CEO INTERVIEWS

起業家インタビュー

Vol.68
2017年06月14日
株式会社パラダイムシフト | 代表取締役  牟禮 知仁 氏

株式会社パラダイムシフト
代表取締役 牟禮 知仁 氏

IT分野の新しい可能性を顧客に提供したい

はじめに

IT分野のM&Aアドバイザリー事業を拡大させてきたパラダイムシフト。事業の新たな軸としてIT分野において新事業を生み出し続けている。
そんなパラダイムシフトの牟禮社長に生い立ちや起業の背景、今後のパラダイムシフトが目指す世界についてお伺いしました。

株式会社パラダイムシフト
代表取締役 牟禮 知仁 氏
(むれ ともひと)

【経営者略歴】
横浜国立大学大学院経営学専攻終了後、国内最大手のベンチャーキャピタルである株式会社ジャフコに入社。関東を中心にベンチャー企業から中堅企業まで幅広くベンチャー投資を担当。IT企業等のべ20社以上の投資及びM&Aを手掛ける。2011年株式会社パラダイムシフトを創業。

  • MISSION

    IT分野で常に新しい価値観を創造する

  • 事業分野

    コンサルティング

  • 事業内容

    ① 「M&A アドバイザリー事業」スマートフォンアプリから企業全体まで、フルラインでのアドバイザリー業務をご提供しています。
    ② 「事業開発事業」アドバイザリーの枠を超えた、クライアントの事業価値創造を実現します。

  • 設立

    2011年1月

  • 社員数

    25人(パート・アルバイト含む)

  • 企業URL

    http://paradigm-shift.co.jp/

起業家紹介

牟禮 知仁 氏
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父との会話で培われたビジネス感覚

株式会社アマテラス:まず、牟禮さんの生い立ちについて聞かせてください。

株式会社パラダイムシフト 牟禮社長(以下、牟禮):私は鹿児島で生まれました。私の父は鹿児島で事業をやっていました。サラリーマンになるにも会社の無いような地域で、親戚も殆どが自営業をやっている、というような環境で育ちました。

父は結婚式や葬式の引出物を卸す業者でした。父が一代で立ち上げた事業で、父はほぼ毎日働いていました。ですので、幼い頃から父と話すことといえば商売の話ばかりでした。「どこどこと取引が決まった」みたいなことを聞かされていました。

ビジネスに目覚めた中学、高校時代

株式会社アマテラス:学生時代のエピソードを聞かせてください。

牟禮:幼い頃からビジネスの話を頻繁に聞いていたので、自分でビジネスをやることに興味を持っていました。
そこで、中学校3年生頃にパソコン通信を使ったビジネスを始めました。鹿児島のモノの値段とパソコン通信上のモノの値段に差があったので、鹿児島の店舗で仕入れたモノをパソコン通信で売って利ざやを稼ぐことを高校3年生頃までやっていました。

株式会社アマテラス:なぜITビジネスを始めようと思ったのですか?

牟禮:PCに触れることや、ネットで海外とつながることが好きだったからです。

自らの生い立ちについて語る牟禮社長

大学時代に起業を志すも、挫折

株式会社アマテラス:大学時代のお話を聞かせてください。

牟禮:大学時代、私は起業を決意しました。私が大学1年生だった2000年頃は、ITバブルがはじける少し前でした。そういった時代背景もあってビジネスモデルや起業についての様々なことを耳にする機会があり、私は「これなら私でもできる」と思い、自分で会社を作ろうと決意したのです。

起業を決意した際、会社のシステムを作り上げる方法は大体分かっていましたが、出資金をどう集めれば良いのかが分かっていませんでした。そこで、大学の寄付講座の講師の方々に直談判して、授業の終わりに「こんなことやりたいのですが、どうやったらお金出して貰うことができますか?」という感じで、聞いて回りました。皆さん親切に教えてくれて、ファイナンスに関する知識を身につけることができました。

株式会社アマテラス:大学1年生でそこまで行動できるのはすごいことです。資金集めは成功したのですか?

牟禮:目標の金額は集まりませんでした。その原因として、会社や株式に関する知識が曖昧だったことが大きかったと思います。当時は株主がどのようにリターンを得るかも分からなかったですし、「ROIはどのくらい求めているの?」と聞かれた際にうまく答えられないような状況でした。

そこで「金儲け」と「会社経営」は全く違うことだと気付かされ、起業は止めました。もう一回勉強し直そうと考え、大学は理系の単科大学だったので、先程お話しした寄附講座の講師の方々に聞きながら、会社に関する基礎を学びました。

株式会社アマテラス:学外の方をご紹介頂いたりしたのですか?

牟禮:そうですね。企業の重役の方々に聞いて、当時伊藤忠の人事部の部長の方をご紹介頂いたり、今のJXホールディングスの監査役の方などにお会いしました。その方達が参加している勉強会に潜り込ませてもらい、勉強しました。親切な方が多く、経営学に関する本や、会社の経営に関することなども教えてくださいました。

そして、学校の勉強も並行してやっていました。「今しか集中して勉強できないだろうから、本気で勉強しよう」と思っていました。

必要な経営知識を得るため、大学院への進学

牟禮:大学3年生になった時、「果たしてこのまま就職していいのかな」と考えました。会社のこともまだまだよく分からない状態でした。経営学を勉強していくと、社会学や心理学、他にも統計学のような付随する学問が色々あり、「大学院に行って更に勉強しよう」と思いました。

株式会社アマテラス:問題意識がある中で勉強しているから楽しいですよね。

牟禮:そうですね。体系立てて経営学を学ぶ結構固いカリキュラムでしたが、楽しく勉強できました。

2年間でかなりの知識が身についたので、更に大学で学ぶよりも就職しようと考えました。自分で事業をやることも考えましたが、「就活はこの時期しかできない」と周囲から言われていたので、「一回やってみよう」と就職することに決めました。

努力を惜しまなかったJAFCO時代

株式会社アマテラス:就職活動はどのように進めていったのですか?

牟禮:「上手く行かなければ、自分で事業やればいい」と思っていたので、「私はビジネスをやりたくて、そのうち独立したいです」と素直に言って、就職活動していました。ただ、「自分の希望が合えば、入ったら労働環境や福利厚生に関しては何も言わない」とも面接で話していました。「その条件でも良ければ入ります」と言って、採ってくれたのがJAFCOでした。

株式会社アマテラス:JAFCO時代はいかがでしたか?

牟禮:言われたことを最大限にやって、あとは自分が「これ以上頑張れない」というところまでは仕事しようと思いました。それで結果がついてこなかったら、「もう自分の能力不足だ」と考えるようになりました。

株式会社アマテラス:上場益は出ましたか?

牟禮:3年で辞めましたが、在籍時投資させて貰った企業で3社が上場しキャピタルゲインはありました。

株式会社アマテラス:それはすごい!3年で3社の上場益はかなりの成績です。結果を出す為に工夫したことはありますか?

牟禮:量でカバーする意識はありました。とにかく電話をかけて接触する企業数を増やすことや、訪問した会社の方に他の企業を紹介して頂く等効率的に動くことも心がけていました。率が悪くても、訪問件数を増やしていけば、良い会社も出てきます。良い会社が出てきたら、上司がサポートしてくれました。

「この人達となら楽しい」とオークファンに飛び込む

株式会社アマテラス:JAFCOから、オークファンに転職される背景は何があったのですか?

牟禮:仕事は楽しかったのですが、仕事しているうちに「会社の時価総額が5億円は高いのか、安いのか」といった判断をしなければならなくなり、自分の感覚からずれてきました。それで転職を考えるようになりました。

当初オークファンは、『デファクトスタンダード』という会社でした。社長の武永さんには、JAFCO入社2カ月頃に営業訪問した際に初めてお会いしました。直ぐに「この会社はすごい」と気付いたのですが、当時の『デファクトスタンダード』は特に資金を必要としていなかったのでJAFCOとしてのチャンスはありませんでした。でも、「武永さんは凄い」と思っていたので、足繁く通っていました。

当時、『デファクトスタンダード』はメディア事業だけ切り出し、会社を2分割しようとしていました。石橋さんという取締役がその枠組みをつくっていました。そして、分割が終わった1週間後に訪問した際、「牟禮さん、ところで今後どうするの?」と武永さん、石橋さんに聞かれました。何社かで迷っていると言ったら、「うち来なよ、うち!」と誘って頂きました。

「オークファンがどうなるかよく分からないけど、この2人となら楽しいだろう」と思い、当時社員9人のオークファンに入ることを決意しました。
当初は社員が少なかったので、何でもやらないといけない状態でした。JAFCOでの知識ややり方が役に立たないことはわかっていました。

会社にお金がなく、「運転資金が足りない」と管理部の方から言われて、武永さんと金融機関にお金を借りにいくところから仕事がスタートしました。他の業務としては、法人向けにオークファンのデータをマイニングして提供したり、aucfan.comの広告枠売ったりしていました。何でも屋さんみたいな感じです。

株式会社アマテラス:在籍していた2年でオークファンはどれ位成長したのですか?

牟禮:月商1000万円から最後の方は3000万円くらいになったので、3倍程度です。

最新のIT技術について語る牟禮社長(写真右)とそれを体験するアマテラス藤岡

ITに特化したM&Aアドバイザリーサービスを起業

株式会社アマテラス:そこから独立に至った経緯を教えて下さい。

牟禮:オークファンの中で法人向け事業を担当していましたが、そこも大分立ち上がり、私がいなくても事業は回るようになりました。様々な分野の専門家も入社してきたので、「そろそろ自分で会社をやってみたい」と感じるようになりました。

JAFCOという大きい会社にいて、小さなベンチャーも経験して、そろそろ自分で事業やった方がいいと考えました。他の会社に入っても、最終意思決定をするような立場にはなかなかなれない。「最終意思決定が出来る立場になるには、企業を持つしかないだろう」と考えて、会社を立ち上げることにしました。

株式会社アマテラス:2011年に設立されるわけですが、この時からIT領域に特化したM&Aアドバイザリーサービスという現在の事業はイメージしていたのですか?

牟禮:オークファンにいた時、いくつかサービスやサイトを買収し、私はその書類やデータを揃える立場でした。小さいベンチャーの買収に関して、当時の仲介企業はマッチングさせるだけで終わっており、事業継続や移管方法にあたっての情報提供やサポートがなく、買収後は苦労しました。
そこで、事業継続のサポートも含めた仲介サービスをやれば事業化できると考えました。

「全部自分でやる」では会社が成長しないと気付きました

株式会社アマテラス:どんな壁にぶち当たり、乗り越えてきたといったエピソードはありますか?

牟禮:起業した時は私個人と会社の口座合わせても15万円しかなく、コストを切り詰めたりしていました。でも、特に必要な出費もなかったので危機感もありませんでした。

とはいえ、安定的な収入は欲しかったので、JAFCOの先輩が役員をやっている企業から統計分析等を受託して夜中にやっていました。それで月30万円程はお仕事頂いていたので、何とか事業を続けることができました。

株式会社アマテラス:そこから事業を大きくしていくにあたって、どのように仲間集めをしたのですか?

牟禮:自分一人で始めて、当初の仕事は自分で完結していました。会計処理も申告書も私が書いていました。自分で夜中にやったほうがコスト削減できると考えていました。
でも、「全部自分でできる」と考えるはよくないと今では思います。コストは抑えられても大きくならない。それに気づくまでに何年もかかりました(苦笑)。

最初の頃は、大学生のインターンを募集しました。私が学生の時と違って、本当に仕事をしたい学生や社会経験を積みたい学生がインターンとして来るので、かなり意識が高かったです。そうして人が集まり、やっと会社として体を成してきました。

そして、第1号社員は、私がM&Aをやっていた時の担当者でした。その後退職したという連絡を貰い、本当に人が必要だったので来て貰いました。
今はアルバイトスタッフも併せると25人、その内正社員は14人です。

顧客の新しい選択肢・可能性を拡げる

株式会社アマテラス:パラダイムシフトは、具体的には社会をどう変えていくのでしょうか?

牟禮:「IT分野で新しい価値観を作っていきたい」というのは創業時からの思いです。具体的にいうと、M&Aや新規事業の立ち上げという選択肢を用いて、事業やサービスの可能性を増やしていきたいと思っています。私たちから「新しいこういうサービスが出来ますけど、どうですか?」と言うと、「あ、そんなことできるのか!」と新しい可能性に顧客の方々が気付いてくれる、そんなサービスをどんどん作っていきたいです。

同じように海外でもやっていきたいと考えています。
現時点では、インドの“Games2win”というゲーム会社から、全世界で流行っているゲームのライセンスを借りてきて、私達が日本語にローカライズして、KDDIのauスマートパスに提供しています。
当初社内外とも「インドで流行っているゲームがうちで提供できるのか!?」といった反応でした。インドからすると、「KDDIはよく知らないが、日本マーケットに提供できるのは魅力」として映っているようです。
他にも、通信分野で中国企業から依頼を受けて日本でIPを獲得するということをやっています。

株式会社アマテラス:今後はグローバルな、海外と日本のクロスボーダービジネスが多くなりますか?

牟禮:今後はそうしたいです。現状としては国内のほうが断然多く、年間30件から40件くらいM&Aをしている中で海外とのクロスボーダーはまだ数件です。

更なるM&A人材、そして、事業開発人材が必要

株式会社アマテラス:御社のビジョンを実現するために不足していると思うことは何ですか?

牟禮:新しいことをやる人材が足りていません。
まず、顧客の戦略を把握した上でM&Aを実行していく人材が足りていません。案件はあり、大手商社や製造業といった大企業からの話も多いのですが、人が足りなくて追い切れていない状態です。

また、中長期的には、M&Aに加えて事業開発を大きくしていきたいと思っています。現状はM&Aが利益の8、9割程なので、今後は自社として新しい事業を作っていく比重を大きくしたいのです。
既に、MVNO(仮想移動体通信事業者)向けのコンテンツ事業や、海外からライセンスを獲得して日本にライセンスアウトする事業が立ち上がっています。
ただ、このようにイチから仕組みを作っていけるかは重要な課題です。事業会社を経験してきた人材が必要です。

今後の展望を語る牟禮社長(写真左。右はアマテラス藤岡)

求む『知的体育会系』

株式会社アマテラス:求める人物像はありますか?

牟禮:そうですね。素直さは重要です。『知的体育会系』と呼ばれるような、動くのも考えるのも好きな人に是非うちに来ていただきたいです。

株式会社アマテラス:ITのバックグラウンドは必要ですか?

牟禮:あまり関係ないです。ただITが好きじゃないと難しいと思います。興味がなく座学としてサーバーの構成等勉強していくとしんどい部分も出てきます。好きだったら、社内カリキュラムがあるので、勉強する環境は整っていると思います。

株式会社アマテラス:素直で、ITへの興味があれば、しっかりキャッチアップはできるということですか?

牟禮:そうですね。大変だとは思いますが、可能だと考えています。

IT分野プロだから、大企業のIT戦略も左右できる

株式会社アマテラス:最後に、御社で働く魅力について教えていただけますか?

牟禮:M&Aのスキーム作るのがうまいとか、事業開発でKPIの管理がうまいというような、M&Aのアドバイザリーと事業開発、それぞれの分野のスペシャリストはいらっしゃると思うのですが、各分野でNo.1をとるのは難しいと思います。

当社ではその2つを行き来出来るので、M&Aも知っているし、事業も作ることができる。つまり、どこにいっても通用する人材になることができると思います。これは当社ならではの魅力だと思います。

しかも、IT分野は更にニッチになっていくので、敵わない会社はなくなっていくと思っています。IT分野でやれるからこそ、大企業の社長に会い、大企業のITに関する戦略を決めることができる。ここは弊社で働く一番の魅力だと思います。

株式会社アマテラス:これまで入ってきた人は、どういう人が活躍をする傾向にありますか?

牟禮:この仕事やっていくと知らないことがどんどん出てきます。その度に新しいことを勉強しないといけないのですが、そこを貪欲にやれる人はキャッチアップが早く、かなりのスピードで成長できると思います。

株式会社アマテラス:最後に伝えたいことはありますか?

牟禮:人が足りていないので、雑務も含めて自分でやらないといけないことは結構あります。しかし、大きい会社のIT戦略に関わる機会など魅力的な部分は大きいです。そこに共感して頂ける方に是非来て頂きたいですね。

株式会社アマテラス:そういうマインドは大事ですよね。牟禮社長、素敵なお話をありがとうございました!

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edited by 初田 萌

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