輸入建築資材・自社開発商品のカタログ・ネット販売

株式会社サンワカンパニー元代表取締役社長 谷口亙氏

リフォーム・建材業界は国内12兆円という大きな市場で、古くからの流通構造が存在する。しかし、ユーザー(この場合は発注者の個人)のニーズに応えるためにこれまでの業界慣習を壊して新しいビジネスモデルを構築し、自らも変革しチャレンジしていく姿勢にベンチャースピリッツを感じます。

サンワカンパニーは、家の新築・リフォームにおける発注者の満足度を向上させるという大きな社会的課題の解決にチャレンジしています。

そんなサンワカンパニーの谷口社長にお話を伺いました。

谷口亙氏

元代表取締役社長
谷口亙氏

1994/04 大和土地建物株式会社入社
2000/04 株式会社三輪入社 管理部
2005/06 同社取締役管理部長就任
2011/02 株式会社サンワカンパニー専務取締役就任、SANWA COMPANY HUBPTE.LTD.取締役就任
2011/12 同社代表取締役専務就任
2012/09 同社代表取締役社長就任

株式会社サンワカンパニー

株式会社サンワカンパニー
http://info.sanwacompany.co.jp/

設立
1979年08月

《 Mission 》
『建設業界に風穴をあける』、『日本中の建築物にスタイルを』
《 事業分野 》
建設・不動産
《 事業内容 》
建築資材の輸入及び販売・施工、住宅設備の企画、開発

常にユーザー目線で満足度を求め、サービスを構築してきました。

アマテラス:

事業内容を教えてください。

株式会社サンワカンパニー 代表取締役社長 谷口亙氏(以下敬称略):

輸入建築資材・自社開発建材のカタログ販売・ネット販売を行っております。

アマテラス:

今の事業を始めた経緯について教えてください。

谷口亙:

もともとサンワカンパニー(以下サンワ)は建材卸事業を行っていました。家づくりにおいてよくある問題として、発注者であるご家族の方の満足度が発注前がもっとも高くて、家づくりが進むに連れて下がっていくということがあり、その解決のために2000年から建材のカタログ・ネット販売のビジネスに取り組みました。

アマテラス:

なぜ家づくりが進むにつれて発注者の満足度が下がってしまうのでしょうか?

谷口亙:

発注者は発注時には理想的なイメージをもっているため期待感が高い。しかし工事が進むにつれて、思っていたようなイメージの建材や部材がないことがわかり、いざ完成してみると当初のイメージと違うことになっていることが多いんです。その理由としては工務店が扱える建材の品揃えがそもそも少なかったり、工務店の立場で売りたい建材や在庫になっている建材を無理に使ったりするという現象が起こっている。つまり、工務店の都合で使用する建材を決めてしまい、発注者側に建材を決める自由度がほとんどない。

このような業界の構造に問題意識を感じ、発注者がカタログ・ネットで幅広い品揃えから建材を選べるようなサービスを考えました。工務店は、発注者が選んだ建材をサンワに発注し建築・リフォームを進めていくという形です。

アマテラス:

ユーザーである発注者側の目線でサービス構築をしたのですね。

谷口亙:

また1998年頃のゼネコン不況もビジネスモデルの改革を後押ししました。当社は1979年の創業時から建材卸をしていましたが、1998年に山一證券が潰れて状況が一変しました。ゼネコン業界は軒並み倒産リスクにさらされ、当時は与信判断で一部上場企業かどうかというのが重要でしたが、上場ゼネコンといえども安心して取引できなくなりました。ビジネス週刊誌などではゼネコン倒産予想ランキングなど実名が公表され、その上位5社すべての手形が手元にあるというような状況でした。

とはいえ、住宅着工数は実はあまり変わらなかったんです。建材業界のコスト構造、流通構造を変えれば良いのではないかと考えるようになりました。

アマテラス:

工務店とメーカー(ゼネコン)の間に多数の卸が存在する高コスト構造が問題ということですね。

谷口亙:

そうですね。インターネット通販に切り替えることにより流通・商流がとてもシンプルになりました。多くの卸を通すことがないため、その分コストダウンでき商品もとても安く提供できるようになりました。商品によっては卸が7重に入っているところもあったくらいです。
また、カタログには建材の価格が明示されているため、発注者の納得感も高くなりました。
サンワは、魅力的な建材商品の品揃えとそのカタログ作りに徹することにしました。

アマテラス:

さきほどサンワさんのショールームで実際に洗面台やバスタブなどを見せていただきましたが、想定していたよりも安くて驚きました。あのショールームは発注者である個人向けなのでしょうか?

谷口亙:

そうです。工務店の方も見に来ますが、発注者である個人の方にも実際に商品と値段を見れるようにしています。

アマテラス:

ただ、サンワさんがこのような改革をすることは発注者である個人ユーザーにとってはメリットが大きいですが、従来の商習慣でやってきた建材卸や工務店・リフォーム屋さんが反発したのではないでしょうか? 建材卸さんにとっては自身の存在意義が薄れていきますし、工務店にとっては、商材の値段を発注者が知ってしまうためこれまで商材原価などブラックボックスだった部分が明らかになってしまう。

谷口亙:

実際に反発はありました。卸や工務店から取引停止をされたり、嫌がらせのようなこともありました。販売したタイルが割られて返品されてきたり、いたずら電話、いたずらファックスなど。。最初は大変でした。

ですが、工務店にとってはサンワのカタログを使って販売をした方がお客さんは喜ぶ。徐々に工務店がサンワのカタログを使って販売をするようになっていきました。

アマテラス:

サンワさんは創業が1979年ですが、ビジネスモデルを変換し2000年に新たにスタートを切った形ですね。今後はどのような展開を考えているのでしょうか?

谷口亙:

建材の国内市場は12兆円の巨大市場とはいえ、人口減もあり減少トレンドになっていきます。一方海外、とくにアジアはこれから人口・経済ともに成長する可能性がありこのマーケットでの成長を考えています。シンガポールなど安定成長が見込める国も魅力です。
実際に、シンガポールにはオフィス、ショールームも構えています。

アマテラス:

今後の課題は何でしょうか?

谷口亙:

商品の品揃えを増やしていくことです。おかげさまで個人・法人のお客様が増加しておりニーズが多様化している中で提供できる商品数・品揃えを増やすことや、現在単品売りがメインですが、ユニット売りなどのサービスも拡張していきたいと考えています。

アマテラス:

谷口さん、ありがとうございました。

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藤岡 清高

株式会社アマテラス代表取締役社長。iU 情報経営イノベーション大学客員教授。 東京都立大学経済学部卒業後、新卒で住友銀行(現三井住友銀行)に入行。法人営業などに従事した後に退職し、慶應義塾大学大学院経営管理研究科を修了、MBAを取得。 2004年、株式会社ドリームインキュベータに参画し、スタートアップへの投資(ベンチャーキャピタル)、戦略構築、事業立ち上げ、実行支援、経営管理などに携わる。2011年に株式会社アマテラスを創業。 著書:『「一度きりの人生、今の会社で一生働いて終わるのかな?」と迷う人のスタートアップ「転職×副業」術』

株式会社サンワカンパニー

株式会社サンワカンパニー
http://info.sanwacompany.co.jp/

設立
1979年08月

《 Mission 》
『建設業界に風穴をあける』、『日本中の建築物にスタイルを』
《 事業分野 》
建設・不動産
《 事業内容 》
建築資材の輸入及び販売・施工、住宅設備の企画、開発