【2023年更新】インバウンド関連スタートアップ/ベンチャー企業特集

10年の間で、増加傾向にある訪日外国人観光客。2019年、日本で開催されたラグビーワールドカップでは、イギリスなどヨーロッパからの観光客も増え、都心ではラグビー観戦に燃える外国人を多く見かけました。2020年の東京オリンピック、2025年の大阪万博(日本国際博覧会)では、さらなる盛り上がりと訪日外国人観光客の増加が予測されています。
訪日外国人観光客が増える中、国内企業は、宿泊施設事業や多言語化サービスなど様々なインバウンド事業を展開しています。今回は、アマテラスが注目するインバウンド関連スタートアップ/ベンチャー11社をご紹介いたします。

インターネット空間をローカライズする世界的な黒子企業になる

Wovn Technologies(ウォーブンテクノロジーズ)株式会社

CEOの林鷹治氏は、「STORES.jp」などで知られるブラケット出身。エンジニア兼グロースハッカーとして仕事をする中で「Optimizely」という、ウェブサイトにスクリプトを一行追加するだけでABテストを出し分けできるサービスに出会う。OptimizelyのAとBを出し分ける仕組みを使って、日本語、英語、中国語と切り替えられれば、ウェブサイトの多言語化に応用できると思いつき、起業。

「世界中の人が、すべてのデータに、母国語でアクセスできるようにする」ことを目指し、インターネット多言語化SaaS「WOVN」を展開。webサイトやモバイルアプリ、ファイルの多言語化を行い、運用体制の構築や更新情報のリアルタイム翻訳など、運用の最適化を実現します。システム開発・サイト運用・翻訳管理にかかる不要なコストを削減し、ビジネスを世界に広げるサポートを行っています。

渋谷109や東京メトロ、三井住友銀行など様々な業界のサイトやサービスを38の言語に多言語化しています。(2019.12現在)

カジュアルなホテルをつくり、世界を満足させる

株式会社Hosty(ホスティー)

山口博生CEOは、英国への留学で日本が観光地として認知されていないことを知り、日本が観光立国を目指したことをきっかけに観光事業で起業。

OMO*時代におけるオンラインとオフラインが融合した新しいホテル創出を目指し、東京と福岡で無人コンパクトホテルを展開しています。無人コンパクトホテルとは、民泊でもホステルでもホテルでもない、新しい気軽な宿泊施設。

*OMOは「Online Merges with Offline」の略称で、日本語に直訳すると「オンラインとオフラインを併合する」という意味

民泊との違い

2カ月というスピード開業によってフレキシブルに展開エリアの拡大を可能にし、短期間で事業検証のPDCAサイクルを回して効率的な投資回収をする新しいタイプのホテル事業です。今後は、お客様が周辺の飲食店や移動手段をシームレスに利用できるよう、ホテル周辺の経済圏全体を循環するためのアライアンス提携する予定です。

売り手・作り手・買い手、三方良しで世界の買い物消費高を10%上げる

株式会社Payke(ペイク)

琉球大学在学時に起業した古田奎輔CEOが、沖縄県で貿易業に従事していた時に、海外で日本の商品を売るためには、その商品の開発秘話やストーリーも伝えないと物流だけでは購入に繋がらないことを痛感。その体験を元に、万国共通のバーコードに着目し、バーコードに商品情報を載せて伝えるpaykeのサービスを思いつきました。

商品に付いているバーコード(JANコード)をスキャンすることで、訪日外国人が自国語で商品情報を確認できるショッピングサポートアプリPayke(ペイク)を展開。パッケージに記載されてる情報以上の商品に関する様々な情報を、利用ユーザーの母国語に合わせて表示する事ができます。

また「いつ」「誰が」「どこで」「何を」スキャンしたか、実際に手にとった商品や小売店に対するその「興味」のデータを収集しており、訪日外国人のオフラインの消費動向をリアルタイムで可視化する事ができます。これをサービス導入企業に一部提供・開示することで、インバウンドマーケティングとして活用しています。

今後は「Payke」の機能強化に加え、海外展開、強みでもある消費行動データや多言語化商品データを基軸に、様々な事業領域への展開を予定しています。

いま 空いているか1秒でわかる、優しい世界をつくる

株式会社バカン

バカンの空席管理サービス創出は、三菱総合研究所でAIの研究をしていた河野剛進CEOの実体験がきっかけ。子どもとショッピングセンターに行った時、どこの店も混雑し、空いている店を探していたら子供がぐずり始めてしまい、諦めて帰ろうか…とそれまで楽しく過ごしていたのに最後に少しイヤな気持ちになってしまったそう。このときに「空き情報がすんなり分かるようなサービスがあれば、イヤな気持ちにならずに済み、過ごす時間のすべてをよい体験に変えられるんじゃないか」と現在のサービスをひらめきました。

バカンは「空間を知能化する」ことを目指し、VACAN for digital-signageというIoTとAIを使って商業施設をはじめとする各種空間を管理するシステムを提供しています。

具体的には、トイレの空席情報をリアルタイムに利用者に届けるクラウド型のトイレ空席管理IoTサービス「Throne (スローン)」、スマホやPCから事前決済、財布レスでお弁当を受け取れる、お弁当とりおきサービス「QUIPPA/ クイッパ 」、 情報をアグリゲートする「Vacant-First (ベイケント・ファースト)」を実現するコミュニティ型の空席情報検索プラットフォームの開発、運営を行なっています。

企業情報:https://amater.as/online/companies/727/
求人情報:アマテラスに登録して求人情報を見る

Share the way we see the world.

株式会社Storly(ストローリー)

アメリカで美術史を学んだ高橋真知氏が、社内ベンチャーでStrolyの原型となるちずぶらりシリーズをリリース。 2016年に経営陣によるMBOを行いStrolyとして独立。

Stroly(ストローリー)は位置情報と連動したオンラインマップのプラットフォーム。誰でも自由に無料で、アナログ地図からオンラインマップを作成したり、現在地の近くのマップを検索して利用することができます。ローカルの人々の思い入れがある歴史や文化などが載ったMapをアップロードでき、旅行者がそれを体験できるという、Google Mapにはない「ストーリーのあるMap体験」をテーマにしています。

また、アクセス状況のデータに基づいて、マップのデザインやコンテンツ設計の見直しだけではなく、ユーザーの位置情報データに基づいてエリアブランディングにも活用しています。

メディア事業を通じ、日本と台湾の発展に貢献する。

株式会社ジーリーメディアグループ

防衛大学校を経て慶應義塾大学卒業後、朝日放送入社という異色な経歴を持つ吉田皓一氏。中国で活躍する若手起業家に憧れ、中国での起業を試みるも尖閣諸島問題により断念。その後、オープンスカイ協定(各国が自由に空港の発着枠や便数などを決められる航空協定)が結ばれ、台湾から日本への旅行者が急増したが、台湾には観光メディアがなかったことに着目し、起業。

【事業内容】
日本と台湾に深く根ざし、日本の魅力を台湾へ、台湾の魅力を日本へ発信しています。
1.台湾訪日客向けインバウンドメディアの運営
2.台北での日本産品アンテナショップの運営
3.テレビ番組の企画・コーディネート
4.日本語学習アプリなどスマホアプリの開発
5.中国語の日本観光ガイドブック出版事業

CEOインタビュー吉田 皓一氏:https://amater.as/article/interview/webapplication-geelee/

世界中に新しいライフスタイルの創造を

フォースバレー・コンシェルジュ株式会社

柴崎洋平氏が、SONYでの世界中の人々とのビジネス経験から「日本のグローバル企業や産業界で優秀な外国人材を受け入れることができれば、もう一度日本の高い技術力や商品力を世界に届けられるのでは」と考えたことをきっかけに起業。上智大学出身者を中心に創設され、会社も四谷にある上智大学の近くにあり、四谷を英語にしたフォースバレーが社名になっています。

日本の社会課題である人材不足問題に対し、世界各国から優秀なTOP人材を採用するスキームを構築。グローバル企業を中心に約300社、海外を含め大学が約数十大学、経済産業省や文部科学省を中心とした中央省庁/地方行政まで幅広く拡大しています。(2019.12月現在)

【事業内容】
・世界中の人材と企業をAIで繋ぐオンラインプラットフォーム
・外国人留学生の日本就職を支援する合同企業説明会・面接会
・外国人材獲得・受入の政策・戦略及びリサーチを行うシンクタンク

企業情報:https://amater.as/online/companies/412/
求人情報:アマテラスに登録して求人情報を見る

世界中の人達の知が行き交う場所を作る

株式会社Lang-8(ラングエイト)

中国生まれ、日本育ちの喜洋洋氏が、留学時にランゲージエクスチェンジで言語の上達を実感。「SNSで言語を教えあえたら面白そう」と思ったことをきっかけに起業。

【事業内容】
「世界中のネイティブスピーカーが持つ知識・経験のExchangeを促進させる」ことを目指し、以下のサービスを開発・運営しています。
・語学学習Webサービス 「Lang-8」
自分の書いた文章を、その国のネイティブが添削してくれ、そのお返しとして自分の母語を勉強している人々にも手を差し伸べることができます。
・世界中の言語や文化に特化したQ&Aプラットフォーム「HiNative」
世界中のネイティブスピーカーが、利用者の小さな疑問に答えてくれます。

全世界一億人ユーザーを目指し、 現在は全世界110カ国語を取り扱い、今後もグローバル展開を急加速していきます。(2019.12現在)

ワクワクを、すべての人に

アソビュー株式会社

リクルート出身の山野智久氏が、日本はモノには満たされているが、「余暇をいかに豊かに過ごすか」というコト領域はほとんど考えられてこなかったことに着目し、起業。

日本No.1のオンラインテーマパークを目指すasoview!(アソビュー)を展開。北海道から沖縄まで、アウトドアスポーツやものづくり体験、 遊園地や水族館、日帰り温泉などの485種類以上の遊び、6,500施設以上、19,800以上のプランを紹介するオンラインサービスを運営しています。(2019.12現在)

地域戦略事業、コンサルティング事業では、サービスやこれまで培ったアセットを活用し、「地方創生」に関わるソリューション、中央省庁や自治体の抱える課題を解決する取り組み、施設の集客効果の最大化や業務オペレーション効率化、地域の観光消費拡大を実現するためのコンサルティングサービスを提供しています。

心から人を喜ばせたい

株式会社ORIGRESS PARKS

株式会社ORIGRESS PARKSは、エンタメ施設に定額制行き放題のサービスなどを展開するスタートアップで、代表取締役社長の吉武優氏が2021年に設立しました。

主なサービスは「レジャパス」(エンタメ遊び放題のサブスク)と「ANIME SHINE PARK」(アニメ×アートのプロデュース業)です。アミューズメントパークをもっと身近に使いやすく、そしてエンタテイメントの本質を追求しています。

IT・イノベーションで文化を繋ぐ

Japan Culture and Technology株式会社

Japan Culture and Technology株式会社はIT・イノベーションを駆使して、日本の魅力を発信する事業を行うスタートアップで、代表取締役CEOの飯倉竜氏が2019年に設立しました。

日本の知られざる魅力を伝え、ハイエンドな観光・レジャーなどの感動体験を提供するECサービス「Otonami」の運営を主軸に、外国人向けハイエンド体験サービス「Wabunka」など、日本の魅力を国内・世界に届け、発信する事業を展開しています。上質な観光体験を求めるユーザーとPRに苦慮する文化・観光関連事業者の両者を結びつけ、日本の文化、観光、芸術の振興に貢献しています。

おわりに

来年の東京オリンピック2020に向けて急加速化しているインバウンド事業。商品情報やwebサイトの即時多言語化、新しい観光旅行体験の提供など、革新的な事業が数多く創出されています。インバウンド事業を活性化させることで、東京オリンピック2020が終わっても訪日外国人観光客を増やし続けられるかが、日本経済の一つのカギとなるでしょう。

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アマテラス編集部

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