【RPOインタビュー】2023年激化する採用競争の動向とスタートアップがRPOを活用する際のポイント

Attack株式会社代表取締役 村上篤志氏

アマテラスは、スタートアップ企業とスタートアップ参画を目指す人材のための採用スカウトサービスです。その性質上、経営者の方々から人材採用にまつわるご相談をよく伺います。

その中でよく耳にするお悩みの一つが、採用業務の効率化です。スタートアップの多くが人材採用の専門部署を設けておらず、限られたリソースの中から採用業務にかかる時間や労力を捻出しています。

そのため、多くの企業が求めている人材にアクセスできなかったり、応募者へのフォローが追いつかず採用を逃してしまったりといった課題を抱えているのです。そんな中、昨今注目されているのがRPOです。

RPO(Recruitment Process Outsourcing)とは、採用活動にまつわる業務を企業に代わって行う「採用代行サービス」のことです。煩雑な採用業務の一部あるいは全業務を外部に委託することで、本業により集中できるようになるため、導入しているスタートアップも増えてきました。

今回は、RPOサービスを提供しているAttack株式会社の代表取締役、村上 篤志氏にスタートアップ人材採用の動向やRPOを活用する際のポイントについて伺いました。

村上篤志氏

代表取締役
村上篤志氏

テレビ朝日広報局宣伝部、Yahoo!JAPANでの新規事業立ち上げを経て、2006年からは組織人事コンサルティング会社のリンクアンドモチベーションにて大手企業向け人材育成領域のソリューション営業を担当。2012年には同社の子会社リンク・アイへ異動し、人材紹介事業の責任者を務める。2016年4月、Attack株式会社を創業し、代表取締役に就任。現在に至る。

Attack株式会社は、挑戦する人と企業のマッチングをサポートする採用支援会社。「多くの挑戦があふれる社会の実現」をミッションに掲げ、プロジェクトマネジメント型採用支援サービス 「TARGET」等を通じて、スタートアップやベンチャー企業の採用をサポートしている。

大手企業の参入によって激化している採用競争

アマテラス:

2023年のスタートアップ採用のトレンドについて、どのように見ておられますか?

Attack株式会社 代表取締役 村上篤志氏(以下敬称略):

スタートアップ採用のトレンド自体はここ数年でそこまで大きな変化はない印象です。ただ、大手企業も採用手法としてダイレクトリクルーティングに比重を置き始めたため、相対的にスタートアップ採用はより厳しくなったと感じます。

大手企業がダイレクトリクルーティングに注力し始めたのはこの数年のことです。理由としては、候補者がエージェント離れを起こしている点や、ITエンジニアなど一部の職種については待ちの体制では必要な人材が確保しづらいという点が挙げられるでしょう。

そのため、これまでは大手企業とスタートアップとで自然と棲み分けできていた部分が曖昧になってきているといえるでしょう。ダイレクトリクルーティングの各社サービスも今後アップデートしていくかとは思いますが、特に写真などのビジュアルで差別化できないサイトだと、採用競争を勝ち抜くのは大変だと思います。

採用方法と一言でいっても様々な手法がありますが、スタートアップの場合は、ダイレクトリクルーティングが最も効果的だと思います。スタートアップ市場が拡大する中、資金調達額などの情報だけでは今や候補者の注意を引くことができません。

そのため、本当に創業初期であればリファラルに力を入れて頂き、自社ホームページ内の採用コンテンツを充実させた上で、社員同士がシェアしながら認知を上げていく努力が必要かと思います。

採用業務を切り出して、RPOに依頼するという選択肢

アマテラス:

そんな中で、最近Attack社のようなRPOサービスの需要が高まっているという話をよく耳にします。

村上篤志:

人材採用というのは、外部の力をうまく借りることで効率化しやすい分野だと私は考えています。たとえば、母集団の形成に苦戦している段階の企業の場合、リソースがそもそも少なく、採用を改善するにしても何をどう変えていくべきか分からず困っておられるケースがよくあります。

母集団が形成された後も、採用業務の知見を持った人が社内にいない場合、どうしても作業効率が悪くなります。ほとんどの企業は最初、採用担当者がいないところからのスタートですから、採用に力を入れようとするとその分本業が停滞しかねないのです。

採用業務は、応募者を集めて終わりではなく、その後の日程調整やフォローをどれだけスピード感を持ってやれるかが非常に重要です。特にエッジが尖っていて、候補者からの人気が高いスタートアップだと、対応が追いつかないこともあるでしょう。

せっかく応募してくれた人材を取り逃さないためにも、採用周りのオペレーションを的確にやれる人材が社内にいない場合は、そういった業務を切り出して、RPOに依頼するというのは、有用な選択肢かと思います。

もちろん事業投資として、人材採用のノウハウを社内で蓄積していきたいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。その場合、RPOを利用しつつ、社内で雇用した採用担当者に徐々に業務を移管していくといったやり方も可能です。

 

RPOを活用するためには、採用への主体的なコミットが必要

アマテラス:

RPOを上手に活用するためのコツなどがあれば教えてください。

村上篤志:

RPOに依頼するメリットは、人材のスカウトから日程調整まで、従来エージェントが対応していたような業務を外部に任せながら、ダイレクトリクルーティングを実施できる点です。

RPOサービスも数が増えている中で、人材のスカウト支援に特化した会社やフリーランス派遣のような形で必要な部分に適切な人材を提供する会社など、各社サービスの棲み分けが進んできたように思います。

ただし、どのRPOを利用するにしても、採用業務を全て丸投げするという姿勢だと思うような成果は得にくいでしょう。たとえばスカウトに掲載する情報や面接でアピールする内容はRPOがコントロールする部分ではありません。いずれもお客様であるスタートアップの皆様次第です。

もちろんRPOからのヒアリングや助言は行いますが、会社の特色や魅力については、ネタを提供いただきつつ、一緒に考えていくスタンスが大切だと考えています。後は、その会社の社長や事業の特性にもよりますが、特にスタートアップの場合、トップがどれだけ採用にコミットしているかも大きいです。

スタートアップの場合、候補者の多くは企業情報の量と質をどちらも重視する傾向にあります。会社や事業として面白いと感じられるか、ユニークな魅力があるかという点に加えて、これからの成長に期待が持てるかという点を彼らは見ているようです。

こういった情報をきちんと候補者に届けるためには、やはり自社のホームページや採用資料を充実させ、面接でアピールする内容をしっかり練り込む必要があると思います。

求人戦略からスカウティング、選考管理まで一貫サポートできるAttack社の強み

アマテラス:

RPOの棲み分けが進む中で、Attack社はどういった強みを打ち出しておられるのでしょうか?

村上篤志:

当社の強みは、企業の魅力の打ち出し方やターゲット選定といった求人戦略からスカウティング、そして応募後の日程調整や選考管理まで全て一貫でサポートできるところだと考えています。

スカウティングについてはTARGET SCOUTという専門のサービスを用意しているのですが、料金体系が明確なこともあり、大手企業からメガベンチャー、スタートアップまで幅広いお客様からご依頼いただいています。

 

村上篤志:

1アカウントだけであれば、無料ですぐに登録できますので、一度お試しいただき、ぜひ今後のサービス向上に向けた感想や評価を頂けたらありがたいです。

あと、実は当社のサービスを利用いただいているお客様には、自社で独自に開発した採用管理システム(ATS:Applicant Tracking System)の無償提供も行っています。

スタートアップの場合、採用管理をエクセルやスプレッドシートで行っている事が多いのですが、それだとデータが蓄積しづらいなど様々なリスクがあります。しかし、採用管理システムに投資しても、費用対効果が見合わないことがほとんどです。

当社の採用管理システムは、シンプルな仕様ですが、必要な機能は問題なく揃っています。エージェントにも窓口を解放できますし、大手ダイレクトリクルーティングサービスからの自動データ取り込みも可能です。

せっかく応募してくれた方とのご縁を逃さないように、ぜひ当社の採用管理システムを上手くご活用いただけたらと思います。

Attack社から見た、アマテラスを利用するスタートアップの特徴とスカウト返信率の高さ

アマテラス:

Attack社から見たときの、アマテラスという媒体への評価について教えていただけますか。

村上篤志:

アマテラスを利用されているスタートアップの方々は、社会課題に対して真正面から向き合おうとしている企業が多く、将来性があると感じます。スタートアップへの転職を検討されている応募者の傾向として、これからの事業成長に対する期待感を大切にしている方が多いように思いますが、そういった方にはアマテラスは最適でしょう。

実際、厳選されたスタートアップに特化している分、スカウトへの返信率が高いのもアマテラスの特徴でしょう。特にミッションやビジョンを明確に示せるようなスタートアップなら、採用スカウトはアマテラス一択で勝負してもいいくらいだと思います。

従来よりも資金調達が容易になった昨今、スタートアップが最も苦戦するのは人材採用の部分でしょう。アマテラスの指向性は「もっと多くの挑戦があふれる社会の実現」という当社ミッションともマッチしていますし、これからも双方のサービスの強みを組み合わせながらスタートアップの採用支援に尽力していけたらと思います。

企業の採用支援を通じて、挑戦あふれる社会の実現を目指す

アマテラス:

Attack社の今後の展望について、お聞かせください。

村上篤志:

ダイレクトリクルーティングの重要性は今後、ますます高まっていくことでしょう。これまでエージェントを利用していた企業も転職志望者も、ダイレクトリクルーティングへとシフトしていくと見ています。

そうなると、企業の大小問わず採用活動の負荷は確実に増大していくはずです。そんな中で、当社はブレること無く、企業の採用支援をしていきたいと考えています。

私自身、ベンチャーに近い100名規模の会社で裁量の大きな仕事に携わり、大きく成長させてもらった経験があります。アマテラスのような企業と協力しながら、スタートアップで働く魅力や価値をもっと多くの方に伝えていきたいと考えています。

自分の実力を磨き、キャリアを切り拓いていきたい転職志望者と新たなビジネスを生み出すべく日々取り組んでいるスタートアップ、双方のチャレンジを当社は今後も採用面から全力でサポートしていきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

アマテラス:

本日は貴重なお話をありがとうございました。

この記事を書いた人

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多田 ゆりえ

広島県広島市出身。国際基督教大学卒業後、外資系製薬会社のMRとして勤務。その後、心身を壊し、10年ほど障がい者雇用の現場を経験。30代で県立広島大学大学院に飛び込み、社会福祉学を専攻。並行して、社会福祉士資格を取得。「データ扱いではなく、人の物語に光を当てたい」との思いから、大学院卒業後、インタビューライターとして起業。翌年に株式会社心の文章やとして法人化した後、会社を休眠させて、合同会社SHUUUに参画。ベンチャーキャピタルJAFCO様の広報サポートの他、スタートアップ領域の広報に広く携わる。2024年より東京に拠点を移し、社名を株式会社YEELに変更し、会社を再始動。フランチャイズ支援と広報サポート事業の2軸で展開する。アマテラスには、2022年8月よりパートナーとして参画。