パーソナライズされたサービスの需要が高まる現代において、人体データを活用した新たな価値創造が注目を集めています。個々の消費者データを基に、さまざまな業界で個人に合わせたサービスや商品が提供され始めています。
人体データの活用が認知されてきたのは比較的最近のことですが、創成期から「一人ひとりの幸せ」を実現するべく、最先端の研究を続けてきたスタートアップがあります。それが株式会社VRCです。
同社は、見た目情報、空間情報やボディデータ、バイタルデータなどの人体情報をタイムリーかつ精度良く、マルチモーダルに取得・管理できるインフラやプラットフォームの構築に取り組んでいます。同社が目指しているのは、エンドユーザーが自身の状態をより正確に把握できる環境を提供し、それに基づいて健康、アパレル、エンターテインメント、メモリアルなど多岐にわたる分野でサービスをシームレスに利用できる経済圏(エコシステム)の創出です。
VRC社代表取締役の謝英弟(シェー・インディー)氏は、若くして中国から日本へと渡り、最先端の技術の追求を通じて、人々のより良い暮らしの実現を目指してこられました。彼の事業にかける思いや、さまざまな壁を乗り越えた先に描く壮大なビジョンについて、詳しくお話を伺いました。
代表取締役
謝 英弟氏
2010年、早稲田大学で画像処理に関する研究で博士号を取得。同大学の教員を経て、2010年にMEDIATEKに入社、その後2012年にサムスンへ移籍。その後、技術の発展と人間社会の進歩に貢献したいという強い思いから独立を果たした。2016年には、人体データの活用により、日常生活に密着したパーソナライズドサービスを提供したいという思いから、株式会社VRCを設立し、代表取締役に就任した。トリプルE経営(Efficiencyー効率、Ecologyー環境にやさしい、Equilibriumーバランス)を信条とし、事業面と社会貢献面の両立を目指している。
株式会社VRC(ブイ アール シー)
https://www.vrcjp.com/
- 設立
- 2016年05月
- 社員数
- 非公開
《Mission》
個々の消費者データのキャプチャリングとデジタル基盤のインフラを整備し、さまざまな業種がシームレスにパーソナライズされたサービスをエンドユーザーに提供できる環境を作る。
Create global infrastructure to enable personalized service, both on digital platform and hardware for consumer data capturing.
《事業分野》
AI・IoT・Robo
- 目次 -
三次元の情報活用に着目したプラットフォーム構想
まず、VRCを立ち上げた経緯と、目指す世界についてお聞かせいただけますか。
私は中国出身で、日本に来てもう20年以上になります。早稲田大学で教員を経験した後、サムスングループ等企業を経て、2013年に独立して、自分の技術を大手企業に提供して軍資金を作り、2016年に株式会社VRCを設立しました。
VRCを立ち上げた理由として、三次元の空間情報や自由視点の見た目情報を活用して、人間中心のサービスを作りたいという思いがありました。今や、スマートフォンで二次元の写真はいつでもどこでも撮れるようになりましたが、私たちが生活しているのは三次元です。
3次元の空間情報や見た目情報も、人体データの一種といえます。ならば、そういったデータを活かすことができれば、人々の生活をさまざまな場面でエンパワーメントできるんじゃないか。
そのような考えのもと、VRCでは、個人が自分の体の状態をタイムリーに把握し、生活の中で役立てられるようなプラットフォームを、次世代のインフラとしてグローバルに普及させていくことをミッションに掲げました。
最先端の人体キャプチャ技術の可能性と次世代ファッション
具体的にはどんな技術やアプリケーションの開発を進めておられるのでしょうか?
創業当初に力を入れていたのは、人体データのキャプチャリング技術とソリューションの開発でした。その頃は、いかに人体データのキャプチャリングを低コストかつ高品質に、しかも全自動で高速に行うためにはどうすればいいかを追求しながら、装置を開発していました。
その結果、数年がかりで十数種類もの機種を開発したので、「人体データキャプチャリングの匠」なんて評価を頂いたこともあるくらいです(笑)しかし、そうやって開発を進めているうちに、単純な技術力の向上よりも、人々の生活にどう活かすかの方がより重要だと思うようになりました。
そこで、私が実現したいと考えたのが、アパレル分野での次世代ファッションです。ぜひ想像してみてください。自分の体型や寸法などの情報をタイムリーにキャプチャでき、過去のデータと比較することで、体の変化まで即座に分かるようになったら、どうでしょうか。
しかも、それだけに留まらず、その時の自分に合った服やスタイルを、世界中のファッション専門家の意見を集約したAIスタイリストによる提案を受けられるのです。もちろん、専門家の意見だけではなく、自分の好みもしっかり反映させながら、服やスタイルを自由に選ぶことができます。
そうなれば、オンラインにせよ実店舗にせよ、いつでもどこでも自分にピッタリの服をスムーズに選べるようになるでしょう。さらに、自分が持っている服を登録しておくことで、体型や利用シーンに合う最適なコーディネートを提案してもらえます。
データ活用とプライバシー保護を両立する技術を開発
アパレルに限らず、人体データは分野を問わず、幅広く活用できるでしょう。たとえば、エンターテインメント分野では、自分そっくりのアバターを使い、バーチャルな世界を楽しむようなこともできます。
人体データがあれば、自分の体型や健康状態をタイムリーに把握できるため、Well Beingの分野においてもその活用は大いに期待されます。たとえば体形を可視化することで健康意識を高めたり、個々人の状態に合わせて食事や運動のアドバイスをパーソナライズしたりと、健康的なライフスタイルの維持に役立つはずです。
人体データを活用すれば、個々人に「パーソナライズ」したサービスや商品を様々な分野で提供できるようになるでしょう。私たちVRCは、そんな未来に向けて、人体データ活用の可能性を広げていきたいと考えています。
事業を進める中で、特に苦労された点などあれば教えてください。
データの活用とプライバシーの保護を両立させるのは大きな課題でした。人体データは究極の個人情報なので、それを安全に管理しながら、ユーザーに価値あるサービスを提供するために多くの研究開発を行いました。
幾度となく試行錯誤を重ねた結果、データ活用とプライバシー保護を両立できる仕組みを開発でき、国際特許も取得できました。開発は本当に大変でしたが、その甲斐あって技術をさらに尖らせることができ、自社の強みにもつながりました。
どうやって価値を提供できるか、様々な業界の企業様に協力を仰ぎながら模索していくうちに、沢山の学びを得ることができました。この経験を活かして、これからも新しい挑戦を続けていきたいと思っています。
最先端技術による世界規模の次世代インフラ構築を目指す
最後に、VRC社の今後の展望について教えてください。
これまで培った技術と経験を活かし、当社はマルチモーダルな人体データを活用したプラットフォームのさらなる発展を目指していきます。最先端技術を駆使しながら、社会のインフラとして新たなプラットフォームを機能させていく予定です。
将来的にはグローバルに事業を展開しながら、世界中の人々に使ってもらえるサービスを作りたいです。新しい分野や業界とのコラボレーションも進めて、社会にポジティブな影響を与えていきたいと思っています。
VRC社が求める人材像についてもお聞かせください。
VRCではオープンマインドで自分の可能性に挑戦したい方を求めています。グローバルなビジネスや最先端技術に触れて、それを活かして商品化し、世界中の人々に使ってもらいたいという情熱を持つ方を歓迎します。
国際的な環境で、多様なバックグラウンドを持つチームと一緒に成長し、社会に意味のある貢献をしたいという方には、当社はピッタリの場所だと思います。世界に挑んでいく熱意ある方との新たな出会いを楽しみにしています。
本日は貴重なお話をありがとうございました。
株式会社VRC(ブイ アール シー)
https://www.vrcjp.com/
- 設立
- 2016年05月
- 社員数
- 非公開
《Mission》
個々の消費者データのキャプチャリングとデジタル基盤のインフラを整備し、さまざまな業種がシームレスにパーソナライズされたサービスをエンドユーザーに提供できる環境を作る。
Create global infrastructure to enable personalized service, both on digital platform and hardware for consumer data capturing.
《事業分野》
AI・IoT・Robo