【RPOインタビュー】外部CHROとしてシード・アーリー期スタートアップの採用を支援し、ソーシャルインパクトを創出する

OneWork株式会社代表取締役 大須賀洋平氏

採用活動にまつわる業務を企業に代わって行う採用代行サービス、RPO(Recruitment Process Outsourcing)の需要が近年非常に高まっています。採用手法が多様化し、プロセスが複雑化する中で、採用業務の一部あるいは全部を外部の専門家に委託するという選択肢が当たり前になりつつあります。

スタートアップ企業とスタートアップ参画を目指す人材のための採用スカウトサービスを展開している当社でも、「おすすめのRROサービスはないか」とご質問頂く機会が増えました。

RPOと一言で言っても、企業によってサービス内容や特徴は大きく異なります。RPO市場に参入する企業も急増しているため、数ある中から自社に合ったサービスを見極めるのは非常に困難といえるでしょう。

そこでアマテラスは、スタートアップの皆様におすすめできるRPOを厳選し、皆様のご要望に応じてご紹介できるように、各社と提携を結ぶことにしました。OneWork株式会社もその1つです。

今回は、当社の提携先であるRPO、OneWork株式会社の代表取締役である大須賀 洋平氏にスタートアップ人材採用の動向やRPOを活用する際のポイントについて伺いました。

大須賀洋平氏

代表取締役
大須賀洋平氏

2003年にリクルート入社後、人材系事業にて企画営業を担当。急成長スタートアップからメガバンクや自動車メーカーなどの超大企業まで、様々なクライアントに対し新卒・中途採用、組織コンサルティングなどの人材総合サービスを提供。その後、企画部門にて、営業企画、商品開発、新規事業(RPO)の開発・推進に従事。2016年に、成長スタートアップをハンズオンで支援することをコンセプトに個人で独立。シード期からIPO準備期のスタートアップまで幅広く支援。2018年から2019年にかけてはREAPRA Venturesで、投資先スタートアップをハンズオン支援。2020年にOne Work株式会社を設立し、代表取締役として就任した。

OneWork株式会社は、すべての人や組織がソーシャルインパクトに関わる世界をつくることを目指す採用・組織支援会社。シード・アーリー期のスタートアップ向けRPOサービスやスタートアップの CxO / プロフェッショナルに特化したタレントエージェンシーサービス等、ソーシャルインパクトをテーマにした各種支援事業を展開している。

OneWork株式会社

OneWork株式会社

OneWork株式会社は、すべての人や組織がソーシャルインパクトに関わる世界をつくることを目指す採用・組織支援会社。シード・アーリー期のスタートアップ向けRPOサービスやスタートアップの CxO / プロフェッショナルに特化したタレントエージェンシーサービス等、ソーシャルインパクトをテーマにした各種支援事業を展開している。

業務委託マーケットの拡大に伴い、成長を続けるRPOサービス

アマテラス:

2023年のスタートアップ採用のトレンドについて、どのように見ておられますか?

OneWork株式会社 代表取締役 大須賀洋平氏(以下敬称略):

最近のスタートアップの動向を見るに、まずは副業人材や業務委託といったプロ人材を活用しながら事業を展開し、サービスやプロダクトが一定程度グロースしたフェーズで、社員の採用を本格的に進めていくケースが多いように思います。

スタートアップへの転職希望者にとって、いきなり創業間もないスタートアップへの参画はハードルが高いものです。また、スタートアップ側からしても、一緒に働いたことのない人を創業メンバーとして正社員で雇うことはハイリスクといえるでしょう。そういった双方のハードルやリスクを軽減しないと、なかなか採用は上手く進んでいきません。

実際に弊社RPOでご支援しているスタートアップの一例をお話しすると、その企業では創業社長1名だけの体制から将来ともに経営を担うボードメンバーを採用しようというご意向をお持ちでした。そこで、まずはビジネスサイド・エンジニアサイドで複数名ずつ副業メンバーを採用し、半年程度のマッチング期間を経て双方のニーズがマッチしそうであれば、初めて社員として入社していただく、というやり方をご提案し、現在採用に向けてプロジェクトを進めています。

このように副業や業務委託がマーケット拡大する中で、機能の外部化が進んできているわけですが、この流れは、私達のように採用を外部化するRPOサービスの企業にも追い風です。私がリクルートで大手企業向けのRPOの立ち上げをしていた10年前は、「重要な人事機能を外部に出すなんてありえない」という反応を多くいただきました。それが今では、採用を外部化することは選択肢として当たり前になり、RPO市場は拡大を続けています。

スタートアップの枠外から人材を集める必要性と採用手法の複雑化

アマテラス:

求職者の動向については、いかが思われますか?

大須賀洋平:

最近の求職者の傾向を見ていると、大手企業・コンサルティングファーム・メガスタートアップからスタートアップ企業への流動は、ますます進んでいると感じます。私達One Workが2021年に経済産業省と行ったSHIFT(x)という取り組みがあるのですが、その中でも40代以上の方を中心に大手企業人材のスタートアップ流動が加速しているのを感じました。

一方でスタートアップの経営者は、スタートアップへの志向性が高い人材(高い自律性・カオス耐性・変革志向など)を採りたいというニーズを強くお持ちです。2022年ごろからスタートアップを取り巻く調達環境が厳しくなってきていることもあり、人材に対する採用基準も上がってきていると感じます。

その結果、いま起きているのが、ただでさえ希少なスタートアップ志向の優秀人材の争奪戦です。母数となるスタートアップの数は右肩上がりに増えているため、競争がより激化していると感じます。

スタートアップへの人材流動を進めるためには、スタートアップ志向の顕在層だけでなく、潜在層からも人材流動を促す必要があります。しかし、スタートアップに対する認知やマインドが不足しているケースもまだまだ多く、認知の拡大や意識の醸成といった部分は大きな課題です。

また、採用手法も年々複雑化してきています。10年前までは大手の求人媒体や大手エージェントが主な採用手法でしたが、2010年代からスタートアップ領域特化型の人材紹介会社やダイレクトリクルーティング媒体の存在感が大きくなりました。また、リファラル(社員や知人からの紹介)、SNS、コミュニティなどの手法も活用されています。

こういった採用手法の変化やトレンドを常にキャッチアップし、採用に関して最先端の知見を持ったRPOの存在意義が高まっていると感じます。

必要なときにプロ人事のノウハウを活用できるRPOサービス

アマテラス:

OneWork社では組織規模が30名満たない段階のスタートアップの採用を数多く支援されているかと思います。そういったシード・アーリー期のスタートアップがRPOを活用するメリットについて、より詳しく教えて頂けますか?

大須賀洋平:

知見豊富なプロの人事担当者を採用したいというスタートアップ側のニーズは非常に強いのですが、そのような人材はなかなか採用市場で獲得できません。なぜなら、経験豊富な人事ほど1社へのフルコミットではなく、フリーランスとして複数社の支援に携わりたいと考える傾向があるからです。

また、スタートアップの場合、特に組織規模が小さい時ほど採用活動に繁閑が発生しやすく、人事を常時雇用するフェーズではないと判断するケースも多いでしょう。

その点、RPOなら必要な時だけ依頼するという選択肢がとれます。実際、OneWorkではミニマムの契約期間を3ヶ月、その後の契約もクライアントの事業進捗状況に応じてフレキシブルに対応し、できる限りスタートアップ経営者にとって利用しやすいサービス形態にしています。すでに人事を雇用している場合でも、RPOを一時的に利用いただくことで、最先端の採用ノウハウを自社の採用活動に組み込めることは大きなメリットだと思います。

経営者や現場のコミットメントのもと、社外CHRO的な立ち位置から採用を支援する

アマテラス:

RPOを使って採用が上手くいきやすいケースとそうでないケースの違いについて教えて下さい。

大須賀洋平:

これまでの経験をもとにRPOを使って採用が上手くいきやすいスタートアップの傾向を考えてみると、以下の特徴があるように思います。

  • 経営者および現場が採用にコミットしている
  • あらゆるシーンで意思決定のスピードが早い
  • 新しい施策の取り込みに柔軟性が高い

採用は会社の成長を左右する重要課題であり、率先して取り組むべき業務である。この認識を経営者が持っているか、そして現場の方々にも伝わっているかどうかによって、採用の成否は大きく左右される傾向にあります。

また採用現場はスピード勝負です。多くのスタートアップ企業による優秀人材の採り合いが行われている中で、他社よりもいかに早く選考を進め、早期にクロージングできるかは大きなポイントです。

私達の役割は、単なる採用実務の外注ではなく、社外のCHRO(Chief Human Resource Officer:最高人事責任者)的なポジションでの採用活動支援です。その会社のミッションやビジョン、事業戦略などを理解した上で、採用ノウハウを提供し、強い採用オペレーションをつくりこみ組織の成長に繋げていくことこそが、私達の介在価値だと考えています。

OneWork社のミッションと共感性が高く、スタートアップ志向を持つ人材が集うアマテラス

アマテラス:

OneWork社から見たときの、アマテラスという媒体への評価について教えていただけますか?当社との提携に対するご意見もいただけたら幸いです。

大須賀洋平:

アマテラスとの提携は、私達にとっても非常に意義のある取組だと考えています。スタートアップとの繋がりを強化できますし、その市場動向や採用活動の状況といった最新情報を収集できる点は、当社にとっても大きなメリットです。

また、双方がこれまでは単独で提供してきた価値を統合していくことができれば、スタートアップの方々により質の高い情報や採用ノウハウをお届けできると考えます。

アマテラスは、これから社会を変えていくスタートアップや起業家を支援していきたいというマインドに溢れたメディアだと思います。その思いに共感した方々にアクセスできるという点が、アマテラスの最大の強みでしょう。

登録されている方々がスタートアップへの志向性や強い興味を持っておられる方ばかりなので、企業側からするとすごく採用がやりやすいです。返信率も高いですし、質の良い人材と出会いやすいツールだと実感しています。

連携によって双方の良さを活かしていけると思いますので、これからアマテラスのデータベースがより充実し、サービスが発展していくのが私達としても大変楽しみです。今後もぜひ活用させていただきたいと思います。

ソーシャルインパクトの創出を軸に、採用支援を通じて人材流動の加速化を目指す

アマテラス:

OneWork社の今後の展望について、お聞かせください。

大須賀洋平:

「ソーシャルインパクトをもたらす人や組織とともに社会を豊かにする」というミッションにもあるように、OneWorkが目指しているのは、「社会課題を解決したい」「より良い社会を創りたい」というような志を持った個人や組織の支援です。

経済的利益を追求するだけでなく、社会・環境へインパクトを与えようとする人や組織を支援したい。そんな思いから私達のビジネスは始まりました。

そのため、現在のOneWorkは熱い想いや志はあるもののノウハウやマンパワーなどの経営リソースが不足しがちなシード・アーリー期のスタートアップを中心に事業を展開していますが、私達の支援対象はスタートアップに留まりません。

今後はソーシャルベンチャーや社会起業家、大手企業でイノベーションの創出に取り組む方々に対してもよりお力になれるように、組織を拡大しながら、事業の幅を広げていきたいと考えています。

具体的には、日本の組織に多様性をもたらすクロスボーダーHR事業や企業の海外進出を支援する事業、ソーシャルインパクトをテーマにしたプラットフォーム事業、インパクト投資及びその投資先のハンズオン支援などを今後展開していく予定です。

One Workが介在することで、ソーシャルインパクトを創出する場により多くの人材が流動する世界を実現していきたいと思います。

アマテラス:

本日は貴重なお話をありがとうございました。

この記事を書いた人

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多田 ゆりえ

広島県広島市出身。国際基督教大学卒業後、外資系製薬会社のMRとして勤務。その後、心身を壊し、10年ほど障がい者雇用の現場を経験。30代で県立広島大学大学院に飛び込み、社会福祉学を専攻。並行して、社会福祉士資格を取得。「データ扱いではなく、人の物語に光を当てたい」との思いから、大学院卒業後、インタビューライターとして起業。翌年に株式会社心の文章やとして法人化した後、会社を休眠させて、合同会社SHUUUに参画。ベンチャーキャピタルJAFCO様の広報サポートの他、スタートアップ領域の広報に広く携わる。2024年より東京に拠点を移し、社名を株式会社YEELに変更し、会社を再始動。フランチャイズ支援と広報サポート事業の2軸で展開する。アマテラスには、2022年8月よりパートナーとして参画。

OneWork株式会社

OneWork株式会社

OneWork株式会社は、すべての人や組織がソーシャルインパクトに関わる世界をつくることを目指す採用・組織支援会社。シード・アーリー期のスタートアップ向けRPOサービスやスタートアップの CxO / プロフェッショナルに特化したタレントエージェンシーサービス等、ソーシャルインパクトをテーマにした各種支援事業を展開している。