【2023年更新】宇宙スタートアップ・ベンチャー企業7選

2020年から実用化が始まった5Gや、自動運転車・空飛ぶタクシーなどの次世代自動車の裏で注目されているのが衛星5G。衛星ブロードバンドが実用化されれば、携帯電話の電波が届かないエリアでも通信可能になります。
米アマゾン・ドット・コム子会社のカイパーシステムズや、スペースXのスターリンクなどが何千単位で衛星を打ち上げるなど、世界では衛星ブロードバンドの打ち上げが活発です。

衛星5G分野以外でも多くの宇宙ビジネススタートアップ・ベンチャーが事業開発フェーズから事業化や事業拡大フェーズへと移行しており、日本経済新聞社「NEXTユニコーン調査」2021トップ30に、宇宙スタートアップ企業3社がランクインするなど、国内外で注目が集まっています。今回は、宇宙スタートアップ企業を7社ご紹介します。

地球近傍及び以遠における持続的な宇宙開発の実現 ~株式会社Pale Blue(小型衛星用進推機)~

株式会社Pale Blue(ペールブルー)

株式会社Pale Blueは、Founder & CEO浅川純氏を中心としたメンバー4人が創業した、東京大学発の宇宙スタートアップ企業です。

小型衛星の更なる市場拡大には、その推進機が必要不可欠ですが、大型衛星の推進剤である高圧ガスや有毒物は、体積・重量・コストの観点から小型衛星に適用することは困難でした。そこで、「水」を用いた小型衛星用エンジン技術を提供し、宇宙空間における新たなモビリティインフラの構築を目指しています。

2021年には、累計調達額約10億円の資金調達を実施し、グローバルも含めたチーム強化、量産体制の構築、新たな研究開発を進めています。

宇宙の可能性を広げ、人類の発展に貢献する ~株式会社QPS研究所(小型SAR衛星)~

株式会社QPS研究所

株式会社QPS研究所は、九州の地に宇宙産業を根差すべく、2005年九州大学名誉教授の八坂哲雄氏と桜井晃氏、三菱重工株式会社のロケット開発者 舩越国弘氏が創業した、九州発の宇宙スタートアップ企業です。2014年からは、八坂氏の教え子で九州大学在学時から小型人工衛星開発プロジェクトに従事している大西俊輔氏が代表取締役社長を務めています。

従来のSAR衛星の20分の1の質量、100分の1のコストで100 kg級高精細小型SAR衛星の開発に成功し、夜間や天候不良時でも高分解能・高画質で観測できるSAR画像を提供しています。

2022年2月には、10.5億円の資金調達を実施し、累計資金調達額が約82.5億円に到達。今後は衛星を毎年複数機打ち上げ、2025年以降を目標に36機の小型SAR衛星のコンステレーションを構築し、平均10分ごとの準リアルタイム地上観測データサービスの提供を目指しています。
【CEOインタビュー】https://amater.as/article/interview/qps/

宇宙を、普通の場所に。 ~株式会社アクセルスペース(超小型人工衛星)~

株式会社アクセルスペース

株式会社アクセルスペースは、東京大学大学院在学中から超小型衛星の開発に携わってきた代表取締役 中村友哉氏によって2008年に創業された東大発の宇宙スタートアップ企業です。

2021年3月までに合計5基の衛星を打ち上げています。2015年からはAxelGlobe事業を立ち上げ、衛星画像を用いたサービスも行っています。

2022年末までに衛星を新たに4基打ち上げ、現行の5基体制から23年以降は9基体制での運用を開始予定。防災や保険、金融などよりリアルタイムな情報を求める企業への衛生データの提供や、本格的なグローバル展開に力を入れていきます。2022年2月には、「第10回技術経営・イノベーション大賞」にて「総務大臣省」を受賞し、「超小型衛星を通じたジェネリックテクノロジーの提案であり、その先に新しいビジネスモデルの可能性がある点」を評価されています。

地球と月がひとつのエコシステムになる世界 ~株式会社ispace(月)~

株式会社ispace(アイスペース)

株式会社ispaceは、2010年より史上初の民間月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」で日本チーム「HAKUTO」を率いた、Founder & CEO袴田武史氏が創業した宇宙スタートアップ企業です。

宇宙資源を活用し、地球と月をひとつのエコシステムとする持続的な世界の構築に向けた、
・宇宙コンテンツによる企業マーケティング支援
・月面データの調査支援および販売
・月周回および月面への高頻度輸送サービス
・月周回および月面へのペイロード開発支援
・宇宙資源開発に向けたR&D
を展開しています。

2021年には、シリーズC投資ラウンドで国内外から資金調達を実施し、総調達額が約218億円に到達(2021年10月時点)。2022年末までに、顧客の荷物を月面まで輸送する着陸機を打ち上げ、月の情報と地球-月輸送サービスプラットフォームの構築を目指していきます。

宇宙を、好奇心に動かされた人類の、進化の舞台にする ~株式会社ALE(宇宙エンターテイメント)~

株式会社ALE(エール)

株式会社ALEは、東京大学大学院で天文学を学んだ代表取締役社長 岡島礼奈氏が、2011年9月に創業した民間宇宙スタートアップ企業です。

宇宙エンターテインメント事業「Sky Canvas」、⼤気データ事業、宇宙ゴミ対策事業の3領域で事業を展開しています。

2021年には資金調達を実施し、累計調達金額が総額約49億円に到達。2023年に技術実証を予定している人工流れ星衛星3号機の開発、EDT(導電性テザー)を利用したデブリ化防止装置の開発、大気データ取得を進めています。

持続可能な超循環型農業を地球・宇宙双方で実現する ~株式会社TOWING(高機能バイオ炭)~

株式会社TOWING

株式会社TOWINGは、宙炭(そらたん、高機能バイオ炭)の導入支援や宙苗(そらなえ)の販売を行うスタートアップで、代表取締役の西田 宏平氏が2020年に設立しました。
宙炭(そらたん)とは高機能ソイル技術を活用した高機能バイオ炭を、農業で使用できる形に製品化した人工土壌の名称です。作付けを切り替えるタイミングで、たいひ散布の代わりに宙炭を利用することにより約1か月で上質な農地に転換することができます。これにより地球上における農業課題の解決と、宇宙での作物栽培実現を目指しています。

宇宙VRコンテンツの開発を通じて人と宇宙をつなぐ ~株式会社Yspace(宇宙VRコンテンツ)~

株式会社Yspace

株式会社Yspaceは月から打ち上げる超小型ロケットの開発・販売を行うスタートアップで、代表取締役CEO の川﨑 吾一氏が2018年に設立しました。
VRコンテンツ受託開発では、衛星データを用い科学的根拠をもとにリアリティのある体験価値を提供しています。小型ロケットを用い、惑星からの輸送事業を推進し、惑星間輸送の実現を目指しています。

おわりに

持続可能な社会の実現、様々な最先端技術の実用化には宇宙領域の開発・研究が必要になります。海外企業が巨額な投資をして宇宙開発を進めていく中で、日本のスタートアップ企業がどのように技術力を示していくのか楽しみですね。国内外で活躍していく宇宙企業に関心のある方はぜひアマテラスの「モビリティ・ロボティクス スタートアップ企業一覧」をご覧ください。

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吉田響