CEO INTERVIEWS

起業家インタビュー

Vol.30
2014年08月11日
株式会社ZMP(ゼットエムピー) | 代表取締役社長  谷口 恒 氏

株式会社ZMP(ゼットエムピー)
代表取締役社長 谷口 恒 氏

ロボット技術を活用すると楽になりますが楽だけだとダメだと思います。
洗濯機の発明で楽になりましたが楽しさを提供してない。
楽になることと楽しさを両立するロボットを創る、それを僕は使命にしたいんです。

はじめに

ZMP谷口社長と面会するまでに2つのサプライズがあった。

1つ目: ZMPオフィスの外国人の多さ。
外国人比率が50%以上、11か国の多国籍軍だ。
その多国籍社員が活発に活動し、自由で国際的な雰囲気に溢れている。

2つ目: 社長室に通されると今度はガラス張りの風景から一面緑の景色が広がり、
静寂とマイナスイオンに包まれる。文京区の都会とは思えない解放感があるオフィスだ。

そんな中、にこやかに谷口社長が現れた。
2001年創業の株式会社ZMPは私の古巣ドリームインキュベータも株主としてサポートさせていただいているが、
苦難の時を経て、現在追い風に乗っている。

ロボットカー、つまり自動運転技術などのブームが追いついてきたのだ。

株式会社ZMPはロボットカーのみならずロボット技術を活用して幅広く事業展開をもくろんでいる。
大きな野望を持つ谷口社長に迫りました。

株式会社ZMP(ゼットエムピー)
代表取締役社長 谷口 恒 氏
(たにぐち ひさし)

【経営者略歴】
群馬大学工学部卒業後、メーカーで商業車の制御機器の開発、商社でレーザ機器の輸入販売に携わる。
その後独立し、インターネットでのコンテンツの版権管理、流通の会社を設立後、2001年1月ロボット専業メーカー「ZMP」を創業。

  • MISSION

    Robot of Everything  あらゆるものにロボット技術を応用し、安全で、楽しく、便利なライフスタイルを創造します。

  • 事業分野

    AI・ロボティクス・VR

  • 事業内容

    研究機関向け次世代自動車のプラットフォームRoboCarシリーズの開発・販売、自動車や人間を計測する各種センサの開発・販売、物流支援ロボット事業、ロボット技術を使ったヘルスケア事業を展開しています。2015年からは建機や農機など

  • 設立

    2001年1月

  • 社員数

    34名(正社員 2014年12月時)

  • 企業URL

    http://www.zmp.co.jp/?lang=jp

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起業家紹介

谷口 恒 氏

ロボット技術を幅広い分野に提供したい。

株式会社アマテラス:事業内容について教えて頂けますでしょうか?

株式会社ZMP谷口社長(以下谷口):ZMPはロボット技術を応用して自動車向けの自動運転技術、開発ツールの提供などを中心に行ってきました。

現在まで以下の4事業を展開していました。
1. カー・ロボティクス・プラットフォーム及びセンサ・システム事業
2. 開発支援事業
3. 実車実験支援事業
4. コネクティッド・カー事業

これからはこの自動車分野で培った技術を広く他の産業に展開していこうと思っています。それが今年のテーマです。

今後はこの事業を自動車事業として一つにまとめようと思っています。そして2014年7月に発表しましたが、これからは自動車向け事業で培った技術を物流、ヘルスケアに横展開していきます。

2001年創業時の理念は今も変わらないですけど、
“ロボット技術で楽しく便利なライフスタイルを創造しよう”
です。創業時から僕自身はロボット技術を幅広い分野に提供したいと考えていたので自動車だけにこだわっていないんですね。当時(2001年頃)二足歩行が評判になり、僕らは二足歩行ロボットベンチャーとして世界で初めての専業メーカーでした。その時はヨチヨチ歩きの二足歩行ロボットしか作ってなかったのですが二足歩行に限定しないでロボット技術を応用していこうと考えました。

理念にある通り、ロボット技術を楽しく便利なライフスタイルに使っていこうというので、二足歩行ロボットからスタートして音楽ロボットを作って今度は自動車ロボット(自動運転カー)を作ったらヒットしました。時代にも合って、たまたま自動車で持続的な成長が生み出せるというので今ZMPは自動車ロボットを中心にやっています。

自動車に関する技術は先端技術の塊で世界に誇れる日本の強みでもあります。この自動車技術を他に転用していけば実用化しやすいだろうと思っています。現在、家電や携帯電話、スマートフォンのモノ作りにおいては海外勢が力を持っていますよね。そうなるとやっぱり日本は自動車が強くて、さらにいうとロボットだと思うんですよ、自動車ロボット。このベースとなる強みを生かしてまだ物流やヘルスケアに参入していこうと思っています。

物流業界、ヘルスケア業界への参入理由

株式会社アマテラス:なぜ物流業界、ヘルスケア業界を選択されたのですか?またそれぞれの事業イメージを教えてもらえますか?

谷口:まず物流について話しますと、会社の近くのある宅配会社の倉庫で人が働いているのを見ていたら絵が見えたんですよ、「これだ!」と。だんだん妄想が膨らんできて、倉庫の中でロボットが動いている絵が、構想が浮かびました。もういてもたってもならないくらいでした。

これまでZMPは自動車メーカーにセンサーなどを提供して、メーカーがクルマを作りますが物流業界には僕らが理想とするようなプラットフォームが無いんですね。つまり、機械や車のようなもの、ZMPの技術を入れるハードが無いんです。そこで物流用のロボットを作って物流業界に販売していけば良いのではと考えました。

物流業務といっても倉庫内から倉庫外も含めてすべての業務を対象としています。道交法の問題もあるので公道で走り回るのは問題になりますのでまずは倉庫内業務を考えています。いずれは倉庫の外、公道にも出していきたいなと思っています。

一般的に物流倉庫内でピッキング(お客様からの出荷データに基づき、倉庫内から商品を取り出すこと)や在庫管理などの業務のほとんどを人が行っていますがここの作業をロボットで自動化したいと考えています。
最初は倉庫内で人が手間をかけてモノを移動・運ぶところだけを自動化したいです。今は商品が多品種少量になっていますから移動が自動になるだけでもかなり楽になると思います。物流業務はそもそも労働集約的であり、アメリカの場合は倉庫が広くてラインを自由に組んだりできますが、日本の倉庫は狭くて小回りの利く倉庫を作らなければならない。そういうところに物流ロボットを導入して例えば生産性を20パーセントアップするとか、そういうレベルを目指しているんですね。でも全体で20パーセントって大きいと思うんです。まずは実用化しやすいところから入っていこうと。

船舶物流になるとデンマークや北欧が強いじゃないですか。今なおバイキングの風情が残っている感じですし、この世界はまだオールドインダストリーで大きく変えていける分野だと思うんです。

株式会社アマテラス:それではヘルスケア分野の事業へ参入する理由や事業イメージについても教えて頂けますか?

谷口:まず、ロボット技術は産業に革命を起こす技術だと思うんですね。古くて大きな産業を狙っていこうと考えました。

日本の自動車産業は57兆円でヘルスケア・医療産業は40兆円くらいの規模があり、ここをターゲットにしようと考えました。なお、物流産業が20兆円くらいです。こういう大きなオールドインダストリーのところにロボット、人工知能を入れてITの次の産業革命、産業革新を起こしていけるチャンスだなと。

具体的には心臓の見守りサービスを考えています。日本では毎年、心臓の異常が原因で6万人もの人が突然死しています。私の身の回りの経営者や管理職の方が出張先などで突然死された話をよく聞きます。我々のサービスでこのような不幸なことを少しでも未然に防げるようにしたいです。

心臓の上に貼るウェアラブルセンサーが心拍データを取得し、スマートフォンやクラウドで解析する技術を使って、自分の心臓の様子を見える化して、深刻な状態になる前に、様子を尋ねたり、運動を進めたり、無理をしないようにアドバイスをしていくようなイメージです。

現在出ているウェアラブルサービスでは、ダイエットや健康管理までですが、もっとクリティカルに死を救うとかそういうところまで踏み込みたいと思っています。
ダイエットやカロリー管理だけだと、そこまで強く必要とされていないじゃないですか。なくてもなんとかなってしまうし“もういいよ、好きなもの食べて、ちょっとくらい太ってもいいや”となってしまう。

働き盛りで40代とか50代で突然死する人多いじゃないですか、心臓止まったり。そういう人は休んでいられない、働かないといけないし。でも体調のブレがすごくあるんですよ、そのブレが危険なレベルになった時に知らせてあげて、「ちょっと体を休めなさい。」と。でもこれは自分の感覚でしか分からないですよね。

それを心電計によって心筋梗塞とかが起きるような手前のところで知らせてあげるようなそんなサービスです。

技術的には心臓の微弱な電気を取り出してそれを信号処理します。これはロボットでいうセンサーの信号処理です。それをインターネット上の人工知能で機械学習をして、「この人はこういうパターンで調子が悪くなる。」とか、「このパターンが続くと危ないよね。」とか、「おっ、こういうパターンになったからちょっと出張中でも体を休めて今日は無理をしないように。」とか気付かせてくれる。

これが大きな健康の差に繋がると思います。「今日は宴会あったけどやめとこう。」とか「ちょっと飲むのを減らそう。」とか。そこに気付かずにスケジュールを詰め込んで負荷がかかって急に倒れてしまったりします。

貴重な命もそうですが経済的にも大きな損失だと思うんですね。数十人とか数百人、場合によっては数千人、数万人をリードしているリーダーというのはそう多くない。そういうエグゼクティブに対しても心臓や健康を見守ろうと、そんなことを考えているんですね。

ロボット技術とは何か?

株式会社アマテラス:自動車から、物流、ヘルスケア、さらに今後はどのような軸で事業を展開されていくのでしょうか?

谷口:あらゆる分野に手を広げようと思っているんですね。スリーエムみたいなモデルで、ビジネスユニットで言うと総合商社ですね。総合商社は一つ一つの事業に事業部長がいて、大きな事業を除けば新規事業って小さいじゃないですか
20人とかの組織に部長がいて、うまくいかなかったら撤退したり、成長しそうだったらより力を入れたり。ボストンコンサルティンググループの金のなる木じゃないですけど儲からなくなってきたものは撤退して儲かったお金で新規事業を育てる。そういう小さいユニットがたくさんあって全体のポートフォリオで売上が何兆円とかになっている。ZMP(ゼットエムピー)もそういうビジネスモデル、ロボット界の総合カンパニーを目指しているんですよ。

株式会社アマテラス:ZMP(ゼットエムピー)さんの強みであるロボット技術について教えていただけますか? 私のような素人にはロボットは少しわからなくて。

谷口:基本的なことを言うと、ロボット技術とは感知をするセンサーがあって、人工知能、考える脳があって、モノを動かす筋肉、モータがある、人間のようなものです。目で見て、耳で聞いて、知覚して頭で考えて手足を動かす。人型ロボットって一番わかりやすいのでロボットの象徴です。車も同じようにカメラがあって、前の環境を見て、人工知能が「人がいるよ、止まれ。」と判断してブレーキをしていくと。そういう一連のシステム技術なんですよね。センサーだけをやっていたらセンサー屋さんですが、知覚して人工知能で考えて行動を起こす、そういう一連のシステム技術です。ITで言うとSI(System Integration)や統合技術みたいなものです。

ロボットカー(自動運転車)でいうと、人間が運転中によそ見をすると人を轢いてしまいますが、その時に人間の代わりに人を認識してブレーキをかけてくれる。人型ロボットがクルマに乗っているようなものですね。目で見るのと同じようにカメラやレーザーで前方の物体を見て認識します。人間を前方に見つけて、近づいてきたら運転者は「危ない、轢いてしまうよ!」とブレーキを踏みますが、ロボットカーも同じように、前方の物体がある距離まで近づいてきたことを知覚したらブレーキを踏むみす。

センサーについてはメーカーの開発が進んでいますがまだまだ出来ていないことでやるべきこと、したいことはたくさんあります。僕らは無いものはどんどん作っていきたい。最終的に一番強みになるのは“考えるところ”、つまり頭脳、人工知能だと思います。それが出来ることによって人間と同じように、人が飛び出してきても「まだ遠いからいいだろう。」とか「近づいたからブレーキ踏もう。」とか考えて、判断できるようになる。

この脳のところというのはまだクルマには実装されてないのでここもやっていきたいです。

株式会社アマテラス:ZMP(ゼットエムピー)は世界を相手に事業を展開しようと考えていますがロボット産業で日本が世界で勝てそうな理由を教えてもらえますか?

谷口:日本は部品メーカー、素材メーカーの持つ技術力が世界トップレベルであることが大きな理由です。ロボットを作ろうとするときにロボット技術だけではだめで部品、素材のインフラがとても重要になってきます。日本の自動車産業が世界の最先端であり、トップレベルであることを支えているのはこの部品、素材のレベルの高さだと考えていて、ロボットについても同様に最先端を行く可能性があると思っています。

部品メーカー、素材メーカーは日本全国に分散し、たくさん存在しています。
なんだかんだ言って日本は部品や素材が優れているんですよ。

実際に日本の産業用ロボットはファナックが世界トップレベルでもあります。ダヴィンチというアメリカの有名な医療手術ロボットの会社がありますが、中の部品のほとんどは日本製だったりします。

日本のロボット技術が世界で勝てる理由とは

株式会社アマテラス:日本は技術者の裾野が広いんでしょうね。iPhoneも中を開いたらほとんど日本製品ばかりのようですね。

谷口:そうです。あれは本当にもったいないんですよね。スティーブジョブスのようにビジョンを持って、「iPhone作るぞ!」と言えたところが一番儲かるんですよね。コンセプト考えた者が勝ちます。
だから物流分野は今度はZMPがとりますよと。

物流ロボットを作ろうとした場合、必要な部品、素材などはだいたい日本にありますから日本の部品メーカーと組めば最強のはずです。

これまではiphoneみたいにコンセプトをアメリカが考えて、その部品を日本が供給してきましたがこのコンセプト作りの部分を創造性を発揮して日本発で出来ることができれば、日本の部品メーカーと組んでやれば本当の強みが活かせると思うんです。日本の産業自体が大きくなっていきますし、日本企業同士でのやりとりなので開発のスピードも速くなります。実際に、今ZMPが開発しているロボットはまさに日本を代表する機械部品メーカーと組んで作っています。

ZMPの強みはロボット技術、トータルでデザインするので、部品メーカーと協力し合って一緒にロボットを作っていきます。そういう意味ではアップルみたいな存在ですよね。モノを作ってうちが売る。

ZMPはもともと自前でロボットそのものも作っていましたので、ハードメーカーの機能も強化していきたいと考えています。ハードを作らないと新しいイノベーションは起こらないと思うんですよ。ハードあってのソフトだと思っています。

谷口社長の創造性、モチベーションの源泉

株式会社アマテラス:コンセプトを出すことが重要というお話ですが、創造性を発揮するために谷口さんが普段心がけていることはありますか?

谷口:昔からアート好きですので美術館には良く行きますね。たまには芸術家、クリエイターと話をしたりしています。事業家と芸術家には共通するところがあると思います。僕は絵は描けないんですけども芸術家と僕が共通しているのは全体で考えたイメージ、構想を絵にしていくところです。芸術家はそこから自分で筆を取って絵を描いていくわけですけど、僕は技術を使って製品を創っていく。構想力を養うには異業種の人と会って、「あいつ面白い考え方しているよね。」とか「そういう考え方あるんだ。」とか感じることは重要だと思います。そして、僕にも新しい思考回路が一つ増えていく。

株式会社アマテラス:創造性を発揮するにはZMPさんのように良い風景のオフィスにいることも関係ありそうですね。

谷口:あっ、それはありますね。このオフィスに来てから急に発想が増えましたけどね。
すぐ目の前にある小石川植物園は東京ドーム4個分もあり、ここからくるマイナスイオンのおかげだと思いますね。窓を開けると本当にすごい量のマイナスイオンで、敏感な人はマイナスイオンの量に気付くくらいです。

株式会社アマテラス:谷口さんのロボット技術にかける強い想いを感じますが、モチベーションの源泉、谷口さんを駆り立てるものは何なのでしょうか?

谷口:ほとんど好奇心ですね。もともと自分の好奇心は自分のライフスタイルにしかなかったんですよ。自分が欲しいものを作ろうみたいな。自分の勝手なね。例えば、家でいつでも聞きたい音楽を聞けたらなぁという想いから自分の側に寄ってきて音楽をかけてくれる音楽ロボットなどを創ってきました。

今も好奇心は強くて、その好奇心からロボットカーを創りはじめてから関心が音楽など家庭の中のことから家庭の外に出たというのはあるかもしれないです。ロボットカーに関わり、広い社会と関わることになって事故を減らすとか人の命を救うとか意識や関心が外に向かってきて、広い意味で人々のライフスタイルというのが想像できるようになったんですよ。

未来のライフスタイルを考えた時に凄くドキドキするんです。物流ロボットを考えた時もそうでした。物流会社で人が作業しているのを見ながら「これをロボットでやるとこんなに楽だよ。」と思った時に、凄くウキウキするんですね。そのような発想が浮かぶのは散歩している時とか会社に来る時とか朝とかに多いのですがアイデアが浮かんだら早く事務所行って企画を考えて「よしやろう!」とすぐに関係する人に声かけて。「ちょっとこんなん作らない?」とか言って。自分しかその想像、絵が見えないので自分1人で企画書は創ります。デザイナーに綺麗に絵を描いてもらったりすれば良いかもしれないですけど、自分の好奇心からスタートして色んなイメージができて、構想ができた時がやっぱり一番嬉しいんですよね。

以前は、アイデアを1つ出すとその実現に2年3年の時間を掛けていました。音楽ロボットを創った時などはまさにそうでした。アイデアを出してからはその実現に自分も携わって集中して。今はその周期が短くなっています。色んなアイデアを考えては、実現に携わる部分は社員に振って、自分はまた新しいアイデアを考えて、と。
過去、当たらないアイデアをいっぱい作ってきたおかげで経験を積んで、筋の悪いアイデアがわかるようになってきて、当たるようになってきました。

本当にこれは経験ですね。経営コンサルタントも同じだと思いますが累積経験値が増えてくると直感の正確性が増してくる。

2020年に売上1,000億円を目指す。

株式会社アマテラス:ZMPの具体的な売上目標があれば教えてください。

谷口:まずロボット技術を使った産業を自分たちで作っていくというのが僕の大きな目標にあります。産業といえるようになるには、一定の売り上げ、最低でも1000億円程度の規模になることが必要と考えていますので僕らはいろんな事業を打ちまくるつもりです。それで2017年に100億円、2020年には1000億を目指しています。新産業を創るのでしたらそれぐらいにならないとだめだと思います。
まず100億いったら倍増して増殖していきます。ロボット技術は組合せですので、出来たロボットモジュール同士が組み合わさってボコボコ製品を生み出すのが特徴です。

自動車事業でも200-300億くらいの売り上げにいってほしいですし、ヘルスケアでも200-300億くらいいってほしいです。物流はどこまでいくか分からないですけども数百億くらいいって欲しいですよね。

マネージメント人材求む。

株式会社アマテラス:目標を実現するにあたり、御社の経営課題についても教えて頂けますか?

谷口:求める成長に対して人材が不足していることでしょうか。特にマネージメント人材の不足ですね。

ロボット技術者として優秀な人材は増えてきていているのですが、そのような技術者をまとめてリーダーシップを発揮して大きな製品を創っていくようなマネージャー層が足りない。あと、アルゴリズム考える人はたくさんいますけれどもそれを実装してまとめる人も不足している。
マネージャーになるにはやっぱり経験値が必要です。幅広いソフトの知識もあり、ハードのことも分かっていないといけない。このマネージャー層が足りないと、いい技術があっても製品化が進まないことになります。

社内でもマネージメント人材は育成していますが一人前になるまでに時間がかかりますし会社の成長速度に人材育成が追いついていないのが現状ですので中途採用で外部から採っていくつもりです。

株式会社アマテラス:マネージメント人材の採用が急務ということですが具体的にどのような人材を求めているか教えて頂けますか?

谷口:メカトロニクス系(機械・電気)メーカーや自動車メーカー、重工業、ロボットメーカーなどの技術部門でプロジェクトリーダーやプロジェクトマネジャーを経験されているような方ですね。機械、電気のことはもちろんですがソフトのこともわかっている人が望ましいですね。設計構想図とか仕様書を書ける人がいれば満足です。このようなポジションは優先的に採用を考えています。この階層の人が増えると、若手人材の育成スピードも早まります。マネージメント人材が増えた分だけ製品が生まれますから夢の実現が早まります。

あとZMPの社員に求めるマインド面ですが、僕の座右の銘にしてますけど“現状維持は後退に繋がる”と思っていて、現状からポジティブに自分を変えたいと思ってZMPに来ている人は合いますね。今ZMP(ゼットエムピー)で人の何倍も働いて、何倍もパフォーマンスを上げている人がいますが、将来起業したいと思ってきた人です。ものすごく仕事しますし、仕事のスピードも早い。その人の大きな違いは責任感が全然違うところですね。ですので将来起業願望がある人も大歓迎です。

実力主義の会社ですので年齢は問いません。

ZMP流 人材育成法

株式会社アマテラス:ZMPさんのロボット技術人材の育成方法などについて教えてもらえますか?

谷口:ロボット技術は、インテグレーション、組み合わせ技術ですので、色々なものを集めて作っていく、その経験値が増えると強化されていきます。ロボット技術はソリューションビジネスでもありますからいろんなパターンを知って技術の引き出しが増えるほどいろんな問題を解決できるようになります。ですので、社員にはとにかくいろんなプロジェクトを経験させて引出しを多く持てるよう心がけています。

経験を積むと、ロボットカー以外にも物流ロボットなどにも技術を応用できるようになります。例えば、運転技術とピッキング技術という引出しを組み合わせて農業ロボットとかね。色んな方向に展開できるんです。

ZMPは色んな挑戦をしてモノを作ってきました、センサー、コンピューター、モーターの組み合わせを何通りもやってきた訳です。過去かなり投資をしてきましたので経営危機になったことはありますけども、なんとか潰さないで乗り切って、その後年々拡大できているのでこれから技術が溜まる一方だと思っています。

人材育成のためにとにかく社員には色んなことを経験させようと思っています。ZMPでは技術部長以外はみんなフラットなんです。年功に関係なく新入社員でもできる人はプロジェクトを任せますし、モノ作りの会社では珍しい自由な組織です。

とはいえ、モノ作りの仕事はやはり経験が必要なので、一人前になるにはどうしても時間はかかりますが自分が経験値をもっているのでどんどん若い人たちにチャンスを与えて経験を伝えています。小さい経験をどんどんさせて、若い人達の間で化学反応を起こして製品をボンボン出して一人前になるまでのスピードを速めていく。

ロボット技術の製品開発期間は長いと言われますが、それをしょうがないんだと甘んじていたらダメだと思うんです。言い訳はせずスピードを持ってできる仕組みを考えるしかない。普通なら製品化まで何年もかかるものを、協業をしたり、いろんなものを組合せることで半年、一年で出来ることもあります。とにかく小さな技術をたくさん作っておくことが重要です。その技術自体がすぐに当らなくても浮遊していても役に立つことがある。重要なことは組み合わせ技術なのでうまく合わせれば小さい製品にはなっていく。小さい製品でヒットすれば、それをもうちょっと大きくしていくとか。

若い人にそういう経験をさせていきながら技術者として一人前にしていきますが、大企業では若くしてこのような経験はなかなかできないので喜ばれていると思います。

株式会社アマテラス:2020年の売上1,000億円を見据えて、今から人事システム、教育システムを構築していると聞いています。

谷口:はい、そうです。社外役員に世界的な外資系人事コンサルティング会社の社長をしていた方に参画いただきZMPバリューの再定義や人材戦略など人事面を強化しており、できるだけ公平な評価ができ働きやすい環境になるよう努力しています。
6年後(2020年)には売上1,000億になっているので今から対応しなくてはいけませんので。どんな投資をしているんだと思われるかもしれないですけど(笑)
現在社員の半数以上を11か国から採用していますが、今後海外にオフィスが増えてグローバルカンパニー化していくので、世界標準の人事体系、昇給制度ができるようにGEみたいな人事システムを構築しているところです。

僕はやりたい製品アイデアがまだ100案くらいあるのでどんどん事業化していきたいですね。それぞれの事業で100億円くらいの規模になって、200人の雇用を創出するくらいのイメージですが段階的に取り組んでいきたいですね。

ZMPで働く魅力とは

株式会社アマテラス:社員としてZMPで働く魅力を教えてもらえますか?

谷口:大きくいって3つありまして、

①自由な社風
②インターナショナルな社員構成
③最先端へのチャレンジ

になります。

自由な社風については、技術出身の理系の人が多いのですが基本的にはミッションは伝えますがあとはすべて自由に任せています。

さきほどオフィスを見て頂いたと思いますが海外のラボのようだと言われますね。シリコンバレーの会社を取材した記者の人もそんな風に言われたこともありました。

②インターナショナルな社員構成については社員のうち外国人が半分以上を占めています。今は11か国くらいです。そういう多様な人たちが自由に働いているので、仮に保守的な人であっても否が応でも自由になるんですね。派閥も何もなくて自由に交流して新しいものが生まれる、そういうところをうちの多くの外国人は誇りに思っています。

③最先端へのチャレンジについては、ロボット技術の中でも常に新しいことを取り組んでいるので技術者にとっては面白いと思います。新しい技術情報が入ってくるし、新しい部品もいっぱい買いますから、新しいおもちゃですよね。僕はよくおもちゃと言っていますがロボットカー自体おもちゃですしね。一緒に働く人たちが国内外の一流カーメーカーなど最先端のお客さんです。また、最先端の技術を持つ大学の研究者と一緒に仕事ができるというのは素晴らしい機会だと思います。
そういうことは大企業にいたらなかなかないと思います

株式会社アマテラス:最後に谷口さんの夢をお聞かせください。

谷口:ロボット技術を使った産業を創るというのが大きな夢です。
ZMPはロボット技術の総合会社になって、ロボット技術を活用したクルマ(自動運転車)、物流、ヘルスケアなど世界に事業を展開していく。

ロボット技術を活用すると省力化したり自動化されていろんなことが楽になりますが楽だけだとダメだと思います。例えば洗濯機の発明で楽になりましたが楽しさを提供してない。楽しさを与えられるところが省かれる場合がありますが僕はその楽しさを提供できるノウハウというのを生み出したいんですね。製品に楽しさをまだ載せられていないと思っているのでここはチャレンジしていきたい。

最終的な夢は人生が楽しくて充実するとか、そう言うところまで自分たちの製品やサービスで関わりたいんですよ。
ロボットが普及しすぎると楽にはなるけどそこに幸せとか楽しさというのがなくなっちゃったりするじゃないですか?車にあんまり乗ると運動しなくなって健康が悪くなったりします。便利さと幸せは相反してるんですよね。運動しなくなると楽しくなくなったり体調が悪くなりますから。そうではなくて、楽になることと楽しさを両立するロボットを創る、それを僕は使命にしたいんです。人型ロボットや音楽ロボットを創ったときにユーザーが「なんだろう、この面白いやつは。」と思ってくれたように。最初にスーッと音を立てずに近寄ってくる音楽ロボットを創ったときは、「面白いよね、これ。よくそんなこと考えるよね。」とか「どこで車輪動いているんですか?」とみんなの好奇心が集まって、本当に楽しさを提供できるんですよ。そういう楽しさを提供できるロボットを量産してずっと販売していくことには何度か挑戦したけどまだ実現できていない。でも自動車だったらできるかなと思っています。好きなところに移動できて新しい旅を体験できる、更にいうとプラスアルファができるんじゃないかと。それはまだ自分が探し当ててない夢ですね。まだこれから追い求めたいですね。

株式会社アマテラス:谷口さん、素敵なお話ありがとうございました。

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edited by 藤岡清高

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