CEO INTERVIEWS

起業家インタビュー

Vol.28
2014年06月19日
株式会社ネットプロテクションズ | 代表取締役社長  柴田 紳 氏

株式会社ネットプロテクションズ
代表取締役社長 柴田 紳 氏

最初はみんなから「できるわけない」と言われた事業が今のように成長した。
常識の方が間違っていることが多いんじゃないかと思えるようになった。
ネットプロテクションズは新しい『アタリマエ』を創出する。

はじめに

私がネットプロテクションズ(以下NP)さんに最初に関心を持ったのは、三菱商事の内定を辞退してまで選ばれる精鋭集団のベンチャー企業がある、という噂や評判を聞いた時です。

実際にNP社員と会ってみると誰と会っても一人ひとりがしっかりした考えを持ち、一言でいえば自立している。

なぜこの会社には優秀な社員が集まり、高いモチベーションを持ち活動しているのか?
NPを率いる柴田社長がどのような考えを持ち、どのような経営をしているのか?
強い関心を持たずにいられませんでした。

日本のBtoCのEC市場は約8兆円市場と言われ、いまだ年率10%程度の成長を続けている。NPはこのECの決済手段の中で約22%(約1.7兆円)を占める後払い決済サービスでパイオニアとしての地位を確立し、トップのポジションにいる。
(決済手段の第一位はカード決済(60%)、第二位が後払い決済(22%)、第三位が代引き決済(11%)と続く)

後払い決済は今となっては大手も参入してくる”顕在化”したサービスだが、柴田さんは当初、ほとんどの人から”そんなサービスが成立するはずがない”と言われ、逆境からスタートする。

柴田社長がその逆境の中、どのような考えを持ち、どのようなマネジメントスタイルで今のような尊敬される会社に成長させてきたのか迫りました。

株式会社ネットプロテクションズ
代表取締役社長 柴田 紳 氏
(しばた しん)

【経営者略歴】
一橋大学社会学部卒業後、日商岩井株式会社(現・双日株式会社)に入社。その後、2001年に投資会社であるITX株式会社にて、株式会社ネットプロテクションズへの投資を実行し、出向。2004年、同社の代表取締役に就任。現在に至る。

  • MISSION

    つぎのアタリマエをつくる

  • 事業分野

    金融・Fintech

  • 事業内容

    Eコマースの後払い決済サービスの運営

  • 設立

    2000年1月

  • 社員数

    133名(2014年4月1日現在)

  • 企業URL

    http://corp.netprotections.com/

起業家紹介

柴田 紳 氏

大学受験で得た「あの時あれだけやったしな」と思える自信。

株式会社アマテラス:柴田さんの幼少時から学生時代までの生い立ちについて教えて頂けますか?

株式会社ネットプロテクションズ柴田社長(以下、柴田):生い立ちはそんなに特筆すべき事がなくて普通に親に愛されて育ったという感じです。学生時代は起業は全く意識していませんでした。父親が自営業をしていたので、逆にサラリーマンで働くという感覚もわからなかったですけどね。自分の中ではいろんなことがあったと思いますが、外から見て巨大な挫折や修羅場というのはそこまでなかったような気がします。

小学校時代は強いソフトボールチームのキャプテンで、クラスの中でもガキ大将で、ピカピカ光るような存在でした。中学校に入ると野球をしましたが結構成長が遅くて、そこまで光る存在ではなかったです。運動神経には自信があったのですが、レギュラーを取れなくて。クラスの中心でもないし、野球でもレギュラー取れないし、個人的には挫折体験みたいな感じでした。それでも逃げずに最後まで野球部で続けました。

なんとなく自分の行動を見て自分がどういう人間か気付くというのがあると思いますが中学時代は野球が嫌でしょうがないけど、それでも辞めなかった自分がいて、逃げるのを潔しとしない人なんだなと、そういう自己認識を持てたのは大きなことでしたね。

家庭環境や親の教育でいうと、“自己責任”とずっと言われていました。何かを選ぶときに親からこうしなさいとか、勉強しなさいと言われた事がほぼ無くて。昔から「あんたの人生なのだから自分で決めなさい」と。次男というのもあるかもしれないですけど。

本当にいろんな事を全部自分で考えてましたね。道の決定もそうですし。例えば、高校時代の勉強の仕方も塾では教わった事がないので、勉強の仕方自体を全部自己開発していました。

高校ではサッカー部に入りますが経験ゼロで素人からスタートしているので、自分でどこが弱くてどこをどう鍛えるのか、それを鍛えるためにはこう練習をしなきゃとか、それをずっと自分の頭で考えてやっていたので、勉強もその延長線上でやってという感じです。 

大学は一橋大学に現役で入学しますが、結局、高校時代は塾も通っていませんし、高3の夏までサッカーをやっていました。部活は3年生はみんな5月くらいで引退するのですが自分は冬の全国選手権を目指したくて、3年生15人中1人だけ残ってプレーしていました。結局、県大会行けずに夏で終わってしまいましたが。

高3の時、9月に体育祭があったので、10月から真剣に勉強を始めて、それで学年500人中真ん中くらいだったのが勉強も自分なりに創意工夫して取り組みながら最後には2番まで上がっていました。この経験は自信になりました。

自信はとても重要だと思います。その後の人生で辛い局面に陥った時に「あの時あれだけやったしな」と思えて頑張れる。自信を持っている事はやはり欠かせないのかなと思っています。もしかすると、大学受験は今の会社での経験を除くと一番大きな成功体験かもしれないですね。

EC以外にも本気で市場開拓していく。

株式会社アマテラス:現在、NPの事業は軌道に乗りつつありますがこれからどのように成長していこうとお考えですか?

柴田:後払い決済の事業だけで、今年度、年間の取扱高(流通額)が1,000億円を突破するので、決済ビジネスの中で後払い決済が一角を占める、それくらいの存在になれたなと思っています。ただ、ここまで十何年かかりましたけど、それでもまだEC(E-Commerce)の物販では弊社サービスが導入されていないマーケットがいっぱいあると思っています。

また、最近ではECだけではなく「サービス系」、例えばクルマの鍵の閉じ込めのような突発的に必要になるサービスには後払い決済のニーズがあるのではないか、とか。考えると後払い決済のニーズはいろいろあって、他にも引っ越しだったり、ガスや電気の支払いだったり。ECの物販以外にも、後払いの概念を広げられそうだなと思っています。正直、これまで自分自身で後払い決済事業の可能性をちょっと狭く見誤っていたのかもしれません。ですので今はEC以外にも本気で市場開拓をしようと考えています。
 
それ以外にも以前は無理だと思っていた事でも今のNPだったらやれそうだというところが広がってきています。例えば、高単価商材は後払い決済をしてデフォルト(支払い不履行)して商品だけ持っていかれてしまうと損失が大きく取扱いが難しいと思っていましたけど、今のNPは与信力が高まっているので取り組めるようになっています。
結局、NPの後払い決済で年間1,000億円流通するということは、平均単価が5,000円だとすると、年間で2,000万件の取引データ入ってくるんです。ということは、日本の大体の住所を押えられる。そうすると、リスクの高い商材でも与信分析力があるので防御力が高くなっている。つまりこのようなプロフィールの人はデフォルトする、とかこういう商品を買う人はデフォルトするということがより見抜きやすくなっているので、昔は取り扱えなかったゾーンにも入って行きやすくなっています。加えて、裏側のシステムはより洗練されてきていますし、オペレーション力も上がり、その分運営コストも下がってきています。

例えばカタログ通販の会社で、自社で後払い決済の対応をしているところがあります。彼らは後払い決済に対するノウハウも持っているし、デフォルトリスクも見えている。とは言え、彼らもシステム投資をずっと自前で行うのは面倒だし、うちみたいな専業の会社に任せたい。でも自社で運営するコストもそこそこ安いので外部に任せなくてもなんとかやれるという感じでしたが、今だったらNPに任せた方がコストメリットがでるという話になる。持っている持ち物が変わると、見える世界・景色がだいぶ変わってきていています。ノウハウの強みが尖っていけばいくほど、今まで入れなかった分野にも入っていけるようにになっていて。だから今、NP自身や後払い決済の再定義をしつつある状況ですね。

NPの社員は常に高い付加価値を求められる。

株式会社アマテラス:事業を拡大していくにあたり、正社員の生産性の高さをとても意識されているようですが、そのあたりについて教えてください。

柴田:そのあたりは一番コアな話で、難しい部分でもあると思っているのですが、うちは外部化が進んでいるので、正社員がみんな同じ次元の仕事をやっています。
ちょっと言い方が悪いですが、動くためだけの人を正社員で増やしていくと逆に会社って動けなくなりますよね。NPではそれを避けています。正社員は事業をプロデュースしていくような「企画」と「マネジメント」の仕事に専念して、オペレーション業務に特化した役割は外部にお任せしています。例えば、NP後払いに関してコールセンターや与信審査を担うカスタマーサービスという部署は、ほとんど派遣社員であったり、あるいはアウトソーシング会社からチームで来てもらったりとか。今、8対2とか9対1くらいで、正社員以外の方のほうが多いです。最近ではセールスやシステムも外部化を進めています。

ルーティーン化した仕事=(イコール)マニュアルが作れるので外部化が可能になる。
“仕事って、正社員って何だろう?”ということをよく考えます。こんなに社外の人たちに仕事を任せていけるものなんだなと。ということは、正社員はより高い付加価値を出していく必要がある、ということだと思います。

株式会社アマテラス:正社員は常に事業を創造して付加価値を出していかないといけない、ということは、社員にとってはチャレンジングでもあり脅威でもありますね。

柴田:そうですね。だからNPでは正社員は常に思考して付加価値が出せないと仕事じゃなくなる。
一方で、意欲と能力がある人にとっては、常にチャレンジングな仕事だらけなので、社内のどこで何をやっても楽しい、そういう会社になってきていますね。

以前は僕が新規事業や事業戦略を考えている事が多かったのですが、最近だと、事業のアイデアに関してはほとんどメンバーからの発想なんですよ。もともと絵としてはあったにせよ、僕自身がそれは難しいかもと思っていた事が、メンバーが頑張った事によって、もうできそうだというフェーズに来ていたりとか。だから、自分の予測を超え始めている感じで、すごく良い傾向だなと思っています。

株式会社アマテラス:目下の事業展開について具体的なイメージを教えていただけますか?

柴田:後払い決済事業が柱としてあった上で、BtoB(企業間)ビジネスの強化ですね。後払い決済の強みや仕組みを活かして、企業間、企業同士の取引・決済にも入っていこうとしています。
具体的には、企業間決済の代行をしてデフォルトリスクもNPが負うというモデルです。ここは未開拓で、大きな成長余地があり、何十年単位で伸び続ける事業と思っていますね。

例えば、A社がB社と取引きして、B社に請求をするというプロセスで、A社にとっては請求書を出すのも面倒くさいし、B社がしっかり支払ってくれるかどうかというリスクもありますよね。そこを全て代行しますよという感じです。もちろん金額上限など条件は幾つかあるので見定めながらですけど。特に、BtoCの後払い決済の延長線上というか、少額大量に発生するような取引きだとうちはすごく強いですね。

競合の参入が出始めているが、、対応は?

株式会社アマテラス:後払い決済ビジネスには最近になり大手企業もこの分野に参入してきていますが、その中で競争力をもつためには何が必要でしょうか?

柴田:そうですね、営業先で競合がでてくることが増えてきました。
事業って、何でもそうだと思うんですけど、特にこの後払い決済の事業モデルに関しては、いかに綺麗にシステムを作り込んでいくかもそうですし、オペレーション上のイレギュラーな対応もそうですし、リスクも飲まなきゃいけないし、と極めてバランス感が重要で、バランスを取りながらずっと投資を続けていかなきゃいけない。だから新規参入者がパッと見てやれるものではないと考えています。

表面上は真似できるんですけど、大事なのは裏側のオペレーションの部分だったり、それこそノウハウの塊で、システムを作れば終わりではない。そのうえで誰かがコミットしてずっと考え続けて、ずっと仕組み作りを続けて、しかも数十億円以上のお金が必要で。そこまでの覚悟を持って本当にこの世界にやってきているのか、というところですね。

ドーンとお金かけて全体工事して終わるものでは絶対にない。むしろそこまでは楽で、大変なのはその先なんですよね。運用し始めて、規模が出始めて、イレギュラーが発生しはじめる。でも、このイレギュラー潰すと今度こっちが火吹くぞとか。。

結局、NPは事業を黒字化するまでに6,7年かかっています。

株式会社アマテラス:生半可な覚悟では、6.7年も耐えられないと思いますが、柴田さんが耐えられた理由は何でしょうか?

柴田:最初は、こういう会社を経営できるチャンスを貰えた事への責任感もそうですし、僕が創業メンバーを口説いて参画してもらった人に対する責任感もありますね。正直、最初の頃は上手くいくと思えない時もありましたが、嫌になっても責任があって逃げられない。全力でやって失敗したんだったら仕方ないですけど、そこまではやりきろうという覚悟の気持ちですね。
   
競合の新規参入が出てきて一番心で思っているのは「そんなに簡単にできないぞ」と。

最初は事業の表面上を真似するのは簡単にできるし、大人数で営業をかければいいんだろうという感じでやるんですけど取引を始めると、だんだん裏側の回線が重くなってきて動けなくなってくるんですよね。そうなってくると組織運営も難しいはずで、組織が膨らんでくると必ず営業とシステムと運用がぶつかるんですよね。うちもそういうフェーズがありましたし。この辺を超えていかないといけないので。そんな簡単になるはずがないんですよね。

株式会社アマテラス:必ずどの会社も成長の過程でセクショナリズムが起きてくると思いますが、御社ではどのようなセクショナリズムや成長痛があったのですか?

柴田:運用チームからすると、営業が特殊な案件持ってくるし、お客様にしっかりサービス説明してないからイレギュラーばっかり出してとか。システムはシステムで、リソースもないしお金もない中で頑張っているのに「じゃあ、自分でやってみろよ」とか。セールスはセールスで、頑張って契約してきているのに裏でトラブルばかりで全部クレーム処理してみたいな。
最終的にその矢は経営者に来るので、「何とかして下さいよ、柴田さん!」という感じでした。

結局、一つ一つ正面から向き合って、自分の力全部を使って自分が現場に入っていきました。怒っているお客様に謝りに行って、とか。

その延長線上で、このままだと会社にならないと思いました。だから組織風土って極めて重要で、自律的に考えて前に進んで行くような会社を作ろうと思いました。「良い人材を集めて良い組織風土を作らないといけない」という、その思いが強烈に強かったですね。

なぜNPには優秀な人材が入社し、活躍しているのか?

株式会社アマテラス:組織風土の話になってくると、御社には他社も羨むような優秀な人材が入社し、活躍しています。どのように、ベンチャー企業の御社が今のような組織を実現してきたのでしょうか?

柴田:いくつもありますけどね。自分で言うのもなんですけど、トップが本当にそう思う事が大事だろうなと思いますね。
優秀な人を“使いたい”という概念だと、当然、そういう人材は使われる側としては出てくるはずがない、優秀であればあるほど自分で自分を使いたいはずなので、使われてたまるかと思うと思うんです。なので、トップが人を“使う”という概念ではなくて、その人がその人らしく活躍してもらうために場を作らないといけない。心からそう思う事、理想を掲げる事が重要な気がします。そう思うと全て変えなきゃいけない。まずトップが意識変革しなきゃいけないので、結構しんどいんですよね。「君が働きやすいように場を作るから一緒にやらない?」みたいな。

株式会社アマテラス:極論すると、社長は自分より優秀な人にどんどん来てもらって、その人が活躍するための裏方のような立場になるほうが良いと。

柴田:そうですね。トップとしては気持ち良くないので言葉で言う以上に結構しんどいですよ。
“俺こんなにやってきて、頑張ってこんだけ苦労して会社作って、なんでこんなに褒められないんだ、、”
“みんな気軽に社長をブレストに巻き込むし、、”
“それ違くないですか?とか若手が言ってくるし、、”

俺の言うこともたまには聞いてよ、、と思うこともあります(笑)

でも上から目線になった瞬間に人は離れていく。
社会的に見ても、若くて意欲があって能力があって、そういう社会資本が磨かれて活躍できることって極めて重要だと思っています。かつ、そういう人が活躍しているのであれば、会社は当然伸びやすくなる。だから、経営戦略としても極めて正しい。だとしたら、社長としてはそれを理想としてそういう風に振舞うのは適切だと思っています。

株式会社アマテラス:優秀な人材がその人の能力を最大限発揮できるためには何が必要だと考えますか?

柴田:“場”だと思いますね。“権限”に近いかもしれないですけどね。その人が自分の能力を思いっきり使ってちゃんと結果がでる仕事に取り組めること。

株式会社アマテラス:逆に優秀な人に対して、してはいけない事ってどういうことですか?

柴田:自分が大企業にいて「モチベーションが下がるに決まってる。」と思った事が何度もありました。大企業云々問わず、意欲能力ある若者にとってそれやった心折れるでしょうよというようなことはしないようにするという感じです。
僕が大企業にいて折れたことは会社のためにと思って色々考えて提案しているのに馬鹿扱いされたというか、「勝手なことするな。」みたいな事をすごく怒られた時ですね。だから、邪魔しない事じゃないですかね、やっぱり。
そういう人材が本気で何かをしようとしている事を可能な限り邪魔しない。本当にずれているとしても、「ずれてるよ。」とちょっと教えてあげるくらい。別に上が叩く必要もないので。そこに尽きる気がします。極論すれば僕は褒められなくてもよかったので。とにかく邪魔さえされなければ…という気がします。

株式会社アマテラス:任された人もまだ若くて完璧な人ではないでしょうから、ある程度、厳しく怒られたり叱られたり、「こうなんだ」と言われたい気持ちもあるかもしれません。任せてくれるのは気持ちいいけど大丈夫かなというのもあると思うのですがそのあたりのバランスはどうお考えですか?

柴田:またそこも厳しく怒る文化がないですね。仕事って誰かに価値を提供して影響を与える事だと思うので、そこからのフィードバックがきちんともらえる環境であれば、仕事がうまくいっているかどうかって自己判断できる。それが大事な気がします。例えば営業であれば、ある人はすごく売れているのに自分が売れてなければ、どこかおかしいとか、システム作ったはいいけどみんなからクレームばかり出るぞとか。
結局そういうフィードバックが各所にあるという感じがします。また、そういうフィードバックがダイレクトに得られるように評価制度も工夫しています。全員参加して360度評価をやっていたりとか。「なんか言われて嫌だな。」という仕組みというよりも、それを見て「俺、成長したわ。」とか、「この辺もっと変えていかなきゃな。」とか、みんな自分が成長するツールに使ってくれています。

株式会社アマテラス:御社の採用についても教えていただけますか? 御社の事業内容はパッと見てわかりづらい部分もあると思いますが、それでもとても優秀な人材が採用できていますよね。

柴田:頑張って事業の説明をしてもなかなか全体感が伝わりづらくて、うちの誰かと接触持ってもらって初めて「なんか良さそうな会社だね。」となることが多いです。結局、言葉で伝わっていない気がしますね。新卒にせよ、中途にせよ、うちの何人かと接触をして、みんな同じような色合いでいい感じだと安心感を持ってもらっている気がします。

株式会社アマテラス:御社には三菱商事の内定をもらった学生が御社を選択するということもあると聞いています。失礼かもしれませんけど、社会的に見たら“非合理な決断”だと思うのですがなぜそういうことが起こっているのでしょうか?

柴田:今の三菱商事の内定を蹴るという話だと、その決断を“非合理”と思わない人だからじゃないですかね。それを合理的だと判断する人。例えば、新卒で、別にうちが何も言ってなくても、平気でそういう会社を蹴って、気付いたらうちに来てるみたいな子結構多いですよ。自分の頭でしっかりと考えている人だと思いますね。
でも事実、今22.23歳だったとして、この10年来の社会の動きって凄まじく速いじゃないですか、インターネットの影響で。それを考えると、今の常識が本当の常識なのかどうかって、たぶん誰にも言えなくて。常識が続いてくれと願っている人は結構多いけど、たぶんそうじゃない。それで考えた場合、本当にどちらが合理的かと言われたら、そういう若い思考というか優秀な思考の中で揉まれながら本気で人生考えていけて、自分の力を伸ばせていけるような環境の方がきっと自分自身の価値は上げられる。そう考えると、そういう環境の方が大企業で活躍させてもらえるまで10年待つ環境よりも絶対良い気はしますけどね。
   
実際に、最近の新卒学生のトップ層は本当にベンチャーサイドにどんどん流れている気がしますね。多分そこもインターネットの影響がすごく大きくて。先輩、OBとも簡単に連絡が取れてしまう。社会人2,3年目でベンチャー側にいる人と大企業側にいる人って全く言う事違います。その辺の影響はすごく大きい気がしますね。

この先の未来を考えた時、インターネットという軸を外すことはあり得ないと思うんですよね。インターネットの本質的な価値は絶対把握すべきだと思う。インターネットの本質的な価値や波はまだ全然発揮されていない気がしていて、本当に社会が変わってくるのはこれからじゃないかな。

10年前とかに「社会ってだいたいこんなものだな」と見えていた気がしていたけど、今見えなくなっている。年齢層もそうですし、いろんな層が個別化して存在している気がして、全然全体感がわからないんですよね。

マスメディアからの情報さえ知っていれば、だいたい社会全体が見えるという時代ではなくなってきている。インターネットを使った集合知というのは前には全くなかった概念だし。ニコニコ動画で人の命を助けたりという世界もあったり。
それを考えると、この先の時代で中心的な価値を発揮していきたいのであれば、インターネットという軸は多分外さない方がいいだろうなと。

株式会社アマテラス:今のNPさんに不足していることや経営課題は?

柴田:100%、“人”ですね。今年度、利益も計画通り達成できると思いますが、自社の手金で投資ができる環境になっていく。その場合、投資の対象は、“人”ですね。
ここで言う“人”って言うのは、うちの価値観をちゃんと知っていて、その価値観を飲み込んだ上で成熟した優秀な人材、そこが極めて希少ですね、今。そのポテンシャルがある人材は社内にいっぱいいるけれど、もう少し成熟に時間がかかるので。
やはりここは難しくて、そこは中途採用の人材で一気に埋めていくと未来の若者の成長可能性を奪ったりする。ですので常に全体的にバランスを見る必要があります。

NPで活躍する人は、『成長、協働、誠実』

株式会社アマテラス:御社で活躍している方の人物像など教えてください。

柴田:各所でいろんな人が活躍していますが、最近誰かと「うちエースがいないよね。」という話をしていました。要するに、特定の誰かがすごいトップエースみたいな感じではなくて、そこら中にエースがいる、そんな感じですね。
うちで活躍している社員の特徴は、ネットプロテクションズの5つの価値観というのがあるのですが、それを体現している人がそのまんま活躍しているという感じです。

簡単に単語で言ってしまうと『成長、協働、誠実』ですが、5つの価値観とは、

1:誠実に向き合う
2:力を合わせる
3:本質を考える
4:最高にこだわる
5:自分を磨く

特に若い頃にどの環境にいて何を常識と思うかは極めて重要だと思うんですよね。うちの新卒はその環境を仕事を通じて経験して、「仕事ができるってこういう事なんだ。」と実感できます。まさに、社内がロールモデルだらけという環境です。

株式会社アマテラス:御社を卒業した人のキャリアパスとしてはどういう方が多いですか?

柴田:やっぱり起業をしている人が多いです。
自分で言うのもなんですけど、将来起業を目指しているような人がサラリーマンとして働く上でうちは最高に近い環境な気がしています。待っていて誰かから指示が飛んできてということもなく、それで評価されないですし。一方で、自分で何か物事を進めていく上ではすごくやりやすい。

やはりうちで事業を経験した人だと農耕型の事業をやろうとする人が多い気がしますね。狩猟型の事業ではなくて。それはNPの事業がプラットフォームビジネスで、その魅力を感じて事業ってそういうものだと感じる人が多いからでしょうね。

NPを社会から賞賛され、尊敬される会社にしたい。

株式会社アマテラス:柴田さんのモチベーションの源泉は何ですか?

柴田:思想を突き詰めていくのは超楽しいなあと思いますね。
この会社を通じて、人がこれだけ元気で働いていけるんだよとか、人がこれだけ成長していけるんだよとか、本当に良い風土って作りえるんじゃないかなと思っています。それを突き詰めていきたいという思いはものすごく強いですし、社会に対する成果として、高い価値を提供する存在でいないと意味がないと思っています。この会社は巨大な成果を出しうるんじゃないかなと思っていて、そこを突き詰めていきたいし見ていきたいなと考えているとむちゃくちゃワクワクしますね。

正直この事業を立ち上げていく事そのものが修羅場だった。だからこそ、この会社を社会から賞賛され、尊敬される会社にしようという思いが根底にあると思います。

どこで修羅場をくぐるかというところがとても重要だと思っていて、僕の場合は社会にでるまでは大きな修羅場や失敗はなかったのですが社会に出て最初に失敗している。それは日商岩井が潰れかけて、偶然そういう場にいたからこそこうなったというか、良い経験したなというか。そこで気付きがあって、自分で道を選び始めて、NPの社長になった。そうしたらめちゃくちゃ修羅場があった。

最初の頃はみんなから後払い決済事業を受け入れてもらえなくて、「馬鹿じゃないの?こんなのできるわけないよ。」とかいろんな人からいろんな事を言われました。人は普通、常識外の事って受け入れられないですよね。その事業ですら今のようになるのだから、常識の方が間違っている事が多いんじゃないのかと思えるようになりました。今、目の前のいろんな常識ってたかだか数十年前から作り上げられたものに過ぎなくて、これが今後そのまま続くとは思えないよな、全部疑っていいんじゃないの、と。

人間って出来そうと思えないと希望を持てないじゃないですか。結局その修羅場をくぐったことで、あんなひどい状況でもここまで来れるんだから、もっと行けるんじゃないかとか大きな希望を持てるようになったのは強みだと思うんですよね。

株式会社アマテラス:柴田さんが考える、賞賛される会社、尊敬される会社についてお話いただけますか?

柴田:本当に優秀な人の本当に優秀な思考を活かすと、いい意味で予測不能な事
が発生しうると思います。そのようなことを後押しできる風土を持つ会社ですね。NPはそれができる会社だと思っていますし、よりそういう会社にしていきたいと思っています。

先日読み始めた“ 第五の権力 ~Googleには見えている未来~ ”という本の著者は“ Jared Cohen ”という人なのですが、この人は24歳でアメリカの国の政策アドバイザーに就任していて、32歳でグーグルアイディアズ(グーグルの多国籍事業戦略を研究するシンクタンク)の所長に就任しています。その人を直接知っているわけではないですが、そういう大天才の才能を活かせる場ってなかなかないよなと。どんなに天才であっても、場があって影響が増幅されない限りその価値を発揮しずらい。
なのでうちがそういう器・場になりうるのじゃないか、なりたいなと思っています。たぶん日本でそういう器・場はあまりないなと思っていますが、アメリカだとグーグルなどが当てはまると思います。

NPには真っ当な価値観と真っ当な考え方の上に真っ当な収益性があるので、そういう人材に自由を与えられると思っています。
   
また、NPはかかわる人が全員WIN WINになることができる気がしています。その人個人にとっても思いきり能力を発揮できて幸せだし、それによって社会に成果が出せるのであれば社会も幸せになる。経済的にも利益になって、リターンがあるのであれば会社も幸せになるので、そういう人に活躍する場を提供する事は妥当な経営戦略だと思います。また、そういう場があるという評判がたてばそういう人が集まる会社にもなる。
目指していくその姿になるために、結局ベースの収益が絶対欠かせなくて、やっとそういう状況ができつつある。
   
何かをやろうと思えば、やはりある程度のお金、投資資本がなければできない。そう考えると未来の会社像って溶けていくんですよね、何を中心的にやっている会社かというと、いまのNPは後払い決済ですが十年後、二十年後とかに本当にそうなのかなと。ただ、優秀な人にとっての能力の増幅装置ではありたいですね。

株式会社アマテラス:十年後、二十年後という話ですが、将来、会社が取り組む事業の軸や範囲というものはあるのでしょうか?

柴田:特にないですね。リターンもお金だけじゃなくてブランドというリターンもあってよいと思っています。NPOみたいな事をやる人がいてもいいんじゃないかと。それをやる事によって社会に価値を提供して、「すごく良い事やってるよね。」という評判が会社に戻ってくるのであれば、これも投資価値があると言えるかもしれない。だからその世界を本当に実現しうるのか、実現するとしたらどんな姿なのか、それを見たいじゃないですか。極めて楽しいじゃないですか。
 
自分で今まで事業をやってきて、みんなから批判されて絶対出来ないと言われたような事をやってきたからかもしれませんが、どんなに優秀であってもいろんな土台がないと事業を立ち上げるのは難しいと思っています。
優秀な人にお金をいっぱい払ったら物事が上手くいくかというと、多分そうではない。事業立ち上げは偶然に左右される事が多すぎると思っているので、この会社の中で使えるものを増やして、偶然性を下げて、努力が実る必然性を上げたいと思っています。

自分は本当にいろんな偶然に助けられてここまで来ることができていると思っています。大変なことがありながらもいろんな人に助けられたのもそうですし、とんでもなくあくどい人には出会わなかった。どれだけ頑張っても、ラッキーが起こり続けないとここまで来れななかった。なので、これからチャレンジする人にはもう少し土台を上げてから勝負させてあげたい。

例えば、まともな思想を持って始めた方が成功確度は上がるし、あるいは、プラットフォーム系の事業をやっていくのであれば、プラットフォームはどういうものかというのを肌で知ってからやった方が成功確度は高まる。プラットフォームビジネスをやる場合に、裏側のIT環境やアーキテクチャーはどういう風に設計した方が未来は上手くいくよとか、そういうものを知っている人に教えてもらい、それからやった方が絶対成功しやすい。そういう意味でNP社内には使えるものがいっぱいあります、使える思想だったり知識だったりとか。
何もないところから始めると一個一個自分で考えて突破していかなきゃいけないので、極めて時間もかかるし、リスクが高い。財務もそうだし、どこの株主からお金を調達してくるのか、など。NPは本質的なインキュベーションルームになっていく、そんなイメージですね。

NP志望者へのメッセージ

株式会社アマテラス:最後に、御社に入社を希望する方へのメッセージをいただけますか?

柴田:良い会社だからうちを選ぶってよりも、まだ一緒に作れるようなフェーズなので、一緒に会社を作れるような人に来て欲しい、そこ自体に興味を持って来て欲しいと思います。全社員は60人程度(正社員ベース)ですので、会社が全部見渡せます。

会社という枠組みの中で一部の仕事を任されてやるという感覚と、この会社という枠組み自体を一緒に作っていく感覚は全く別物だと思っています。NPは一定の規模があるのですが、その状況でも作っていく会社としてのチャンスがまだまだ残っていて、一言で言うとおいしいはずです。
   
いろんな事が全部真っ当です。真っ当な人材がいて、真っ当な風土があって、真っ当な考え方をしていて、真っ当に利益を出していて、人事評価が真っ当で。
だからうちと思想が近い人にとっては、うちより良い会社ってほぼないと思いますね。もしあったとしてもうちは抜いていく気がします。しかも年々良くなっていくので。

株式会社アマテラス:柴田さん、インサイトに溢れるお話ありがとうございました。

edited by 藤岡清高

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