【RPOインタビュー】正社員150名超の体制で人材採用業務を代行し、スタートアップの採用力強化に貢献する

マルゴト株式会社代表取締役 今啓亮氏

スタートアップ企業が抱える経営課題は様々ですが、その中でもインパクトの大きな経営課題の一つが「人材採用」です。適切な人材を早急に確保できるかどうかで、今後の事業のスケール度合いが大きく変わってくるからです。

採用活動を開始してから入社までは通常、早くとも1〜2ヶ月はかかります。昨今では採用活動にまつわる業務を企業に代わって行う採用代行サービス、RPO(Recruitment Process Outsourcing)の需要が高まっていますが、変化が早いスタートアップからすると、どれだけ柔軟かつスピーディに対応してもらえるのか不安を感じられることもあるでしょう。

数あるRPOの中でも、スタートアップ・ベンチャー企業に対するクオリティの高い採用支援で定評があるのが「まるごと人事」のサービスを提供しておられるマルゴト株式会社です。社員150名超という業界でも珍しい規模感の組織を構築しておられるマルゴト株式会社は、アマテラスがおすすめする提携先でもあります。

今回は、マルゴト株式会社の代表取締役である今啓亮氏にスタートアップ人材採用の動向やRPOを活用する際のポイントについて伺いました。

今啓亮氏

代表取締役
今啓亮氏

北嶺中高等学校、北海道大学卒。大学在学中に家庭教師仲介サービスで起業。新卒で東京のベンチャー企業に入社し3年間勤務。2013年にカンボジアで人材紹介会社を創業し、登録者15,000人のサービスに成長させて2年で会社譲渡。2015年に東京でマルゴト株式会社(旧社名:株式会社ビーグローバル)を創業。「理想のサービスと理想の職場を同時実現する」を経営理念に掲げ、全員がフルリモートで働くユニークな組織運営を行っている。

マルゴト株式会社は、企業の成長を支える採用・バックオフィスのオンライン代行サービスを展開する企業。業界的に業務委託を中心としたサービス提供をしている会社が多い中、あえて正社員を増やすことにこだわり、ワンチームとしてより多くの顧客企業を支援できる体制づくりに力を入れている。書籍「中途採用の定石」の著者。

マルゴト株式会社

マルゴト株式会社

マルゴト株式会社は、企業の成長を支えるオンライン代行サービスを展開しています。パーパスとして「理想をともに叶える」を掲げ、採用やバックオフィスの代行サービスを提供することで、より多くの企業がミッション・ビジョンを実現できる世界を目指しています。

採用手法として重要性を増すスカウトと20代のキャリア意識の変化

アマテラス:

2023年のスタートアップ採用のトレンドについて、どのように見ておられますか?求職者の動向と合わせて教えてください。

マルゴト株式会社 代表取締役 今啓亮氏(以下敬称略):

求人広告や転職エージェントに予算を投下しても思うような人を採用できないという声をよく聞く中で、スカウトの重要性は年々増していると感じます。なぜなら、優秀な方ほど求人広告媒体をあまり頼らない傾向があるからです。

実際、現職で活躍しておられる20代の方に話を聞いてみたのですが、彼らは普段ほとんど求人広告などの媒体を見ていないそうです。そうなると、彼らの関心を引くようなスカウトが直接来ない限り、転職を検討しようがないわけです。

逆を言えば、企業の知名度や広告の規模ではなく、届いたスカウトが魅力的かどうかだけで選ばれるようになってきたため、スタートアップにとってはチャンスとも言えるでしょう。求める人材に対していかにプッシュし、認知してもらえるかが勝負です。

あと、最近では、エンジニアなどの技術職に限らず、管理職を含めた幅広い職種の方々が、副業や業務委託といったスポット的な関わり方からスタートアップを知り、徐々にコミットしていくケースが増えているように思います。

いわゆるハイクラス媒体やハイレイヤー向けの求人媒体に登録する若手も増えてきていますし、優秀な方ほどご自分の現状を客観視しながら、キャリアを作り上げていくという意識が強くなっているのでしょう。20代の方でもキャリアアップを見据えた転職が当たり前の選択肢になってきているのを感じます。

採用プロセスの工数増加とスタートアップのリソース不足

アマテラス:

マルゴト社は2022年に本社を東京から札幌に移転されていますが、スタートアップの採用事情に関して、首都圏と地方での違いはありますか?

今啓亮:

東京に比べると、地方ではまだまだ中途採用の割合が少ないため、採用の難易度が高くなりがちという印象です。地方では企業同士の距離感が近いこともあり、地域内の同業他社からの採用はあまり好まれない傾向にあります。

そういった背景から、地方都市の企業からはUターン人材がほしいというお声をよく耳にします。そのために転職エージェントを活用したり、エリア外で働いている人材をスカウトするケースが多いようです。

大手企業であれば、人事の専任担当者を用意していますし、その分リソースを集中投下できるので他社との採用競争にも対抗できるのですが、スタートアップだとなかなかそうはいきません。多くのスタートアップでは採用と別の役職を兼任しているからです。

特に、スカウトの重要性が高まっている昨今、ターゲットの選定からスカウトメールの文面づくり、応募に対するレスポンスや数字の改善など、採用にかかる工数が大きく膨らんでいます。そのため、専任の人事を設けていないスタートアップだと、リソースの兼ね合い上、どうしても採用の優先度が下がりやすくなり、求める人材を獲得しづらくなる傾向にあります。

専門家のノウハウを活用し、採用という最重要課題を支援するRPOサービス

今啓亮:

では、専任の担当者を雇用すればいいのかという話になりますが、採用活動を通年で必要とするフェーズまでは、採用コストは変動費化しておいた方がいいというのが私の考えです。

特にスタートアップの場合、採用を拡大していく時期だけではなく、中断する時期も一定割合で生じるはずです。その際にもし専任のメンバーを雇っていると、後者の期間中は採用の仕事が無くなるため、その人の人材価値を十分に活かせなくなってしまいます。

その点、私達のようなRPOサービスであれば、必要な期間だけご利用頂くことができますし、採用のノウハウも豊富なので、採用活動の大幅なショートカットが期待できます。

ピンポイントで数名を採用したいアーリーフェーズであれば、自社のリソースをやりくりしながら、一定期間採用に注力頂いたほうが効率的ですが、それ以外であればお役に立てる場面は多いと思います。特に、自社の採用力を長期的に高めていきたい場合やエンジニア職など特定の人材を緊急で大量に雇用したい場合などは、お力になれる可能性が高いです。

当社は2017年に採用代行サービス「まるごと人事」を開始しました。当初は代表1名だけで始めたサービスですが、現在では社員数150名超の規模にまで成長し、現在もさらに組織を拡大し続けています。

その理由として、市場のニーズ拡大はもちろんありますが、スタートアップの方々にとって人材採用が絶対に避けては通れない重要な経営課題だという点が大きいと考えています。特に初期の段階で採用で失敗してしまうと、後から取り返せないことが往々にしてあります。

資金調達に成功したスタートアップであればなおさらです。基本的に拡大路線以外の道がないわけですから、組織の今後を担う人材の採用にはどの企業も慎重になります。だからこそ、採用のプロである私達がお手伝いできる部分も大きいと考えています。

 

RPOの利用を通じて自社組織の解像度を高め、長期的な採用力強化へ

アマテラス:

RPOを使って採用が上手くいきやすいケースとそうでないケースの違いについて教えて下さい。

今啓亮:

RPOサービスを上手く活用されている企業は、パートナーシップを大切に、一緒にやっていこうというスタンスで採用に取り組まれているケースが多いように思います。たとえば定例ミーティングで積極的に情報提供いただければ、私達もよりよい提案ができますし、その分成果も出しやすくなります。

逆に、情報もほとんどご提供いただけないまま「全部やっておいて」といったようなスタンスだと、思うような結果には繋がらないことがほとんどです。私達のサービスは「まるごと人事」なので、採用に関する業務を全てお任せ頂く分には問題ないのですが、「まるなげ人事」だと厳しいですね。

私達の介在価値が最も発揮されるパターンとしては、企業側で一緒に取り組んでくださった担当者の方が、そこで得られた知見をもとに組織の解像度を高め、組織づくりに活かしていくケースが挙げられます。

自社で活躍出来る人や退職を選んだ人の分析に始まり、採用ターゲットの見直しやプロセスの改善まで自社でできるようになっていけば、職場環境も改善されていきますし、採用も結果が出やすくなっていきます。

特に、経営陣が採用も担当している場合、自社の組織に対する解像度が高まれば高まるほど、採用の確度が高くなり、組織の成長にもダイレクトに反映されていきます。そういった形で私達のノウハウを組織づくりに組み込んでもらえれば、最も効果的だと思います。

厳選されたスタートアップと求職者が集まり、スカウト返信率も高いアマテラス

アマテラス:

マルゴト社から見たときの、アマテラスという媒体への評価について教えていただけますか?当社との提携に対するご意見もいただけたら幸いです。

今啓亮:

アマテラスの大きな魅力は、登録されているスタートアップ企業も求職者の方々も厳選されている点だと思います。

これまでにもスタートアップやベンチャー企業の方々を何度かご紹介頂きましたが、いずれも社会性が高い事業をされていて、今後より良い未来を築いてくれそうな期待感のある会社ばかりでした。

成長性やスピード感を含めて、人として応援したい企業ばかりなので、その企業ごとの魅力をきちんと伝えれば採用にも繋がりやすく、私達としては大変ありがたい繋がりだと思っています。

求職者の方々については、ビジネスサイドの方々を中心に優秀な方が多く登録されている印象です。しかもスタートアップ志向が強い方ばかりなので、採用マーケットの中でもレアな層にアプローチ出来る点が素晴らしいと感じています。

私達の「まるごと人事」はスタートアップ・ベンチャーに特化した採用支援サービスなので、アマテラスとは非常に相性がよく、他の媒体と比べるとスカウト返信率が2倍以上に跳ね上がります。

登録企業と求職者の質にこだわっている分、データベースの拡大は大変かと思いますが、これからの発展が本当に楽しみです。

正社員雇用で組織を拡充し、最強の採用チームを目指すマルゴト社

アマテラス:

マルゴト社の今後の展望について、お聞かせください。

今啓亮:

私達が目指しているのは、、スタートアップやベンチャーが採用をまるごと全部任せられる最強のチームです。スタートアップの場合、大手企業以上に採用が重要になるという前提のもと、クオリティ高く、スピード感のある柔軟な対応ができるように、この数年間組織づくりに力を入れてきました。

業界的に業務委託型のフリーランスや数名規模の企業が多い中、当社はあえて正社員を多数雇用し、全体の質を高めるべく、人材教育やマネジメントにもこだわってきました。全員が中途採用で、うち70名ほどは事業会社の元人事や人材業界の経験者なので、まさに採用分野の専門チームです。

「まるごと人事」は月額制の採用代行なので、正社員を多数抱えることは人件費を考えると大きなリスクです。それでも、組織拡大を目指す理由は、社会のスピード感に合わせて、スタートアップの皆様を支援していくためには、現状では不十分だと考えているからです。

今までの累計支援社数は350社ほどですが、スタートアップの総数から考えるとごく一部にすぎません。岸田政権の目玉でもある「スタートアップ育成5ヵ年計画」にもある通り、これからスタートアップの数はより増えていくでしょうし、市場の規模も拡大していくでしょう。

社会の進化に合わせて、私達マルゴトは組織をさらに拡充し、スタートアップの成長を採用面から全力で応援し続けます。アマテラスのビジョンとも価値観や考え方が近いと感じていますので、ぜひこれからも連携していければ幸いです。

アマテラス:

本日は貴重なお話をありがとうございました。

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ただゆり

広島県広島市出身。国際基督教大学卒業後、外資系製薬会社のMRとして勤務。その後、心身を壊し、10年ほど障がい者雇用の現場を経験。30代で県立広島大学大学院に飛び込み、社会福祉学を専攻。並行して、社会福祉士資格を取得。「データ扱いではなく、人の物語に光を当てたい」との思いから、大学院卒業後、インタビューライターとして起業。その後、大阪のベンチャー企業の経営に参画し、ベンチャーキャピタルJAFCO様の広報サポートの他、スタートアップ領域の広報に広く携わる。2024年9月に合同会社そうを設立予定。アマテラスには、2022年8月よりパートナーとして参画。

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