Mujinは産業用ロボット向けの共通プラットフォームである「知能ロボットコントローラ」の開発・販売をしているスタートアップ企業です。
経営企画部長兼管理本部長の大黒純平さんは大変若い執行役員ですが、高校時代からアルバイトをしながら学費や資格取得費用を自分で稼いで来た苦労人でもあります。今回は、公認会計士がスタートアップでキャリアを構築する大変さやそれをはるかに上回るやりがい・魅力、転職活動をするにあたっての心構え等、貴重なお話を伺うことができました。
経営企画部長兼管理本部長/執行役員
大黒純平氏
大学3年次に公認会計士試験合格後、EY新日本有限責任監査法人にて監査業務に従事。その後、M&Aアドバイザリー業務を行うGCA株式会社にて財務デューデリジェンス、バリュエーション、M&Aアドバイザリー業務などを経て、2017年Mujinに参画。Mujinでは財務を中心に多面的な経営戦略の立案・実行に携わり、長期的な事業拡大に向けた足場づくりを担う。
株式会社Mujin
https://www.mujin.co.jp/
- 設立
- 2011年07月
- 社員数
- 150人(グループ計 / 2020年10月現在)
《 Mission 》
Vision: Liberate humans from manual labor to make them focus on creativity, innovation, and making the world a better place── 過酷な労働から人々を解放し、人類が創造性、技術革新、そして世界をより良くする活動に注力できる世界を実現する。
《 事業内容 》
知能ロボットコントローラの開発・販売 / 知能ロボットソリューションの提供
- 目次 -
- 1 母の早世とアルバイト生活
- 2 推薦入試の面接対策で公認会計士という職業に出会う
- 3 「一刻も早く稼がないと」と、一発合格
- 4 在学中に監査法人で働き始め、GCAへ転職
- 5 自らの100%を注ぎ込めるスタートアップへ
- 6 転職活動で知った、スタートアップと自分とのギャップ
- 7 大きな環境変化や年収ダウンも「覚悟の上」
- 8 会社が成長する中で、幅広い業務を担当
- 9 意思決定に関わり、自らが会社を作り上げるやりがい
- 10 「3年後の自分の仕事が分からない」ほどの会社の成長速度
- 11 心から応援したいと思う1社に100%のリソースをつぎ込む面白さ
- 12 増える公認会計士の中で差別化に必要な要素
- 13 マニュアルにない事態に対応する柔軟性やコミュニケーション能力
- 14 最も重要なのは「ビジネスに対する熱い思い」
- 15 多面的な情報から自ら成長企業を見極めることが大事
母の早世とアルバイト生活
まずは、大黒さんの家族構成や小さい頃の原体験などの生い立ちについて教えて下さい。
家族構成は、両親と3歳上の兄の4人家族です。
父が昔SEだったせいか、私自身も小さい頃からPCで遊んだり、中学生の頃には携帯の掲示板や色々なサイトを自分で作って、そこにアフィリエイト広告を載せて広告収入を得たりということをしていました。
高校2生のときに母が癌で亡くなったのですが、闘病期間が長かったこともあり、高校3年間はずっとマクドナルドでアルバイトをしていました。
お金に興味を持ったり、仕事でパフォーマンスを出して給料に還元されることが面白かったりするのは、その頃から意識していたことかもしれません。
お母様が早くに亡くなられて、大黒さんご自身も大変だったと思います。どのような影響があったと感じますか?
主に経済面でしょうか。母自身が稼いでいた収入がなくなりますし、医療費も必要ですから、私自身にかかるお金は自分で稼がなければと常に考えていました。大学の学費や会計士の資格取得にかかる費用、それから生活費なども全て自分で出しました。
推薦入試の面接対策で公認会計士という職業に出会う
大黒さんは大学在学中に公認会計士試験に合格されていますが、公認会計士を目指したのはどのようなきっかけだったのですか?
大学には公募推薦で入学したのですが、面接では将来の夢について訊かれます。特に夢などもなかったので、まずは将来を幅広く考えられる経済学部国際経済学科を選択し、これに見合う職業にはどんなものがあるのかと調べている中で公認会計士を知りました。
推薦対策のためだけに公認会計士を調べていたのですが、入学後に簿記3級・2級の学内講座を格安で受けられると知り、就職活動の一環として、受講することにしました。そして、簿記2級まで取り、実際に公認会計士の話を聞いたり、公認会計士試験の過去問を見たりするうちに「意外と合格できそうだ」と感じ、公認会計士なら在学中の取得も可能だと考えて、チャレンジすることにしたのです。
「一刻も早く稼がないと」と、一発合格
大学1年の12月頃から専門講座での公認会計士試験の勉強を始めました。
受験仲間と交流していたTwitterではテストのランキングなどが公開されることも多かったのですが、得点の高い上位層と意識的に仲良くすることで、自分の水準を彼らに合わせるようにしました。
そして、3年の夏に合格しました。運も良かったと思いますが、短答式、論文式とも一発です。その間に簿記1級も受けて合格しました。
学生がモチベーションを維持することは並大抵のことではないと思うのですが、何が大黒さんを突き動かしていたのでしょう。
一番重たかったのは、「これだけお金をかけて大学に行ったのに、しょうもない企業に行くわけにはいかない」という気持ちでしょうか。当時父が一時的に失職し、兄も就職浪人していた状況で、「一刻も早く合格して稼がないと」という気持ちに突き動かされていました。
在学中に監査法人で働き始め、GCAへ転職
合格後は、非常勤でしたが基本的に週5日監査法人で働き、正社員と同じ業務をこなしていました。
そこで非常勤の期間を含め1年半ほど働き、大学卒業後の夏に転職活動を開始しました。本当は3年ほど監査法人で働いてからの転職を考えていたので、その転職に向けた練習を兼ねて、前年に転職活動をしてみたところ、運良くGCAから内定を頂きました。GCAはM&Aアドバイザリーファームの中でも大手ですし、良い仕事ができそうだと考えて、大学卒業後すぐでしたが転職を決めました。
GCA入社後、『GCA FAS』という公認会計士が多くいる会社に出向という形になるのですが、監査法人でそれなりに業務経験を積んだ人が多く、新卒に近い採用は私がほぼ初めてだったようです。
ここでの業務は2年程でしたが、その間様々な経験を積むことができました。毎月のように色々な会社のデューデリジェンスをやりながら、並行してバリュエーションなどをしていました。
現職に転職する最大のきっかけになったのが、ファイナンシャル・アドバイザリー業務で担当した案件です。大手企業がハードウェアのスタートアップ企業を買収する案件だったのですが、おそらく技術的に優れていたにも関わらず財務面で良い施策をしておらず、「良い財務担当者がいれば、この会社は単独でも成長できたのだろうか」と思いながら仕事をしていました。
そこからテクノロジー系のスタートアップに興味が湧き、色々と調べているうちに「自分自身もスタートアップで働きたい」と思うようになっていったのです。
自らの100%を注ぎ込めるスタートアップへ
当時は今ほどスタートアップ流行りではありませんでしたし、周囲にもスタートアップで働いている方は多くなかったかと思います。会計士からスタートアップへの転身について、心配される方もいらしたのではないでしょうか。
周囲にスタートアップで働く人はあまりいませんでしたし、そもそも社会人3年未満で3社目、しかもスタートアップというのは早過ぎるどころか頭がおかしいのではと思われていました。
ただ、クライアントワークをしていると、数か月単位で自分のリソースが分散されている感覚がありました。また、案件が終わった後のクライアントの状況は詳細が分かりにくく、不完全燃焼感もありました。
「自分の100%のリソースをどこか1社に注ぎ込んだら、その会社をどれだけ成長させられるのだろうか」と想像したら、スリリングでエキサイティングだと感じたのです。それを試すにはおそらくスタートアップしかないと考えました。
スタートアップで仕事をするというのは、イチかバチかのギャンブル的なところもあるかと思います。そこではぶれませんでしたか?
ぶれなかったです。技術力のあるスタートアップが財務施策で失敗して霧散するのは社会的損失ですから、そういうスタートアップに入ってうまく成長させられれば大きな貢献になると考えていました。
転職活動で知った、スタートアップと自分とのギャップ
スタートアップへの転職活動はいかがでしたか?
応募の際、自分の思いと市場で求められる経験やスキルとの間にギャップを感じました。
当初「CFOになりたい」と漠然と思い、「アーリーステージならなれるかな」という思いがありましたが、アーリーステージのスタートアップほど、経理実務スタッフや管理全般をやってくれる人を求めており、いずれのスキルも私は持っていませんでした。
また、有望なスタートアップには私と比較にならないくらい良い人材が応募しており、当時弱冠24歳の経験の浅い私がCFOになれる訳はないという現実を知りました。
最終的に、Mujinへの参画を決めた背景について教えて下さい。アマテラスにご登録頂いて選択肢がいくつかあった中で、Mujinを選ばれた理由は何でしょうか?
転職活動をするうちに「まずはCFOに拘らずにスタートアップに参画し、IPOも経験した上で次の会社でCFOになれれば良い」と考えるようになり、そんな折にご紹介を受けたのがMujinでした。
ロボットや自動化という事業ドメインは今後の成長が見込まれること。また、私は技術的なことは深く分かりませんでしたが、優秀なエンジニアが海外から日本に移住してまでMujinで働くということはMujinの技術力がグローバルな観点でも尖っているのだろうと感じたことが決め手でした。
すごい経歴のメンバーが海外から来ていますからね。実際に選考段階で色々な方にお会いになったと思いますが、そこではどのような印象を受けました
面接でMujinの技術やビジネスモデルについて尋ねると、熱心に話してくださり、熱い思いを持って働いているんだと感じました。さらに、実際に動いているロボットを見たら、細かい技術云々よりもワクワク感がとにかく凄かったです。また、営業と技術以外の管理系のスタッフが当時4~5人しかいなかったので、色々なことが経験できそうだと感じました。
余談ですが、あまりにもMujinが上手く成長してほしいとの気持ちが強く、仮に自分の力が足りずに採用されなくとも、何かMujinの力になりたい一心で、当時現職であったGCAグループの会社説明などをして売り込んでいました。
大きな環境変化や年収ダウンも「覚悟の上」
それまではファイナンスのプロフェッショナルに囲まれ、自然と学べる恵まれた境遇だったわけですが、そこからがらりと環境が変わることへの不安はありませんでしたか?
専門家としての知識のアップデートができない可能性はありましたから、当然不安はありました。プロフェッショナルファームでは労せずして新しい情報が入って来ていましたが、専門書やインターネット記事、Twitter等で積極的に情報を取りに行く必要がありました。
でも、それを上回るワクワク感があったということですね。 お金の話で恐縮ですが、Mujin入社時にかなり年収がダウンしたと思います。それについてはいかがでしたか?
全く気にしませんでした。「これだけの良い会社には、優秀な人材からの応募もあるはずだ」と思いましたから、特に実績も経験もない私が採用されるために年収ダウンは覚悟の上でした。
勿論「プロフェッショナルとしてパフォーマンスに応じた給与は支払って欲しい」という思いはありましたので、CEOの滝野と会った時には「年収が下がっても参画する価値のある企業か、パフォーマンスに応じて報いてくれる経営者か」ということを、自分なりに対話を重ねる中で判断をしました。
会社が成長する中で、幅広い業務を担当
Mujinに入社されて2年程経ちましたが、ここまで関わってこられた業務について教えて下さい。
応募したポジションは経理部長候補でしたが、当時の私には経理経験が一切なかったので、「あなたに合ったポジションは正直ありません。でも活躍しそうなので、自分で作ってください。」のようなことを言われ、経理部長候補ではなく、より幅広い業務を期待されました。
入社当初は管理部経営企画担当という肩書のもと、経理業務に加えて労務や法務、経営企画のようなことも行っていました。人材が限られていたので「全ての受け皿になる」くらいの気持ちで、何でもやっていました。
入社半年後に経営企画部長兼財務本部長という肩書になり、経理財務のチーム作りや業務の効率化、資金調達の戦略立案・実行などもするようになりました。
現在は経営企画部に加えて、経理部・総務部・労務部・それとサプライチェーンマネジメント部を合わせた管理本部を管掌しています。
また、人が増えると、それまで少人数で暗黙知としてやってきた業務を引き継ぐ必要が出てきます。昔からいる人などに集まりやすい情報を、情報のハブとしてうまく再配分しながら部門ごとに最適化して業務に落とし込んで行く作業を経営企画業務の一環としても行うようになりました。
意思決定に関わり、自らが会社を作り上げるやりがい
様々な未経験の業務に取り組まれ、会社の成長に貢献される中で、大黒さんがやりがいや魅力を感じるのはどのような時でしょうか?
以前の職場では最良のアドバイスをしても意思決定はクライアントが行うものでしたが、今の会社であれば意思決定に直接関与できます。自分が会社を作り上げられる、そのダイレクトさにはやはりやりがいを感じます。
大黒さんはまだまだ成長過程の真っ只中だと思いますが、仕事をする中でどのような時にご自身の成長や変化を感じますか?
入社当時は近視眼的な視点で業務を行っていたものが、いつの間に横幅や奥行が広がって全体を見られるようになっていたり、特に経営の意思決定に深く関与したりしている時に自らの成長を感じることがあります。以前も少しはできている気がしていましたが、今振り返ってみると全然違いますね。
会社の成長を感じるのはどのあたりでしょうか。社員数もずいぶん増えたと思います。
社員数はもちろんですが、ロボットの動きが速くなりましたし、新しいソリューションであってもよりスムーズに立上げができるようになっています。
また、色々なメディアで取り上げられるようになったこともあり、業界内以外にも知られるようになり、周囲の反応も変わって来ました。全く知らないところでMujinを勧めてくれている方がいたりして、そういう時にも会社の成長を実感します。
「3年後の自分の仕事が分からない」ほどの会社の成長速度
一方で、ネガティブな話についてもお聞かせ下さい。スタートアップならではの、「こんな筈ではなかった」といったこともあったかと思います。
入社前に情報収集をした結果、土台はほとんどできているレイターフェーズの会社だと勝手に思っていましたが、現実は大分違っていました。未整備部分が非常に多かったことには少々驚きました。
でも、だからこそ私ができる仕事がたくさんあったとも言えます。
課題も多くてやることがいっぱいでしたが、この会社の成長速度を見ていると3年後にここで自分が何をやっているか全く分かりません。その分からないことをとても楽しいと感じます。
大黒さんからご覧になって、現在のMujin管理部門の課題はどのあたりにあるとお考えですか?
課題は人です。会社の拡大に伴い、取り扱う事柄の難しさも増しています。これらに対応するため色々な部門で採用を進めていますが、会社の成長が早く、なかなか追い付きません。より強い組織を作るために採用はかなり重要視しており、管理部門だけでなく全社的に採用人事の強化が課題だと考えています。
心から応援したいと思う1社に100%のリソースをつぎ込む面白さ
ここからは公認会計士のキャリア等に関するお話に移らせて下さい。大黒さんのご経験をふまえ、監査法人出身者がスタートアップに参画する魅力はどこにあるとお考えですか?
先ほども触れましたが、クライアントワークもそれはそれで数多くのクライアントを通じて社会貢献をしていると思いますが、自分が心から応援したいと思う1社に100%のリソースをつぎ込む面白さには代えられません。
私も含め、過去に大きな挫折を経験していない人があえてキツイ環境に行って100%の力を出した時にどこまでやれるか。自分の実力を知ることもできますし、自分がどこまでやれるか試せるやりがいがあります。
増える公認会計士の中で差別化に必要な要素
少し幅広い話になりますが、監査法人出身者の今後のキャリアについてはどうお考えですか?日本の公認会計士人口は今後どんどん増えていくと思います。個人的にはコモディティ化傾向にあり、会計士も差別化が必要なのではと考えています。
収入面で言えば、年収500~1,000万円あたりのレンジに収まっていく気はします。それ以上を狙うなら、何らかの『スパイス』を加えないと駄目でしょうね。CFOは会計士でなくてもできますし、資格だけでは一定の評価は得られても他者と比較してそれほどアドバンテージになるようなものではありません。
会計士がスタートアップで働くにあたっては、どのようなスパイスが必要でしょうか?
新しい情報への感度を上げ、貪欲にキャッチアップする姿勢は重要です。そもそもスタートアップ企業が新しいことをしているのですから、自分自身も新しいことをどんどん学び、会社のフェーズに合わせて変化できなければ付いて行けなくなるのではないでしょうか。
公認会計士は試験の中で会計に限らず会社法や税金等幅広い分野の勉強をしますから、実はスタートアップとの親和性もあると思うのです。好き嫌いせず、色々手を広げてみることでスタートアップにマッチする人材になることは可能だと思います。
マニュアルにない事態に対応する柔軟性やコミュニケーション能力
また、必要な覚悟として、会計士は普段の仕事では「会計基準」等の比較的はっきりとした物差しがありますが、スタートアップでは法律や基準に載っていない問題がどんどん出て来ます。これを「載っていないから分かりません」ではなく、自分で動いて考えて答えを出して行かなければ会社は止まってしまいます。
こういうことは日常的に起こりますから、これを乗り越える覚悟は必要ですし、これを楽しめるかどうかは大きな判断基準になるかもしれません。
専門分野以外で、大黒さんがスタートアップで働く会計士に求められるスキルを挙げるとしたら、何だと思いますか?
ステレオタイプかもしれませんが、コミュニケーションスキルです。マニュアルも情報共有のツールも発展途上で、会社の成長に合わせて変化もしていきますのでタイムリーに情報を取っていくためには不可欠ですし、CFOであれば資金集めでエクイティストーリーなどのプレゼンや、すんなりとは行かない難しい交渉場面でも重要になってきます。
確かにスタートアップのCFOといったキャリアパスを考えても、そこは避けて通れませんね。経営陣と経営の話をしなくてはいけませんし、部下のマネジメントも対話なしでは成立しません。人を動かすような高い次元でのコミュニケーション力を付ける必要は出て来ると思います。
最も重要なのは「ビジネスに対する熱い思い」
また、スキルではありませんが、やはりビジネスに対する強い興味や熱量が一番大事ではないでしょうか。「この会社に貢献したい」という熱い思いがあれば、大体のことはできると思うのです。
給与やポジションに拘れば隣の芝生は青く見えるかもしれませんが、自社のビジネスが稀有であればあるほど、そんな些細なことを気にせず会社の成長に全力が注げるものなのではないでしょうか。
そこは会計士の方に是非お伝えしたい部分です。「市場価値を上げたい」といった目的だけでスタートアップ転職を希望する会計士の方が最近増えている印象がありますが、スタートアップがオアシスに見えているのならそれは違うと言いたい。
最近はスタートアップ市場が盛り上がっていることもあり、「スタートアップのCFO候補ならどこでも」というような会計士もそれなりにいると思います。ただ、スタートアップは熱量の高い人の集団ですから、それでは恐らくうまく行かないでしょうね。
多面的な情報から自ら成長企業を見極めることが大事
今の話にもありましたが、監査法人出身者にスタートアップ転職活動のアドバイスをするとしたら、どんなことをお伝えになりますか?
情報収集はもっとも重要です。私は前職の頃から毎朝20サイトほどを欠かさずウォッチしていて、専門分野のニュースやスタートアップの記事などをチェックしています。また、スタートアップの経営者やベンチャーキャピタル(VC)の人たちのTwitterなども見ています。興味のある業界があれば、その業界によく投資しているVCのポートフォリオ等もみると良いと思います。
会社を見極めるには、専門的なところでは登記簿を取得して、ニュースリリース等と照らし合わせながら過去の資金調達やビジネスの動向を分析したり、東京商工リサーチや帝国データバンクなどの情報を取って調べたりすることは可能ですよね。また、会社の役員やメンバーの経歴などが分かれば、どのような強みのある人材が集まっているか、どのような強みのある人材が不足していそうか想像することができます。
客観的な判断をするために、情報収集は多面的にしっかりしなさいということですよね。僕が言うのも変ですが、人材会社から提案される会社=良い会社と妄信せず、自分の目で成長ポテンシャルを判断することは大事だと思います。
監査法人でクライアントワークをやっているからこそ多くの数字を見られるわけですし、聞けば大抵教えてもらえる素晴らしい環境なのですから、そこで淡々とやるのではなく、数字の裏やビジネスの背景などをしっかり理解して、もっと良い事業はないかと考える癖を身に付けると良いでしょう。
クライアントワークで情報をたくさん詰め込み、数字だけではなく色々なことを多面的に見られる目を養っておけば、スタートアップに来たときにきっと活躍の未来が開けていると思います。
スタートアップを目指す会計士の方にとって大変貴重なお話だったと思います。本日はどうもありがとうございました。
株式会社Mujin
https://www.mujin.co.jp/
- 設立
- 2011年07月
- 社員数
- 150人(グループ計 / 2020年10月現在)
《 Mission 》
Vision: Liberate humans from manual labor to make them focus on creativity, innovation, and making the world a better place── 過酷な労働から人々を解放し、人類が創造性、技術革新、そして世界をより良くする活動に注力できる世界を実現する。
《 事業内容 》
知能ロボットコントローラの開発・販売 / 知能ロボットソリューションの提供