【スタートアップ転職後のキャリア調査】87%がスタートアップ界隈で引き続き活躍

スタートアップ転職を検討する方から多く訊かれる質問に「スタートアップ転職後はどのようなキャリアになるのでしょうか?」ということがあります。

これまで事例紹介等で回答していましたが、アマテラス・ママテラス経由でスタートアップ転職を果たした方々のその後のキャリアについて調査し、その進路別に集計致しました。

この結果、87%の方がスタートアップ界隈での活動を続けていることが分かりました。
カイシャのカンバンを外してスタートアップ村で生きていくことは、実はそんなに怖いことではなく、自分の力で生きていく力が付くとむしろ居心地がよいといえるかもしれません。

【リサーチサマリ】
・2019年以前にスタートアップ転職をした方の半数近くは転職先スタートアップに在籍を続けている。
・転職先に継続在籍の方も含めて87%は、何らかのカタチ(他のスタートアップ、メガベンチャー、フリーランス・独立)でスタートアップ界隈に関わり続けている。
・他方、1割強の方は一旦スタートアップに転じたものの、その後大企業・中堅企業に転職している(戻っている)。この層はスタートアップに合わないことを早期に察知し、ほとんどが2年以内に再度転職している。

【調査概要】
調査主体:株式会社アマテラス
調査対象:2011年~2019年にアマテラス・ママテラス経由での転職者
有効数 :191
調査時期:2021年8月

半数近くは、転職先に引き続き在籍して活躍

全体の半数近い47%の方が最初のスタートアップ転職先に引き続き在籍しています。
この内、6割近い方が既に3年以上在籍しており、転職先で部門長やCxOとして活躍している方も散見されます。

【事例】
・外資系コンサルティング  →AIスタートアップ  CEO
・大手電機メーカー法人営業 →モビリティスタートアップ企業事業部長
・大手商社 →サスティナビリティスタートアップ 部門長
・公認会計士 →Fintechスタートアップ CFO

他のスタートアップに転職した理由は「スタートアップ住民になったから」

スタートアップからスタートアップに転職したのは21%。
ポジティブな転職理由が中心で以下のように集約されました。

・知り合い、取引先のスタートアップからスカウトされた。
・副業していたスタートアップにそのまま転職した。
・ミッションを達成し、関心あるスタートアップへ転職。
・もといた会社では事業失敗したがスタートアップの楽しさにはまった。

スタートアップ村は狭いので一度成果を出すと界隈で評判になり声がかかるというパターンが目立ちます。いわゆるスタートアップ界のタレント人材はこのカテゴリに含まれており、勢いあるCEOからスカウトされるケースが少なくありません。

また、事業そのものは失敗してもスタートアップの魅力に取り付かれ、再度スタートアップにチャレンジする方も少なくありません。失敗しても諦めないこの方々をアマテラスとしてもサポートしています。

メガベンチャーへ転職した理由は、「スタートアップが好きだけど安定と給与も欲しいから」

一度スタートアップ転職後、メガベンチャーに転職した方は6.8%。
その主な理由は以下に集約されます。

・スタートアップらしい環境で働きたいが家庭の事情で給料を下げられない。(例:1000万円以上は欲しい)
・スタートアップで働きたいが不安定な環境は避けたい。

スタートアップ・ベンチャーの雰囲気やカルチャーは好きだけど家庭の事情で給料・安定性も求めた結果、メガベンチャーが落としどころになる、というパターンです。
ただ、この方々とよくよく話してみると、「いつかはスタートアップでまたやってみたい」と話されます。

フリーランス・起業独立する理由は、「自分でやれる自信を持てたから」

スタートアップ転職後、フリーランス・起業独立の道を選んだ人は12%。
その理由は以下に集約されます。

・経営幹部としてIPO、EXITに導くことができた。この経験を後進に伝えたい。
・事業成長やIPO等の経験を活かして自分の本当にやりたかったことで起業した。
・特定の再現性あるスキルを獲得した自信があり、プロ人材として多数の会社に関わりたい。

この層の特徴はIPO、EXITなど目に見える結果を伴った方が多いことです。
最初のスタートアップで経営幹部として重責を担い、困難を乗り越えスタートアップ経営の真髄に触れたという感覚を持たれています。いわゆる経営人材、CxOクラスの領域に入った人達です。
また、再現性あるスキルがあるという自信を持てたことから、経営というよりも専門スキルを磨く道に進む方も一定数います。

大企業・中堅企業に転職した(戻った)理由は「スタートアップに合わなかったから」

スタートアップに転職した後、大企業・中堅企業に転職したのは12.0%。
主な転職理由は以下のように集約されました。

・給料が下がりモチベーションも下がってしまった。
・起業家やスタートアップメンバーの熱量についていけない。
・想定以上に大きな裁量が与えられプレッシャーが大きすぎた。
・経営方針が(大企業と比べて)頻繁に変わることに疲れた。
・将来が不安になった。規模の大きな安定した会社で働きたい。

この層の多くは、スタートアップ在籍期間が2年以内と短い傾向にあります。
スタートアップで働く理由や目的が不明確なままに飛び込むとミスマッチに繋がってしまうので気を付けましょう。
スタートアップに行くと一攫千金できるという幻想を抱いていたり、ストックオプションに期待しすぎるのは危険です。常々お伝えしていますが、スタートアップでは「お金は後から付いてくる」というスタンスを持つ必要があります。

まとめ:スタートアップ村に一度入ると、多くの方はそのまま住民になる

「スタートアップに転職するとその後どのような道を歩むのでしょうか?」
このような問いの中には、「スタートアップ転職後の姿がわからず、不安だ」という心理状態があるはずです。

しかし、今回調査を行った結果、87%の方がスタートアップ界隈にいるという事実を知ることができました。これは、スタートアップで働くことに対する満足度の高さを示していると思われます。

スタートアップは個人に安定した雇用は提供できませんが、スタートアップで働くことで力が付き、自身を安定させていく、ということはある程度実現できているのだと思います。

スタートアップで働ければどこでも良いということはありません。成長企業には機会が溢れています。機会の多さがあなたを成長させ、結果的に安定させます。

アマテラスは【日本からGoogle・Facebookを100社創出する】というビジョンを掲げ、アーリーステージに特化したスタートアップ専門の転職・副業サービスを運営しています。
企業審査通過率は約15%という厳しさです。
スタートアップキャリアを考えている方、ぜひアマテラス・ママテラスをご活用ください。

以上

この記事を書いた人

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藤岡 清高

株式会社アマテラス代表取締役社長。iU 情報経営イノベーション大学客員教授。 東京都立大学経済学部卒業後、新卒で住友銀行(現三井住友銀行)に入行。法人営業などに従事した後に退職し、慶應義塾大学大学院経営管理研究科を修了、MBAを取得。 2004年、株式会社ドリームインキュベータに参画し、スタートアップへの投資(ベンチャーキャピタル)、戦略構築、事業立ち上げ、実行支援、経営管理などに携わる。2011年に株式会社アマテラスを創業。 著書:『「一度きりの人生、今の会社で一生働いて終わるのかな?」と迷う人のスタートアップ「転職×副業」術』