ローコストオペレーションに特化した会社ができる未来が創造できた。ソーシャルレンディングで世の中を変えられるかもしれない。

maneo(マネオ)株式会社元代表取締役社長 妹尾賢俊氏

日本初のソーシャルレンディング事業に取り組むmaneo株式会社。

欧米では2005年あたりからソーシャルレンディングの仕組みが発達しており、英国ではZOPA,Virgin Money, 米国ではProsper,Lending Club などのプレイヤーが成長し、今後有望なサービスとして大きな期待をされている。

しかし、妹尾社長のチャレンジは順風満帆ではなく、リーマンショック、東日本大震災という出来事も重なり、あわや、、という局面を何度も迎える。

強い信念で困難を乗り越え、創業5年にして初めての単月黒字化を達成し、現在は融資残高は累計85億円を超えるまでに成長。

次なる目標である融資残高1,000億円に向けて邁進する妹尾社長に迫りました。

妹尾賢俊氏

元代表取締役社長
妹尾賢俊氏

1973年 鹿児島県生まれ
1992年 ラ・サール高校卒業
1997年 一橋大学 経済学部卒業
1997年 東京三菱銀行入行(現三菱東京UFJ銀行)
主にコーポレートファイナンスを担当
2007年 maneo創業

maneo(マネオ)株式会社

maneo(マネオ)株式会社
https://www.maneo.jp/

設立
2007年04月
社員数
7名(2013年6月時)

《 事業分野 》
Fintech
《 事業内容 》
ソーシャルレンディング事業 お金を貸したい人と借りたい人をネット上でマッチングする融資仲介サービス

銀行の持っている機能を分解していく未来絵図が想像できた。

アマテラス:

起業の背景を教えて頂けますか?

maneo(マネオ)株式会社 代表取締役社長 妹尾賢俊氏(以下敬称略):

もともと銀行に勤めていたのですが、銀行の業務って預金、決済、貸し出しにしても、分解されてそれぞれ専門の会社がローコストでオペレーションするような時代が絶対に来るなあと思ったのですね。それはもうインターネットの力ですけれども。

銀行だと、都心の一等地や地方の大きいところに店舗構えて人張って、大仰なシステム作って、広告宣伝やって、っていう世界じゃないですか。
これを今maneoがやっているビジネスですが、インターネットを使ってお金を借りたい法人・個人(貸り手・ボロワー)、貸したい法人・個人(貸し手・レンダー)を仲介すれば、店舗も大勢の人も大きな広告宣伝もいらない。システムは多少お金かかるにしても、銀行ほどの大規模システムではない。つまりローコストのオペレーションができるから、より多くのリターンを返せるわけですよ、いわば中抜きみたいな感じになると思いますけれども、ローコストオペレーションに特化した専門会社が銀行の持ってる機能を分解していく未来というのを想像できたのですね。

50年後、100年後にはもしかしたら、そういう会社さんがメインプレーヤーになっているかもしれない。そう考えていると銀行にいても安泰じゃないなと思って。で、もしかしたら世の中を変えられるかもしれないと思いましたし自分でやろうと思ったのがきっかけです。
欧米ではソーシャルレンディングと言われている融資仲介サービスです。

でも既存の金融ビジネスを変えようとしているのは僕らだけじゃないですよね。例えば送金をやってるPaypalとか、それこそソーシャルネットワークサービスやってる会社、Lineでもfacebookでもmixiでも何でもいいですけど、そういう人たちがITに紐づけて送金できるようにしちゃえば、決済自体も銀行からひっぺがされるわけじゃないですか。現実的には法律的に資金決済法っていうのができて、それができる環境になりつつありますから、銀行の持っている決済機能なんていつひっくり返されるかわかんない。じゃあ例えば国内の決済はそうだとして、海外に送金はどうかというと、これはやっぱりできちゃうんですよね。もっとローコストでですね。

こういうネットを使ったサービスはあるのですが認知度がないのと50代、60代の人がネットを使って決済とか送金をすることに対してまだ抵抗があるかもしれないですけど、あと20年、30年たつうちにネット使うのが当たり前の文化になって、わざわざ銀行の店舗に行かなくなるのではないかと思います。しかもローコストでやってくれるわけですから、そういう未来が来るのではないかなと、確実に。

そうなってきたら、残る銀行の役割って、多分投資銀行業務みたいなのに特化したすごいクオリティの高い専門性の高いサービスを特定の大企業なんかに提供する会社だったりとか、そういうふうになってくるのかなあと思っています。

アマテラス:

狙っている市場は大きいですね。

妹尾賢俊:

そうですね。ターゲットしている市場規模は10兆円程度だと思います。maneoは中小企業・個人事業主を対象とした小口融資で、これまで主に商工ローンと言われるSFCGとか日栄、今ロプロになってますけれども、そういったところが担ってたマーケットです。これらの主要な会社が社会的批判であるとか、過払い金の返還請求といった問題のなかで、いきなりボーンて消えた状態に近いですね。そうはいっても市場規模としては大きなマーケットだったので、それがいきなり消えると今度はお金が回らなくなる部分がやっぱりあったんですね。

実際のところ、大手銀行はリスクのある中小企業融資にはそんなに積極的ではない。結局そこのマーケットがわれわれのターゲット市場になるのかなと。

銀行に僕も10年勤めさせていただいて、結局銀行出たあと気付いたんですけど、銀行側は借りたい会社・人ではなく、貸したい先しか見てないわけで、でも世の中ね、ほとんど99パーセント以上の企業はそこに対して必要なお金が提供されてない、もしくは、銀行の抱き合わせみたいな感じで営業にからめ取られている状態です。

アマテラス:

私ももともと銀行に勤めていたので耳が痛いです。

妹尾賢俊:

そういう顧客志向ではなく銀行都合の考え方から解放、解放っていうか自由になって、小口金融ニーズとか、既存の銀行や金融機関が応えられていないところに対して応えていける体制を作っていければなあって思っていますね。だから目指す形としては、僕らお金をローンという形で実は出してますけれども、クラウドファンディングみたいな感じのものもやってきたいと思ってるし、あとは今金融庁が検討しているエクイティ型の未公開企業に対する一般個人のネットで小口でお金を募って未公開企業の株式に投資するっていうエクイティ型のクラウドファンディングにも参入していきたいなと思っているんですね。

サービスや会社の認知度向上も重要だが、今は案件審査の仕組化が優先。

アマテラス:

このソーシャルレンディングのビジネスモデルは欧米ではかなりメジャーな仕組みではありますが日本ではなぜ普及していないのでしょうか?

妹尾賢俊:

一つはですね、仕組みの問題だと思います。投資家さんをネット上で集めることに特に制限はないんですけど、お金の借り手さんについて審査をしなきゃいけないんです。審査をするにあたって申し込みいただいた案件から一部に絞っていくんですよ。その絞っていくプロセスが少なくともウチの場合は結局1件1件オーダーメイドで作っていくので、そこのマンパワーの問題で制限があります。

審査はもちろん財務諸表も見ますけど、それだけじゃなくて事業計画の妥当性の検証であったりその会社の実態を定性的に確認したり、そういうことをやっていくと、保全をとるために司法書士さん、弁護士さん、会計士さん、税理士さん、チームを作って1件1件立て付けを作っています。1つの案件やるのに1ヶ月から長いものだと半年ぐらい準備をします。どうしても時間がかかってしまい、ボリューム的にはそんなに急速には伸ばせないと。

結局社員数とか頭数にどうしても比例せざるをえないです。借りたい人はいっぱいいるんですが、対応できていないというのが現実でしょうか。欧米だと、ソーシャルレンディングをやっている会社がたくさん揃っているのと、あとはアメリカの場合は個人向けにファイナンスをしていて、つまり借り手が個人ですね。個人だと事業融資に比べて審査が簡単ですし審査が定型化できます。貸し倒れリスクはボリュームの中で吸収できるやり方をやっているんで、仕組み化することでスケールはしやすい。

ただ、日本でもソーシャルレンディングのニーズは間違いなく大きいので、仕組み化のプロセス構築を準備しているフェーズです。

アマテラス:

まだ日本ではソーシャルレンディングの認知度が高くないという状況もあると思いますが、認知度向上についてはどう対応されていますか?

妹尾賢俊:

おっしゃるとおりですね。どうやって認知度上げてきたのですかということに関して、結局お金を扱う商売なので、僕ら広告宣伝って実は今一切やってないんですね。今のところはクチコミで入ってこられたり、雑誌とか取材で見た方々が投資家さんとして、あるいは借り手さんとして連絡をしてきていただいて、そういう人たちに対してキチっとした案件を提供して、元利金を毎月分配する形で信頼を得ていくというプロセスを踏んでいます。

結局、広告で集めてもアクティブにはならないと思うのですよね。もうちょっと大きいフェーズになって、借り手側の審査の仕組みができるようになって、もっと案件をバンバン出せるようになれば、広告を打つ意味もあるかもしれないですけど、今の僕らの成長ペースって広告で投資家を集める必要は実はまったくなくて、今すでに投資家の資金がウチの中でダブついている状態なので。まずは、審査の仕組化が優先と考えています。

アマテラス:

では、目下の壁としては、事業がスケールできる仕組みづくりはどう考えられているのでしょうか?

妹尾賢俊:

借り手さんをどういうふうに簡易な審査で増やしていくことができるかという仕組みづくりですね。これは事業提携が必要になってくるのかなと思っていて、例えばカード会社さんであるとか法人向けにファイナンスを小口でやっているところで、大きい資金ニーズが企業さんや会員さん方にあるが対応できていないところがあると思います。そういう一定程度のクレジットの審査をやっているようなところとタイアップして、一つ大きなファンドを作っていろんな企業に入ってもらいそこに個人からファイナンスをすると。言ってみれば投資信託に近い形かもしれませんけれども、それをやれば1個がデフォルトしてもほかのところのリターンでカバーできるという統計的な大数の法則ができますので、それを法人向けのファイナンスでもやっていく。ていうのはありかなと思っています。提携するということですね。

アマテラス:

maneoの現在のお客さん(借り手、貸し手)が銀行などではなく、maneoを利用している理由は?

妹尾賢俊:

借り手さんでいうと、個人の方はいなくて、事業会社さんや個人でも事業をやってる個人事業主なんですね。銀行でなかなかファイナンスができないところに対するファイナンスがつくっていうのは一番大きいところです。

もう1つ、宣伝、広告宣伝にmaneoを使っているところもあります。ウチのサイトってまだ全然認知度がないんですけど、maneoで融資を募るとサイト上で1000人2000人の投資家さんが案件を見ます。そういう人たちに対し自社のサービスとか商品とかっていうのをPRする目的でやってた方もいらっしゃいます。PR効果が効いて大きく成長した会社もあります。

投資家さんにとってみれば、小口の面白い融資案件や会社を知ることもできるし、一番はやっぱりリターンですよね。商品としてのリターン。短期で回収できたり、利息が毎月分配されますし、そこはやっぱり投資商品としてのメリット、価値っていうのを個人投資家さんは見出してくださってくれていたのかなと思っております。

融資先となる会社、資金使途なども明確に見えることも面白い。じゃあここに1万円出しましょう、2万円出しましょう、となる。この企業の募集に関しては少なくともちょっとずつ投資するというふうに決めて投資してくださっているという方もいます。

黒字化まで5年。資金繰りに奔走する日々。『頭おかしいだろ』と言われたことも。

アマテラス:

黒字化するまで5年かかりましたがそれまでの苦労話を聞かせてもらえますか?

妹尾賢俊:

いやあもう死にそうでしたよ。うちの会社って、2007年の4月に作って、2008年10月にサービスインしたんですけど、あるベンチャーキャピタルさんからは金融庁の認可がおりないと出資はできないと言われました。

投資家さんがお金を貸すのに、匿名組合出資をやってるから、第二種金融商品取引業っていう免許がいるんですよ。ですが金融庁からは最初は門前払いでした。『頭おかしいだろ』って言われてね。今でこそ金融庁や国が主導してね、こういうサービスやろうってなっていますけど、つい4、5年前の話です。

金融庁にはもうしつこく電話して。おたくが心配してんのはここですよね、ここについては法律的な部分は弁護士さんとこうやって弁護士さんと一緒に行くんでとにかく話を聞いてくれというところからのスタートですよ。

コネも何もないのでとにかく正面突破です。あるのは情熱、熱意だけです。

一応建前としては第二種金融商品取引業ってのは認可じゃなくて登録制なんだから、登録を申請してるんだから、聞いてくれってお願いして。そこから1年半かかってなんとか。

会社を立ち上げて1年半かかって登録ができる間までリスクがあるからベンチャーキャピタルさんが出資してくれないんですね。なので個人の投資家(エンジェル)に頼りました。

共同創業者と個人の投資家さんを駆けずり回って30人ぐらいから運転資金を集めました。
共同創業者の彼はベンチャーキャピタルを経て、シリコンバレーと日本で会社を作って売却したっていう実績もあったし、そのネットワークの中で集めてくれて、それでなんとかグルグル回してきました。システムの開発などは全部自前で作ってるんですが、収入はその間ないし、すぐそばでは(月間のコスト)1000万円近くボーボーボーボー毎月燃えてるわけです。

で、なんとか金融庁の登録がとれそうだってなったときに、初めてベンチャーキャピタルさんが入ってくださって、トータルで5社ほど入ってくださったんですけども、そのやりとりの最中の2008年9月にリーマンショックが起きたんですよね。でもその11月・12月にファイナンスが完了できて、もうギリギリでした。
もう死ぬかと思いましたよ。でもそれで3億超集めたんですよ。

だけど、さっき言ったように最初に月間の収入数千円で、横で1000万円ぐらい燃えてて、これやばい、みたいな。で、全然数字あがんなくって、いろんなこと試すんですが全部裏目なんですよね。もう迷走してるんですよ。

苦しくて苦しくて、で、結局1年ぐらいたったところで、もう1回ファイナンスが必要になったんですね。そのときはでももうベンチャーキャピタルさんもリーマンショックの影響でということでファイナンスができないし、どうしようかと思って。。

そこでたまたまある飲食のFCオーナーさんと知り合いになって、その方がうちの事業モデル気に入ってくれて、出資という形で資金支援をしてくれることになりました。そこから大きなリストラをして、減資もしました。それまで投資してくれた投資家の方にはお詫びして回りました。

そして、ちょっとずつ軌道に乗り始めたんですよ。ちょっとずつ、ほんとにもう、月々数千円の収入しかなかったのが、数十万円になった感じです。それでも今までに比べれば100倍なんで(笑)

法人向けローンへのシフトが業績拡大のきっかけに

アマテラス:

軌道に乗ってきたというのはどんな施策をしたのでしょうか?

妹尾賢俊:

ビジネス向けのローンをちょっとずつ出し始めました。もともとは個人向けローンをやっていたのをちょっとずつ法人向けにも出していきました。すると、収入がちょっとずつ増えてきて、先月は収入が30万円ありましたとか、今月は70万円ありましたとか、伸びていってたんですけど、今度は東日本大震災が起きて、、

311が起きたときって何があったかっていうと、要は節電、節水があって、節電があると飲食店ってやっぱ事業が見えなくなると。資金支援をしてくれていたそのオーナーさんも飲食やってたので、本業に回帰したいと。当然ですよね。

それから2週間一生懸命新しい株主を探しました。 たまたま早朝勉強会ってのがあって、そこへ僕講師として呼ばれたんですよ。講師で呼んでくれた人がたまたまうちの会社を知ってくださってて。 3月18日に新株主を探せといわれたときに何社か声をかけた中の1社だったんですけど、そこが早く一番返事をくれたのでもう時間もなかったから、そこにしますと。で、そこにお金を出してもらいなんとか凌ぎました。

今でもその方は株主さんで、社外取締役で入ってくれてるのもその会社の人です。その会社とうちの事業と親和性があるということもあり、、ほんとに奇跡的なめぐり合いなんですけど。それで一緒にやってちょうど2年ぐらいたちますね。

アマテラス:

そして、法人向けローンにシフトして今に至ると。

妹尾賢俊:

そうですね、シフトしてからガーンと伸びてますけども、もう死にそうでしたよね。まあ外からみたら伸びてはいるんですけど、ここに至るまでグジョグジョですから。自分の向かっている方向が正しいかどうかまったくわからないままやっと。徒手空拳でゼロから事業作っていくんで、しかも世の中にないビジネスでしたから、フォロワーもいない、先にリーダーもいないし、もう、すごくしんどいですよね。

とりあえずなんとか会社を存続できるフェーズまで今来てますから、奇跡に近いというか。自分としては運がよかったな。そのときは苦しいときほど仕事するしかないんで、そこで腐ってもしょうがないし諦めてもしょうがないんで、最後の最後までとにかくやりきる。

で、それができたのは、maneoのサービスを使ってくれてるユーザーさん(貸し手、借り手)がいたからなんです。

その方たちに迷惑をかけるわけにはいかないので、もし潰したらこれもう社会問題になると。だからもうとにかく必死に生き延びることだけをずっと考えて生きてきたんですよね。で、やっとですよ、落ち着いたのはここ半年、1年ぐらい。

次のフェーズを、じゃあここ仕組み化しようとか、将来的にはこういう事業ビジョンにしようとか、こういうのを持とうとか、こういう企業に体当たりして、こうしていこう、というのをイメージできるようになる時間的な余裕ができたのは、ほんとここ最近。もう綱渡りでした。ずーっと綱渡りでした。それはもうこれから先もきついことあると思うんですよ。絶対来るんで、もう絶対来るんですよ。来るもんだと思ってないと。

アマテラス:

外部要因が何来るかわかんないですからね。311だって誰も予測できなかったですから。

妹尾賢俊:

できないです。でも311があって新しい株主さんからの提案もありそこから伸びていった部分もあるし、まあ災い転じて福となったというか、でもまあそれも目の前のことを必死に考えながらやってたから、チャンスを逃さなかったのだと思うんですけど。

もう、ほんとねえ、ずっと迷走してましたから。今から考えるとなんであんなことやったんだろみたいなのいっぱいありますけど。例えば大手クレジット会社と提携して、新事業を始めたのですね、それこそシステム開発して10名以上のエンジニア抱えて1億円近くかけて取り組んだ結果、見事にコケて、融資案件がたったの3件とか。。

じゃあ、俺らはマーケティングが弱いから、プロのマーケターを雇おうということで、アメリカのMBA出た自称マーケティングのプロみたいなのを雇ってきて、全然ダメ。。

そういうのをずーっと繰り返して。
コストを削減するために泣く泣くリストラしたり、オフィスをちっちゃいところに移ったりとか、データセンターもサーバーを死ぬほど抱えていたのに全然客がいないからスカスカで、全部データセンターの構築を変えたり、、、いろいろやりました。ジェットコースターです。

怖い経験をたくさんしました。だから、人増やすことに対する抵抗はあって仕組みでできる範囲であれば仕組み化を追求したほうがいいと思っています。

アマテラス:

本当に怖い思いをされたのですね、まさにジェットコースターです。。 さてmaneoさんの 融資対象先や一回ごと融資金額、融資期間はどれくらいですか?サイトを見ると、鍼灸院とか整骨院とか小口の融資に対応していますね。

妹尾賢俊:

融資先の幅は中小企業がメインですが様々ですね。融資額も千差万別で数百万円とか数億円まであって一概に言えないですよね。最近では単月の融資で合計で7-8億円くらいになってきました。融資期間はだいたい1年ぐらいですね。長いのだと3年、短いのだと2ヶ月とか。

アマテラス:

デフォルト率はどのくらいですか?

妹尾賢俊:

今、法人向け融資のデフォルトはゼロなんです。昔個人向けの貸し出しをサービス開始した当初はデフォルトあったんですが、結局そのときに投資家さんがブワーって逃げてしまったのと、あと個人向け融資っていうのはそれこそ仕組みでやってたんですけど、審査を、1件あたりの貸し出し金額が最大でも200万で、平均すると50万ぐらいなんですよ。利ザヤ収入で儲けていますがせいぜい当時は利ザヤ1.5パーセントとかでしたから、月の収入数千円てこともあって、それじゃもう全然ワークしないんで、ちょっとボリュームがとれるゾーンに行かなきゃということでコーポレート向けのファイナンスに変えたんです。

もともとは個人向けのファイナンス、消費者金融向けのマーケットを狙ってたわけですけども、儲からないし手間もあるということで、個人向けからは完全に撤退しています。

貸出先・融資案件の選定の仕組化、ファイナンス手段の多様化に取り組んでいく

アマテラス:

直近、中長期のmaneoさんの経営課題は?

妹尾賢俊:

さきほどもお話した貸出先・融資案件の選定の仕組み化というところが主な経営課題ですね。短期的にも中長期的に見てもそれは大事です。中長期でいうと、お金を融資するっていう事業をやってますけど、今後はクラウドファンディングも取り組みたいし、投資もやっていきたいですね。

また、資金ニーズに応えるための手段の多様化にも取り組んでいきたいですね。
単純にネットで小口の資金を集めてお金を届けますと。で、届けた対価が株式・エクイティなのか元利金なのか、あるいは特典とか権利なのか。クラウドファンディングについては、投資家に対するインセンティブの設計が違うだけであって、ベースは一緒だと思っているんで、それをラインナップとして揃えていきたいというのはありますよね。

クラウドファンディングのリターンとしての特典とか権利っていうのを少し補足しますと、アメリカにはキックスターターという有名なクラウドファンディングの会社がありますが、例えばゲームの開発資金を集めた場合、出資者はエンドロールのゲームの開発に携わった人として名前がのっかりますとか、そのゲームの最初にプレーさせてあげますとか、そういう特典ですよね。リターンがお金ではない。

maneo社員に求められる業務範囲は広い。

アマテラス:

今後の人材採用、人材戦略について教えてください

妹尾賢俊:

今後強く求める人材とか組織体制っていうのはあるんですけど、結局ウチの今の成長の天井、ガラスの天井は審査をする人の頭数なんですよね。今の状況でいえば、1個1個融資案件を作っていくっていう立て付けでいくのであれば、案件を作っていける人材の数。これが成長のスピードを決める限界目標。

今社員は7人います。社外取締役含めて。
Maneoでは、1人1人に求める業務は幅広いです。融資って貸して返ってくるまでが商売ですから、返って来るまでのところの仕組みができてないので、やっぱりそこまで気を配れることが求められます。つまり、案件を取ってくるだけではなく、貸して、その後のフォローまでしっかりできることが必要です。

うちはノルマないんです。このビジネスってアセットを積んでいけば、ある程度残高があれば回していけるじゃないですか。うち、人数は少ないですし、データセンターの費用とこの家賃ぐらいしコストかかかってないので、固定費なんですよ。結局全部。

まずは利益を出せる体制になってきたので、あとはもう、無理して案件を取っていくっていうよりは、いい案件、自分たちが自分たちとしてお金を投資してもお金を貸してもいい案件だけを拾い続けていくっていうのが大事で。でも、それって結局自分と同じようなスキルを持った人をどれだけ採用するかによって成長速度が決まってくると思うんで、これをほんとは仕組み化していきたいですよね。次のフェーズはそこなんですよ。その準備を始めていて、そうすれば今いる人数でより効率的に収益を上げていけるんですね。

目下の目標は融資残高1,000億円。

アマテラス:

どこまで会社を大きくしたいですか。融資残高とか目標ってあるのですか。

妹尾賢俊:

残高としては1000億円、最低やらなきゃいけないのかなというふうに思ってます。会社、創業してから5年近くになりますけども、ずーっと低空飛行だったんで、目の前のことしかやってこずにここまできましたけど、やっと上昇していけるフェーズに徐々になってきつつあって、夢を形にする力が会社の中についてきていると思います。

現在(2013年6月)の残高でいうと、成約額ベースでいったら85億ぐらいですけど、残高でいったら30億ぐらいですね。

アマテラス:

妹尾さんの夢は?

妹尾賢俊:

会社としては仕組みを作ってボリュームを増やせる体制にして、そこで初めて投資家さんたちに自分たちこんなことをやってますってのをおおっぴらに言えると思うんですよね。まずはそれをやるしかない。直近でいうとです。それは夢というか課題ですけどね。それができればたぶん残高1000億というボリュームも見えてくるし、でも僕個人でいえば僕個人がいなくても回る会社を作るのが大事かなと思っています。組織ってやっぱ、0、1のフェーズと1、10のフェーズと10、100のフェーズで求められる人材は変わってくるので、だから、それを実現するために、IPOやM&Aなりする必要もあると思ってます。

IPOする理由はほんとに社会的な認知・評判、お金を扱っているの意味で、社会的な信頼を高めるというのと、優秀な人材を呼び込める、というのが目的ですね。

アマテラス:

妹尾さんありがとうございました!

この記事を書いた人

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藤岡 清高

株式会社アマテラス代表取締役社長。iU 情報経営イノベーション大学客員教授。 東京都立大学経済学部卒業後、新卒で住友銀行(現三井住友銀行)に入行。法人営業などに従事した後に退職し、慶應義塾大学大学院経営管理研究科を修了、MBAを取得。 2004年、株式会社ドリームインキュベータに参画し、スタートアップへの投資(ベンチャーキャピタル)、戦略構築、事業立ち上げ、実行支援、経営管理などに携わる。2011年に株式会社アマテラスを創業。 著書:『「一度きりの人生、今の会社で一生働いて終わるのかな?」と迷う人のスタートアップ「転職×副業」術』

maneo(マネオ)株式会社

maneo(マネオ)株式会社
https://www.maneo.jp/

設立
2007年04月
社員数
7名(2013年6月時)

《 事業分野 》
Fintech
《 事業内容 》
ソーシャルレンディング事業 お金を貸したい人と借りたい人をネット上でマッチングする融資仲介サービス