプレミアム会員をお勧めしています。より便利に売り買いができますので何度か使っていただくうちにご入会につながっているケースが多いです。
コンテンツが日本語なので、今のところはほとんど国内を対象としていますが、香港や台湾、中国やアメリカなど海外からのユーザーもいます。

アマテラス:

事業者(Business)向けマーケティング支援についても教えていただけますか?

武永修一:

小売さんやメーカーさん向けに対するマーケティング、例えば、商品の売れ行きのリサーチを行っています。彼らのPOSを預かって当社の持っているインターネットのデータと比較分析をして、何がどれぐらいの価格で売れそうかというようなマーケティングリサーチを行っています。

リアルの小売市場は150兆円あって、今、EC市場が約14兆円と言われています。ECは小売り全体の約10%です。
まだ小売の大部分はリアルな取引ですが、ここに関わっている人達が成長市場のECに関心を持ちオークファンのお客さんになってくれています。ECに進出したい、競合企業との価格差を知りたい、もしくは、新品だけ販売していたけど中古も扱いたいなど、いろんな分野で当社のリサーチ能力に対してのニーズが高まってきています。今後はこの事業者(B)向けマーケティング支援をより一層強化していきたいなと思っています。

アマテラス:

フリーマーケット事業にも力をいれているようですが、ここはまだまだ始めたばかりのところでしょうか?

武永修一:

フリーマーケット事業 楽市楽座(http://www.rakuichi-rakuza.jp/)は単体では考えていなくて、事業全体として意図があって取り組んでいます。

下図がわかりやすいと思いますが、オムニチャネル(店舗やイベント、ネットやモバイルなど、あらゆるチャネルで商品を購入できる環境)で商品の流動化をしたいと思っています。一見バラバラに見える、フリーマーケット事業や仕入れ事業がありますが、これは何をやっているかというと、オンライン・オフラインを全部含めた企業の在庫の流動化プラットフォームです。

人とモノが動いていくということに対して、元々オークファンとしては、それを『情報』という観点で促進してきました。

一方で、この『場』を活用することによって、例えば、お客様がどこかでいっぱい買ってきてしまったものをここで売って他の人がそれを仕入れてネットで売るという、いわゆる在庫の融通ができたり、あとは企業が余った在庫を催事系のイベントでオークファンのユーザーに売ったりできる。企業だけでなく個人も、不要品など売れる商品をたくさん持っていますので、この在庫に着目しました。

人とモノを集めてモノを循環させるというところを我々は意識しているのですが、今リアルとネットはスピーディに融合に向かっています。

アマテラス:

1年半前にインタビューさせていただいたときはリアルとネットの融合というのは今ほど意識されていなかったように思います。

武永修一:

やはりリアルの動員力ってすごくて、そのリアルな場でいろんなモノが売れていくというところにかなり可能性を感じています。

我々がデータ重視で、かつ、価格情報によってユーザーを支援したいというコアは全然変わっていませんが、ターゲットが企業向けから個人向けに徐々に広がってきている感じです。

私がよく使うフレーズで、オークファンはずっと“業者サイト”だったのですがユーザーからの支持がジワーっと大きくなってきています。

例えばメーカーさんや小売さんが「今売上が●●億円くらいあるけど、商品の販売価格や在庫についてデータ調査をしっかりしたい」という風にニーズが高まってオークファンユーザーになっていただくというのが第1ステップ。

「今度この商品をどこどこに卸したい」とか「この商品をどうやって売っていいかわからないからフリーマーケットで売ってお客さんの反応を知りたい」という風に、モノと人がインタラクティブになるような仕掛けを作っていくためにさらにオークファンを活用するというのが第2ステップです。
この第2ステップを今期強化していきたいと思っています。

上場までは一点突破。上場後はコア事業をベースに横展開。

アマテラス:

6期連続で増収増益のトレンドですがそれが実現できている要因は何でしょうか?

武永修一:

事象からいくと、オークファンというサイトのユーザーが順調に拡大してきたこと、昔は月100万人くらいだったのが、今は月1,000万人以上になっています。メディアの規模拡大に尽きるかと思います。
それを可能にした要因としては、一点突破・全面展開という戦略を強く意識してきました。上場までは一点突破でコア事業以外に手を拡げずに、課金サービスいわゆる売り手の方々に対しての手厚いサービスに特化する。
「物販やりませんか?」とか「金融系の比較サイトやりませんか?」といった事業拡大のアイデアが社内外から出てきたことはありました。
けれども、まずは一点に集中して、一定のシェアを取ったら今度は横に伸びていくということを頑なにやってきたので、それが功を奏したのかなと思います。

アマテラス:

上場後に事業の横展開を始めた?

武永修一:

そうですね。しかし、やはりコアを忘れてしまうと何の会社かわからなくなってしまう。あくまでも立脚するのは『オークファン』というネットの商品比較・価格検索や分析サービスメディアに足元に置きながら、そこに対するニーズが多様化してきているので、大きな規模になりそうなものに対しては人材を当てていくということをやっています。

アマテラス:

EC市場拡大という環境要因の追い風はいつ頃まで続きそうでしょうか?

武永修一:

EC市場は成長しており非常に恵まれたと思います。我々が立脚するのは EC市場を含む小売市場ですよね、それから二次流通。共にぐんぐん順調に拡大してきました。

今、日本のEC市場はやっと小売全体の10%に近づいていますが、イギリスは20%を超えていますし、韓国も15%と言われています。日本よりも多いんですよね。
まだまだリアルの比率が大きいので、そういう意味ではすごく可能性があります。
当面は追い風が続くと思います。多分30%ぐらいまでは行くだろうと業界の人は読んでいます。

とは言え、全ての物をECで買うというのはありえない。服も試着しないと買わないとか、ご飯も試食してから食材を買おうという消費者が必ずいます。

ただ現状のEC化率の3倍ぐらい(30%)までは成長すると思います。では残り70%はまったくネットと関係ないかというと、おそらく融合してくると思うんです。

例えば、スーパーに行ってタブレットやスマホで決済したら商品がそのまま家に配送されるとか。それってECなの?リアルなの?と。また、家で誰かのコンサートに行きたいと思いネット決済した後、今度はスマホを持ってコンサート会場に行ってピッと通過できれば、それは決済はネットで行っているけどリアルに行ってるよねと。
いわゆるオムニチャネル化ですよね。ユーザーのデバイスによって自由自在になる。

こういう感じでいくと、ECはどんどん生活に溶け込んでいくと思うので、決して30%に留まらないと思っています。ジワーっとインターネットの世界がリアルな生活に溶け込んで行くんじゃないかなと。

上場して変わったこと、変わらないこと。

アマテラス:

上場して一年くらい経過しますが、上場して変わったことは何ですか?

武永修一:

やはり一番大きいことは信用面と資金面です。基本的にその2点が大きいと思っています。

明らかに変わったのはまず信用です。
やはりベンチャーというのは、取引先からしても、ユーザーからしても、「この会社大丈夫?」「すぐ飛んじゃうんじゃないの?」「個人情報とか杜撰なんじゃないか?」みたいな、何かと不安なイメージがあると思うのですが、上場したということはそれなりの審査を通過している安心感はあります。
車の免許と一緒ですよね。免許持ってない人が運転したらそもそも恐い、一緒に誰も乗りたくないですよね。そういう意味では非常に良かったなと。

アマテラス:

具体的に信用力が付いたと感じるのはどういう状況ですか?

武永修一:

そうですね。ナショナルクライアントさんなど誰もが知っている大手さんからの依頼が増えました。そのような大手企業さんとの取引で成功事例を作った後に、今度はこちらからプッシュ型で他のメーカーさんや小売店さんに当たっていくことができるようになった。上場前にはこのようなことは出来なかったことですね。

オークファンユーザーにとっては、信用力がじわじわとプラスになっているかと思います。今当社に来ている月間1000万人の方に「上場したのですがどうですか?」と聞くことはできないのでわからないですけども。ただ、SNSなどをみていると「上場したから大丈夫だろう」といったコメントが結構書き込まれていて、ユーザーへの良い効果に繋がっていると思います。

アマテラス:

上場して資金的な部分での変化はどうですか? 株式会社リアルワールドとの資本提携もされましたね。

武永修一:

資金面というのは、M&Aも含みますが、メインは内部での投資ですね。設備を増強したり、人材採用を強化したり、あとは社員への教育投資を増強していきます。
上場の時点で手持ちの資金が3倍くらいになりましたので、これは非常に有利だと思います。今、借入もないですし、自己資本率が95%以上あります。「もっとレバレッジをかけろ」という声もありますが(苦笑)。

上場して便利だと思ったことは資金調達手段が多様化することです。お金を集めやすくなると同時に、お金を適切に使いやすくもなる訳です。
それもあってか投資やM&Aの提案もたくさん来ています。全然違う業界からだったり、オークファンの事業と関係ない案件もたくさん来ます。例えば、利益が十分出ているけどオーナーさんが引退したくて会社を買ってほしい、というような話まで。中にはオークファンが買えば利益を倍に出来るかもしれないと思う案件もあったりします。

ただ、やはり我々からすると、創業以来のビジョン、そして本業が最重要と考えています。M&Aをすることによって本業を加速させるような会社様であれば資本業務提携によってより深いお付き合いをするというのは重視していますね。

そのような考えをもっているのでたくさんのお話をいただいていますが、資本提携やM&Aが実現するのは極めて少数です。
成功事例が出たのは、業務資本提携をした株式会社リアルワールドさんです。我々のデータマイニングのサポートを彼らにお願いしているのですが、資本提携して半年後にリアルワールドさんがマザーズに上場しました。そこで利益が出たからどうということではなく、事業シナジーで互いを高めることができた成功事例を他にもどんどん繋げていきたいなと思っています。

アマテラス:

上場して採用面や社員のマインドにどのような変化がありましたか?

武永修一:

上場するまでの2年ぐらいは人材採用にそこまで力をいれていませんでした。まずは社内を向いて、今いるメンバーの生産性をもっと上げていこうと考えていました。社員数はじわじわと増えていますが、人材採用を積極的に取組むのはこれからですので上場による採用効果は未知数ですね。
元々いた社員からは、上場後の方がむしろ仕事がやりやすいという声が多いです。
というのは、上場前は上場審査にすべてを集中していますから、新規事業もやりづらいとか、人も採用しにくいとか。コンプライアンスも大変なので、どうしても気持ち的に保守的になっていました。
あとは、上場できるかどうかというプレッシャーもすごい訳ですよ。「ここまでやって上場できなかったらどうするんだろう」と。僕が一番プレッシャーありましたけど(笑)、社員もヤキモキしていたんです。

上場したら、それを通過点として、事業をどんどん伸ばそうというステージになるので、むしろ思考を逆転させました。ギアチェンジというか、リソースはたっぷりあるのでどう伸ばしていくかという風に変わりました。だから逆に上場してベンチャーっぽくなったと思いますね。

アマテラス:

個人的には上場後に保守的になっていく会社が多いと感じていますがオークファンさんはそれとは逆なのですね。

武永修一:

上場前はいわゆる一点突破で、本業以外の新規事業などは全部先送りにしてた苦い思いもあります。上場してようやくアイデアとして眠っていたものにチャレンジできるようになったので、上場できて良かったと思います。

アマテラス:

武永さんご自身は上場して変化された点はありますか?

武永修一:

そうですね。お付き合いでいうと新しい方々に会う機会が増えました。例えば、アナリストや機関投資家の方、ナショナルクライアントの方、以前は全く接点が無かった異業種の方、そういう方々とのお付き合いも増えていろいろ広がっていますね。あとは上場企業の経営者の先輩方が多いですね。やはり同じプロセスを踏んだ人たちは、みなさん非常に親近感があるというか。

とはいえ、以前お付き合いしていた人達とも変わらずお付き合いしています。良い意味で本当に何も変わらないようにしています。誰からも学ぶこともあると思っていますし、上場したからといって先輩風を吹かせる必要もないですし。

アマテラス:

東証マザーズというポジションは武永さんの経営にどのような影響を与えていますか?

武永修一:

僕自身はマザーズにいるということは微妙に良いポジションだと思っているんです。一定の信頼感もあるし、財務的な安定性もあるのですが、まだまだ東証一部の会社と比較すると発展途上。規模も小さいです。語弊があるかもしれませんが、車でいうと仮免状態に近いかなと。
マザーズから東証二部、一部に上がっていこうというこのインセンティブは、良い意味で動機付けになります。

もう一点、M&Aや人材採用に効果的と思っているのが、「一緒に東証一部に行こう」という切り札がまだ残っていることです。
M&Aはキャッシュで買う場合と株式交換をして相手の経営者と一緒に仲間になってやっていく場合があるのですけが、特に後者の場合は相手もその株が上がることを期待する訳です。その時に東証一部に上場していて株価の安定した会社とM&Aを取り組むよりも、ボラティリティは高いけど、株価も含めて大きく成長する期待感のある会社と経営統合して一緒にやっていこうよというのは、マザーズ企業だからこそできる手段かなと思っています。

まだまだ自分の中での達成感というのはないというか、逆にやっとコースに立てたなという感じの方があります。今までは外周をウォーミングアップで走って自己ベストを目指すみたいな感覚があったのですが、やっと公式のレースの「位置について」というところに自分が来れたかなというところがある。なので、全然浮わついたり、休む、いい意味でフェードアウトしようというのは全くないですね。事業を通じ実現したいことも全然できていないですし。

アマテラス:

海外展開にも力を入れていくようですが、このあたりについても教えていただけますか?

武永修一:

インドネシアのPK Bukalapak.com というECモールに出資しましたが、海外マーケットプレイスやデータ企業との連携を強化していきます。アジアにはもちろん注目しています。一方、アメリカでは小売企業に対するデータ分析の企業もたくさん生まれてきています。ネットのデータとリアルのデータ、顧客IDとPOSを掛け合わせて分析し、価格調整や商品の在庫回転率をオートメーションで上げたりということに取り組んでいる会社もあるので、そういう会社というのは組み甲斐があるかなと思っています。アメリカはやはり進んでいて、このようなデータ分析手法を活用して小売り大手のWalmartやMacy`sの売上向上で実績がある会社もあれば、ebayやamazonというネットでのデータ分析を活用したサービスを行っている会社もあります。

“eコマース”から“コマース”という、その『e』を除いたコマース市場に支援を広げている会社というのは、我々としては幅広くターゲットになってきています。今後色々連携をしていけるだろうと思っています。

人材採用・人材育成に注力。

アマテラス:

現在のオークファンさんの経営課題については?

武永修一:

『人』については課題に感じています。事業にレバレッジがかっていないという指摘もあるのですが、レバレッジをかけようと思っても、お金を借りて倉庫や在庫に使う必要はない。レバレッジをかけるリソースって、結局は『人』なんですよね。そういう意味だと、地頭が良くて柔軟性がある人間はオークファンではいくらでもやることがあるので、やはり人材採用、人材育成に加えて社風作りに力を入れていてきたいです。それが足元の経営課題かと思います。

我々はこれまでは新卒採用をメインにやってきました。現在約50人の会社で、今年新卒社員が8人入社しましたが、全員が有望で活躍しはじめています。昔から新卒採用には力を入れていたので、今、全メンバーの何割かは新卒出身者です。非常に若い会社だと思います。

新しく取り組んでいる事業で事業者(B)向けが増えてきていますし、一般消費者向けのメディアも運営しています。若さと同じくらい、過去のノウハウや経験がすごく重要だと思っています。そこは中途の方々にも参画して頂きたい。新卒の若さとスピード感と中途の方々の安定感とスキル、この辺をかけ合わせていきたいなと思ってます。活躍できるポジション、領域はたくさんあります。
特に今は中途採用でスペシャリストを増やしていきたいなと。データベースやマーケティング系の方々ですね。

オークファンは上場しているけど、社員数が少なく、経営陣の近くで仕事ができる狙い目の会社。

アマテラス:

最後の質問ですがマザーズ上場後の現在のオークファンに参画する楽しさや魅力を教えて下さい。

武永修一:

上場しているかしていないかに関わらず、社員数というのは実は大事だと思います。例えば、未上場企業でも500人の会社に自分が入社して経営陣に近いところで仕事できるかというと、おそらく遠いと思うんですよ。会社の組織に安定感はあると思いますが。
うちだけではないですが、上場していても100人以下の会社だと経営陣にかなり近いところで仕事ができるので、良い規模感ですね。特に自分が会社の大きなプロジェクトに関われたり、権限を任せてもらいやすいです。
ですので、上場しているかしていないかというよりも、社員数や会社の規模感がすごく重要だと思っています。新規事業を全部任せてもらえたりとか、その事業がうまく進めば事業を会社から切り出して社長になれるかもしれない。
オークファンはまさにそうで、上場という武器・手段を得た会社でありながら会社規模が小さい、これは逆にレバレッジがきくということなので、狙い目だと思います。

あと、我々は前期・今期と堅調に成長してきていますが、やはりこれからもこだわっていきたいのは他の会社がやっていないこと。オンリーワンの独自性。オークファンならではの価値を作って世の中に貢献していくというスタイルなので、非常に面白い仕事がたくさんできるんじゃないかと思います。

新規事業のアイデアはたくさんあるので、「とりあえず何か作って」というよりは「どれを選んでアレンジする?」状況でもあります。

また上場企業とは言いましても、まだまだ良い意味で火が付いていますよ、ということをアピールしたいですね。もっと新しい価値を生み出したいと思っています。

アマテラス:

武永さん、今回で2回目のインタビュー、ありがとうございました。3回目も楽しみにしています!

この記事を書いた人

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藤岡 清高

アマテラス代表取締役CEO。iU 情報経営イノベーション大学客員教授。 東京都立大学経済学部卒業後、新卒で住友銀行(現三井住友銀行)に入行。法人営業などに従事した後に退職し、慶應義塾大学大学院経営管理研究科を修了、MBAを取得。 2004年、株式会社ドリームインキュベータに参画し、スタートアップへの投資(ベンチャーキャピタル)、戦略構築、事業立ち上げ、実行支援、経営管理などに携わる。2011年に株式会社アマテラスを創業。 著書:『「一度きりの人生、今の会社で一生働いて終わるのかな?」と迷う人のスタートアップ「転職×副業」術』

 株式会社オークファン

株式会社オークファン
https://aucfan.co.jp/

設立
2007年06月
社員数
120名(2017年9月末時点 ※連結)

《 Mission 》
Trade is NO BORDER!!
《 事業分野 》
WEB・アプリ
《 事業内容 》
ネットショッピング・オークション等の情報・価格検索や分析サービス行うサイト運営 商品および価格情報の保有数 約300億件以上 月間訪問者数 1,000万人以上(2014年8月時) 運営メディア ネットショッピング・オークションの相場・統計・価格比較メディア「aucfan.com」  プロが使う相場検索・データ分析ツール「aucfan pro」  フリーマーケットの全国開催情報 「フリーマーケット楽市楽座」 他