WITH/AFTERコロナ スタートアップで働くということ(2020年8月4日ウェビナー)

構成・内容:藤岡清高 編集:吉田響
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アマテラスでは、2020年8月4日に「WITH/AFTERコロナ スタートアップで働くということ」をテーマにウェビナーを開催しました。本レポートではウェビナーの内容と、ウェビナーで頂いた質問へのお答えをご紹介します。WITH/AFTERコロナでスタートアップ企業への転職をお考えの方、自分の市場価値を上げるにはどうしたらよいのかと悩んでいる方など、是非ご覧ください。

「WITH/AFTERコロナ スタートアップで働くということ」

1.はじめに
2.Withコロナのスタートアップの採用市場
3.アマテラスの注目業界、成長業界
4.ポストコロナのキャリア戦略
5.まとめ
6.Q&A

 

1.はじめに

あなたの市場価値は?

転職活動で重要な市場価値。はじめに、市場価値の変化について時代の流れとともに説明します。

まず、昭和は、○○企業の部長、課長というように、企業内の“名札”で市場価値が示されたメンバーシップ型の時代でした。
平成では、公認会計士やコンサルタントなど、一芸に秀でたプロフェッショナル人材が脚光を浴びました。いわゆる、ジョブ型で、自分の“値札”を持った人たちが活躍した時代でした。

そして、令和では、プロデューサー、スーパーゼネラリストの時代が来ると考えています。
スキルのあるプロフェッショナル人材を活用しながら、大きな社会問題を解決していく、ビジネスのプロデューサー人材の価値が高まると感じています。

 

2.Withコロナのスタートアップの採用市場

売り手市場から買い手市場へ

アマテラスサイトのデータをもとに、現在のスタートアップの採用市場について説明します。
ニュースでは「企業が採用を中止している」と報道されていますが、弊社登録のスタートアップ企業の採用状況は大きな変化は見られません。
その一方で弊社サイト登録者はゴールデンウィーク明けから急増しており、その結果、売り手市場から買い手市場に変わっています。

 

採用がアクティブなスタートアップはどこなのか

最も利用企業数が増えている業界は、新素材・バイオテクノロジー業界、いわゆる大学発ベンチャーで、2月から5倍に増加しています。

他にも、様々な分野のオンライン化により需要が増えている、FintechやHRtech・Edtech、モビリティ・ロボティクス業界や、新型コロナウイルス感染拡大の影響をあまり受けていないサスティナビリティ・環境業界も採用をアクティブに行っています。

多くのメディアで、スタートアップの経営が悪化して採用が止まっていると取り上げられていますが、しっかり分析をすると、以前より採用がアクティブになっている企業も多く存在します。

 

スタートアップ転職志望者の傾向

他方、スタートアップ転職を志望する新規登録者の傾向を見てみると、病院への営業が難しくなったMR職や、メガバンクの若手20代、在宅勤務により需要が激減した建設・不動産業界の在籍者が多い状況です。

また、現職種を見ると、生産が中止になったメーカーのSCM担当者や、景気が悪くなり企業が削減しているアウトソーシング分野の、コンサルティング企業、マーケティング支援企業や広告代理店の人材が多くなっています。

登録者の転職希望業種を見てみると、最先端領域であるAI・ブロックチェーン・量子、モビリティ・ロボティクス業界、教育や仕事のオンライン化により、ますます関心を集めているHRtech・EdTech業界が人気となっています。

 

まとめ

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、世の中の変化が早まり、企業が「改革する側」と「改革される側」に大きく分かれようとしています。

そして「改革される側」だと感じている銀行や大手メーカー、製薬会社勤務の方が転職活動をしています。実際、そのような方々と話をすると、「それなりの給料をもらってはいるが、このままだと人生100年時代を生き延びることができない。目先の給料ではなく、自分のスキルや能力など生き抜くための力をつけなくてはいけない。」と言う方が多いです。

一方で、「改革する側」、AIやロボティクスなどの最先端技術を活用し事業展開している企業は、今回の変化が好機となっています。さらに企業や事業を発展させていけるような、事業開発やエンジニア人材を積極的に採用しています。

リーマンショック時には、つぶれる可能性の低い、安定した企業に転職する方が多かった印象ですが、今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響では、「改革する側」に行こうと転職する方が多いと感じています。

 

3.アマテラスの注目業界、成長業界

アマテラスが注目する業界はX-Tech(クロステック)業界です。
新型コロナウイルス感染拡大によって新しいものが生まれるよりも、来たるべき変化が今までより早く起きています。そして、アマテラスではその変化を加速させるX-Tech業界に注目しています。

事例①Telexistence株式会社(遠隔操作ロボット)

Telexistence株式会社(東京都港区、富岡仁代表取締役CEO)は、遠隔操作ロボットを開発しています。2022年、このロボットをファミリーマート20店舗に導入予定です。コンビニエンスストアの人手不足解消や、接客での人との接触防止に貢献します。

 

事例②コネクテッドロボティクス株式会社(調理ロボット)

農工大発ベンチャーのコネクテッドロボティクス株式会社(東京都小金井市、沢登哲也代表取締役)は、飲食業界向けに、単純作業を担うロボットを開発、提供しています。今回の新型コロナウイルス感染拡大によって、飲食店での人と人の接触が課題となっていますが、そば、たこ焼き、ソフトクリームを作るロボットを飲食店に提供し、無人店舗化をサポートしています。

 

事例③AI inside株式会社(ホワイトカラーの生産性向上)

2019年12月に東京証券取引所マザーズに上場したAI inside株式会社(東京都渋谷区、渡久地択代表取締役社長CEO)は、手書きの書類や帳票の読み取りを行い、データ化するOCRにAI技術を活用したAI OCR事業を展開。
画像認識技術を活用し、人間が読み取っていた書類を自動的に読み取り、データにすることで、ホワイトカラーの生産性向上をサポートしています。

 

事例④株式会社Splink(認知症予防×AI)

株式会社Splink(東京都千代田区、青山裕紀代表取締役)は、AIを活用して、脳のCT、MRI画像から認知症になりやすい傾向を分析し、認知症予防を行っています。世界一速く少子高齢化が進む日本で脳のデータを大量に蓄積し、生涯健康脳の推進を世界に広げていきます。

事例⑤Modern Health(メンタルヘルス×AI)@シリコンバレー

若手女性起業家のAlyson Friedensohnが創業したModern Health(モダンヘルス)。2020年1月に約34億円を調達したシリコンバレーのヘルステックベンチャーです。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛により、精神疾患を抱える人が増えている課題に対し、オンラインによるカウンセラーとのマッチングを行っています。ゆくゆくは、AIによるカウンセリングができるよう開発を進めています。

 

事例⑥株式会社エアークローゼット(コンシューマBiz)

株式会社エアークローゼット(東京都港区、天沼聰代表取締役社長兼CEO)は、定額制のファッションレンタルサービスを展開。
緊急事態宣言が出された2020年4月当時は、外出が自粛になり、利用者が減少したと聞きました。しかし、リモートワークの普及に着目し、オフィスカジュアルなトップスを届けるサービスに転換したところ、利用客が増加したそうです。
新型コロナウイルス感染拡大による変化にいち早く対応し、事業を展開した良い事例だと思います。

 

事例⑦株式会社R.project(キャンプ事業)

株式会社R.project(東京都目黒区、丹埜倫代表取締役)は、合宿事業、教育事業、バジェットトラベル事業を展開しています。
宿泊事業のため、新型コロナウイルスの影響から2020年4月当初は採用をストップしていましたが、2020年8月現在、採用を再開されました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、人と密にならず、車で行けるキャンプの需要が伸びており、売り上げが好調だと言います。事業を止めずに展開し続けていたからこそ、社会の変化による需要の増加に適応できた事例だと思います。

 

4.ポストコロナのキャリア論

そもそも人材の市場価値はどのように決まるのか

1.『需要』と『供給』のバランス
2.希少な人材か
3.解決できる問題の大きさ

私は、人材の市場価値は上記の3つで決まると考えています。
まず1つ目、人に必要とされている仕事をしているか。そして、そのスキルに希少性があるか。最後に、解決できる問題の大きさで市場価値が決まります。

例えば、東京と砂漠で水を売る場合、砂漠のほうが水の需要が高く、解決できる問題が大きいため、水が高い値で売れます。自分の職業的スキルが、自分にしかできないこと、且つ、目の前の人の問題にどれだけ影響を与えられるかが市場価値を決めると思います。

 

スタートアップで、どのようにキャリアアップしたらよいのか?

これは、スタートアップのフェーズごとに分けた表です。

この表の左側、シード・アーリーのフェーズの企業に行けば行くほど、令和型のプロデューサー能力が身につくと考えています。プロデューサー人材とは、経営のWHYを考え、必要な人材を集め、事業開発や課題解決をプロデュースしていけるような人材です。

しかし、大企業でキャリアを積んできた人が、いきなりシード・アーリー、シリーズAフェーズの企業で活躍することは難しいです。裁量も違えば、求められている能力も違います。そのため、大企業から初めてスタートアップに転職する方は、表右側のレーターや上場したての企業に行くことをおすすめします。

人生100年時代を生き延びるため、個人的スキルを身に着けたい、裁量をもって働きたいという大企業勤務の方は、表右側から左側へ一歩ずつスタートアップ業界でのキャリアを積むと良いと思います。大きめのスタートアップからだんだんと小さい規模に移っていき、自分で事業を立ち上げ、会社を立ち上げることができるようになると、市場価値も自然と上がっていきます。

 

5.まとめ

 

6.Q&A

Q1.ベンチャー企業で40代、中高年は活躍できるのでしょうか。

A1.アマテラスから40~60代の方が、30代の社長のスタートアップに転職されている事例もありますので、その人のスキル、経験などによって活躍できると思います。

スタートアップでは即戦力人材を採用する傾向が高まっています。そのため、「何ができるのか」、「企業にどのような貢献ができるのか」が明確でないと、年齢にかかわらず転職できないと思います。

 

Q2.スタートアップが失敗した場合、その社員への影響はあるのでしょうか。

A2.スタートアップに転職することのリスクは、企業が倒産したりや事業が失敗することではありません。スタートアップへの転職においての失敗は、転職した目的が達成されないことです。

日本のスタートアップ業界は、企業や事業が失敗したとしても、きちんと経験を積めていれば評価される世界です。そのため、企業の失敗を考えるよりも、自分の転職の目的を考え、仕事に取り組むことがキャリアアップにつながると思います。

そのためには転職後に自分で考えるだけではなく、上司や社長との1on1(上司と部下が1対1で行う対話)の機会を設けることをおすすめします。客観的なフィードバックをもらい、自分の転職後の成長と、改善すべき課題を認識することができると思います。

 

Q3.バックオフィス業務で転職する場合、どのような資格、経験が求められますか。

A3.企業のフェーズによって求められる能力は異なります。
シード・アーリーフェーズの場合、管理部門を作っていく能力が求められ、上場を目指すレーターフェーズの企業では上場または上場準備経験などが求められます。
そのため、自分のしたいことと、経験とを重ね合わせ、どのフェーズの企業で実現できるのかを考え、転職することが重要だと思います。

 

Q4.プロフェッショナル人材の価値は下がるのでしょうか?

A4.人材の市場価値は以下の3つで決まると述べました。
1:『需要』と『供給』のバランス
2:希少な人材か?
3:解決できる問題の大きさ

平成においていわゆる“プロフェッショナル人材”とは戦略コンサルティング会社や会計士、弁護士などを指しました。
今、その職業、そのスキルは希少とは言えません。高度なスキルをもっていても希少度が減少すればコモディティ化し市場価値は下がっていきます。

今後は、上記フレームワークの【2:希少な人材か】 【3:解決できる問題の大きさ】の点をいかにして自身を際立たせていくかになると思います。
コンサルで経験を積めば市場価値が上がる、弁護士資格、公認会計士資格を取れば安心という時代は平成で終わったと認識すべきでしょう。

特に、AIの発展に伴い定型化された業務をこなすタイプのプロフェッショナル人材の価値は上がりにくくなってくると思います。
例えば、公認会計士の仕事は、ルールが決まっており、ある程度定型化されているためAIに代替される可能性があります。

自身のスキル・経験では市場価値が上がりづらいと考えているのであれば、違う分野の経験を積んで自身のスキルをよりレアカード化させていくとよいでしょう。
ただ使われる側、雇われる側にいる限り市場価値上昇に限界が来ます。値踏みをされる側ではなく、今後は仕事を作る側、プロフェッショナル人材を活用する側の市場価値が高まっていくでしょう。

 

Q5.採用側としてのプロデューサー人材の見分け方は?

A5.プロデューサー人材は、クリエイティブな発想を持ち事業を創出する人材です。

面接時に、「なぜその仕事をしたのか?」と聞いてみることが有効です。
上から言われたからやった、というタイプは使われるタイプの人材か、まだ経験が浅い人材です。
プロデューサー人材は、『そもそも』という言葉が好きな傾向があり、“なぜその仕事をするのか?”という問いを立てるところから仕事に関わっており、背景から話すタイプです。

また、プロデューサー人材の特徴として会社の枠を超えて幅広い業種、職種、老若男女に人脈があり、それを活用することが出来る人達です。優秀なプロデューサー人材ほど自分より優秀な人材や自分に無い能力を持った人材を活用して大きな仕事を成し遂げます。
それを確認するために以下について質問をすることが有効です

「社外の人を巻き込んで仕事をしてきたケースとその実績を教えてください」
「なぜあなたはそれが出来ると考えていますか?」

このような問いに対して、自らの言葉で問いの立て方から解決プロセス、実行プロセスまで語れる人材かを確認しましょう。

 

最後に

今回が初めてのウェビナーでしたが、多くの方に満足して頂けたようで大変嬉しく思います。また、シリーズ化してほしいとのお声もいただきましたので、積極的にウェビナーを開催していく予定です。今回参加できなかった方も是非、ご参加ください!

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構成・内容:藤岡清高 編集:吉田響