独自のコアテクノロジーを有し、進化をし続けてるバイオベンチャー。近年は、バイオベンチャーで多くの優秀な研究者が専門性の高い知識を活かしており、革新的な技術を日々研究しています。
その中でもアマテラスに掲載されている注目のバイオベンチャー12社をご紹介致します。
- 目次 -
- 1 Revolutionizing the Way We Treat Heart Failure ~株式会社メトセラ~
- 2 最先端科学で病気ゼロを実現する ~株式会社メタジェン~
- 3 Creating functional biomolecules for the future ~株式会社Epsilon Molecular Engineering(イプシロンモリキュラーエンジニアリング)(EME)~
- 4 Ensure lifelong health to everyone ~Craif(クライフ)株式会社~
- 5 食べる藻で持続可能な未来をつくる ~株式会社タベルモ~
- 6 農薬にイノベーションを! ~株式会社アグロデザイン・スタジオ~
- 7 バイオデータによる価値創造を可能にする ~アメリエフ株式会社~
- 8 ゲノム情報を活用して、豊かな生活、より良い地球環境の実現に貢献する ~Genomedia(ゲノメディア)株式会社~
- 9 世界をより良く変えて行く。 ~iHeart Japan(アイハートジャパン)株式会社~
- 10 New Tools Lead to a New World ~エディットフォース株式会社~
- 11 再生医療で心臓病治療の扉を開く ~Heartseed(ハートシード)株式会社~
- 12 レーザの力で、「できない」を「できる」に変える。 ~株式会社QDレーザ~
Revolutionizing the Way We Treat Heart Failure ~株式会社メトセラ~
メトセラは、慶應義塾大学先端生命科学研究所(IAB)発のバイオベンチャー企業で、心不全の全く新しい再生医療製品を提供すべく「心臓線維芽細胞」という独自の技術を用いた開発の研究をしています。これにより、より安価に治療を提供することができ、社会保障の負担の軽減など社会貢献を目指しています。また、経済産業省推進スタートアップ支援プログラムであるJ-Startupに選定されています。
岩宮貴紘氏と野上健一氏は共同でメトセラを創業しました。岩宮氏は、慶應義塾大学先端生命科学研究所にて線維芽細胞による臓器再生の研究に携わりながらも、メトセラの事業化プロジェクトを2014年に開始し、2016年に起業しました。一方、野上氏は、三井住友銀行や、モルガン・スタンレー証券などで企業買収や資金調達などに従事するなど、ビジネスサイドのキャリアを歩んできました。
最先端科学で病気ゼロを実現する ~株式会社メタジェン~
メタジェンは、慶應義塾大学発先端生命科学研究所(IAB)発のバイオベンチャー企業で、山形県鶴岡市に本社と研究所があり、東京にもオフィスを構えています。腸内細菌を調べる遺伝子解析(メタゲノミクス)と代謝物質を調べる代謝物質解析(メタボロミクス)の結果を統合解析(バイオインフォマティクス)の技術を組み合わせた「メタボロゲノミクス」という独自の技術によって、腸内環境を適切に評価し、腸内環境の制御までできます。この技術を用いた「腸内デザイン」というメタジェンのコンセプトに基づいて、各人の腸内環境に合わせた医薬品などの開発が求められ始めています。
設立者である福田真嗣氏は、理化学研究所基礎科学特別研究員や、慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授、JST(科学技術振興機構)ERATO(戦略的創造研究推進事業)副研究総括などを経験しました。「便から生み出す健康社会」で第1回バイオサイエンスグランプリにて最優秀賞を受賞し、2015年に設立しました。
Creating functional biomolecules for the future ~株式会社Epsilon Molecular Engineering(イプシロンモリキュラーエンジニアリング)(EME)~
Epsilon Molecular Engineering(イプシロンモリキュラーエンジニアリング)(EME)は、埼玉大学発の研究開発系バイオベンチャーであり、より優れた「バイオ分子」の研究開発をしています。高機能なバイオ分子によって、従来の医薬品の欠点を改善し、全く新しい画期的な治療法に基づいた薬効の確立を目指しています。
創設者の根本直人氏は、埼玉大学大学院にて博士号を取得後、三菱化学生命科学研究所や、産業技術総合研究所 ベンチャー開発戦略研究センターにて研究員に従事した後、埼玉大学大学院にて教授に務め、研究室での成果を事業化するため、2016年に起業しました。科学技術顧問には、進化分子工学で著名な埼玉大学名誉教授である伏見譲氏などがいます。
Ensure lifelong health to everyone ~Craif(クライフ)株式会社~
Craif(クライフ)は、名古屋大学発バイオベンチャーで、尿検査による「痛みのない高精度ながん早期発見」を目指しています。独自のデバイスによって、尿中の「microRNA」という生体物質からがんを早期発見を可能にしています。また、microRNAのデータベースとAIを掛け合わせることによって、独自のがん発見プログラムの開発も行っており、これによってより早く、高精度に発見ができます。
2018年に小野瀨隆一と安井隆雄氏は共同でIcaria(イカリア)(現:Craif)を創業しました。小野瀬氏は幼少期をインドネシアと米国で過ごし、三菱商事にて米国からシェールガスを日本に輸入するLNG船事業に従事した後に、起業しました。一方、安井氏は名古屋大学大学院にて博士号取得後、JST(科学技術振興機構)さきがけ研究員や、名古屋大学大学院の准教授を務め、尿からがんを発見する技術を発見し、実用化すべく起業しました。
食べる藻で持続可能な未来をつくる ~株式会社タベルモ~
タベルモは「生スピルリナ」という藻類を食品としての普及を目指しています。藻からは牛の300倍、大豆の20倍のタンパク質を生産でき、世界中で問題視されている食糧危機に対するソリューションとなれます。また、その生産性の高さや、藻の光合成によるCO2濃度の抑制などからSDGsへの貢献も期待されています。
代表取締役の佐々木俊弥氏は博士号取得後、ちとせ研究所に入社し、2014年にタベルモの普及のためスピンアウトさせました。株式会社INCJ(旧:産業革新機構)や、三菱商事株式会社が出資しており、2019年にはブルネイに工場を建設するなど、さらなる拡大が期待されます。
農薬にイノベーションを! ~株式会社アグロデザイン・スタジオ~
アグロデザイン・スタジオは、独自の新規創農薬プロセスにより、農薬の安全な使用を保障できるような研究をしています。生物の持つDNAをヒト・植物・害虫などで比較し、駆除対象だけが保有する酵素を特定することで、対象以外に影響を与えないようにします。「硝化抑制剤」という農薬に使用されている薬品は従来であれば、農薬に含まれる窒素肥料の半分が川などに流れることで、環境汚染の原因となりましたが、アグロデザイン・スタジオの開発する「硝化抑制剤」は窒素肥料による環境汚染を抑える効果があり、持続的農業への貢献も期待されています。
創業者の西ヶ谷有輝氏は、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構にて研究員として従事した後に起業。2018年には第3回東大IPC起業支援プログラムに採択されました。
バイオデータによる価値創造を可能にする ~アメリエフ株式会社~
アメリエフはバイオデータをコンピューターによって分析する「バイオインフォマティクス」という技術を用いて、ライフサイエンス分野の研究における高度データ解析システムの開発・提供や、データ活用コンサルティングなどの事業を展開しています。2019年には遺伝子検査の支援システムである「AmeliCure(アメリキュア)」をリリースしました。
山口昌雄氏は理化学研究所や、京都大学大学院などを経て、2009年にアメリエフを設立しました。リアルテックファンドが出資しており、2020年の9月にはPHCホールディングスの傘下に入り、PHCホールディングスホールディングスの持つ膨大なデータからさらなる発展が期待されれています。
ゲノム情報を活用して、豊かな生活、より良い地球環境の実現に貢献する ~Genomedia(ゲノメディア)株式会社~
Genomedia(ゲノメディア)は、ゲノムというDNAで作られた遺伝子の設計図を解析し、がん治療に貢献しています。試料を同時並列で処理することでゲノム解析のコストを抑え、さらにレポートを作成し医師に送るというワンストップの解析システムの開発をしています。2019年には、国立がん研究センターの実施している「SCRUM-Japan(スクラムジャパン)」の第三期には、「Genomedia Front」というクラウド上でゲノム統合データの管理ができるサービスを提供しています。
山田智之氏は東京大学大学院で博士号取得後、同大学院にて助教に従事。大学院時代にはゲノム解析の研究をしており、そのときからゲノム解析の可能性を予感していました。2013年にGenomedia(ゲノメディア)を設立しました。
世界をより良く変えて行く。 ~iHeart Japan(アイハートジャパン)株式会社~
iHeart Japan(アイハートジャパン)は、京都大学発のバイオベンチャー企業で「iPS細胞」を使った心臓の再生医療製品の開発をしています。日本では実施されている心臓移植の件数が少なく、誰でも受けられるような治療ではありません。iHeart Japan(アイハートジャパン)の開発する細胞医薬によって、誰でも当たり前に治療が受けられるような社会の構築が期待されています。
創業者の角田健治氏はバイオテクノロジーを専門分野とするベンチャーキャピタル投資に従事した後、2013年に創設。2018年には大学発ベンチャー表彰2018 日本ベンチャー学会会長賞を受賞しています。
New Tools Lead to a New World ~エディットフォース株式会社~
エディットフォース株式会社は遺伝子編集技術を用いた医薬品開発とPPRプラットフォーム技術を提供するスタートアップで、代表取締役社長の小野高氏が2015年に設立しました。
九州大学発の研究に基づき、植物で発見されたPPRタンパク質によるRNA編集メカニズムを用いた独自のRNA編集技術”PPRプラットフォーム技術”を開発・提供しています。これによりこれまでの技術では難しかった遺伝子編集・制御の実現を目指しています。
再生医療で心臓病治療の扉を開く ~Heartseed(ハートシード)株式会社~
Heartseed株式会社はiPS細胞を用いた心筋再生医療の早期事業化に取り組むスタートアップで、代表取締役の福田恵一氏が2015年に設立しました。
独自に開発した簡便な純化精製方法(主要国で特許取得済み)で、未分化細胞及び非心筋細胞を除去し、腫瘍形成リスク、不整脈発現リスクを最小限に抑えています。心臓病の領域における真の再生医療の実現を通して、より良い世界をつくる再生医療のリーディング・カンパニーを目指しています。
レーザの力で、「できない」を「できる」に変える。 ~株式会社QDレーザ~
株式会社QDレーザは通信・産業用高効率半導体レーザおよび視覚情報デバイスの開発製造販売を行うスタートアップで、代表取締役社長の菅原充氏が2006年に設立しました。
独自の6つのコアテクノロジーを保有していて、理論上でしか存在しなかったレーザーを開発しています。これによって、これまでにできなかった非加熱で高精細な加工を行うことを可能にしています。
今回ご紹介致しました企業の他にも、様々なバイオベンチャーがより良い社会の構築を目指して、日々研究や開発をし、イノベーションを起こしています。これからのバイオベンチャーの動きをぜひチェックしてみてください。