「感情」に関する技術・ビジネスで、拡大するCXM市場をリードする

株式会社Emotion Tech取締役CTO 田邊賢司氏

株式会社エモーションテックは「すべての人々がイキイキと働ける世の中をつくる」というビジョンを掲げ、NPS(「Net Promoter Score」の略で、顧客や従業員の感情にフォーカスした企業活動を推進する指標)を活用した独自のCustomer Experience向上クラウド『Emotion Tec』及び、従業員の定着率を向上させる新しい方法『Employee Tech』の開発、運用を行なっているスタートアップです。

今回は、多くのスタートアップでCTOとして活躍されてきたご経験を持ち、現在は同社にて取締役CTOを務める田邊氏に、Emotion Techに参画する魅力やそこでの仕事の進め方、転職にあたって企業の見極め方等についてお話し頂きました。CXO市場の現状等、エンジニア以外の方も必読の内容です。

田邊賢司氏

取締役CTO
田邊賢司氏

2003年業務系SI会社入社し、メガバンクの基幹システム開発に携わる。2012年株式会社トライフォートの設立を経て、同社運用統括本部長として事業成長に貢献。2014年ランサーズ株式会社へCTOとして参画し、クラウドソーシングプラットフォームの運営においてエンジニア部門を統括。2015年株式会社ProfitMakersを創業し、代表取締役に就任、同年株式会社Emotion Tech(当時は株式会社wizpra)に参画し、現在は取締役CTO。

株式会社Emotion Tech

株式会社Emotion Tech
https://www.emotion-tech.co.jp/

設立
2013年03月
社員数
40名

《 Mission 》
「すべての人がイキイキと働ける世の中をつくる」
《 事業内容 》
カスタマー・エクスペリエンス解析クラウド「Emotion Tech」及び従業員エンゲージメント解析クラウド「Employee Tech」の開発・運営

フルタイムのエンジニアがいない状況で、組織の立て直しを託されて入社

アマテラス:

現在、田邊さんが携わっている仕事内容について教えて下さい。

株式会社Emotion Tech 取締役CTO 田邊賢司氏 (以下敬称略):

プロダクト開発本部、そして、情報セキュリティ本部の2つの本部を管掌しています。

プロダクト開発本部は、弊社が開発・運用している様々なサービス、SaaS(サース。Software as a Serviceの略。全てのサービスがウェブ上で使える)サービスの企画や開発、デザイン等を担っている部署です。

そして、情報セキュリティ本部は、個人情報等、セキュリティに関わるところを担当しています。弊社の取引先は上場企業等の大企業が多く、弊社サービス導入にあたり一定のセキュリティ対応を求められます。こうした顧客企業からのセキュリティに関する問合せに対応すると共に、社内の個人情報や秘密情報の取扱規定やフローの作成、セキュリティの外部診断を受診といった体制整備を行っています。

アマテラス:

2015年9月に入社された経緯や、その後に直面し、乗り越えられた壁について教えて下さい。

田邊賢司:

私が入社する時、フルタイムのエンジニアはおらず、週2~3日稼働の業務委託の方が数名という状況で、開発が滞っている状況でした。「この組織をどうにかして欲しい」といったことを今西から言われたのが入社のきっかけです。

社員がいないので、まずは採用しなくてはならなかったり、業務委託の方を社員に切り替えたりしました。それと同時に、アーキテクチャやシステムの内部を把握しながら、自ら手を動かさねばならず…。本当にてんやわんやで忙しかったです。

AI、ビッグデータ等の技術要素にチャレンジできる面白さ

アマテラス:

そういう状況でのエンジニア採用は大変だったと思いますが、どのように進められたのですか?

田邊賢司:

採用や育成にはかなり関わってきていた経験があったので、付き合いのあった人材紹介会社や業務委託紹介会社に依頼したり、サイト等での人材スカウトに積極的に取り組みました。直接知り合いに声を掛けたりもしましたね。また、スタートアップイベントの企画や登壇等を依頼される機会があり、そうしたイベントをきっかけに集めたこともありました。
そうやってかなりの時間を使い、最初の1人目、2人目が採れて、そこからは多少楽になりました。

アマテラス:

入社されたエンジニアの方は、貴社のどういった点を魅力と感じているのでしょうか?

田邊賢司:

プロダクトの未来像、中でもその技術要素がエンジニアにとっては大事ですが、弊社プロダクトに必要となる技術要素にはトレンドワードになるようなものが多く詰め込まれており、エンジニアとして面白い技術にチャレンジできるというところは大きいと思います。

例えば、様々のデータを収集することからビッグデータ関連の技術が必要になりますし、『Emotion Tech』の社名の由来にもなっている自然文を解析して感情分析するという意味では、テキストマイニングが大切な技術要素となります。また、ビッグデータをテキストマイニングした結果を合わせて、データマイニング、統計分析をするところや、統計分析した結果を使って自動的に何らかのアクションを示唆するところで、機械学習やAIといった技術を使う必要が出てきます。

このように多くのエンジニアがやりたいトレンドの技術が詰まっていて、私自身が入社する時にもそれは「面白いな」と感じていました。

顧客体験向上クラウド Emotion Tech

NPSを高めるということは、皆が満足する世の中が作ること

田邊賢司:

また、弊社が行っている事業がシンプルで、本質的なことに繋がっていることへの共感も大きいように感じています。

NPS (「Net Promoter Score」の略で、顧客ロイヤルティ=企業やブランドに対する愛着・信頼の度合いを数値化する指標)を高めるということは、推奨意向が高まるということで、いろんなファンが増える、高い満足の方が増えるということです。NPSは顧客のロイヤリティ、営業等のクライアント担当者のロイヤリティ、従業員のロイヤリティの3つについて測っていますが、最近わかり始めていることとして、これらは全て繋がっています。

例えば、従業員のロイヤリティが上がれば、担当者のロイヤリティも上がりますし、それによって顧客のロイヤリティも高まるというのは、何となくわかると思いますが、これが分析結果としても現れ始めています。
つまり、ロイヤリティを高めるということは、皆が満足する世の中が作ること。弊社のサービスはここに繋がっています。

拡大が見込まれるCXM市場へのチャレンジ

田邊賢司:

3つ目の魅力として、日本ではまだ認知の低いCXM(Customer Experience Management。顧客の体験する感動や心地良さなどの感覚的な付加価値を重視したマーケティング)という新しいマーケットへのチャレンジもあると思います。

CXM は「CRM(Customer Relationship Management。顧客関係管理)の次の市場」と言われていて、特に米国ではかなり拡がっています。米国では、フォーチューン500の5割程度の企業がNPSを導入して、改善のための行動を何らかしていると言われています。この領域の海外での最注目企業は、シリコンバレーにある会社ですが、2000年代の創業にも関わらず、世界第2位のVCであるセコイアから400億ドル調達している、いわゆる「ユニコーン(企業としての評価額が10億ドル以上で、非上場のスタートアップ企業を指す)」と言われるような企業です。それくらい期待されている市場です。

カンファレンス等で外資系企業は『CXM』と言っているのに対し、日本企業はまだ『CRM』として展示を出していたりします。それくらい日本は世界的トレンドからやや遅れているのですが、ポジティブな見方をすれば、日本のマーケットには余地があるということです。

また、私としては、様々な感情のデータをためていくことによって、様々なビジネスに繋がる可能性を感じています。
Googleが検索ワードから様々なデータを集めて成功し、Facebookは『ソーシャルグラフ』といわれる人の相関関係情報を持ち、そこからいろんなサービスを展開しています。「次はどんなデータがプラットフォームになるのか?」と考えたら、人の感情データに特化して持っていることは可能性があると思っています。

この先、感情に関する技術やビジネスは、AI領域にかなり踏み込まなくてはいけないと考えていますが、マーケットとしていろいろ広がりがあると思っています。これに面白みを感じてくれる人がいると、嬉しいですね。

新しい技術要素を使ったサービスを、即時提供する難しさ

アマテラス:

様々な技術要素にチャレンジできることが魅力であるというお話でしたが、CTOとしてプロダクト開発の壁はなかったのでしょうか?

田邊賢司:

先ほど挙げた技術要素、データマイニングやテキストマイニング、ビッグデータ、AIに実際取り組んでいるところもありますが、それをSaaSとして提供しているところは多くありません。

例えば、ソーシャルゲームでもデータ分析が頻繁に行われて、それに沿って次回企画を立てるといったことをしています。しかし、あくまで内部で分析をし、その結果をゲームの内容、コンテンツに反映させています。私も携わっていたことがありますが、分析からアウトプットまでに時間が経過しても問題ありません。
しかし、弊社の場合はデータ分析結果をSaaSで、リアルタイムに近い形で提供することが求められます。ましてや企業向けのサービスですので、高いクオリティやスピードも求められます。

技術というのは先人が使った技術の使い回しが多いのですが、弊社が取り組むような新しい技術領域の場合、ネット等で海外情報まで探しても過去事例がなく、そこは壁となっています。

アマテラス:

貴社のサービスは、例えば、御社のシステムをジャイアンツが使っているとすると、リアルタイムで球場来場者の満足度がわかるのでしょうか?

田邊賢司:

そうです。例えば、試合中にアンケートメールを配信し、試合の合間にスマホからアンケート回答されれば、その場でレポートされます。

私自身、テキストマイニングやビッグデータ、AIといった要素技術を使っていましたが、リアルタイムでの提供が求められるSaaSとして使ったことはありませんでした。

CTOとしての、仕事の難しさについて語る田邊氏

CTOとして、知らないことはジャッジ出来ない。自ら調べ、試すことが大事

アマテラス:

その辺りはどのようにして乗り越えていったのですか?

田邊賢司:

それはやっぱりやるしかないですね。実際に自分で試してみる。調べることもそうです。

もちろんその分野において詳しい人等から教えてもらうことも多いですが、社内での技術的な最終責任は私であり、自分が知らないものに対して責任は持てないので、自分なりの考察はやっぱり述べたいと考えています。ですので、前もって調べたり、自分のPC にインストールして試すといったことはとても大事だと思っています。恐らく、どこのCTOもやっていることだと思いますが。

アマテラス:

田邊さんが学んでいるロールモデルのような方はいるのですか?

田邊賢司:

誰かというより、2カ月に1回程度開催されているCTOが集まるコミュニティの集まりがあり、毎回テーマがあり、プレゼンが行われるのですが、こういうコミュニティがロールモデルの代わりになる交流の場になっています。

そのCTOの集まりでは、普通なら話せないようなことも含めて、いろいろ話してくれます。「何を使っています?」、「運用上の問題とかあります?」、「導入時はどうしました?」等の事例を聞いたりしています。生きた事例は貴重ですし、その他にも採用や組織のマネジメント等含めて、そのコミュニティから摂取する情報は貴重です。

アマテラス:

他にはどんな壁にぶつかりました?

田邊賢司:

私が入社した頃は、ビジネスモデルを現在のNPSを利用したサービスにシフトしたところでしたが、過去のプロダクトのお客様もいたので、そちらのシステムについて見ないわけにはいかず、その把握やメンテナンスに苦労しました。

特に、旧サービスについてはわかる人が社内に1人もおらず、コードを読むしかないのですが、その全体像の理解に時間が掛かりました。その間にも不具合や障害があり、緊急対応が求められますが、把握が出来ていない状況での障害対応はかなり辛かったです。
新サービス開発に遅れが出ることもありましたし、この先捨てる予定のものに手を入れるモチベーションがなかなかわかず、葛藤がありました。ただ、そこもようやく移行となり、旧サービスも終了します。

顧客の声を日々共有する組織

アマテラス:

Emotion Techではどのように仕事を進めたり、マネジメントしているのでしょうか?

田邊賢司:

仕事の進め方に関しては、現場を重視しています。私が細かく指示するタイプではないですし、技術力が高いメンバーを採用しているので、メンバー同士が話し合って決めることが多く、それに対して私がジャッジをするという体制を取っています。

例えば、開発の定例ミーティングが週に1回程ありますが、メンバーから「次はこういう機能をつくろうとしている、そのときにこういう技術使おうとしている」といった話があがってきます。メンバー主体で、ボトムアップで会自体も運営されているのが、一つの特徴かと思います。

マネジメントについても、個々にセルフマネジメントできるメンバーが集まっているので、がっちりとやっているわけではありません。ただ、フレームとしてはいわゆる『スクラム開発(チームのコミュニケーションを重視した開発手法)』のエッセンスを取り入れているので、デイリースタートアップミーティングなどがあります。

その中で特徴的なことは、一般的にはデイリースタートアップミーティングは開発部内だけで、エンジニアだけで行うことが多いのですが、弊社ではカスタマーサクセス/サポート等と一緒に行っています。

双方向で情報共有を行っていて、サポートの方からは「お客さんからこういうクレーム/お褒めがありました」とか、「今日この時間からアンケートの配信が始まり、大量の回答が見込まれるので、状況を見て欲しい」といった話があります。

弊社の企画職は1名で、エンジニアが企画に入り込んでやらなければならない状況ですので、カスタマーサクセス/サポートが把握している顧客の声を現場のエンジニアがタイムリーに把握できることは重要です。また、私としては、現場でサービスを作っている人たちの肌感と、お客さんと接している人たちの肌感を合わせて、熱量を一定に保ちたいという思いもあります。

価値行動基準『SEVEN Let’s』で組織文化を醸成

アマテラス:

中途採用が多い組織をマネジメントするために、何か意識しているマネジメントはありますか?

田邊賢司:

弊社には『SEVEN Let’s』という価値行動基準があります。

〔Emotion Tech SEVEN Let’s〕
1. 働くに意思を持とう
「人生を見つめて、今どう働きたいのか」自分なりの意思を明確に持ち、それを周りに発信していこう。受け身ではなく、自主的に動こう。
2. 1人の大切な人として、人と向き合おう
仲間は『同僚』である前に『人間』なので、人として尊重して信じて、助け合おう。信頼関係を築くようなコミュニケーションをしよう。
3. 違いを理解しよう
それぞれの「望む生き方」や「今ここで働く理由」、「強み」「スタイル」「役割」の違いを理解しよう。皆が協力し合って伸ばすために、互いの違いを理解して働こう。
4. まっすぐでいよう
素直で率直でいよう。言いたいことは言いましょう。
5. 自分の役割に世界一でいよう
担当する役割について、世界中の誰よりも考え抜き、失敗を恐れず向かい続け、成果にこだわり、「世界中の誰かが代わりにやるよりも自分がやるのが一番」だと胸を張って言えるようにしよう。
6. 自分のこととして捉えよう
他責にしない。組織の課題、社会の問題も自分のこととして捉えよう。
7. 前に進み続けよう
道は前にしかない。不慮不測の事態、苦境でもとにかく前に進み続け、できない理由を探すよりもできる理由を探そう。

「すべての人がイキイキと働ける世の中をつくる」というミッションをまず自分たちから実現しようと、この『SEVEN Let’s』を設定しました。数字だけではなく、その途中経過も、行動自体も評価されるべきで、日々の積み重ねが組織の文化形成に関わる、大切なところだと考えています。

毎月この「SEVEN Let’s」に合致した行動をした人を表彰するため、社員にエントリーフォームが送られてきて、該当者の名前、行動等、具体的な内容をお互いに評価しています。組織が円滑に動くには、褒め合い、認め合う文化が大切だと思います。

2017年1月4日に永田町に移転したオフィス

何らかアウトプットを出し、自分なりのPDCAを回している方を求める

アマテラス:

次に、求めるエンジニア人材像について教えて頂けますか?

田邊賢司:

現状は中途採用中心ですが、先述したコア技術に興味がある方に来て欲しいと思っています。

と同時に、サービスへの関心や、ビジョンへの共感も重視しています。ビジョンへの共感度は100%わかるわけではありませんが、その素養があるかは面談時の受け答えから見ています。スキルが高くても、「他人はどうでもいい。自分が与えられた仕事をひたすら愚直にやりたい」という方は合わないかもしれません。

また、自己学習できる方でないと厳しいとも感じます。
本を読むでも、実際に何かをつくってみるでも、調べたことをSNSにアウトプットするでも、イベントで登壇するでも、どんな方法でも構いませんが、何かしらアウトプットを出している方だと尚良いです。

アウトプットを出さないと、フィードバックがありません。アウトプットしている人は、いい意見や厳しい意見を取り入れて、自分なりに考えて、よりブラッシュアップしようとしていると思います。このように自分なりにPDCA(Plan-Do-Check-Actionのサイクル)を回せている人は強いと思います。
サービス開発でも同じことが出来るだろうと予測できるので、そういう方に来て欲しいと考えています。

アマテラス:

大企業のエンジニアは外へのアウトプットを規制されている方が多いようです。そのようなアウトプット慣れしていない方では難しいでしょうか?

田邊賢司:

パブリックな場に出していなくても、ローカルPC上で試していたり、書籍で読んだことがちゃんと身になっているといったことでもいいと思います。本を読むだけでなく、実際に何か活かすことが大切ですよね。
スタートアップでは、「本読みました」「やろうと思っている」ではなく、「何かしら行動する」、極端に言えば結果が求められるので、そういうマインドは大事ですね。

「自分でやってみたい」と思うなら、スタートアップは魅力的

アマテラス:

最後に、スタートアップ転職を考えているエンジニアに対するメッセージをお願い致します。特に、大企業からスタートアップを目指す方にはいろいろな不安があるようです。田邊さんからアドバイスがあれば、お願いします。

田邊賢司:

私自身もキャリアのスタートはSIerで、メガバンク向けシステムの開発に携わっていました。
そんな私がなぜスタートアップに参画しようと思ったかというと、大企業では扱うシステムが大きく、特にメガバンク向けシステムでは開発期間は1~3年、しかも同業他社と担当割りでの開発、かつリリース後の運用保守がまた別の会社だったりします。そうなると、担当したサブシステムは他のシステムと連携されて、「最終的にお客さんがそれを使ってどう思ったのか」なんてわかりません。

「自分でやってみたい」と思ったら、裁量権の大きさと、サービスの表も裏も全部見られるという点でスタートアップは魅力的だと思います。もちろん大企業でも新規事業等で一から出来る機会もあると思いますが、その裁量権の広さを比較したら、圧倒的にスタートアップの方が大きいと思います。

また、スタートアップは事業自体がピボットする可能性もありますし、これから大きく伸びていくところなので、自分の関わり方次第で役割を変えられます。そこも大きな魅力だと思います。

どこまで関わるかは自分次第です。例えば「エンジニア×マーケティング」なら、エンジニアをやりつつ、ツール導入等マーケティングにも関与することが出来ます。勿論、それがミッション外のことだった場合、最低限与えられた役割プラスアルファでやらなくてはならないので、その分時間を使うことになりますが、濃い体験はできると思います。

自らが実現したいことはきちんと伝えることで、企業の見極めが出来る

田邊賢司:

ただ、全ての会社で裁量権が広いのかというとそうではないので、会社を見極めて欲しいと思います。

現在、特にエンジニアは売り手市場ですし、会社が候補者を選ぶという時代ではありません。スタートアップ、大企業に限らず、候補者の方には自分が会社を選ぶつもりで、見て欲しいと思います。企業から質問されるだけでなく、社長の考え方や今後の技術戦略等について質問する等して、「会社を面接する」という気持ちでやるべきだと思います。

スタートアップであれば、「本当に裁量権があるのか」の見極めが大事だと思います。正しく会社を理解するには、「今回の転職で何を実現したいのか」をしっかり伝えつつ、面接担当者以外からも「その会社がどういう会社なのか」ということをきちんと聞くことが大事だと思います。

私は必ず採用面接で「あなたが今回の転職で実現したいこと何ですか」と訊き。その上で「弊社だったら、こういうものが提供できます」、「これはちょっと今だと難しいです」等を返します。それによって、しっかりとマッチングが出来ると考えています。

アマテラス:

弊社に相談してくる多くの方は、「スタートアップの見極めが難しい」、「どうやって企業を選べばいいかわからない」と言い、声を掛けられたところにとりあえず行ってみたら失敗だったといった話も聞きます。それって凄く勿体ないと思うのですが、例えば、裁量権のある企業はどの辺をキーに探すとよいでしょうか?

田邊賢司:

例えば、エンジニアにとって裁量権があり、企画からリリースまで含めて見ることの出来る会社に行きたいならば、採用ページや求人票等にそういうワードが書いてあるところですね。

アマテラス:

企業のフェーズからもある程度絞り込めますよね。100名規模でエンジニアがそのうち半数を占めるような会社だと裁量権は少し狭くなるかも。30~40名程度の企業規模で、エンジニアも10名前後だと、裁量権がある程度ありそう…といったあたりはつきますよね。

田邊賢司:

そうですね。会社規模やエンジニアの人数、採用数等は重要ですね。
また、売上とかも聞ければ、大体の予算感が把握できると思います。スタートアップは基本非上場だと思うので、開示してくれない場合もあると思いますが。

アマテラス:

受け身ではなく、自分で把握しようと訊いてみることが大切ですね。 今回は貴重なお話をありがとうございました。

この記事を書いた人

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河西あすか

慶應義塾大学経済学部卒業後、食品メーカーにて商品企画等のマーケティングを担当。 慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了後、企業再生・変革の実行支援コンサルティングファームに在籍。

株式会社Emotion Tech

株式会社Emotion Tech
https://www.emotion-tech.co.jp/

設立
2013年03月
社員数
40名

《 Mission 》
「すべての人がイキイキと働ける世の中をつくる」
《 事業内容 》
カスタマー・エクスペリエンス解析クラウド「Emotion Tech」及び従業員エンゲージメント解析クラウド「Employee Tech」の開発・運営