CEO INTERVIEWS

起業家インタビュー

Vol.54
2016年07月15日
リノべる株式会社 | 代表取締役  山下 智弘 氏

リノべる株式会社
代表取締役 山下 智弘 氏

自分は何がやりたいのか? 他の人ができなくて自分にしかできないことは何か?
自問自答を繰り返しながら、『リノベーションマンションの流通』という使命にたどり着いた。

はじめに

2013年春に山下社長に初めてインタビューし、3年が経過しました。
政府の国家戦略プロジェクトの中で「中古住宅・リフォーム市場の倍増」が掲げられるなどマーケットには追い風が吹いています。
多くの企業がリノベーション分野に参入する中、リーディングカンパニーとして山下社長はどのようにリノべるを舵取りしてきたのか?
また今後のビジョンについてインタビューしました。

リノべる株式会社
代表取締役 山下 智弘 氏
(やました ともひろ)

【経営者略歴】
1974年生まれ ゼネコン、デザイン事務所、家具工房などを経て
2003年 デザイン事務所 field設立
2004年 株式会社es 設立 代表取締役就任
       商空間・住空間から家具・野菜までを手作りで作りだす「ものづくり集団」をつくる
2010年 中古住宅のリノベーションに特化した会社リノベる株式会社 設立 代表取締役就任
       リノベーション住宅推進協議会 理事に就任
2013年3月 現在、東京・神奈川・埼玉・千葉・静岡・名古屋・京都・大阪・神戸・仙台・福岡・群馬の12エリアでサービスをしている。

自宅の洗面スペースを「お気に入りの歯ブラシに似合う空間にしたい」と自身で改造したことからリノベーションとの深い関係が始まる。住宅ディベロッパーを経て独立。住宅・店舗の設計施工を行う株式会社es(エス)を立ち上げる。esでリノベーションを手がけるなか、物件探し・リノベーションの設計施工・ローン組みをワンストップで提供するサービス「リノベる。」を考案。リノベーションを専門に行うリノベる株式会社を設立。リノベーションのセレクトショップとして定額制・セミオーダー制・専用ローンのサービスで全国にエリア展開中。
リノベーション住宅推進協議会の理事も務める。

  • MISSION

    日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に。

  • 事業分野

    建設・不動産

  • 事業内容

    中古住宅のリノベーション

  • 設立

    2010年4月

  • 社員数

    140名(2016.7月1日現在)

  • 企業URL

    https://renoveru.co.jp/

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起業家紹介

山下 智弘 氏

フィンテックの影響で、不動産に対する意識が変わってきた。

株式会社アマテラス:現在の事業状況を教えていただけますか?

山下:リノべるが取り組んでいるのは、古い住宅をその方に合わせてリノベーション、改装して、再流通させることです。ターゲット層は初めて家を買う方です。今のお住まいの家をリフォーム、リノベーションしたいという方ではなくて、賃貸や寮にご家族と住まれていて、生活のステージが変わる時に新しく家を買いたい、そういう方々がターゲットになっています。年齢でいうと平均が37.8歳、世帯人数で言うと、2.1人です。ご夫婦お2人のお客さんが大半ですが、お子さんがいる世帯もあります。

シングルの方も最近増えてきています。これまではシングルの方の割合は10パーセント未満だったのですが、この3年でグッと増えてきて今は2割超えたぐらいになってきています。女性、男性ちょうど半々ぐらいです。

背景に大きく二つの理由あると思っていますが、一つは金融機関がシングルに対しての緩和をしてきたことです。僕たちはシングルの方にも住宅ローンを使って販売しているのですが、金融機関はそれを敬遠していました。要はシングルの方たちが結婚した際にその物件はどうなるんだ?ということで、金融機関が融資に消極的でした。その辺がだいぶオープンになってきました。もう一つは、シングルの方でも家を資産として持っておこうという方が増えてきている、という市場の動きがあります。例えば都心で賃貸ワンルームでも家賃が月10万円するところもあります。
であれば今後結婚するかどうかは置いておいて、資産として持っておこうと買われる方が増えてきています。
払う金額がほとんど変わらないのであれば保有したほうがいいんじゃないか、ということです。海外だとそういう方が多くて、最近台湾に出張に行ったのですが、台北の働いている20代の女性達に話を聞くと、不動産物件を持っている人が半分近くいました。自分で働いたお金を不動産に投資してるんですよ。

「なんでそんなことしてるの?」と聞いたら、「学校の教育で、投資の教育を受ける」と。親からも教育を受けるので、要はお金をどこで調達して、どんなふうに使っていって増やしていくという教育があるらしいです。日本だと稼いだら使うので、お金が消えていきますが、その辺がすごく違いました。一方でまだまだ20代の方は少ないですけど、日本でも一部の方の不動産や金融に関するリテラシーがだいぶ上がってきていると感じています。

株式会社アマテラス:自立した人には資産管理の意識やノウハウがあるということですね。

山下:そうです。大きな要因としてフィンテックの影響があると思っています。例えばマネーフォワードさん等の取り組みで個人の資産が見える化してきているのも要因の一つだと見ています。今まで一般の方は負債やB/S(Balance Sheet)をあまり見てこなかったと思いますが、それを自分でも手軽に見れるようになってきました。その際に賃料を払っていることがこれはもしかしたら馬鹿らしいのではないか、と気付かれる方が増えてきました。

今まではお金持ちにばかりプライベートバンカーが付き、情報が集まって、必然的にお金があるところにお金が集まる仕組みになっていましたが、それが少しずつ変わってきていると最近すごく感じます。

株式会社アマテラス:リノべるのターゲットエリアは主要都市が多いですね、その狙いは?

山下:全体の売り上げの6割から7割が首都圏ですね。しかし首都圏と言っても東京ど真ん中、山手線の中とかではなくて、もう少し外側のイメージです。というのも我々がターゲットにしているのは世帯収入が大体700~800万ぐらいの方々です。旦那様が500~600万ぐらいで、奥様がパートで働いているというイメージで、それぐらいの年収でベストな住み方は、東京のど真ん中の地面の一番高いところを買うよりは、少し外れたところが人気です。例えば東横線沿いはすごく人気ですね。

事業について慎重に語る山下社長

株式会社アマテラス:しかもリノべるの物件は中古物件なので資産価値がそんなに落ちない。

山下:落ちないです。もう落ちきってるものですので。築20年以上の建物の価値が落ちきってるものを買っていただくというイメージです。リノベーションは基本的に建物の価値はゼロです。逆にリノベーションのような中古ではなく、新築を買うと鍵を開けた瞬間に20パーセント、建物としての価値が落ちます。ですから新築ではなく、中古のしかも建物の価値が落ちきってしまった物件を対象にしています。もちろん、新築すべてが20パーセント落ちるわけではありません。例えば広尾のど真ん中のピカピカの新築マンションは、落ちないかもしれないです。ですがそんな物件は手が出しづらい。

そう考えたら、不動産を資産として持つ時に最も賢い方法は築25~30年以上の古い物件を購入して、自分に合わせてリノベーションすることだと思っています。それが一番賢く、自分らしいお住まいを手に入れる方法と思って僕たちは広めています。

「ストーリーを売る」。新たな不動産物件の売り方。

株式会社アマテラス:リノべるはリノベーション分野でリーディングカンパニーとして取り組まれてきましたけど、最近大手や他のベンチャーも含め、競合が増えています。経営にどのような影響が出ていますか?

山下:まずは、不動産大手がこのリノベーション市場に参入してくるケースが多いです。ただ大手が参入してくる場合の多くは、買い取り再販と言われる、物件を購入して、リノベーションしてから販売する戦略で、一度ポジションを取るという選択です。

これはなぜかというと大手にはお金があるからです。ただ僕らはそれをしていません。情報としての物件情報はたくさんストックしていますが、物件は持っていません。ポジションを取らないというやり方は大手では多分少ない。効率が悪いからです。物件を買ってリノベーションして、そこに利益を乗せて売るのが従来の売り方なのですが、僕たちは情報をストックしているだけなので、なんの効力もないわけです。つまり売ろうとした物件がなくなっている場合もあります。しかし大手のように買ってしまうと、そういったことは起きません。結果大手さんはほとんど「100件買え、100件売れ」の号令でドカーンと買ってドカーンと売ります。

どちらの方が儲かるかは時代によると思いますが、大手の買い取り再販戦略は、時代が良ければかなり儲かります。
まとめて10件、20件仕入れて2、3件すべったとしても、それでも儲かるモデルでやっています。このモデルだけで上場している会社もあります。ですがこれはリーマン後に一番潰れたモデルでもあります。

大手型の戦略でやっていた中小デベロッパー、いわゆる大手財閥のデベロッパーではない中小デベがリーマン前に大体500社ぐらいあったと言われています。そういった会社はリーマン後に百数十社まで減りました。
これは銀行の蛇口の開け方をみてやる商売なので、銀行がリーマン後には「貸さない」と言われると、もう潰れていくしかありません。
なので僕たちはこの会社を作る時に、「それはしないでおこう」と言って役員で判を付きあいました。銀行の顔を見ながら商売するのが嫌でしたから。

大手の戦略は今までの方法と一緒で、お客さんに現物を見せて売るので、売り方として悪くありません。不動産会社さんは見せて売るのが得意です。ですから従来の方法を踏襲して再販会社というのは、すごく大きくなってきていたのですが、今はもう参入が増えてきてレッドオーシャンです。ですから上場会社を見ると利益率がかなり厳しい。僕たちは少し手間がかかりますが、物件を持っていないので運営スピードを上げられるという方法で、そこをこだわってやっています。僕たちのモデルは物件を買うためのお金は必要ないですが、人は要ります。
お客様に物件ではなく、リノべるに関心を持ってもらう、というところは、僕たちの一番の特徴です。そのために人が必要なんです。今までの不動産は、見せて売るということしかできませんでした。リフォーム、リノベーションした物件、新築で作った物件をオープンハウスやチラシで見せて、実際に来てもらって現物を見せながら「これ、どうですか?」と売る。一方で僕たちは「これ、どうですか?」と見せた物件がボロボロなんです。畳が腐っていたり、障子に穴が開いている。ですから現状ではなく先のストーリーを描いて買っていただくことが必要で、まさにコンサルティングなんです。僕たちは物件を持たない代わりにお客様にリノベーション後のデザインを選べるようにしているんです。

テレビ番組に取り上げられることになり組織を急拡大。それが大きな失敗に繋がる。

株式会社アマテラス:前回インタビュー時(2013年5月)から会社組織も大きく成長し、知名度も上がりました。山下さんの自身の変化について教えてください。

山下:一つは私自身の個人的な話になりますけど、役員(ボードメンバー)に相談ができるようになったというのは大きいと思います。
今までは相談ができませんでした。相談してるふりはしていましたけど、全部もう決めてることを話して、背中を押して欲しいだけでした。自分が決めたことを、とやかく言われるのも嫌で、全部決めてからしか相談しませんでしたし、決めてない状態では言葉にもしませんでした。しかしそれが、多分この3年ぐらいで、「こういう、提携の提案があるけど、これどう思う?」や「これ、どう考える?」などという相談をできるようになったのは、変化だと思ってます。例えばCFOが就任したのは2年前なのですが、それまでお金のことは経営そのものですから、前の会社含めて13年目になりますが起業して以来誰にも相談をしてきませんでした。手続きとして経理の方に「これ、どうしよう」というような話はありますが、ただ手続き上の問題だけでした。一方、資本をどう調達するかなどの相談ができるようになったのは、相談できるべき相手が出来た、作れるようになってきたということなのですごく大きいと思っています。
CFOを例えにしましたが、そういう風に相談することができると、既存のメンバーにもそれができるようになってきました。「これ、どうしよう?」「これ、どうしようと思ってる?」とか。既存のメンバーに問題があってできなかったのではなくて、相談できなかったのは僕の方の問題で心を開けてなかった訳です。
今までは自分で全部やればいいやと思っていて、自分のコピーがいればいいやと考えていましたが、そうじゃなくなってきたのは、そうしないと組織としてもう成り立たなくなってきたというもあると思います。

株式会社アマテラス:社員が何人ぐらいになった段階でそう感じ始めましたか?

山下:あるテレビ番組に取り上げられてからです。番組に出演したおかげで、ウエブに10倍くらいの訪問があり、問い合わせ量も7倍、8倍になりました。ある程度は予想していたので、ウエブの回線も太くし、問い合わせ対応できる営業マンや設計のコントロールする人間を一気に増やしたのですが、それが大失敗でした。理念や会社としてのバリューも何も関係なしに、取りあえず人をバーッと集めてしまったので、チームも何もない状態になりました。新しく入ってきた人間が古い人間を連れて辞めてしまう、お客さんにすごい迷惑をかけてしまう、などという事が一気に起こりました。僕がチームを作れてない状態で一気に大きくしようとしたので、そういう事が起こったと反省しています。
もう一度、そういうチャンスがあったとすれば、同じ事は繰り返しません。もちろん、回線を太くしたり、人員も厚くしますけど、違う方法をとると思います。例えば外注をうまく使うなど、もっとやり方があったと思うのですが、その時はもう取りあえず、「いけ、いけ、いけー!」という感じでした。

株式会社アマテラス:そのような事故があり、今後組織を成長するうえで大事にされている価値観について教えてください。

山下:僕たちは「日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に」というミッションを掲げているのですが、それに基づいて、ビジョン・バリューといったように行動指針も社内のメンバーと一緒に作っているところです。

また求める人材イメージを『宝石人材ペルソナ』と定めて人事部と連動して採用しています。

「宝石人材ペルソナ」

山下:Aのところは、組織のミッションと個のミッションが合致しているという事です。会社が目指そうとするところと個人が目指そうとするところは、できるだけ一致している人が望ましい。ですが実際は一緒の方向なんか向きません。面接していると、「御社の考えとぴったりです」と言われるのですが、絶対嘘でそんなわけないですよね。僕が自分で作った会社でも、100%は一致してないので(笑)
組織や会社も生き物なので、100%一致するというのは難しいと思います。ですが一致させようとすること、しっかり擦り合わせることには意味がある。

Bは、ここ大事なんですが、気持ちがいいという事です。謙虚さ、感謝の気持ち、明るいバカという3つのキーワードにシンクロする人を指して表現しています。ベンチャーはほとんどのことで失敗すると思っています。おそらく、10個あったら多分8か9失敗します。ですから失敗した後が大事で、「わっ、この人に任したから、失敗したんや」なのか、「この人でここまでやって失敗したならしょうがない、ちょっとなんかフォローしてやろう。次も任せてみよう」と思うのかは大きな違いです。この違いは、気持ちがいい人であるかどうかという点ではっきり分かれる。ですからとてもこだわっています。

Cのところはスペックですね。一般的にハイパフォーマー、ハイスペックと言われる地頭が良く、論理的思考能力が高くて、向上欲求みたいなものが強い、という指標です。

この3つのA・B・Cが重なった部分の人を採用していこうとしています。そうすると以前起きたような事故は起こりにくくなると考えています。

3年ぐらい前までは、リノベーションを流行りのファッションの一つとして捉えていた不動産会社、工務店がいて、『リノべる』ってテレビとかで見るし、リノベーションのことも聞くようになったし、一回乗っとこうかということでパートナーになった形が多かったように思えるのですが、最近はそうじゃなくて、本当の意味で論理的にも、腹に落として加盟される、パートナー登録される会社が増えてきている気がします。

リノベるは社員、パートナー企業と価値を共有することを大切にしている

「リノべる」式価値共有。失敗したからこそ、上積みがある。

株式会社アマテラス:価値観の共有を大事にするからこそ、共感できないパートナー企業の登録は断ることもあるのですか?

山下:もちろんあります。FCと言われるフランチャイズの、エリアパートナーと呼んでいますが各エリアを任せるような取引きがあります。今うちは全国で19拠点のショールームを運営しています。北は仙台で一番南は沖縄なんですけど、そのうちの9拠点は、フランチャイズです。沖縄の「リノべる。沖縄」は、沖縄にある企業が運営しています。
ウエブマーケティングのところは我々がするけども、実際ショールームに来ていただいた以降の動きは現地の会社さんがしていただく形です。最低2人の方に2カ月、東京に研修に来ていただいて、「リノべる大学」で研修を受けていただいきます。そこでそぐわない人、会社としてどうしても難しい時は、お断りになりますし、逆に来ていただいた方も、考え方が違うと研修が続きません。例えば、大手で不動産30年やってきました、というベテランの方が研修に入ると、もう既存の考え方で固まっていたり、お客様を上から見ていたりということがあります。
うちが取り組んでいることは新しいもので、それに対して情報の非対称性で儲けていたの
が従来の不動産会社なんです。全然考え方が違うわけです。
お客様に対して「売ってやろう」というスタンスの方がいるのですが現代はそんな時代じ
ゃないです(笑)
 お客様に対してどんな価値があるのかというのをプレゼンテーションして、ストーリーを語って買っていただくのが、不動産会社の一番大事な仕事だと思っています。我々の物件を扱う際に気つけて欲しいこと、僕たちとしてのスタンスを『リノべる大学』で伝えています。そこがフィットしないとなかなか成功しないです。

この話は以前アマテラスさんにインタビューしていただいた時にはできなかった話かもしれません。一番失敗しているからこそ今、そういう話ができていると思います。今リフォーム産業新聞社によると、このワンストップと言われる、再販ではない業界では僕たちがトップなんですね。年間約400件受注していて、2位の会社が100件程度です。4倍程度差をつけて僕たちがトップなのですが、これは一番失敗しているということです
(笑)お客様から一番怒られて、パートナーさんから怒られて、そのナレッジを「リノべる大学」の中に落とし込んで、着実に積み上がっている。リノべるは先ほど言ったようにどちらかというとコンサルに近い、既存の不動産会社ではなかなか無い形態で売っているので、パートナー企業さんに僕たちが目指していることややっている事をお話して、経験を共有してもらっています。

リノベるの価値観について語る山下社長

株式会社アマテラス:組織が大きくなってきていますがそれに伴い変化はありますか?

山下:社員が単体だと100名で、連結だと100名を超えています。あと関係会社としては、ファイブスターファクトリーというアフターメンテナンスの子会社と、タマホームさんの事業であるSuMiKa(スミカ)という設計士マッチングサイトの会社があって、そこに出資して共同運営しています。

組織が大きくなってきて、失敗しない方法を選んでしまったり、自分の頭で考えなくなっているなと感じることが出てきたことです。これは相談の逆側ですが、自分で経営しなくなってるなと、ハッと気付くことがあります。何か物事があって解決しようという時に、じゃあアドバイザーのAさんに聞こう、法律的な観点だと専門家のBさんに聞こう、となってしまい「あれ、これ自分で考えてるのかな、、」と思う時があります。それはやめようと思って、今自分自身の意識改革をしています。

相談できるからと言って頼りすぎると他人の肩に乗って経営しているような形になるので「いや、そうじゃないよね」と。一方自分で走りすぎてもダメなのでそのバランスは大事にしています。

事業推進のスピードでいくと僕は、この一年半は落ちたと思っていて、すごく反省してるポイントです。チーム作りに力を入れたこともありますが、相談できるようになった役員(ボードメンバー)が強くはなってきたけれども、その中でやっぱり遠慮というか、ポテンヒットがすごく増えました。5人のボードメンバーでやっているのですが、その5人の間にボールが落ちて、「誰かがやると思ってました」ということがあったりもしました。これは自分の責任で、今メンバーの責任範囲を明らかにしていっています。あなたはこの1年これをやりましょうということを、役員に対してやっています。

リノベるのオフィス風景(渋谷本社)

株式会社アマテラス:前回インタビュー時は、まだVCさんが入っていませんでしたが、現在は複数のVCさんや株主が入っています。山下さんへの期待や要求も大きくなってきていると思いますがメリット、デメリットあれば教えてください。

山下:今8,9社から出資をいただいていて、メインインベスターはかなりこだわって選びました。経営を支えてくれるような投資家を求めていたのでグロービスさんは、ベンチャー経営に長けているので、彼らに入って頂きうまくいっています。社外役員にも入ってもらい何かあるごとに、もう本当に中の人のように、「これ、どうしよう」と一緒に話をしていく仲で、心強いですね。

彼らは僕たちが見たことないステージを見てきた人たちで、なかにはハンズオンが嫌な経営者ももちろんいると思いますが、僕の場合はそこを知って刺激を受けるほうがいいと思っていました。ただやはりスピードに関しては、鈍化しがちになります。経営の意思決定について株主さんに承諾を得ながら進めなければいけないのはわかっているのですが、その辺の手続き的な事は、「ああ、ちょっと面倒だなー」みたいな事は結構ありました(笑)。
結果的にはプラスの方が多く、毎月の経営会議にも出ていただいて、今いい事悪い事、含めて共有しながらやっています。

ホームテック。中古住宅にもテクノロジーを

株式会社アマテラス:リノべるさんの今後の展開について教えていただけますか?

山下:書籍(『明るいバカ』が最高のチームを創る)では台湾に行こうと書いたのですが、海外展開は一度ペンディングしてます。というのも、台湾も含めて海外の不動産事情がすごく変化してるので、今行くべきではないという判断です。今は国内だけで展開しているますがそこで取り組もうとしているのは、『ホームテック』です。

アメリカではホームテックはフィンテックよりも大きいと言われていますが、IoTを使って家を自動化していくということなんです。その中で僕たちは二つの取り組みをしようとしていて、一つは、本社に併設しているショールームが入り口のすぐ横にありますが、あそこはコネクトリーラボという名称で、IoTを体験できる実験場にしています。今、たくさんの家に関わるデバイスが発売されていますが、例えばスマートロックは何が良いか、わかりづらいですが、「中古住宅の中でIoTを使うとこうなる」という体験ができます。

2015年1月出版

株式会社アマテラス:中古住宅に最新のテクノロジーを導入してホームテックにしていくというのは斬新ですね。

山下:そうなんです。逆に中古だからIoTを生かせる部分が結構あって、例えば、僕たちが販売する宝石物件でいうと、築30年だとオートロックがないマンションが結構多いんです。女性住民が不安で「オートロックを付けよう」とすると管理組合とか、管理規約を変えて、何千万円の投資をして作らなくてはなくてはなりません。ですがIoTであればオートロックよりも簡単なセキュリティ機能を月々数百円という単位で導入できます。不審者が入ってくると、ブザーが鳴って警察に通報がいくようにするとか、顔を認識してログを取る事ができます。中古物件とIoTを掛け合わせて、どんな価値を見出すか?という実験場がそのコネクトリーラボです。そしてコネクトリーアップというアプリケーションをソフトバンクさんと共同で、今作っています。
これがホームテックの一つで、家をアップデートしようとする取り組みです。リノベーション自体がアップデートの一つだと思うんですけど、機能を追加していくことで、アップデートできる家を作ろうと。

今後のホームテック構想について語る山下社長

株式会社アマテラス:リノべるはテクノロジー企業に進化してきていますね!

山下:そうですね。今までは、営業、設計のようなリアルなところのスタッフが多かったのですが今ではスタッフの20パーセントぐらいがITバックグラウンドの人材で、DeNAやGREEといったITベンチャー出身者が様々な部署で活躍しています。

また、ITを使った商品設計、効率化というところまで取り組んでいます。ITを使うことで僕たちのこの事業を爆発的に改善することができるんです。中古の家を買うのは新築を買うのと比べて、価値が落ちにくいとか、再販と比べて自由度が高いとかいいことずくめだと話しましたけど、マイナスもあるんです。何かと言うと、お客様からすると出てくる登場人物がとても多いんです。設計屋、建材屋、営業マン、金融機関、不動産会社・・たくさんの人が出てきて、1カ月半位で対応していくので、ストレスがすごいんですよね。「言った言わない・・」ということに、やっぱりなります。

人と人の間にすべての問題があると思っていて、そのコミュニケーションにITを使えば、だいぶスムーズにできるので、シンプルで直感的に使える施工現場用の業務管理ツールも開発しています。
『施工現場にも優秀な“猫の手”を』というテーマで取り組んでいますが職人と現場監督のやり取りを可視化したり、すべての現場がスマートフォンでいつでもどこでも見れるようになっています。

日本全国、北は仙台、関東圏、中部、関西、中国、九州と案件がどんなふうに進んでいるかが、すべて見れます。今、首都圏だけで多分90現場ぐらい動いているのですが、その物件がどんなスペックのマンション、築何年のマンションで、何平米で、誰が担当していて、管理人さんがこんな人でというのも見れます。あとはそこに、チャット機能があって、誰々がこんな話をしてというのも見れるようになっています。
将来的にはこのシステムをアップデートしていって、エンドユーザーも見れるようになり、今どんなふうに工事をしてるかがカメラで24時間わかったりとか、そこで職人さんとやりとりができるなどサービスの幅を広げていきたいと考えています。

株式会社アマテラス:山下さんが考えられているリノべるの経営課題についても教えてください。

山下:これは直近も長期も含めて、一番は人材採用、教育強化だと思っています。今取り組んでいるのが新しい事業領域なので、過去にこういうことをやっていた人が活躍するという成功事例がなかなかないんですよ。必ずしも、不動産業界にいた人が活躍するかというと、そうでもないですし、人がいる領域なので、ITが発達したとしても、人は絶対いるんですよね。じゃあ人がボトルネックにならないようにするには、採用と教育の力をつけていくことなので、そこは結構こだわってやっていますね。

株式会社アマテラス:本日は貴重なお話ありがとうございました!

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edited by 又吉陽二郎

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