【2023年更新】大学発ベンチャー11社

岸田政権は骨太の方針で「ベンチャー育成5カ年計画」を掲げており、国内でのベンチャーを5年で10倍に増やす目標を立てました。

そんな中、2021年の経済産業省の調査によると、大学発ベンチャーの数は過去最多の3306社となっており、2016年の1846社と比べると約1.8倍に増えています。アカデミックな研究成果やディープテックを社会に実装するにあたって、産学連携は欠かせません。今後も政府の方針や社会的需要から、大学発ベンチャーの存在感は増していくでしょう。

今回は、大学発ベンチャーを11社ご紹介いたします。

【東京大学】ソナス株式会社

魅惑的技術で社会の礎を成す

ソナスは、ソニーで半導体の研究開発に従事した後、東京大学先端科学技術研究センター勤務を経た大原壮太郎氏が2015年に創立した、全く新しいIoT無線技術を実現する「UNISONet」を提供する東京大学発のベンチャー企業です。

UNISONetは、「同時送信フラッディング」という革新的な転送方式を用いることにより、従来の無線では難しかった「安定」「省電力」「高速」「双方向低遅延」「データロスレス」「ネットワーク内時刻同期」「ネットワーク内多数収容」を同時に実現した独自のIoT向け無線通信規格です。

現在は、製造業や鉄道業界など多くの業界でUNISONetが監視や計測システムとして利用されるようになっています。また、世界的に注目されており、同社は海外進出も目指しています。

【企業情報】
【CEOインタビュー】
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【東京大学】ARAV株式会社(アラブ)

5年後10年後ではなく、現在の建設現場のために。

ARAVは、建設現場のDX・自動化を目指す東京大学発のベンチャー企業です。

創業者の白久レイエス樹氏は、東京大学大学院修了後、2018年米国シリコンバレーにてYanbaru Robotics Inc.を創業し、既存自動車への後付自動運転キットを開発。米国CA州高速道路にて自動運転試験に成功。その後、2020年ARAV株式会社を創業しました。

建設機械を遠隔操作できるサービス「Model V」を開発・提供しており、パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットからリアルタイムで操作することで、建設現場のDXを加速させます。

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【京都大学】メトロウェザー株式会社

風を制し、空の安全を守る

メトロウェザーは、赤外線レーザーを用いて、大気中の微粒子の微細な動きから、数十km先の風向・風速を測定する超高分解能ドップラー・ライダーを開発する京都大学発ベンチャーです。

ドップラー・ライダーによって、ドローンの運行に必要不可欠となるリアルタイムでの高精細風況情報の提供を実現します。また、ドローン関連だけでなく都市防災・風力発電・航空・海運・鉄道領域等幅広い分野の市場参入を計画しています。

代表取締役CEO古本淳一氏は2019年まで京都大学生存圏研究所で助教として研究・教育活動を行いながら2015年にメトロウェザーを創業しました。

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【京都大学】株式会社バックテック

ヘルスケアの未来の常識を創る。

バックテックは、京都大学医学研究科発のベンチャー企業です。
肩こり・腰痛などのカラダの痛みを切り口に「労働生産性の向上」や、痛みと関連が深い「メンタルヘルス悪化のリスク」の予防・低減を目的とした健康経営支援アプリ「ポケットセラピスト」を開発・運営しています。

ポケットセラピストは、医学的なエビデンスを基に労働生産性の可視化から肩こり・腰痛対策までを一気通貫でサポートする、という法人向け健康経営ソリューションです。導入による投資対効果も科学的に提示できることが、他ヘルスケア企業とは一線を画している点です。

創業者の福谷直人氏は京都大学大学院医学研究科で博士号を取得後、2016年に京都大学大学院医学研究科発のベンチャーとして、株式会社バックテックを京都にて創業しました。ビジネスモデルコンテストに出場し、受賞歴が多数あります。

【CEOインタビュー】

【東京工業大学】株式会社Jij

Solve industry’s computational hard challenges.

Jijは量子アニーリング技術を中心とした最適化ミドルウェアの開発をする東京工業大学発のベンチャー企業です。

最先端の量子・イジング計算機を専門知識がなくとも使えるようにするクラウドサービス「JijZept」を開発しています。これにより、オペレーションの最適化問題に直面する企業が、イジングマシンや量子アルゴリズムの専門知識を必要とせずに、簡単に最先端の量子最適化技術を扱うことができます。

創業者の山城悠氏は東京工業大学大学院時代に、東北大の大関准教授と出会い、文科省管轄 JST-STARTプロジェクトに参加。 量子アニーリング技術への社会実装のために研究開発者として活動を行い、 2018年11月にSTARTプロジェクトの成果を以って大関准教授らと共に Jij Inc. を創業しました。

【東京工業大学】つばめBHB株式会社

独創的な技術を活用することで環境・食糧問題にかかる人類課題を解決し、持続可能な社会を実現する。

つばめBHBは東京工業大学の細野秀雄栄誉教授グループが開発した、エレクトライド触媒技術を基に設立された東京工業大学発ベンチャー企業です。
触媒技術および、その触媒に合わせたプラントを設計することにより、アンモニア生産の「一極集中&大量生産」の常識を打ち破る技術を確立し、小規模プラントでのオンサイトアンモニア生産の実用化を目指しています。
アンモニアは燃焼時にCO2を排出しないため、CO2排出量削減に寄与することが出来る次世代燃料として期待されるとともに、水素を輸送・貯蔵するためのエネルギーキャリアとしても注目されています。
つばめBHBの新技術開発によって、クリーンエネルギーの普及とアンモニアサプライチェーン構築が期待されます。

代表取締役 CEOの渡邊昌宏氏は、千代田化工建設入社後、 2002年4月に千代田アドバンスト・ソリューションズを設立して転籍。2009年6月、同社取締役社長就任。 後に、千代田化工建設にて理事として従事。 2019年6月、つばめBHB株式会社 代表取締役に就任。

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【横浜国立大学】LQUOM株式会社

絶対安全な量子インターネットの実用化を目指して

LQUOMは金融、遠隔医療、防衛などの分野に絶対安全なインターネットを提供すべく、長距離量子通信技術を開発する横浜国立大学発のベンチャー企業です。
現在、長距離通信を実現するために必要となる量子中継器の研究・開発を、国内外の研究機関と協力して行っており、近い将来の実用化を目指しています。

量子コンピューターの計算速度は、今日のコンピューターと比較して桁違いに速くなると言われており、従来の暗号通信の安全性が危険に晒されてしまいます。このことから、量子暗号通信の研究が進められていますが、現時点では通信距離が数十km程度にとどまっています。LQUOMは数百km以上の長距離通信の実用化を目指し、研究をしています。

代表取締役の新関和哉氏は、2019年に横浜国立大学大学院工学府物理情報工学専攻修士課程修了。卒業時には優秀学生工学府長表彰等3件の賞を全て受賞しました。

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【香川大学】株式会社未来機械

テクノロジーでロボットを当たり前の存在にし、人々を苦役から解放する

未来機械は、様々なソーラーパネルの形状を認識しながら自律走行をするソーラーパネル清掃ロボットを開発している香川大学発のベンチャー企業です。

中東・インドなどの地域では、太陽光発電導入の需要が拡大しています。それらの地域では、降水量がほとんどないためソーラーパネルに砂塵が堆積しやすいため、ソーラーパネル清掃ロボットの必要性が高まっています。未来機械は高効率な太陽光発電を実現します。

創業者の三宅徹氏は、香川大学大学院修士課程在学中の2004年に未来機械を創業し、同年には史上最年少でNEDO委託事業の研究開発責任者を務めました。

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【千葉工業大学】株式会社aba

支えあいが巡る社会をつくる。

abaは、「現場の介護に寄り添ったロボット開発」を強みに介護業界×ロボット開発の課題に取り組む、千葉工業大学発のベンチャー企業です。
主に排泄ケアシステム「Helppad」を提供しています。「Helppad」は、ベッドに敷くだけで排泄を検知し、おむつ交換のタイミングを通知します。不快感や便漏れを防ぎ、排泄ケアの負担を和らげます。

介護現場において最重要課題でもある「排泄ケア」は、的確なケアができていないことがままあります。abaは介護現場に必要とされている次世代プロダクトを開発し、業務負担の軽減とケアの質向上を実現します。

創業者の宇井吉美氏は、2011年に千葉工業大学未来ロボティクス学科在学中に株式会社abaを設立しました。特別養護老人ホームにて、介護職による排泄介助の壮絶な現場を見たことをきっかけとして、においセンサーで排泄を検知する「排泄センサーHelppad(ヘルプパッド)」を製品化しました。

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【岐阜大学】サグリ株式会社

世界中の農地をデータ化し持続可能な農業基盤を作る

サグリ株式会社は、衛星データ解析および機械学習による事業創出を行う岐阜大学発ベンチャーです。

農地利用状況調査アプリケーション「ACTABA(アクタバ)」や作付け調査アプリケーション「デタバ」を提供し、農業において衛星データやAIが活用できるようにしています。これらのアプリケーションによって、農業や環境における課題解決を目指しています。

【企業情報】https://amater.as/online/companies/1159/
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【島根大学】株式会社S-Nanotech Co-Creation

ナノテクの共創で継続的に新しい価値を生み出す

株式会社S-Nanotech Co-Creationは、2018年に島根大学のナノテクプロジェクトから生まれた大学発ベンチャーです。

異分野間の研究者が共同して新しい価値を見出す共創(Co-Creation)を理念とする本学のナノテクプロジェクトセンターの研究成果をもとに市場のニーズに基づいた研究開発を行い、実用化することによりナノテクをベースとした新しいものづくりの事業を生み出しています。ナノテクプロジェクトセンター及び国内外の有望なシーズ(新しい事業の種)に対して研究開発投資を行うことにより、優れた事業を島根に集め、地方大学の発展や地域経済の活性化への貢献、島根から技術革新を発信することを目指しています。

【企業情報】https://amater.as/online/companies/786/
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おわりに

大学発ベンチャーは、一般企業に比べて博士人材が多いのが特徴となっており、社会や経済にイノベーションをもたらす存在として期待されています。
最近は多くの大学がベンチャー創出に注力していることもあり、今後の動きにも注目です。

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アマテラス編集部

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