新規事業を成功させ続け、子どもが「大人になりたい」と思える未来をつくる

Marche株式会社代表取締役 水島 悠介氏

2023年、1年間で立ち上がるスタートアップの数は2,000社に登ると言われています。また、大手でもオープンイノベーションやCVC、ジョイント・ベンチャー等、新規事業の立ち上げに取り組む企業が目立つようになってきました。

しかし、そういった新規事業の多くがなかなか上手くいかないもの。この理由の一つに、その事業のフェーズに合ったマーケティングが出来ておらず、売上を立てられていないことが挙げられます。

そんな茨の道である新規事業の立ち上げに特化したマーケティング支援を行っているスタートアップが存在します。今回紹介するMarche株式会社は、挑戦者の火を絶やさないために、これまでに多数の新規事業立ち上げフェーズを支援し、成果を創出し続けているとのこと。

また、同社の代表取締役である水島悠介氏は、大学時代からスタートアップ社員として働き、新規事業のグロースを多数経験してきた実績の持ち主でもあります。

そこで今回は、なぜ水島氏は10代からスタートアップの世界に飛び込み、マーケティング支援分野で起業したのか。彼の生い立ちから創業までの経緯、そして経営者として今後目指す未来について、詳しくお話を伺いました。

水島 悠介氏

代表取締役
水島 悠介氏

大学2年時にスタートアップ社員としてジョイン。メディア事業部の流入責任者を務め、400人のディレクション・SEO戦略を行い、月間400万PVから1億PVまでのグロースを達成。その後、累計35億円もの資金調達を行うVISITS Technologies inc.にて1人目マーケターを務め、B2B/B2Cマーケティング部の立ち上げを行う。24歳で独立。その後、Marche inc.を創業し、日夜、新規事業成功の再現性を追いかけている。

Marche株式会社

Marche株式会社
https://mar-che.com/

設立
2020年09月
社員数
30名(業務委託等含む、2024年8月時点)

《 Mission》
子どもが「大人になりたい」と思える世の中を創る
《 事業分野 》
マーケティング、コンサルティング
《 事業内容 》
私たちMarche株式会社は、新規事業に特化したマーケティングを中心とした成長支援を行い、企業の事業成長をお手伝いしています。クライアントに合わせたセールスマーケティングのロードマップの作成・その実行支援を軸として、企業のフェーズに合わせたプロフェッショナルチームを組成し、幅広い施策を通じて企業の発展を後押しします。

子どもが「大人になりたい」と思える世の中を創りたい

アマテラス:

まず、水島さんの生い立ちからお伺いします。現在に繋がる原体験のようなものがあれば教えてください。

Marche株式会社 代表取締役 水島 悠介氏(以下敬称略):

私は横浜生まれで、子どもの頃から祖父の影響を強く受けながら育ちました。祖父は、亡くなった両親に代わって5人の弟たちを養いながら、日本大学の夜間部で経営を学び、21歳ぐらいのときに起業して印刷会社を立ち上げた経歴を持つ人です。

そんな祖父は地域の方々から慕われていて、「すごい人」だという評価や「困ったときに助けてもらった」といった感謝の声を、よく耳にしていました。祖父の話を人から聞く度に、「おじいちゃんみたいになりたい」という憧れ、子供心に社長になりたいと自然に思うようになりました。

しかし、大学生の時に「社長になるだけではダメだ」という当たり前のことに気づきます。起業は目的ではなく、手段であり、何を成し遂げるために社長を目指すのかを少しずつ考え始めました。 

そんな時にきっかけとなったのが、当時アルバイトをしていた学習塾での出来事です。教え子から「大人になりたくない」という言葉を聞き、大学の同級生もまた「大人になりたくない、就職したくない」と話し、社会人の方も同様の反応をしていました。

祖父に憧れ、子どもの頃から少しでも早く大人になりたがっていた私にとっては驚きでしたし、「世の中には、大人になりたくないと思いながら大学を卒業し、そのまま人生を終える人たちもいるのだろう」と初めて知りました。

そこから、「彼らを何とかしてあげたい。ならば、『子どもが大人になりたいと思えるような世の中を創ろう』」と考えました。そのとき、私が起業する目的が定まったのです。

インタビューは東京都渋谷区のMarche社オフィスにて行った。水島氏(左)とインタビュアーの弊社藤岡(右)

週120時間ペースで3ヶ月働き続け、ROIの感覚を養う

水島 悠介:

起業する目的が定まったところで、まず取り組んだのが、学生向けイベントの運営です。これが途中までは上手くいったのですが、就職などの理由から主力メンバーが全員離脱し、運営が困難になってしまいました。

そのため、関係者に謝罪の連絡を行っていったのですが、その中で、あるスタートアップ企業から「うちで修行しないか」と声をかけていただいたことをきっかけに、入社を決めました。

入社当初は、イベント運営の経験からすぐに活躍できるだろうと自信を持ってました。ところが、焦って空回りをする日々が続きました。そして、ある時に「目標達成してないし、いらない」とまで言われてしまいました。

とにかくショックでした。「もう家に帰る時間も惜しい。何が何でも成果を出す」と行動を改めました。そこからはオフィスに寝泊まりしながら、朝9時から朝の5時まで、週120時間ペースで3ヶ月働き続けました。

このお話をすると、皆さん「壮絶ですね」とおっしゃいますし、自分でも人には勧めがたい経験だったとは思います(苦笑)ただ、今思うとやってよかったなと思っています。なぜなら、様々な仕事に携わりつつインプットを増やしていくうちに、ROIの感覚を養うことができたからです。

経営陣を説得し、売上30倍を達成した成功体験

水島 悠介:

気が付いたら、「どのコンテンツを作ったら、どのくらいのスパンでリターンが出るのか」をシミュレーションできるようになっていた私は、当時携わっていた事業についてもROIを見直すことにしました。

すると、コンテンツ制作から回収までのスパンに3ヶ月かかるという判断が下せました。つまり、3ヵ月のキャッシュフローが回る範囲内で事業投資をすれば、大きく売上を伸ばせる見込みだったのです。

そこで、財務モデルからきちんと計算し、根気強く経営陣を説得し続け、社員数10人の状態から一気に300人を採用できるようにしていきました。結果、売上も30倍以上にまで成長させることができたのです。

もちろん、これは自分ひとりの力ではなく、様々な方からのサポートあっての成果です。しかしながら、財務シミュレーションをもとに経営陣を説得し、実際に事業を伸ばせたことは非常に大きな成功体験となりました。

新規事業が成功する、属人化しない仕組みをつくる

アマテラス:

その後、転職をされた後に独立されたと伺っていますが、起業されてからはどのように事業を進めてこられたのでしょうか。

水島 悠介:

別の企業に転職してから数年働いた後に独立したのですが、しばらくは厳しい状況が続きました。そこから抜け出す転機になったのが、起業2年目にいただいたHR系の企業とのご縁です。

事業内容への共感もあり、社内のメンバーと同等以上の熱量をもって業務に取り組んでいたのですが、その経験から自分の中である1つの仮説が生まれました。

「自分が中に入ってディレクションを行い、マーケティングのポジション全てにそれぞれ得意な人をアサインしつつ、事業を立ち上げていければ強いマーケティング組織ができるのではないか?」と考えたのです。

そこから、頭に浮かんだ仮説をひたすら実直に行動し続けていった結果、行き着いたのが今の事業です。

実際に、SEOコンサルや広告運用といったパッケージではなく、「自分にしか出来ないこと」をサービスとして提供できるようになったあたりから、如実に成果が上がり始めました。

一方で、どうしても属人化してしまうという課題もあります。なので、今は誰がフロントに立っても成果を創出するための仕組み化に取り組んでおり、新規事業が成功するための定石を編み出したいなと考えています。

これは難しい挑戦ですし、再現性を持たせながら新規事業を成功に導くのは大変なチャレンジです。今の人材モデルでは難しいことも何となく分かっています。それでも、自分の人生をかけて挑む価値のあるテーマだと感じています。

Marche社の導入事例・クライアント紹介

一生かけて事業を成し遂げる覚悟のもと、採用を強化

アマテラス:

これから事業を展開していくにあたり、採用を強化していく予定と伺っています。採用にあたって大切にしていることなどがあれば、教えてください。

水島 悠介:

子どもが「大人になりたい」と思える世の中を作る」という想いに本気で共感し、それこそ一生かけて一緒に追いかけてくれる仲間を、きちんと採用したいと考えています。

私はスタートアップを成功に導き、日本から新興産業を次々生み出していくことが、目指す社会に繋がると信じています。だからこそ、事業売却も上場もするつもりはなく、余程のことがなければずっと取り組んでいきたいです。

短期的な売上を追うのではなく、人生をかけて事業を成し遂げる。これからの仲間には、その想いをきちんと伝えていきたいと思います。

アマテラス:

前職の上司だった齋藤氏がCFOに就任されるまでの経緯についても、合わせて教えていただけますか?

水島 悠介:

実は齋藤さんには、彼が前の会社を退職される際に「水島が起業したら、CFOをやらなきゃな」と言ってもらっていました。また、彼自身も家族を大事にした生き方をしていて、子どもが「大人になりたい」と思える世の中を創る必要性を感じていたそうです。

実際に、彼がジョインしてから組織が大きく進化している実感もあり、やはり目指す世界への共感は重要だと感じています。

社内ミーティングの風景

新規事業を成功させ続け、子供が大人になりたい未来を目指す

アマテラス:

最後に、Marche社の今後の展望について教えてください。

水島 悠介:

私たちはこれから「新規事業を成功させる仕組み」の構築に取り組んでいきます。この仕組みは5ステップに集約されると考えています。

まず最初に「お客様に何が必要に提案する」コンサルティング機能、次に施策の専門家達を揃えて「施策をクイックに立ち上げる」段階、そして3番目に「施策とROIが合ったのかのジャッジ」ができる状態にすることが必要です。 

そこからROIが合うところまで確立できたら、4つめに「運用のコストを下げ、成果を維持し続ける」フェーズに移行し、最終的に「チャネルが複数立ち上がったものを比較し、どれが一番ROIが高いかを計算した上で、調整しながらポートフォリオの最大化を図る」ことができれば、新規事業が上手くいく仕組みができると信じています。

現在は、「ステップ1でやるべきことを作り、ステップ2〜4を高速で回す」ことに取り組んでいる最中で、それぞれのステップを推進するメンバーを増やしていくことが重要です。

最後に、私たちの仕事は「信用の商売」です。だからこそ、お客様の課題を解くべく、日々戦っています。仮に上手く行かなかったとしても「よくやってくれた」と言っていただけるレベルまでとことんやり切るようにしています。

新規事業における顧客獲得のプロ集団として、私たちはいつだってお客様と共に傷つきながら駆け抜ける伴走者でありたいと思っています。そして、挑戦するかっこいい大人たちと茨の道を走り抜いた先に、子どもが「大人になりたい」と思える世の中が待っていると信じています。

よりよい世界の実現にむけて、私たちと挑戦を続けていきたいという熱量ある方と出会えたら嬉しいですね!

アマテラス:

本日は貴重なお話をありがとうございました。

この記事を書いた人

アバター画像


ただゆり

広島県広島市出身。国際基督教大学卒業後、外資系製薬会社のMRとして勤務。その後、心身を壊し、10年ほど障がい者雇用の現場を経験。30代で県立広島大学大学院に飛び込み、社会福祉学を専攻。並行して、社会福祉士資格を取得。「データ扱いではなく、人の物語に光を当てたい」との思いから、大学院卒業後、インタビューライターとして起業。その後、大阪のベンチャー企業の経営に参画し、ベンチャーキャピタルJAFCO様の広報サポートの他、スタートアップ領域の広報に広く携わる。2024年9月に合同会社そうを設立予定。アマテラスには、2022年8月よりパートナーとして参画。

Marche株式会社

Marche株式会社
https://mar-che.com/

設立
2020年09月
社員数
30名(業務委託等含む、2024年8月時点)

《 Mission》
子どもが「大人になりたい」と思える世の中を創る
《 事業分野 》
マーケティング、コンサルティング
《 事業内容 》
私たちMarche株式会社は、新規事業に特化したマーケティングを中心とした成長支援を行い、企業の事業成長をお手伝いしています。クライアントに合わせたセールスマーケティングのロードマップの作成・その実行支援を軸として、企業のフェーズに合わせたプロフェッショナルチームを組成し、幅広い施策を通じて企業の発展を後押しします。