産業用ロボットの課題に挑むベンチャー

産業用ロボットベンチャー・MUJINが開発する次世代知能ロボットコントローラー”MUJINコントローラー”(出典:http://mujin.co.jp/)

 

日本のお家芸ではあるものの、課題山積な産業用ロボット。それに挑むベンチャー企業を皆様にお伝えいたします。

日本企業がリードする産業用ロボット市場。しかし課題は山積だ。
“Welding robot system 002” by KOMATSU Ltd. – KOMATSU Ltd.. Licensed under CC BY-SA 2.1 jp via ウィキメディア・コモンズ

 1970年代以降、人件費高騰や労働力不足の問題を解消するために導入が進められた産業用ロボット。工場の高効率化に大いに貢献しものづくり大国日本を支えてきた産業用ロボットは、現在日本企業が世界市場において大きなシェアを持つ数少ない市場となっています。しかし日本国内市場の縮小や海外勢の台頭もあり、日本の産業用ロボット産業は新たな道を模索している最中にあります。そんな中、ピッキングや運搬など産業用ロボットの新たな使い道を模索するベンチャー企業が現れてきました。今回は産業用ロボットベンチャーに注目してお伝えいたします。

世界をリードする日本の産業用ロボット。政府の後押しも追い風に。

自動車など工業製品の製造・輸出で高度成長を成し遂げた日本では、1970年代より人件費高騰や工場における危険作業の問題が発生しており、それに対応すべく産業用ロボットの開発が盛んに行われていました。そして安川電気、ファナック、不二越を始めとする数多くの世界的メーカーが登場し、世界市場をリードしていきました。現時点でも世界一の競争力は維持しており、経済産業省の「ロボット市場動向調査」によれば、2011年時点での産業用ロボット市場(電子部品実装機)に占める日本企業のシェアは50.2%という圧倒的な数値を誇っています。

 また政府も後押しします。2014年5月にはOECD会議において安倍首相がアベノミクスの第三の矢「成長戦略」の柱の一つとして、「ロボットによる産業革命」を打ち出し、翌月には2020年までに製造分野で現在の2倍まで拡大させるという定量目標が発表されました。この事により日本の産業用ロボット産業のさらなる発展が期待されています。

稼働台数と国際間競争激化に悩む日本の産業用ロボット産業

これまで世界のロボット市場でリーダーとなっていた日本ですが、近年陰りが見えています。例としてロボットの稼働台数ではアメリカ・ドイツ・中国・韓国など海外諸国が台数を増やす一方、日本ではロボット稼働台数の減少が続いています。

 また、産業用ロボットのユーザーのうち41%を占める電機業界、28%を占める自動車業界(それぞれ2013年度のシェア)の産業構造の変化も大きな課題です。製造業の海外移転による国内市場の縮小により自動車・電機業界向けへの出荷は2005年より減少傾向にあります。またこの分野では中国や韓国などの新興国企業の台頭に伴う国際競争が激化している業界でもあります。これらの結果、古くから産業用ロボットを用いてきた分野のみの活用では劇的な市場成長が達成しづらくなっています。

産業用ロボットには用途拡大が求められている。

こうした現状を踏まえ、産業用ロボット業界には、新たな課題への対応が求められています。それが自動車・電機以外の業界への拡大と多能工化です。

 別業界への拡大という意味では、特に食品や化粧品、医薬品といった一般消費財市場への産業用ロボット普及が強く求められています。この業界は中小企業が多いなどの理由から自動車業界や電機業界に比べ現在でも人手に頼っている部分が多く存在しています。しかし生産年齢人口の減少による人手不足、度重なる不祥事による衛生管理体制の強化という課題に直面していることから、自動化ニーズが高まっています。これらの業界への稼働台数の増加は、日本国内の産業用ロボット市場が強化すべき対象となっています。

 多能工化については日本のものづくりの考え方の変化が強く影響しています。これまで産業用ロボットは溶接なら溶接専門・組み立てなら組み立て専門のロボットが存在し、1つの役割しか求められない単能工の役割を担っていました。しかし多品種少量生産複数やセル生産方式(一人あるいは複数人で製品を組み立てる生産方式)が国内のものづくりの中心となったこともあり、産業ロボットでも複数の役割が求められるようになりました。

産業用ロボットの課題を解決しようと目論むベンチャー企業も登場

これらの産業用ロボット市場の課題に対して、近年様々な取り組みがなされてきました。例えばセイコーエプソンや川田工業、安川電機などはロボットの腕にあたるアームを2つにした双腕ロボットを開発・販売することで顧客のニーズに答えようとしています。しかし導入コストなどに課題が残されています。

 一方大手とは異なるアプローチから産業用ロボットの課題を解決するビジネスに挑もうとするベンチャー企業/スタートアップも台頭し始めています。主なスタートアップとしては以下の企業が代表例です。

MUJIN:ロボットメーカーを選ばないプラットフォーム開発でコスト削減に貢献

産業用ロボットベンチャー・MUJINが開発する次世代知能ロボットコントローラー”MUJINコントローラー”(出典:http://mujin.co.jp/)

 東大発のロボットベンチャー・MUJINが手掛けるのは、ロボットの制御を担うコントローラー「MUJINコントローラー」です。従来産業用ロボットはロボット一つ一つに対して人力で、ロボットメーカーごとに異なる動作プログラムを書く必要があり作業時間が膨大なものになっていました。しかしMUJINのコントローラーを使いロボット動作のタスクと環境パラメータを設定すれば、どんなロボットを設置しても直ぐに設定が完了され実務に使うことができます。大幅なコスト削減に繋がるこのコントローラーは、より多くの製造業者のロボット利用を加速させる仕組みとして注目を集め、ホンダや川崎重工業など大手企業も活用しています。

三次元メディア:三次元空間を認識するセンサーをロボットに取り付ける

ロボットに取り付けることでピッキング作業を可能にする三次元メディアのセンサー。(出典:http://robotics.sblo.jp/article/80148099.html)

 立命館大学発のロボットベンチャー企業・三次元メディアは、ロボットにとりつけることで物体を3次元画像にして捉えることができるセンサーを30年かけて(研究者時代を含める)開発しました。ロボットの目と脳にあたるセンサーを取り付けることで従来は人の手に頼らざるを得なかった部品のピッキング・選別作業も自動化することが可能になり、産業用ロボットの用途拡大手法として国内外からの注目を集めています。

 どちらも産業用ロボット自体を開発するよりは、産業用ロボットに取り付ける製品で差別化するのが特徴です。性能・機能で既存企業の高性能な産業用ロボットに勝負するよりも、既存の産業用ロボットにコスト削減や職能拡大などの何らかの付加価値を付けられるという領域がこの業界におけるベンチャー企業のビジネスモデルと言えそうです。

ロボットベンチャーの人材ニーズは根強い〜文系人材のニーズも〜

前述通り産業用ロボット業界は新たな業種への対応および機能の拡大が求められ、既存の産業用ロボットに何らかの付加価値を付け加えることで課題解決するベンチャー企業が現れています。しかしそれ故に産業用ロボット業界に属するベンチャー企業では、ロボットメーカーや各製造業者の高度な技術力とお客様の幅広い要望に応える必要があり、それに応える多様な人材を採用することが求められています。例えば以下の様な人材が求められています。

  • ロボットそのものや装置を開発するハードウェア・エンジニア
  • ロボットを制御するソフトウェアを開発するソフトウェア・エンジニア
  • ロボットの検査・メンテナンスを担当する品質管理担当者
  • 数多くの製造業者へ製品を提案・販売できる営業担当者
  • 近年急増する海外での設置に対応できる、海外経験が豊富な営業担当者
  • 市場ニーズをつかみ営業とエンジニアを繋げられるマーケティング担当者
  • 研究開発費を確保しつつ持続可能な経営を可能にする財務経理担当者

 特にエンジニアは国内外に多数あるメーカーの製品一つ一つに対応する必要性があることから、ハード・ソフト問わず多くの人材が必要とされています。使われる技術も多様なため多くの人にチャンスがあるといえるでしょう。

 また理系・文系問わず数多くの職種が募集されているため、業務を円滑にまとめあげるプロジェクトマネージャーなどの幹部人材を求める企業が多い業界でもあります。特に研究活動や営業活動などの現場で働きつつ、マネジメントの方もできる経験豊富な人材は強く求められています。

 ロボットベンチャーの成長は現在進行形であり、すでにアマテラス・オンラインからも入社した社員が出ています。入るなら成熟していない今が一番のチャンスです。是非とも入社を検討してみては如何でしょうか。

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アマテラス編集部

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