今回の転職者インタビューは、スキー場及びゴルフ場・宿泊施設等の経営を通して持続可能な中山間地域を創造している、株式会社マックアースで取締役CFOとしてご活躍の村瀬功さんを訪ねました。

監査法人、コンサルティング会社で活躍をしていた村瀬さん。事業会社で経験を積みたいと次に選んだのは、目に見えるリアルビジネスでした。安定した仕事を捨てて、ベンチャーの世界に飛び込んだ村瀬さん。その選択に至る経緯や覚悟、転職の心構えについて語っていただきました。
村瀬 功 氏
株式会社マックアース
取締役CFO 村瀬 功 氏
東京大学経済学部卒業後、優成監査法人に8年、AGSコンサルティングに2年勤務の後、2014年株式会社マックアースに入社。執行役員経理部長を経て、2016年現職の取締役CFOに就任。
公認会計士。趣味はスノーボード。
株式会社マックアース
設立
1985年(株式会社マックアースの前身である株式会社パークホテル白樺館の設立年)
社員数
396名(グループ正社員合計)
《 Mission 》
①スキー場及びゴルフ場・宿泊施設等の経営を通して持続可能な中山間地域を創造する。
②教育活動の一端を担う者として青少年の健全育成に寄与する。
③ホスピタリティを通して社会に貢献する。お客様第一主義による社会益の実現
④真のリゾート再生
《 事業内容 》
中山間地域リゾート施設の運営
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仕事の選択肢が増える。その思いから公認会計士の資格を取得

株式会社アマテラス:現在村瀬さんが携わっている仕事について教えて下さい。

株式会社マックアース村瀬さん(以下、村瀬):
マックアースは大きく本部と各エリア事業部に分かれていて、本部には管理本部・索道施設管理部・マーケティング部があります。その中の、管理本部長として、管理全般を統括しています。財務、経理、人事、総務、及び部署にはありませんが、経営企画も含まれます。執行役員経理部長を経て、2016年9月より現ポジションの取締役CFOになりました。

入社当時は管理体制が不十分で、私は連結決算の作成・IPO準備をする役割でマックアースに参画することになりました。

株式会社アマテラス:村瀬さんの生い立ちを教えて下さい。

村瀬:
転勤族の父の仕事の関係で、富山県で生まれ10歳まで過ごしました。特に勉強はせず、田舎で元気に遊んで過ごしていました。
その後父の転勤で、10歳から18歳までの間を広島で過ごしました。小学校5年生の時、周りの友人の影響で塾に通いはじめ、中高一貫の進学校に入学しました。

中高時代はテニス部に所属し、部活と勉強を両立していました。入学してからは成績は真ん中より少し上くらいでしたが、高校2年生の頃から本格的に勉強に力を入れ始め、東京大学に進学しました。

大学入学後すぐに公認会計士の勉強を始めました。小さい頃から数字を見るのが好きだったこともあり、また、資格があれば仕事の選択肢が増えるし生きていくのには困らないとの考えから、高校生の頃から将来は公認会計士を目指そうと考えていました。途中テニスに専念した時期もありましたが、卒業した年の10月に公認会計士2次試験に合格しました。

その後優成監査法人に入所し、8年半程経験を積みました。

ベンチャーの世界に飛び込みたく始めた転職活動

株式会社アマテラス:そこからAGSコンサルティングに転職されていますが、きっかけはどのようなことですか?

村瀬:
監査法人に入所した頃は、「将来は代表になるぞ」と息巻いていた記憶がありますが、月日を経てマネージャーに昇格し、将来のパートナーへの道が見えてきた時に、「自分は監査の道で生きていくのか」と自問しました。その答えは「NO」でした。監査という人が作ったものをチェックするのではなく、自らが主体的に創り上げる仕事がしたいと考えました。そこで、事業会社で経験を積もうと思いました。ただし組織が出来上がってる大企業には全く興味が無く、ベンチャー企業で働きたいと考えていました。

監査法人を辞める際にもベンチャー企業を何社か受けたのですが、その時にはご縁がありませんでした。当時は監査法人で監査しかできませんでしたし、事業の経験がなく、今思えば未熟でした。

そこで一旦、コンサルティングファームに転職しました。先ほども言ったように、事業会社や事業寄りの事をやりたいと思っていたので、AGSコンサルティングでも事業再生部門を希望し入社しました。

コンサルティング会社が踏み込める限界を感じていました

株式会社アマテラス:コンサルティング業界で経験を積み、アマテラスにベンチャー転職の相談に来られましたが、その背景、きっかけはどのようなことですか?

村瀬:
AGSコンサルティングでは、顧客の個々の要望に応じて、会計・税務顧問、IPO・M&A、事業再生のお手伝いをしていました。特に私は、事業が傾いた企業にコンサルティングとして入り、現状を把握分析し問題点の改善を事業計画に落とし込み、再生計画の策定の支援をする仕事をしていました。
人が作成した物をチェックする監査法人とは違い、自分で事業計画を作り込める事に面白さを感じていました。AGSコンサルティングは社内の雰囲気も人も良く、自分自身も成長していると思えました。

しかしコンサルティングの仕事は、基本的には顧客、企業側の立場として仕事をしますが、再生計画を立てて、金融機関に報告をして終わりです。そこでコンサルティング会社ができる事の限界を感じていました。アクションプランを着実に実行するためにするべきことはわかっていましたが、それ以上踏み込むことは立場的に難しく、自ら企業に入らなければできないことを痛感していました。物足りなさを感じていました。

目に見えるリアルビジネスがしたい

株式会社アマテラス:経営サイドに入るなら、ベンチャー企業だと思われたんですね。多くある選択肢の中、マックアースを選んだ理由を教えて下さい。

村瀬:
リアルな物、目に見える手触り感のある事業が良いなと思っていました。数字の専門家なので、ついつい数字を見てしまいます。事業会社に入っても、例えば金融系企業に入っても似たような感じで、現場から遠いところで数字だけを見て仕事をするのは面白くないと思いました。その思いは今も変わっていません。いわゆるBtoBビジネスよりも、生活や人生に関わっているビジネスのほうが、関心を持ちやすかったです。

株式会社アマテラス:リアルなビジネスで革新的なことやっているベンチャー企業は少ないですね。

村瀬:
初めにマックアースに興味を持ったのは、スノーボードが好きなことからでした。その後、業界を変えていこうとする風雲児である一ノ本がいること、成長、IPOを目指していることを知りました。

IPO、M&A、事業再生の分野は、監査法人及びコンサルティング会社にいた時にある程度経験していました。業績の傾いたスキー場をM&Aして事業再生することを主たる事業とし、IPOを目指しているマックアースにおいては、まさに自分の経験が活かせるし、活かして自分自身も更なる成長ができると思いました。

株式会社アマテラス:CEOの一ノ本さんに会われたのも大きな決め手ですか。

村瀬:
そうですね。第一印象はとても気さくな人という印象でした。転職する際にはトップの人をしっかりと見て、ついて行きたいかどうかを判断しようと思っていました。一ノ本に魅力を感じた記憶が鮮明にあります。

それと同時に事業内容に強く関心を持ちました。当時これだけの規模のスキー場再生を独立資本でやっていたのは、マックアースくらいしかありませんでした。

未完成なものを整えるつもりで入社

株式会社アマテラス:入社直後はかなり業務も多かったようですが、ベンチャー企業はハードな環境だという覚悟ができていたのか、それとも村瀬さんがポジティブなのか、どちらなのでしょうか?

村瀬:
両方ですね。監査法人の時も、クライアントは中小企業でしたし、AGSコンサルティングでも中小企業の再生を行っていました。中小企業は様々なことが、大手と比べて整っていなことはわかっていたので、未完成のものを私が整えるつもりで入社しました。

入社当初はCFOの上司の元で様々な業務を担っていて、業務面ではかなりのボリュームがありました。はっきり言えば面倒だなと思うことも多かったですが、当時のフェーズではコスト面から、すぐに人を増やすことはできませんでした。全て承知の上での入社でしたし、仕事量が多いことには慣れていました。忙しい状態がずっと続くとは思っていませんでしたし、続いても1、2年位だと思っていました。それが普通のことであるし、修行だと思っていました。そういう意味ではストイックなのかもしれないですね。(笑)

困難を乗り越えることが自分のためになると、いつも思っています。それがプラス思考と思われるところでしょうね。どのような状況に置かれても決して何かのせいにはしないところが、私の強みなのかもしれません。困難な状況を乗り越えたからこそ、皆が信用をしてくれて、今の立場があるのだと考えております。

転職当時の想いを振り返る村瀬氏(写真左)とアマテラス藤岡(写真右)

IPOを目指していたのが一転業績悪化

株式会社アマテラス:困難を乗り越えたことを皆が見てくれていたのですね。雪が降らない時期があり、上場スケジュールが大幅に狂い、業績が一時悪化した時の社内の状況はいかがでしたか。

村瀬:
2015-2016シーズンが50年に一度の暖冬で、2016-2017シーズンも前年ほどではないですが暖冬でした。それまでも大幅に利益が出ていたわけではなく、そのような状況下で暖冬が続いたことにより、業績は落ち込みました。社内は大混乱でした。この前までIPOを目指していたのが一転、会社の危機的状況を乗り越えるためにどうすればよいかという状況になりました。社内で議論を重ね、会社一丸となり難局に立ち向かいました。苦しい状況を打開するための計画を策定し、ファイナンス交渉を行いかつ、スポンサーから増資を行ったことにより、資金面では一旦落ち着きました。

業績が落ち込んだ一番の理由は、暖冬によりスキー場の積雪量が不足したことです。我々のビジネスはスキー場の収益がメインなので、どうしても冬場の売上が多くを占めます。ホテルとゴルフ場の経営も行っていますが、ホテルもスキー場近くの立地が多い為、圧倒的に冬場の売上が多く、暖冬になるとスキー場の業績と連動して悪化してしまいます。

現在はゴルフ場やキャンプ場など、夏の事業を強化しています。なるべく冬場のリゾートビジネスを縮小させるのではなく、追加の収益を作ろうとしています。天候リスクを分散させ、季節の異なる事業との一体運営で、売り上げの安定化を目指しています。また事業所がいくつかある中で、良くしていけるところもあれば、良くならない事業所もあります。この赤字の事業所を続けて、黒字になるかどうかは社内で議論になります。時には勇気をもって撤退を提言することも、CFOとしての重要な務めであると考えています。

知らないことを経験することは、実に面白いです!

株式会社アマテラス:改めてCFOに就任をされて仕事の守備範囲も広がったと思いますが、変わったことはありますか。人事などは未経験分野になりますが、困難に感じることや、ご自身の課題はありますか。

村瀬:
仕事がとても面白いです。入社当初は上司にCFOがいて、その下で仕事をしていました。社内調整、社外とのやりとりはCFOがしていたので、その時は知らないことや接する機会がないことが多くありました。今は管理本部の中のことも把握し、調整もするし、会社全体のことも見ています。またCFOとして社外とのやり取り、さらに株主対応もあります。大変ではありますが、実に面白いです。

人事・総務は未経験でしたが、しっかりと仕事をしてくれる人に任せています。ベンチャー企業ですが、ある程度会社の規模があるので、分業が進んでいます。CFOが自ら全部やることはないので、管理本部をまとめる上で特に困難に感じることはありません。経営陣の一人として、CEOと一緒に会社をうまくまわせているかどうかはまだわかりません。管理本部を機能させることはできても、会社全体をまわしていくことは、まだまだ勉強が必要だと自分自身では感じています。

大好きなスキー場を通じて、地域を活性化!

株式会社アマテラス:マックアースで実際に働いてみて、その魅力や面白さはどこにありますか?

村瀬:
マックアースには、スキー・スノーボードが好きな人、山が好きな人、トレールランニングが好きな人など様々な人がいます。基本的に自然が好きな人が多いです。大好きなスキー場を通して、地域創生など事業で課題解決ができる事に、我々は喜びを感じています。中山間地域の活性化に役立っていることを実感できることは、大きな励みになります。

一方で、今できること、これからやらなくてはいけないことも多くあると感じています。地域を活性化し雇用を生み出し、持続可能な地域にしていくことが我々の目指すところです。

岐阜県鷲ヶ岳スキー場

ポジションも年収も求めません。評価されて自分の力で上げていけばいいんです。

株式会社アマテラス:ベンチャー企業への転職に不安はありましたか。また、はじめ給与が下がることが多いですが、奥様の反対はありませんでしたか。

村瀬:
ベンチャー企業で自分ができることは多いと思いましたし、成長できると思ったので、特に不安はありませんでした。万が一、自分や会社の成長が感じられない時には、やり方を考えればいいと思っていました。

入社時給与は下がりましたが、妻には何も言われなかったです。数字のプロということもあり、私が財布を握っていましたので。公認会計士の資格も持っているので、路頭に迷うことはないと思えたことも、安心材料の一つだったのかもしれません。

株式会社アマテラス:村瀬さんのような優秀な人がリスクを取ってベンチャー企業に転職をする。アマテラスに相談に来る人は初めてのベンチャー転職の人が多いのですが、転職における心構え、意味のある活動、年収への心構えなどアドバイスはありますか。

村瀬:
やはり社長に会うことは大切だと思っています。社長とつながってやりとりしないと、ホームページの情報だけでは、情報のギャップがあります。ベンチャー企業への転職のミスマッチの1つの要因として、社長に対する理解が浅く、社長と話さずに入社してしまうことがあると思っています。ベンチャー企業は、良くも悪くも社長の影響を強く受けるということを、社長を支える経営陣の1人となった今、身をもって感じています。経営や社長に対する理解をした上で、転職をするのが大切ではないでしょうか。

入社時に年収が下がることは当然だと思っています。私の場合は、「たとえ一時的に年収が下がっても、将来的に子供ができ学費が必要になった時に上がっていればいい。それまでに自分の力で上げればいい。」と思っていました。実際ある程度年収を下げて入社しましたが、現在は元の水準以上に上がりました。

また入社時から高いポジションに就くことは求めていませんでした。パフォーマンスを上げて評価されることにより、将来的にポジションが上がることを望んでいました。

まずはしっかりと自ら結果を出すことが大切で、その結果が評価に結びつくと思っています。

逆に転職に失敗をする人は、会社や周りに多くを求めすぎる人だと思います。ベンチャー企業は大手と違い、やることが決まっておらず、マニュアル通りにやればいいわけではありません。未完成な部分も多いので、それらを受け入れられる人が向いていると思います。マインドのところですね。

株式会社アマテラス:リスクを取ってチャレンジをしてきた人には何かしらのリターンが合って欲しいと思っています。結局、村瀬さんのように、実力のある人はポジションも待遇もあるべきところに落ち着いていくように思います。

マックアースとしては再び成長軌道へ、個人としては“スーパーCFO”へ

株式会社アマテラス:マックアースの今後の展望、及び村瀬さんの今後の目標について教えてください。

村瀬:
マックアースとしては、もう一度成長軌道に乗りたいと考えています。直近2シーズンが暖冬により業績が落ち込みましたが、これを機に先ほどお話したように不採算事業からの撤退を含めた“選択と集中”を行い、季節変動リスクを低減するための夏事業の強化を推し進め、その結果収益力が向上しております。今シーズンは雪にも恵まれ、スノーリゾートは順調に運営しております。今後は、過去に目指して一度断念したIPOも再度視野に入れながら、成長戦略を実行していく予定です。

私個人としては引き続き激動する会社をしっかりと支えて粉骨砕身してまいります。危機的状況を踏ん張るフェーズから成長フェーズまで会社を支えることができれば、CFOとしてもう一段階レベルアップできるのではないかと考えています。
現在の自分はまだまだ駆け出しのCFOですが、困難を乗り越える経験を積むことでよりハイレベルなCFOに成長できると思います。将来的には他社からもお声がかかるようなプロ人材、すなわち“スーパーCFO”になることが現在の目標です。

ベンチャー企業で働く魅力は、自分の存在価値を感じられることです

株式会社アマテラス:最後にベンチャー企業で働く魅力を教えて下さい。

村瀬:
大企業だと、自分の知らないことも多くありますし、いつ辞めても会社は回る。それではつまらなく感じます。

ベンチャー企業の魅力は、やはり自分が会社を動かしている感じがするところ、裁量があるところだと思います。自分がいなければ会社は回らないと思えます。(傲慢ですみません。)実に面白いです!

株式会社アマテラス:本日は素敵なお話をありがとうございました。

edited by 岩崎恭子
株式会社マックアース
設立
1985年(株式会社マックアースの前身である株式会社パークホテル白樺館の設立年)
社員数
396名(グループ正社員合計)
《 Mission 》
①スキー場及びゴルフ場・宿泊施設等の経営を通して持続可能な中山間地域を創造する。
②教育活動の一端を担う者として青少年の健全育成に寄与する。
③ホスピタリティを通して社会に貢献する。お客様第一主義による社会益の実現
④真のリゾート再生
《 事業内容 》
中山間地域リゾート施設の運営
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